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220.東宝映画(戦前)

2012.02.13

綴方教室 1938 東宝

監督: 山本嘉次郎
製作: 森田信義
原作: 豊田正子
脚色: 木村千依男
撮影: 三村明

出演:高峰秀子 正子
    徳川夢声 父由五郎
    清川虹子 母お雪
    滝沢修 大木先生
    赤木蘭子 先生の奥さん
    三島雅夫 丹野さん

当時の小学生だった豊田正子(のちに日本共産党入党)の、ベストセラーになった作文集をもとに舞台化されたり映画化されたが、著作権は大木が持っていたので初期の印税は入ってこなかった。
わりと美人だったようで,現代だったらマスコミに引っ張りだこだったろう。
当時は、豊田正子と高峰秀子の間に確執があったようだ。
しかし二人はともに一ヶ月も経たないうちに亡くなっている。

映画のあらすじ:
文才あふれる少女が教師の助言により才能を花開かせるが、あまりにもリアリズムが過ぎたため、文章に登場したお金持ちの勘気に触れ,父は職を失う。

ついつい筆が滑ることは誰にもあることだ。
自分の世界を広く持って書きなさいとは、豊かになった今だから言えること。

豊田正子は女学校を卒業後も印税を得られず工場で働いていた。
両親の仲は険悪になり、苦悩は続いたようだ。
才気があふれすぎて、周りとも溶け込めなかったろうし。

どちらもそういう時期に出会って、齟齬が生ずるのは仕方がないことかも知れない。

2008.12.25

人情紙風船 1937 PCL


監督:山中貞雄(当時29歳)
脚本:三村伸太朗
撮影:三村明
美術:岩田専太朗
原作:河竹黙阿弥 歌舞伎「梅雨小袖昔八丈」

出演:
中村翫右衛門 (髪結新三)
河原崎長十郎 (海野又十郎)
助高屋助蔵 (家主長兵衛)
霧立のぼる(白子屋の娘お駒)
加東大介 (猪助)

戦死した山中貞雄監督の遺作。
中村梅若の祖父・中村翫右衛門(前進座)と河原崎長十郎(前進座、毛沢東を支持したため、戦後日共から除名)がW主演している。

江戸の長屋で首つり自殺が発生。
世知辛い世の中には厭世観が充満している。
髪結いの新三は大家に取り入って、お弔いの酒を出してもらい、長屋の一同大騒ぎ。
浪人の海野又十郎は、知人に就職を掛け合うが、取り合ってもらえず、
新三も賭場を開いてやくざの大親分ににらまれる。
何をやってもうまくいかない二人だった。
それが、ある雨の夜、ひょんなことから大きなチャンスをつかむ。



最初、落語のようなお笑いムードで始まったのが、
最後は意外な結末で、ほろ苦映画になってしまう。
さらに最初のシーンとラストシーンが、うまくリンクしている。
今ではハリウッド映画でも珍しくないが、1937年当時としては世界的にも画期的なエンディングだった。

編集時点では監督の下に召集令状は来ていなかった。
それでも「戦争に行けば、必ずおれは死ぬ」と、予想はしていたんだろう。
だから、こんな一世一代の傑作を生み出したのだ。


2005.09.08

鶴八鶴次郎 1938 東宝東京

大正年間、鶴次郎(長谷川一夫)は新内の太夫、鶴八(山田五十鈴)は三味線の名コンビ。
鶴次郎は鶴八に惚れていたが、鶴八は鶴次郎の師匠の娘とあって、鶴次郎が注意しても決して折れることはない。
そういう彼女の気の強さに二の足を踏んでいた。
それでもとうとうある温泉宿で鶴次郎は気持ちを打ち明け、一緒になって二人で寄席を買おうと話し合う。
鶴八は亡き母の遺産だといって、金を工面するが、その金は実は旦那からのものだった。
そのことを知って、鶴次郎はぶち切れてしまう。
コンビは解消になり、鶴八は旦那の正妻に迎えられる。
しかし2年後、鶴八鶴次郎の復活を求める声が大きくなる。


まあ、鶴次郎が鶴八に惚れたけれども、結局手に負えないじゃじゃ馬だったので、あきらめたということだろう。

出だしは脚本がしょぼくてどうなることかと思ったが、三島雅夫が登場した当たりから、大人の芝居になってきた。


山田五十鈴は、やはり凄い人だ。
当時の大スター長谷川一夫とクレジット順位が変らないのだもの。
それに当時は美人だった。

それから忘れてはならない二人。
PCL映画の華・大川平八郎清川玉枝が出ていた。
個性的な演技を楽しませる。

配役:
鶴次郎   長谷川一夫(太夫)
鶴八   山田五十鈴(三味線)
佐平   藤原釜足(マネジャー)
松崎   大川平八郎(旦那)
竹野   三島雅夫(興業主)

監督  成瀬巳喜男
脚本   成瀬巳喜男
原作   川口松太郎
撮影 伊藤武夫

2004.10.05

女人哀愁 1937 PCL+入江プロ

入江たか子が不幸な結婚生活に堪え忍びつつ、とうとうぶち切れて、最後はケロッとして終わる不思議なメロドラマ。
成瀬巳喜男監督作品である。

ネタバレ注意---

入江たか子は見合い結婚で金持ちの家に嫁ぐが、夫の北沢彪や義母の清川玉枝、小姑にネチネチと虐められる。
小姑の離婚問題に絡んで、仲の悪かった小姑とはかえって仲良くなるが、夫と義母とはついに折り合えず、別れるという筋。
ラストはいとこの佐伯秀男との未来を暗示して終わる。
1937年にしてはハイカラな終わり方だ。

義母清川玉枝、小姑の亭主に大川平八郎、いとこで相談相手になるのが佐伯秀男、その妹が堤真佐子というのは、成瀬監督前年の「君のいく路」出演陣だが、いずれもちょい役である。
それだけ入江たか子ビッグスターだったと言うことだろう。


入江たか子は、そう若くないと思うのだが(当時26歳)新婚生活で派手な日本髪を結っていた。
今どき芸者さんでもあんな頭はない。
これじゃあ、義母や小姑から嫌われても仕方がない(笑)

この人は派手な美人だし、表情が実に色っぽいのだが、いかんせんサイレント時代の大スターだけに戦前は台詞回しに難があった。

のちに化け猫映画の常連になったのは皆さんもご存じの通り。
貴族院議員で子爵東坊城徳長の娘さんである。


別の映画だが、映画 「白薔薇は咲けど」から 入江たか子(1937)

2004.09.27

兵六夢物語 1943 東宝

榎本健一主演の時代劇コメディ。
オペレッタ風で、エノケンとともに高峰秀子霧立のぼるが歌い踊る。
黒川弥太郎共演。


薩摩藩の下級武士である大石兵六(榎本健一)はへまをして仲間に干される。
さらに母親に夜のお使いを言いつかった兵六は、夜道で狐に騙される。


Jmdb:兵六夢物語

主演の榎本健一はいいとして、高峰秀子、霧立のぼるはちょっとしか出番がなかった。
その点が少々物足りなかった。

円谷英二が特殊技術担当。

2004.08.10

噂の娘 1935 PCL

2003/11/11(Tue) 00:02

監督・脚本 成瀬巳喜男
出演
啓作 ...  汐見洋
健吉 ...  御橋公
邦江 ...  千葉早智子
紀美子 ...  梅園龍子
お葉 ...  伊藤智子
叔父 ...  藤原釜足
新太郎 ...  大川平八郎


父は酒屋を営んでいて、年頃の娘が二人いる。
姉が見合いの日、妹も付いていくが、向こうさんは妹に一目惚れしてしまう。

父には愛人もいて、そろそろ後添えにと思っている。
姉はそれに賛成なのだが、妹は反対だ。
ところが、妹には隠していたが、実は妹はこの愛人との間に生まれた娘だった。

突然、警察が品質偽装で家宅捜索に入る。
父は酒の配合をごまかしていたのだ。
やがて警察に逮捕される、父。
それを、不安げに見送る祖父と長女。

家族の秘密が次第に暴露されていく様を、クールに描いている。
後の暗いホームドラマを先取ったような作品だった。

2004.07.06

娘の願ひは唯一つ 1939 東宝

高峰秀子は先生に薦められ、女学校を受験する。
しかし父渡辺篤と母清川虹子の貧乏所帯では学費を出せそうにない。
だから受験に失敗してくれと神仏に祈る始末。
しかし娘は堂々一番で合格する。
親の心痛を知って、秀子は辞退しようとする。
一方、受験発表から戻らない高峰秀子を父母は探し回る。

監督はプログラムピクチャーが得意な斉藤寅次郎
脚本は小国英雄

高峰秀子は子役だから、主役はあくまで渡辺篤だった。
コメディアンとしては当時光っていた。

また清川虹子と隣の主婦沢村貞子のやりとりが面白い。
そう考えると高峰秀子の見せ場は少なかった。

JMDB

2004.05.28

君と行く路 1936 PCL

2004年01月28日(水) 
No.126
演出  成瀬巳喜男
脚本  成瀬巳喜男
原作   三宅由起子
撮影  鈴木博
 
配役    
天沼朝次  大川平八郎
弟・夕次   佐伯秀男
母   清川玉枝
空木   藤原釜足
舞   高尾光子
尾上霞   山懸直代
暮津紀子  堤真佐子


朝次と霞は相思相愛。
しかし霞の親は会社の資金繰りに窮して、娘の政略結婚を望む。
朝次の母親は妾の身であり亭主を失っていた。
朝次には金銭的に霞を助けることはできない。

ある日、霞の執事が、霞が彼に書いた手紙を返してくれと言ってくる。
朝次は激怒して・・・

悲劇だが全く感情移入できなかった。
母親が芸者上がりだが、子どももお金持ちと結婚することがもっとも幸せだと信じている。
この時点で馬鹿馬鹿しくなってしまった。

大川平八郎は岡田英次に似ている。
涼しいいい男だ。
しかし作品に恵まれなかった。

2004.05.26

二人妻・妻を薔薇のように 1935 PCL

2004年01月20日(火) 
No.113
監督 成瀬巳喜男
出演 千葉早智子(君子)
   英百合子(妾の雪)
   丸山定夫(父)
   伊藤智子(母・歌人)
   大川平八郎(恋人)
   藤原釜足(叔父さん)
   
戦前の美人女優千葉早智子がモダンガールに扮して登場。
その二年後、

君子は母と二人暮らし。
母は歌人として有名。
父はいるが、妾と田舎にこもっている。
妾との間に二人の子どもをなしていた。

母はある人から仲人をしてくれないかと言われる。
でも父が出席してくれるかどうか。

ある日、君子は父の姿を見かける。
きっと家に寄るだろうとごちそうをこさえて待った。
しかしやってきたのは、叔父さんだった。

君子は自ら田舎に乗り込むことにした。そこは貧しい山家だった。
父から送られてくる仕送りは、実は妾から送られていた。

君子は無理矢理に父を連れ帰るが、父と母は相変わらず会話がすれ違ってばかり。
それでも仲人は何とか済ませる。

そして父は再び妾の元へ帰っていく。
母は奥で泣いているのだが、止めようとはしない。
君子は「お母さん、あなたの負けよ」と呟いて、父を送り出すのだった。

「噂の女」での千葉早智子は和装中心だったが、この映画のように洋装のほうが良いな。
それほど美人ではないが、安心してみられる女優だ。

当時から評価の高い映画だ。
今見ると面白い映画だ。
芝居としてはパロディ精神横溢。
藤原釜足が下手な義太夫を詠じるところで手元のお銚子が揺れたり、鳥が暴れたりする。
また親子三人でタクシーをヒッチハイク風に止めるところは「ある夜の出来事」だ。


別の映画だが、映画「朝の並木路」#2 夢の中の逃避行 千葉早智子(1936)


2004.05.23

四ツ葉のクローバ 1938 東宝

◆ 2004年02月28日(土)  No.161
製作 滝村和男
監督   岡田敬
脚本   小国英雄 小崎政房 岡田敬
原作   竹田敏彦
撮影   吉野馨治
音楽   鈴木静一
美術   山崎醇之助
録音   木下利正
出演   霧立のぼる(尼さんになる女の子) 江戸川蘭子(歌のうまい女の子) 堤真佐子(職業婦人になりたい女の子) 梅園竜子 佐伯秀男 三木利夫 高峰秀子(堤の妹)

女子校の卒業式。
霧立のぼるは髪を派手に結って級友の顰蹙を買うが、堤真佐子と江戸川蘭子は霧立のぼるを弁護する。
彼女の実家は寺で、彼女は大人になったら出家することになっていたのだ。
得度式までは好きな髪型を結わせてやりたい、という母心だった。

やがて三人は別々の道を進み始める。
霧立は尼になり、堤は職業婦人になり、江戸川は歌手になった。
堤は彼氏に振られ嫌な見合いを受け入れ、江戸川は演奏活動に行き詰まり関西に逃げる。

やがて江戸川は霧立のいる寺へ金を借りに行く。
霧立は友人がみな苦しんでいるのに、自分だけが楽をしていてはいけないと考え、修行の旅に出る。

霧立、堤、江戸川の三人娘、みんな顔がでかいな。
江戸川蘭子は歌も歌えるから芸に幅があっただろう。(松竹ではスターだったらしい)
堤の妹役で高峰秀子が結構重要な役で出ていて、彼女が一服の清涼剤だった。


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