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930.ミス・マープル

2009.07.24

無実はさいなむ 2007 ITV

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ジェラルディン・マッキーワン主演のミス・マープル・シーズン3、第四作にして、最終作品。
今回はノン・シリーズの傑作「無実はさいなむ」を大胆に脚色している。
なかなか良い出来だ。

演出 Moira Armstrong
原作 Agatha Christie
脚色 Stewart Harcourt

配役:
Geraldine McEwan : Miss Marple
Juliet Stevenson : Gwenda  (”Emma”)
Alison Steadman    : Kirsten Lindstrom
Stephanie Leonidas : Hester Argyle
Lisa Stansfield    : Mary Durrant
Jane Seymour    :  Rachel Argyle ("Live and Let Die")
Julian Rhind-Tutt : Dr Arthur Calgary

裕福な夫人レイチェル・アーガイルが殺された。
すぐ彼女の養子の一人ジャッコが逮捕され、程なく死刑になった。
二年後、寡夫になったレオ・アーガイルは秘書グウェンダと再婚することになった。
ミス・マープルも招待される。
しかし南極帰りのカルガリ博士がジャッコのアリバイを証言したため、一族は再び疑心暗鬼にさいなまれる。
家族のなかにレイチェル殺しの真犯人はいるのだ。


IMDBでは、いつものように評価は極端に分かれている。
アガサ・クリスティ原理主義者は、ノン・シリーズに名探偵を登場させることがお気に召さない。
まして筋書きが、原作と似ても似つかないものになっている。

でもこの作品にかぎっては配役、脚本ともに力が入った,善いものである。
ハリウッドでも有名な女優であるジェーン・シーモアが出演する。
ジュリエット・スティーブンソンもよく知られた顔だ。

脚本も悪くない。
いっそ変えるなら、これぐらい大胆にやる方が面白い。
同じ原作の映画「ドーバー海峡殺人事件」(1984)があるので、脚本家も力が入ったようだ。
難を言えば、犯人がはじめからやや目立ちすぎていた。
原作を知らない人でも、すぐわかってしまう。

ジェラルディン・マッキーワンのミス・マープルを総括すると、
キャラが立ちすぎて、ジョーン・ヒクソンの作り出した、ミス・マープル像(これが決して原作似とは思わない。ただし、アガサ・クリスティは彼女にやって欲しかったそうだ。)と、かけ離れてしまった。
ミス・メープルソープか何か、新しいキャラクタを創造していれば、これほど批判されることはなかった。

次のミス・マープル・シーズン4は、既に放送が始まっている。
作品は「ポケットにライ麦を」「殺人は容易だ」「何故エバンスに頼まなかったか」「魔術の殺人」である。
「殺人は容易だ」はビル・ビクスビー主演で映画化されているノンシリーズ。
「何故エバンスに頼まなかったか」は本来トミーとタッペンスのシリーズだ。

主演はジュリア・マッケンジー(下の写真)。
マッキーワンと同じ舞台畑の人だ。
ぱっと見は,「奥様は魔女」のクララおばさんに似ている。

でもインタビューでは
I’m under no illusions about the size of the task ahead. 
と言っている。(イギリスの)国民的仕事を前にして明鏡止水だそうだ。
なかなか頼もしい。


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復讐の女神 2007 ITV

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新ミス・マープル、シーズン3の第三回。
原作では第十一作(実質的最終作)になる。
ドラマは、例によって原作を大きく改変している。

演出:Nicolas Winding Refn

原作:Agatha Christie、 Nicolas Winding Refn
脚色:Stephen Churchett

配役:
Geraldine McEwan : Miss Jane Marple
Laura Michelle Kelly : Verity Hunt , Margaret Lumley (photo)
Richard E Grant : Raymond West
Ruth Wilson : Georgina Barrow
Ronni Ancona : Amanda Dalrymple
Adrian Rawlins : Derek Turnbull
Will Mellor : Martin Waddy
Amanda Burton : Sister Clotilde



ミス・マープルの知人であるラフィエル氏が亡くなった。
彼はミス・マープルに条件付遺贈をしていた。
その条件は、殺人事件の謎を解決すること。
甥のレイモンド・ウェストとともに、ミス・マープルは遺言の指示通り、ミステリーバスツアーに参加する。
まもなく、参加者の一人の老人が心臓発作を起こし、翌朝亡くなっているのが発見される。
しかしミス・マープルは老人の枕元にあった瓶を調べてくれと警官に訴える。


今シリーズはじめて、甥のレイモンドが活躍する。
しかし、彼は稀代の女たらしで、いまだ独身だった。
娘のメイベルなど影も形もない(笑)

原作やジョーン・ヒクソン版「復讐の女神」は、激しい違和感がある。
バスツアーで殺人が起きたのにあえて続行したり、ミス・マープルが三姉妹を訪ねるため、ツアーから抜け出すあたりだ。
いっそのこと、ツアーを孤島に閉じ込めた方がわかりやすいと思った。
今回はミス・マープルがツアーから抜け出すことはなかった。
しかし、殺人ツアーは中止されるべきではなかったのかな(笑)

注意、ネタバレビデオです。


2009.07.22

ゼロ時間へ 2007 ITV

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ミス・マープル第三シリーズ第二作。
原作ではバトル警視が登場する。
しかしドラマでは、ミス・マープルものに仕立て直している。

演出:David Grindley
脚本:Kevin Elyot
原作:Agatha Christie

配役
Geraldine McEwan : Miss Marple
Greg Wise  : Nevile Strange
Saffron Burrows  : Audrey Strange
Eileen Atkins : Lady Camilla Tressilian
Julian Sands : Thomas Royde
Zoe Tapper : Kay Strange
Paul Nicholls : Ted Latimer
Julie Graham : Mary Aldin
Tom Baker : Frederick Treves
Eleanor Turner-Moss  : Diana (写真)


推理小説では殺人から話は始まる。しかし殺人は結果にすぎない。
原因がいくつもあって、それらすべてが一点に収束する。ゼロ時間に向かって。
裕福なトレシリアン夫人は海辺のガルズポイントで寝たきりの生活をしていた。
ある夏、彼女は知人たちを招待する。
その中にはテニスプレイヤーのストレンジ夫妻、ストレンジの別れた妻が含まれていて、不穏な空気が流れていた。
ホテルに宿泊していた訪問客の一人、弁護士のトリーブズが死体で発見される。
心臓発作だった。

この作品はノンシリーズだが、かなり人気がある。
しかし読み直してみると、何を今さらという感じもする。
この話は一発ネタだ。
結末を知ってしまうと、犯人を忘れるほど時間が経つまで、二度と読みたくなくなる。
(実際、僕は忘れていた。)
探偵役のミス・マープルがどうこうというのでなく、ポワロが出てきても同じ事だ。
だから原作では、あえてバトル警視に振ったとも考えられる。


もちろん、ジェラルディン・マッキーワンの演技を楽しみたい人には、お奨めできる。
写真は出演者の一人、エレノア・ターナー・モス。
話題の新進女優で、少ししか出番はないが、ミス・マープルにサジェスチョンを与える、重要な役である。


Youtubeには見あたらなかったので、同年にパスカル・トマ監督が撮ったフランス映画の方を上げておく。
この方がさらに評価は低い。


2009.07.21

バートラムホテルにて 2007 ITV

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ジェラルディン・マッキーワンの「ミス・マープル」シリーズ3を、今日から英国版DVDで鑑賞し始めた。
この作品は、IMDBによると評価は6.9と低め。
ジョーン・ヒクソン版と比べて、脚色が強すぎるのだろう。
僕はジョーン・ヒクソン版のラストが好きではない。
だから、このドラマの結末は安心して見ることができた。

演出: Dan Zeff
原作: Agatha Christie
脚色: Tom MacRae

配役
Geraldine McEwan : Miss Marple
Polly Walker : Bess Sedgwick(ポワロ「エンドハウスの怪事件」のニック・バックリー役)
Francesca Annis : Lady Selina Hazy(トミーとタッペンス・シリーズのタッペンス役)
Emily Beecham : Elvira Blake(なかなかの美人)
Mary Nighy : Brigit Milford
Martine McCutcheon : Jane Cooper(「ラブ・アクチュアリー」)
Charles Kay : Canon Pennyfather
Vincent Regan : Mickey Gorman
Hannah Spearritt : Tilly Rice
Stephen Mangan : Inspector Larry Bird


第二次世界大戦後のロンドン。
ミス・マープルは子供の頃に訪れた、懐かしのバートラムホテルに宿泊する。
ところがメイドのティリー・ライスが屋上で殺されて、事態は一変する。
ミス・マープルは同僚メイドのジェーン・クーパーの協力を得て、捜査を開始する。

原作はシリーズ10作目(1965)で、ビートルズの話が出てきたと思うが、
ドラマでは20年もさかのぼるため、ナチスの残党とそれを追うスパイが出てきた(笑)

出演者では、ポリー・ウォーカーに貫禄が付いた。
はじめは誰だかわからなかった。
フランチェスカ・アニスの方は華やかな感じで、あまり変わっていなかった。
エルヴィラ役の娘が美しかったが、イギリスの視聴者はアイドル歌手から女優へ成長した、
マルティン・マッカチョン(写真)がお目当てだったらしい。



2008.12.23

Murder Most Foul(最も卑劣な殺人) 1964 UK

監督:ジョージ・ポラック
脚本:デビッド・パーソル

出演:
マーガレット・ラザフォード ... Miss Jane Marple(チャップリンの伯爵夫人)
ロン・ムーディ ... H. Driffold Cosgood
チャールズ・ティングウェル ... Inspector Craddock
アンドリュー・クリュックシャンク ... Justice Crosby
メグ・ジェンキンス ... Gladys Thomas
ラルフ・マイケル ... Ralph Summers
ストリンガー・デイビス ... Jim Stringer


ミス・マープル・シリーズ第四弾。
原作は「マギンティ夫人は死んだ」
ミス・マープルではなく、エルキュール・ポワロが登場する長編小説だ。



マギンティ夫人殺人事件の陪審員となったミス・マープルは独自に捜査を開始する。
早速、夫人の遺品から脅迫状を見つける。
犯人は脅迫されていた劇団員らしい。

続いてミス・マープルは女優として潜入する(笑)
途端に劇団員ジョージが毒殺される。
さらにミス・マープルと間違われて、ドロシーが青酸ガスで殺害される。



やはり映画は、原作を大きく改変している。
それが今回は、うまくいっていない。

原作は、死刑囚が本当に犯人でないのか?はたして糸口がどこにあるのか?
わかるまで相当に時間を要した。
自分がどこにいるか、分からないような感覚が、この作品の大きな魅力だ。

映画では、そのあたりがさらりと流される。
そしていきなり、核心に突っ込んでいくのだ。
これでは、原作の味わいは消えてしまう。

その上、劇団を舞台とする連続殺人事件は、当時でも陳腐だったろう。




今回のミス・マープルは、女優に挑戦している。
ラストには、1924年射撃大会優勝の腕前を披露する。
このシリーズのミス・マープルは、万能おばさんという設定だheart

2008.12.22

Murder, she said (ミス・マープル 夜行特急の殺人) 1961 UK

監督: ジョージ・ポロック

出演:
マーガレット・ラザフォード (ミス・マープル)
アーサー・ケネディ (クインパー)

マーガレット・ラザフォード(「チャップリンの伯爵夫人」)のミス・マープル・シリーズ第一弾。
原作はアガサ・クリスティの「パディントン発4時50分」

これを大胆に脚色している。
原作とは違う作品だが、これはこれで面白かった。

たとえば原作では、友人のマクギリガティ夫人が殺人を目撃するが、
映画では、ミス・マープルが直接見てしまう。
おかげで原作と映画でラストが違う。

また原作では、若く賢いヒロイン役はルーシー・アイレスバロウだが、
映画では、これもミス・マープルがやっている。

彼女が、メイドに化けるのだ。
だから、ゴルフのシーンもミス・マープルがナイスショット(笑)
ラストにアッケンソープ氏(原作ではクラッケンソープ)にプロポーズされるのも、シリーズのお約束。
全くのコメディだ。



"Murder, she said" と言う題は、
アンジェラ・ラズベリー演ずるドラマ「ジェシカおばさんの事件簿」の原題
"Murder, she wrote"とそっくりだ。
それだけ、この作品が欧米人に浸透しているということか。

だから「クリスタル殺人事件」でのアンジェラ・ラズベリーを見ても、
わかるように、アメリカ人はミス・マープルを誤解している。
原作を読まずに、子供の頃に見た、この映画でミス・マープル像を作っている。

(ジェラルディン・マッキーワンの新ミス・マープルでも、アメリカが資本参加している。)


アメリカ(他のヨーロッパ諸国も含めて)でのミス・マープルは、アガサお墨付きのジョーン・ヒクソンではなく、

モノクロ時代の少々お下品なマーガレット・ラザフォードなのである。

アーサーケネディは、「アラビアのロレンス」、「ミクロの決死圏」に出演した名優。

マーキーワン版パディントン発4時50分

八千草薫版パディントン発4時50分

クリスタル殺人事件(1980) - goo 映画

2008.06.27

新ミス・マープル2 シタフォードの謎 グラナダTV

Photo


演出:
ポール・アンウィン
脚本:
スティーブン・チャーチェット
原作:
アガサ・クリスティー

英米合作


原作「シタフォードの謎」(東京創元社の邦題を使っている。早川文庫は「シタフォードの秘密」)はポワロもミス・マープルも現れない、ノンシリーズだった。
あのトリックさえ知っていれば、子供でも犯人がわかってしまう作品だ。
ドラマではミス・マープルが登場した。
結末も原作とは変えている。

まずトレヴェリアン大佐自身がホテルで降霊会に参加する。(原作では大佐は参加しない。)
原作でのバーナビー少佐の役が、政務官エンダビイ氏に替わっている。
原作の主人公であるエミリーの役柄が、ミス・マープルの出現で多少変わっている。
ミス・マープルはシタフォード荘で安楽椅子に座っている。
実際に捜査活動を行うのは、エンダビイ氏、エミリーと新聞記者チャールズだ。

大物俳優を被害者に起用したため、犯人を特定しにくかった。
原作通りにすると、キャスティングのバランスがおかしくなる。
しかし原作を読んでいたときも、ちらりとこの○○が犯人ではないかと思ったほどだから、
結末にさして違和感はなかった。

ノン・シリーズにミス・マープルを起用することに異論もあるだろう。
私はまずミス・マープルの短編をドラマ化してほしい。
どうしても長編でなければならないというのであれば、こういうやり方もあって良い。

アガサ・クリスティはミス・マープルに思い入れがあった。
だから本当は、ジョーン・ヒクソンがドラマ化した12長編以外にも、様々な作品に登場させたかったのではなかろうか。
しかしミス・マープルが人気になったのは、戦後の「予告殺人」(1950)のヒットからだろう。
昨日の原作「動く指」(1942)のように、若くて魅力的な人間を現場で捜査させて、ミス・マープル自身は安楽椅子探偵にする展開を戦前から他にもいろいろ考えていたのではないか。
そして、「もしもあの事件をミス・マープルが推理していたら」と考えるのも、ミス・マープル・ファンの夢である。
(「そんなのは邪道だ」というのは、がちがちのポワロ・ファンだろう。)

ゾーイ・テルフォード(「ナイルの死」)が美しきヒロイン、エミリー役を演じている。
しかしややセクシーな役柄で、共感しなかった。
二人の間で気持ちを揺らしながらも、けなげに謎を解明する原作の方が魅力的。
よく知らない人だったが、キャリー・マリガン(ヴァイオレット役)の方を魅力的に感じた。

トレヴェリアン大佐に、先々代007として活躍した、超大物ティモシー・ダルトンを起用。(「007/リビング・デイライツ」「007/消されたライセンス」)
しかし、ずいぶん老けた。
(と言うことは、いつの日か、先代007ピアーズ・プロズナンも登場するのだろうか。)


シーズン2も今日でおしまい。
シーズン1は内容的に厳しい作品が多かったが、シーズン2は及第点を付けられる作品ばかりだった。
原作を大きく脚色したため、ラストのバランスを欠く作品もあった。
しかし撮影、美術、音楽や演出のテンポで補っていた。

ジェラルディン・マッキーワンは、2シーズン目でミス・マープルを自分のものにした。
おそらく先代のジョーン・ヒクソンは、晩年のミス・マープルをイメージして役作りした。
一方マッキーワンはおそらく、初期の「牧師館の殺人」の噂好きな中年ハイミスをイメージして、そこから自分なりのマープルをつくり出した。
歩き方一つとっても、忘れられない。

ジェラルディン・マッキーワンは14歳で舞台にあがり、クリストファー・ブラマーのハムレット相手にオフェリアを演じ、王立劇場でアルバート・フィニーローレンス・オリヴィエと共演してきた人である。
「水戸黄門漫遊記」も東映映画で月形龍之介が演じたあと、新劇畑の東野英次郎がテレビで見事に自分の色づけをしていた。


シーズン3はさらに内容が良くなっているようだ。
「ゼロ時間へ」(本来バトル警視ものだが、彼は登場しない模様。)
「復讐の女神」
「バートラムホテルにて」
「無実はさいなむ」(「ドーバー海峡殺人事件」の原作)
やはりノン・シリーズが二本ある。
まだまだ死ねないなあ(笑)

しかし、現在制作中のシーズン4では、ミス・マープル役はジュリア・マッケンジーという人に交代してしまった。
製作側との意見の相違か。それとも病気か。
ジョーン・ヒクソンと同じ12作品で辞めるのが、きりの良いところだと思ったのか。
うーん残念。weep

2008.06.26

新ミス・マープル2 動く指 グラナダTV

Photo


演出:
トム・シャンクランド Tom Shankland
脚本:
ケビン・エリオット Kevin Elyot

なんと、ケン・ラッセル監督(「マーラー」「トミー」)が司祭役で出演していた。
そのせいか、美術とカメラについては、ジョーン・ヒクソンのドラマ(1985年「動く指」)より数段出来は良かった。

しかし、主役のジェリーにジェームズ・ダルシー(「青列車の謎」)を起用して、自殺未遂者に仕立てたのは如何か?
ロンドンへジェリーとミーガンが出かける、エピソードもなかった。
ジョーン・ヒクソンのドラマでは、「ローマの休日」を思わせる素敵なエピソードに仕上がっていたのに。

1985年のドラマを意識しすぎて、原作をやや弄りすぎたと思う。
原作は完璧だった。
ミス・マープルがほとんど出てこない。
探偵小説はできる限り探偵が表に出てこない方が、面白い。

だから今回のドラマ化は、ジェラルディン・マッキーワンを脇役にして、ジェリーの独白中心の脚本にして欲しかった。
前回のドラマがうまく脚色していたから、今回は原作に忠実になってほしかった。
アメリカ資本が参加しているため、そのような脚本は認められないのか?


キャスティングは昨日の「親指のうずき」と比べると、若さでは勝っているが、格では劣っていた。

主人公の妹ジョアンナ役は、化粧の派手なエミリア・フォックス(テレビ「高慢と偏見」)を起用。

ヒロイン・ミーガン役に、タルラ・ライリー(「五匹の子豚」)。あまり好みではない。

家庭教師エルシー役はケリー・ブルックス、役柄は頭の良くなさそうな美人タイプだ。本人は人気モデルらしい。
主人公に家を貸すエミリー役にセルマ・バーロウ(「ミセス・アンダーソンの贈り物」)。

ずいぶんと長い間、この作品は戦後のものだと錯覚していた。
実は「書斎の死体」と同じ頃の戦中派作品だ。
しかし戦争は全く感じさせない。
空襲下のロンドンで人々がクリスティそしてミス・マープルに救いを求めていたのがわかる。

2008.06.24

新ミス・マープル2 親指のうずき グラナダ

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この「親指のうずき」は、2005年にフランスで "Mon petit doigt m'a dit..." としてカトリーヌ・フロ主演で映画化されたばかりだ。
それを翌年、しかも本国でドラマ化するのだから、相当に改変してくると思った。
大体おしどり夫婦トミーとタペンスものに、ミス・マープルが出ること自体が、無茶苦茶なことである。

実際(フランス映画以上に)大胆な脚色があった。
しかしなぜか、さほど気にはならなかった。
これはこれで一つのお話だろう。

原作は少し冗長なのが欠点だが、今回のドラマはテンポが非常に良かった。
草笛光子も2作目でジェラルディン・マッキーワンのリズムを得たようだ。


やや、とうは立っていたが、華麗なる女優陣の競演を楽しめた。
まず、派手なタペンス役にグレタ・スカッキ(「推定無罪」「ザ・プレイヤー」)。
適役だったが、タペンスが欲求不満でアル中なのは、どうだろうか。
夫婦円満である、フランス映画の方が良かった。shock

伯母のエイダ役は、昨日からのチャップリン繋がりでクレア・ブルーム
(「ライムライト」「寒い国から帰ったスパイ」「まごころを君に(アルジャノンに花束を)」、ミス・マープル(ジョーン・ヒクソン)の「鏡は横にひび割れて」)。
しかしメイクアップで化けていて、名前を見るまで誰だかわからなかった。

行方不明になるランカスター夫人に、コマンダー爵位を持つジェーン・ウィットフィールド
(英国テレビの大女優で、オーディオドラマでミス・マープルを演じている。)。
フランス映画版のジュヌヴィエーヴ・ビジョルドよりも良かった。

さらに、養老院の管理人パッカードに、名脇役クレア・ホルマン(アガサ・クリスティの「忘られぬ死」)。


惜しかったのは、トミーとタペンスの重要人物・召使いアルバートが出てこなかったこと。
できればこの作品でなく、トミーとタペンスの第二次世界大戦物である「NかMか」をやって欲しかった。

こうなると、再びトミーとタペンスと共演するのは「運命の裏木戸」だろうか。
その頃にはミス・マープルは、いったいいくつになっているのか?


新ミス・マープル2 スリーピング・マーダー グラナダTV

Photo

第2シーズン第1回「スリーピング・マーダー
演出:
エドワード・ホール 
脚本:
スティーブン・チャーチェット 
原作:
アガサ・クリスティー

英米合作。


デジャヴューだ。
どこかで見たプロットだと思うのだが、思い出せない。
原作とは違い、旅芸人の一座が事件の鍵を握っている。
横溝正史だったろうか。

最初のうちはジョーン・ヒクソンの前作とほとんど変わらなかったのに、途中から大きく動き出す。
とくに後半は詰め込みすぎだ。
これぐらい大きく変えるのであれば、いっそのこと犯人も変えた方が良い。

マッキーワン=ミス・マープルの場合、草笛光子の方が、アニメのミス・マープル・八千草薫より適役だ。
草笛光子は、アニメ「名探偵ポワロとミスマープル」の第一回「グランドメトロポリタンの宝石盗難事件」で、オパルセン夫人もあてていた。
ただし、第一シーズンを演じた故岸田今日子の声が強烈すぎて、今回のアテレコはいまいちだった。
ジェラルディン・マッキーワンの演技に比して、声が地味、大人しすぎる。
役柄を探りながら、あてている感じがした。
もっとも、将来の可能性はあると思う。
今後の作品で、どう変わっていくのだろうか。楽しみにしておく。

ゲスト俳優で知っていたのは、ジェラルディン・チャップリン(「ドクトル・ジバゴ」、「悲しみは星影と共に」、チャールズ・チャップリンの娘さん)だけだ。
この人は昔から老け顔だったから、年をあまり取らない。
格から行けば、彼女が犯人の筈だが(笑)

主役のグウェンダはニュージーランド育ちではなく、インド生まれのインド育ちという設定だ。
グラマー美人のソフィア・マイルズが演じている。
知らなかったが、実写版「サンダーバード」にミス・ペネロープ役(人形劇では黒柳徹子がアテレコをしていた。)で出演している。
今回の作品では、小林さやかの声が低すぎて、違和感があった。


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