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360.アメリカ映画(80年代)

2009.04.27

ミラグロ/奇跡の地  1988 アメリカ


milagroとは、スペイン語で奇跡(miracle)のこと。
英語とは、RとLがひっくり返っている。

ニューメキシコ州のミラグロでのお話。
レジャーランドの開発業者により、人々は土地や水利権を奪われ、やることがない。
ホセは仕事にあぶれ、無許可で畑に水を引き入れ、豆を栽培し始める。
村民ははじめ、ホセを冷ややかに見つめていたが、
保安官や自動車修理工場の女主人の応援もあり、次第に支援者が増える。
一方、開発業者は敏腕な警官(クリストファー・ウォーケン)を招いて、妨害工作を行う。

ロバート・レッドフォード監督は、この映画で「普通の人々」に続く第二弾となる。

アメリカでは当時バブルが崩壊して、中小の金融機関が次々とつぶれた。
そういう開発批判、ふるさと回帰路線の流れに乗った、民主党系の映画だったのだろう。


老人アマランテと天使コヨーテの二人が良い仕事をしていた。
とくに天使コヨーテは津川雅彦そっくりだった(笑)

一方、大物俳優二人(クリストファー・ウォーケン、メラニー・グリフィス)はちと役不足か。
とくにウォーケンは、弁護士役だった方がおもしろかったと思う。


監督 ロバート・レッドフォード
原作 ジョン・ニコルズ
脚本 デイヴィッド・ウォード、ジョン・ニコルズ
撮影 ロビー・グリーンバーグ
音楽 デーヴ・グルーシン (この作品でアカデミー作曲賞獲得)

配役:
ルーベン・ブラデス (Sheriff Bernabe Montoya)
リチャード・ブラッドフォード (Ladd Devine)
チック・ヴェネラ (Joe Mondragon) ホセ役
ソニア・ブラガ (Ruby Archuleta) 自動車修理店を経営する、威勢の良い女主人役、「蜘蛛女のキス」
ジュリー・カーメン (Nancy Mondragon)
ジェームズ・ギャモン (Shorty) 「メジャーリーグ」
クリストファー・ウォーケン (Kyril) 「ディア・ハンター」
メラニー・グリフィス (Flossie Devine) 「ボディ・ダブル」
ロバート・カリカート (Coyote Angel) 天使
カルロス・リケルメ (Amarante Cordove)  老人




2009.03.29

偶然の旅行者 1988 ワーナー


監督: Lawrence Kasdan

原作: Anne Tyler

脚本: Frank Galati 、Lawrence Kasdan

出演:
William Hurt (Macon)
Kathleen Turner (Sarah)
Geena Davis (Muriel)
Amy Wright (Rose)
Bill Pullman (Julian)

映画「白いドレスの女」のコンビ(ローレンス・カスダン監督、ウィリアム・ハート、キャサリン・ターナー)にジーナ・デイビス(この映画でアカデミー助演女優賞を獲得した。)を加えて、お送りする。
ハリウッドのド派手映画とはひと味違う、大人の恋物語。

旅行ライターのメーコンは強盗の凶弾で一人息子を失った。
妻は事件後一年経ってもショックを引きずっていて、別居を申し出る。一人一軒家に放り出された、メーコンは途方に暮れる。
彼は、犬の調教師ミュリエルと知り合う。はじめは積極的なミュリエルを敬遠していたが、やがて二人は自然と結ばれる。
そんなとき、妻から連絡が入り、よりを戻したいという。

渋い映画だ。
原作は、1985年頃のベストセラー小説らしい。ちらっと見た感じでは、読みやすそうな英語だった。こういう小説は、渡辺淳一には書けない。
出演する俳優陣にも気圧されてしまう。
やや苦手だが、名優ウィリアム・ハートは別格として、キャサリン・ターナーの抑えた演技が実にうまい。

ジーナ・デイビスはモデル出身だが、頭のいい人だ。名優に囲まれて、まんまと助演女優賞を獲得してしまった。
「テルマ&ルイーズ」のときもスーザン・サランドンがいて、ジーナは主演女優賞にノミネートされていた。

個人的には妹夫婦役で出てくる、ビル・プルマンとエイミー・ライトがいい。


2005.05.20

800万の死にざま 1986 アメリカ

探偵マット・スカダーシリーズ第一弾の映画化。
原作はレイモンド・チャンドラーの再来とまで言われた作品だ。
でも失敗作に終った。
監督ハル・アシュビーにとっても、最後の劇場作品になった。


休職中の警官スカダー(ジェフ・ブリッジス)がコールガール殺人事件に巻き込まれる。
この犯罪が麻薬絡みだと推理した彼は、エンジェル(アンディ・ガルシア)という売人の大物に目をつける。
スカダーはサラ(ロザンナ・アークェット)というエンジェルの情婦を仲間につけて、犯人にワナを張る。

編集やオリバー・ストーンの脚本も悪い。
つながりがイマイチだ。
例のごとくマンハッタンの話をロスに持ち込む安易さも泣けてしまう。
原作を、ずたずたに切り刻んでいる。

ミステリの大家ローレンス・ブロックは、ハリウッドのインチキ野郎に騙されたと思ったことだろう。
彼はこれで自作の安易な映画化は嫌になったようだ。


アンディ・ガルシアにとっては初期の出演作品である。
はっきり言って下手だ。

ジェフ・ブリッジスは今も昔もさして変らない。
B級作品スターという感じでもない。
存在感はかなりあるのだが、作品に恵まれない。

出っ歯なお姉ちゃんマニアにはたまらない作品かも?
ロザンナ・アークェットの素顔は、出っ歯に見えた。
あれもメイクかな?
アークェット家の長姉ロザンナの顔を見てると、他の兄妹と似ていない感じがする。


監督 : ハル・アシュビー(「チャンス」)
製作 : スティーヴ・ロス
原作 : ローレンス・ブロック
脚本 : オリヴァー・ストーン / デイヴィッド・リー・ヘンリー

2004.12.05

暴走機関車 1985 アメリカ

カットだらけのサンテレビ土曜ロードショーでみたが、やはり面白い作品だ。
黒沢が原案を書いていた、いわく付きの作品。
脚本に菊島隆三や小国英雄の名もあり、ほとんど日本製品だ。


黒沢明らしく、こじつけで無理やり脱獄囚二人を無人暴走機関車に乗せてしまう。
汽車はブレーキが壊れて、どんどん加速していく。
汽車には女車掌が乗っていた。
三人は命がけで機関車から脱出しようとするが、上空からは刑務所所長がヘリで見張っていた。

この限られた設定だけで、ドキドキはらはら楽しませる映画だ。
これで、一つの映画を作ってしまうとはさすが黒沢明である。
また黒沢明の原作らしいのは、女優が全然美人に見えないことだ。
だからラブシーンもない。
レベッカ・デモーネイは、ちゃんと化粧すればヒラリー・クリントン並の美人なのに。

主演はジョン・ヴォイトでアンジェリーナ・ジョリーのお父さん、
そして相棒にエリック・ロバーツは、ジュリアの実兄である。
車掌役レベッカ・デモーネイはパトリック・オニールの嫁さん。ライアン・オニールの義理の娘でもあり、テイタム・オニールが小姑だ。
みんな、なかなかの名演だった。

2004.10.01

マグノリアの花たち 1989 トライスター・コロンビア

ロバート・ハーリング原作・脚色をハーバート・ロス監督が映画化。
レイ・スターク製作。

サリー・フィールドと若いジュリア・ロバーツが主演。
シャーリー・マクレーンドリー・パートンオリンピア・デュカキスダリル・ハンナ共演。
「仲良し女六人組」の笑いあり涙あり、そして希望ありの映画だ。
この映画、アメリカではそれほど人気はないようだが、日本人には合うのではないか。
女の強さを思い知らされる。


ジュリア・ロバーツは、結婚式の準備で忙しい。
母親サリー・フィールドは、彼女をヘアサロンに連れて行く。
ヘアサロン主人のドリー・パートンは、ダリル・ハンナを助手として雇っていた。
サリー・フィールドがヘアサロンでオリンピア・デュカキスと談笑していると、ジュリア・ロバーツは腎臓病の発作を起こす。
騒ぎが収まった頃、おばのシャーリー・マクレーンが結婚式の支度にやってくる。

半年後、クリスマスイブ。
久しぶりにジュリア・ロバーツは実家に帰ってきた。
祭りでは、ドリー・パートンやダリル・ハンナとも出会った。
ジュリア・ロバーツはサリー・フィールドに妊娠を告白する。
それは賭だった。
サリーは娘に「おめでとう」と言ったが、笑えなかった。

ジュリア・ロバーツの見せ場は少なかった。
他の大女優が見せ場を持っていったからだ。
いったい彼女たちは既に何個オスカーを持っているのだ。

サリー・フィールドの墓場のシーンでの台詞「誰かを殴りたい」は良かった。
シャーリー・マクレーンオリンピア・デュカキスのじゃれ合いも面白い。
ドリー・パートンもいかにもパーマ屋のおばちゃんだ。

その中でジュリアは良くやっている。
ジュリア・ロバーツをもっと生かせる脚本もあり得たのだが、先輩を立てたのだ。
南部ルイジアナには、サリー・フィールドとジュリア・ロバーツの親子がよく似合う。

父親役のトム・スケリットとドリーの亭主役サム・シェパードも好演。

2004.09.29

カイロの紫のバラ 1985 オリオン/ワーナー

ウディ・アレンの出ない、ウディ・アレン監督作品。
面白くないウディ・アレンの中で、珍しく面白い作品だ。

ミア・ファローは気の弱いウェイトレス、DV亭主ダニー・アイエロは失業中である。
ミア・ファローは映画マニアで、毎晩映画館に通い詰めである。
何度目かの「カイロの紫のバラ」という映画を見ていると、探検家役のジェフ・ダニエルズがスクリーンから飛び出してきた。
彼は何度も映画に来てくれる彼女に愛を告白する。

映画の中の人物がスクリーンから出てきて現実の女性と恋に落ちる、という荒唐無稽な話だ。
しかし映画ファンなら、誰でも考えることだろう。

男に振られたあと、ミア・ファーローが映画スクリーンに没頭していく姿は、誰しも身に覚えがあることだ。
誰しも現実には耐えられず、虚構の世界を必要としているのだ。

かつての名脇役ヴァン・ジョンソンが映画の俳優役で出ていた。
ダイアン・ウィーストが出番は少ないが娼婦役で好演。

2004.08.26

カジュアリティーズ(1989)コロムビア/トライ・スター

ベトナム戦争物。ブライアン・デ・パルマ監督が実話を映画化したものだ。
マイケル・J・フォックス、ショーン・ペン、ジョン・C・ライリー主演。

米軍の集団レイプ殺人事件を告白する新兵の運命や如何に?


「ベトナム戦争は仕方ない。でも兵士にも、やって良いことと悪いことがある。レイプだけはダメだよ。」と言いたいのか?
やはりおかしい。

のんきな日本人の感覚からすると、
「お前ら、戦争で人を殺してるんじゃねえか。戦争してるだけで犯罪ではないか!しかも戦闘員か非戦闘員か、よくわからない場合もみんな殺してるじゃないか。そんなことをしていて何の罪にもならず、レイプ殺人だけを犯罪と認定して逮捕するのは、おかしいのではないか?」
と思ってしまう。
(そう言う日本人の考え方も青いとは思う。)

アメリカは節度を守って戦争をしている紳士の国だというのかも知れない。
20世紀の戦争は、そういう節度自体が狂っている。
空爆や原爆で非戦闘員をまとめて殺してしまう時代だ。

こんな時代に戦場でクレイジーになったショーン・ペンより、頭がおかしくならないマイケル・J・フォックスがどうかしている。
マイケルはルター派の信者という役だったが、プロテスタントは戦争する宗教だということを実感した。
カトリックも同じ事だが。

ショーン・ペンは演技力が増した今、この映画に出演していたら、違う演技になっていたのではないか。

2004.08.20

レイジングブル Raging Bull (1980,USA)

NY派のマーチンスコセッシ監督の作品だ。
ロバート・デニーロがアカデミー賞主演男優賞を取っている。
TBS深夜映画劇場は、CMはさみ捲りで編集の妙も何も無い(T^T)


今さらどうこう説明することも無い。
ボクシング映画では、「ロッキー」と「チャンプ」が好きな人を除いて、ナンバーワンに上げるだろう。

ミドル級世界チャンピオン、ジェイク・ラモッタの自伝を基にした映画だ。
彼がチャンピオンへ駆け上がるまでの栄光と、引退後の挫折の日々を、モノクロ画像と巧みな編集で、淡々と描いている。

彼の人生の断片、象徴的な場面をフィルムに切り出している感じが凄い。
見ていて彼の実人生に触れたような気がする。
映像技術的にも暗転やスローモーションの多用などを用いて、彼の視点や時間経過を巧みに表現している。


ロバート・デニーロの役作りは凄まじい。
ジェイクの現役時代は試合前にウエイトを絞るだけ絞っているし、試合が終わると途端に腹が出る。
ボクサーを引退してコメディアンに転身すると、もうぶくぶくに太ってしまう。
こんなに体重を調整すると、体を悪くしてしまう。


実質的映画デビュー作となった、ジェイクの弟役ジョー・ペシ(「リーサルウェポン」、「ホームアローン」)も抜擢に答えて、好演だ。

妻役のキャシー・モリアティは、ぱっと見た目はフェイ・ダナウェイかなと思わせたが、新人と思えない演技だった。
しかしこの後しばらくお休み。
そして最近復活したようだが、もうおばさんになっている。
もう少し若ければ、クリスティン・S・トーマスあたりとキャラが被っていただろう。

マーティン・スコセッシが、こんな名作を作ったおかげで、ボクシング映画が作りにくくなった。

フェリスはある朝突然に Ferris Bueller's Day Off (1986, USA)

「ホームアローン」「ベートーベン」のジョン・ヒューズ監督の86年作品。
当時人気のマシュー・ブロデリック主演の高校生青春物。

フェリス(マシュー・ブロデリック)は学校をさぼる天才だ。
卒業まであと僅かとなった、ある朝、親友のキャメロン、恋人のスローアンと共に学校をさぼり、思い出づくりのため、赤いフェラーリでシカゴの街へ繰り出す。
校長は、そんなフェリスが許せない。
パラノイアのように、彼を追う。
果たしてフェリスは、校長の追っ手を振りきって、素敵な思い出を作れるだろうか?

アメリカの植木等「無責任男」って感じで、マシューが飛ばしまくる。
脚本(ジョン・ヒューズ自ら書いている)がよくできていて、笑いのタイミングがズバリ。
こんな高校生だったら、やり直してみたいものだ。
チャーリー・シーンがちょい役で出てくる。

レインマン Rain Man(1988, USA)

バリー・レビンソン監督がベルリン映画祭グランプリとアカデミー作品賞、監督賞、
さらにダスティンホフマンも主演男優賞を取った大ヒット作品。
30年も離ればなれで暮らしてきた、兄弟のロードムービーだ。


カーディーラーのチャーリー(トム・クルーズ)は、父の死を知って、10年ぶりに我が家に戻る。
そこで、彼は愕然とさせられる。
300万ドルもの遺産が自分ではなく、匿名の病人に贈られるというのだ。
実は彼はチャーリーの兄レイモンド(ダスティン・ホフマン)だった。
レイモンドは記憶力、計算力は長けているのだが、全く生活能力が無い、自閉症患者だった。

金に困っていた、チャーリーはロスアンジェルスまでレイモンドを連れ帰ることで、親権を主張し、遺産の半分を手に入れようと考えた。
レイモンドは飛行機に乗るのを嫌がり、陸路でシンシナティからLAまで向かうはめになる。
高速道路も嫌がり、雨の日も外に出ようとしないレイモンドに、チャーリーは手を焼く。

ある夜、レイモンドは「レインマン」のことを語り始める。
それはチャーリーにとっても心の奥に刻み込まれた、想い出の言葉だった。

ダスティン・ホフマンの自閉症ぶりが評判になった映画だが、トム・クルーズの控えめな演技も見逃せない。
泣ける映画ではないが、それだけそれぞれの内面が深く静かに伝わってくる。



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