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2004年3月

2004.03.31

赤い殺意 1964 日活

監督 : 今村昌平
原作 : 藤原審爾
脚本 : 長谷部慶治 / 今村昌平
企画 : 高木雅行
撮影 : 姫田真佐久
音楽 : 黛敏郎 △
配役:
西村晃 (高橋吏一)
春川ますみ (高橋貞子)○
赤木蘭子 (高橋忠江)
加藤嘉 (高橋清三)
北村和夫 (高橋清一郎)
橘田良江 (高橋波江)
北林谷栄 (高橋きぬ)
宮口精二 (宮田源次)
露口茂(平岡)
楠侑子 (増田義子)◎

春川(貞子)が主役を張り体当たり演技を見せる。
春川の夫・西村(吏一)は東北大の図書館吏で浮気をしてるという設定。
露口(平岡)が吏一宅へ強盗に入り、春川を犯すところからはじまる。

☆ネタバレ

数ヶ月後、貞子は妊娠したらしい。
平岡とはズルズルつきあっている。
彼は子どもを産んで一緒に東京へ行こうという。

吏一の愛人義子はデパートで貞子が平岡と密会してるところを見てしまう。
平岡に言われるまま温泉宿に行って抱かれる貞子だったが、もうこの生活を終わらせたい。
農薬入りのジュースを持っていき、平岡に飲ませるつもりだ。

その後ろ姿をつける女があった。義子だ。
義子は貞子が浮気してる証拠を掴んで平岡の正妻にはいるつもりだ。

しかし毒入りジュースを飲ませるほどのことはなく、平岡はあっけなく心臓発作で逝く。
義子も交通事故で死ぬ。

貞子もお腹が痛くなって病院に担ぎ込まれる。流産だった。
どちらの子かわからない以上、生まれなくて良かった。
また一家四人の平穏な毎日がはじまった。貞子はひとつ強くなった。

サスペンスかと思いきや、滑稽な映画だ。
東北弁が滑稽さを強調している。

楠侑子が重要な役で出てくる。
ド近眼のオールドミスで、西村の愛人。
いささか過剰演出ではないかと思った。

このあと彼女は「エロス+虐殺」にも重要な役で出てきたが、有名作はそれぐらいしかないのではないか。
きつい美人だと思うのだが、脇役ばっかり。惜しい。

春川は不幸だ不幸だ私ほど不幸な女はいないと、いつも心の中で嘆いているが、表情に全然そういう雰囲気はない。
実につかみ所のない女だ。
それが女の強さに繋がるのだろう。


音楽は黛だが、後のうなぎ(池辺晋一郎)と似てた。
ぬめっとした感じは、東北が舞台だから少し押え加減。

いくつかのカットでATG的な先鋭的なものも見られた。
今村昌平、60年代に70年代まで通用する作風を完成させていたのだ。

2004.03.28

パールハーバー 2001 米

監督 : Michael Bay
製作 : Jerry Bruckheimer / Michael Bay
製作総指揮 : Mike Stenson / barry Waldman / Randall Wallace / Chad Oman / Bruce Hendricks
脚本 : Randall Wallace

Ben Affleck (Rafe McCawley)
Josh Hartnett (Danny Walker)
Kate Beckinsale (Evelyn Johnson)
Alec Baldwin (Doolittle)
Cuba Gooding Jr. (Dorie Miller)
Jon Voight (President Roosevelt)
Dan Aykroyd (Captain Thurman)
Mako (Isoroku Yamamoto)
Cary-Hiroyuki Tagawa (Genda)


1941年春のパールハーバー。パイロットのレイフと看護婦のイブリンは恋仲。
しかしレイフは英国の外人部隊に志願して、メッサーシュミットに打ち落とされる。
友人のダニーはイブリンを慰めるが、いつしか愛し合うようになる。

ところがレイフは生きていた。
帰ってきたレイフとダニーの間には亀裂が走る。
そのとき日本軍がパールハーバーに侵攻してきた。
不意をつかれたアメリカ軍の被害も大きかった。

ハワイの米軍では、刻々と東京空襲計画が進んでいた。
そんなときイブリンは、レイフにダニーの子を妊娠したと打ち明ける。

空母ホーネットが、爆撃機B25を搭載して出航する。
目的地は中国だが、その前に日本軍に発見され早めにB25が発進する。
レイフやダニーも乗っていた。
何とか東京初の空襲を行うが、目的地中国までの燃料はもうなかった。

間抜けな映画だ。
かつてのアカデミー賞作品「地上より永遠に」がろくな映画だとは思ったことはないが、少なくともパールハーバーよりマシだ。
どうして今のハリウッドは深みも何もないのだ。
役者に関しては全く金を掛けていない。
SFXが全ての映画だ。
そんなにSFXで見せなければならないのか?

相方のベッキンセールは昔のキャサリン・ヘップバーンみたいな線の細いタイプだ。
でも演技力が違いすぎる。
ジョシュ・ハートネットは相変わらず華がない。
いつしか消えたな。大俳優たちも変なメイクアップで誰だかわからない。

ちなみに宣戦布告が遅れたのは、単なる外務省のミスである。
いつまでもこんなことで卑怯者呼ばわりされるのは情けない。

西銀座駅前 1958 日活

監督 : 今村昌平
原案 : 今村昌平
脚本 : 今村昌平

配役:
フランク永井 (歌とジョッキー)
柳沢真一 (大山重太郎)
山岡久乃 (大山理子)▲
山根恵子 (大山あかね)
島津雅彦 (大山武)
西村晃 (浅田康)
初井言栄 (浅田ヒサ)
神戸瓢介 (栗田)
小沢昭一(万太郎)
堀恭子 ホリキョウコ(五十嵐ユリ)◎

フランク永井のヒット曲にかこつけた歌謡中編映画。
フランク自身が狂言回しをつとめる。
今村昌平もデビュー時は凄いものを撮っていたんだ。


山岡久乃は薬屋のやり手社長。
柳沢真一はうだつの上がらない亭主。
西村晃はその友人で獣医だが、しきりに彼に浮気を薦める。
向かいの店で働いている堀恭子が柳沢に興味を持ってるという。
早速アプローチすると、堀も乗ってくる。
二人はヨットでクルージングに出かけるが、遭難してしまう。

堀恭子がイイ。
日活では美人が揃っていたからトップクラスと共演すると、ちょい役しか来なかったようだ。
惜しい。

柳沢真一はテレビの遠山の金さんぐらいでしか見てないが、元歌手だったはず。
テレビドラマ「奥さまは魔女」でダーリンの声もやっていた。
若い頃の松坂慶子とつきあってと言う噂もあった筈だ。

ラストオブモヒカン 1992 米

監督 : Michael Mann
製作 : Michael Mann / Hunt Lowry
製作総指揮 : James G Robinson
原作 : James Fenimore Cooper
脚本 : Michael Mann / Christopher Crowe

Cast:
Daniel Day-Lewis (Hawkeye)
Madeleine Stowe (Cora)◎
Jodhi May (Alice)
Russell Means (Chigachgook)
Eric Sohweig (Uncas)

18世紀中頃、いまだ英仏がアメリカでの覇権を争っていた時代。

フランスはピューロン族と交易開始を条件に、同盟を組んでイギリス側に攻めてきた。
イギリスは民兵を組織し、モホーク族の一部も取り込んで砦にこもって防戦に出るが結局敗れる。
フランスは紳士的に扱ってくれたが、ピューロン族は皆殺しにするつもりだ。
ピューロンの首領は英国人に恨みがあり、英国側の隊長を惨殺する。
娘も殺されそうになるがモホーク族の若者ホークアイが身代わりに立つという。
ホークアイは白人だが、両親が殺され、モホークに育てられて、立派な戦士に成長していた。

映画としてはとくに面白くなかった。
恋愛映画か、アクション映画かはっきりさせた方が良い。

ダニエル・デイ・ルイスはアメリカまで行って、悲惨な結果に終った。
脚本も主人公の弟を主役に据えるべきだったのだ。

マデリン・ストウの美貌だけが救いだ。


2004.03.27

レニングラードカウボーイズ・ゴーアメリカ 1989 フィンランド

監督 : Aki Kaurismaki
製作 : Klaus Heydemann
脚本 : Sakke Jarvenpaa / Mato Valtonen / Aki Kaurismaki
キャスト:
Matti Pellonpaa
Kari Vaananen(1)
Sakke Jarvenpaa
Heikki Keskinen
Puka Oinonen


レニングラード・カーボーイズのマネージャー(マッティ・ペロンパー)は、プロモーターからアメリカに行けと助言され、マンハッタンのプロモーターを紹介してもらう。
しかし彼が与えた仕事は、メキシコに住む、いとこの結婚披露宴での演奏だった。
今流行しているのは、ロックンロールという音楽だ、と知った彼らは、本を買って勉強を始める。
途中、彼らはアメリカ在住の親戚に出会い、彼の加入で「ワイルドに行こう」を演奏し、拍手喝采を受け、次第にアメリカナイズされたバンドになってゆく。
そして結婚披露宴で、満足そうに演奏するメンバーの姿を見て、マネージャーは姿を消した。
やがて、彼らの歌がメキシコでトップ10に入る。


相変わらずのオフビートコメディだ。
彼らの音楽は非常に好きなのだが、俺はアキ・カウリスマキの演出で、げらげら笑ったことはない。
続編の「モーゼに会う」も見たが、笑いの感覚が日本人のそれと大きく違うのだろう。


2004.03.26

切腹 1962 松竹

監督 : 小林正樹
製作 : 細谷辰雄
原作 : 滝口康彦
脚色 : 橋本忍
撮影 : 宮島義勇
音楽 : 武満徹
配役:
仲代達矢 (津雲半四郎、主人公)
岩下志麻 (津雲美保、半四郎の娘)
石浜朗 (千々岩求女、最初に切腹事件を起こす)
稲葉義男 (千々岩陣内、千々岩の父親、福島正勝に殉死)
三國連太郎 (斎藤勘解由、井伊家江戸家老)
三島雅夫 (稲葉丹後以下井伊家侍)
丹波哲郎 (沢潟彦九郎、千々岩求女の介錯人)
中谷一郎 (矢崎隼人、沢潟の同僚)
青木義朗 (川辺右馬介、同上求女の死後余計なことを言って津雲を怒らせる)


井伊家は未だにあるのに、こういう扱い方をされて怒らないのだろうか?
この話じゃ井伊家は馬鹿侍の集まりだ。

井伊家江戸屋敷に、津雲半四郎が「庭先で切腹させてくれ」と頼んでくる。
井伊家江戸家老斉藤は「実は」と、春先にそこで切腹した千々岩という男の話をする。
その男は強請たかりのつもりで切腹したいを言ってきたのだが、井伊家は男に無理腹を切らせた。
しかも男は竹光しか持っていなかったため、腹を切っても死にきれず舌をかみ切ったという。

津雲は「私は覚悟は出来ている。」と言い、いかにも死ぬ気だったので、斉藤も切腹を許す。
しかし介錯人を選定する段で困ったことが起きる。

津雲は三人を指名したのだが、三人とも当日は休んでいたのだ。
斉藤は三人を呼びにやる。
その間、津雲は昔話を語りはじめる。

千々岩は津雲の婿だった。
福島家の改易に連なり浪人に成り下がり、苦労して津雲の娘を妻とするが、貧乏な生活は変わらず。
妻と子が高熱を出して、一計を案じた千々石は井伊家江戸屋敷に出向く。

しかし思惑は外れた。
その夜変わり果てた姿で、津雲の前に帰ってきたのだ。
遺体を引き渡した、井伊家の三人の武士は笑っていた。

津雲はその三人が許せず、一人一人の髷を切った。
だから彼ら三人は出仕しなかったのだ。

斉藤はそれを聞いて怒りに震え、津雲の討ち取りを命じた。

自殺志願者は実はテロリストだったわけだ。

浪人と仕官している侍の違いって大きい。
浪人は武士の情けを重視する。
というのは浪人は長屋にいても、町衆が親しくつきあってくれるわけではない。

浪人はやはり武士なのだ。だから同じ武士同士に甘えてしまう。
千々石だって津雲だって、そういうところはあった。

でも仕官組は浪人を仲間だと思ってない。
同じ侍だが、敗北者だと思い、差別している。
同じ大学を出ても、役人が幅を利かせ、民間が小さくなる時代が長く続いた。
あれと似たようなものだろう。


仲代達矢は当時まだ30歳。
それで50ぐらいの陰影のある役をやるのは、さすが演技派だ。

でも松竹の殺陣は全く下手だった。
丹波と仲代の殺陣のシーンは見せ場だったのかも知れないが、変に格好を付けるだけで真実みに欠けた。


岩下志麻はお歯黒の役で色気を感ずることは全く無かった。
それより鬼気迫るメイクに唖然とした。
62年と言えば小津安二郎「秋刀魚の味」に出演した年であり、両極端だ。
松竹は60年頃陳腐なメロドラマをトップ女優にやらせていたから、みんな飽き飽きして女優魂に火がつくのが早かったんだろう。

三国連太郎
のこの時代はどうもうまいと思わない。
それより三島雅夫がいい。
あと石浜朗が竹光で苦しみの立ち回って切腹するシーンはリアリズムだな。


カメラはとくに目立った動きはなかったが、ライティングが良い。
モノクロカメラの特徴をうまく出している。
仲代の実年齢より老けた役をやらせるのにも役だった。
やせ細って、でも目だけギラギラしている様子をアップで捉えたときは圧巻だった。

最後に、この映画は橋本忍脚本も良かった。
ありきたりの本になりがちだが、そうはならなかった。
そういうすべて統括した小林正樹監督も凄い。
今の松竹にはこんな人はいない。


2004.03.25

きれいなおかあさん 1999 中国

監督:スン・チョウ
出演:コン・リー/ガオ・シン/シー・ジンミン

聴覚障害者を息子に持つ母の物語。

北京に住むリーインの息子ジョンは難聴で、小学校から入学を拒絶される。
聾唖学校へ行けというのだ。
夫は障害者の息子を持つ責任の重さに耐えかねて、すでに離婚している。

リーインは息子を普通の小学校に行かせようと言葉の特訓をする。
しかし補聴器を壊してしまい、買い直そうにも高くて買えない。
元の夫も新しい妻との生活に入っており、二人を邪魔にする。
学のないリーインは露天商をはじめるが、当局から摘発され商品を没収される。
仕方なく家政婦と新聞配達の仕事を見つける。

新聞配達で街を回ると、知り合いの美術教師と再会した。
彼は彼女に協力を申し出てくれた。
ジョンに絵を教えてくれることになった。
またリーインが配達している最中に新聞を盗まれたが、ジョンが勇敢にも取り返してくれた。
喜んだリーインは、ジョンに体操着を買ってやる。

今日はリーインの同窓会の日。
珍しく着飾って出かけたが、トイレで友人がジョンのことを馬鹿にしているのを聞き、いたたまれなくなる。
ある日、家政婦に出かけると、そこの主人から襲われ、犯されそうになる。
危機一髪のところで難を逃れるが、リーインは情けなくて涙が止まらなかった。

その主人から巻き上げた金で、ジョンに補聴器を買ってやった。
早速補聴器を付けて遊びに行ったジョンは、子どもたちに体操着のことで虐められる。
偽物だったのだ。
ジョンは夜の街へ飛び出した。
リーインは息子を追いかける。
するとジョンは、生まれてはじめて自分の気持ちを言葉にした。

中国という国は、障害者が何故か目立たない国だ。
この映画でも、日本じゃ当たり前になってきた小学校の障害児童の受け入れ問題を、中国でも問題提起しようとしている。

コン・リーは殆どノーメークで頑張ってる。
力強い母の姿だ。

ジョンは、はたして普通科の小学校に行きたいと思ってるのか?
母親が、無理矢理押し込んだだけじゃないのか。
この親子の将来に不安を感じる人は多い。
それでもこの映画を見て、最初に出てくる言葉は「お母さんありがとう」だ。

2004.03.22

五人の兄妹 1939 松竹大船

監督 吉村公三郎
脚色 木下恵介(初脚本)

北川徳太郎  藤野秀夫
妻お近  葛城文子
長男健一郎  笠智衆
次男要二  日守新一
三男良三  伊東光一
四男四郎  磯野秋雄
妹すえ子  大塚君代
石岡孫次郎 岩田祐吉
清岡代議士 上山草人
老爺久作 水島亮太郎
大勝堂主人 坂本武
娘由紀子 東山光子
学友佐竹 細川俊夫 ○
要二の妻房子 森川まさみ ◎
おぬい 忍節子

ネタバレあり---

父は選挙違反を起こし、罪に問われ獄死する。
残された妻と四人の息子、それに一人の娘は様々な苦労をするが、長男のがんばりで立派に成長する。
長男は工場で真面目に働いている。
三男はシナへ出兵し、四男は大学生、妹は工場で働いている。
しかし次男だけは定職も持たず、選挙運動で一稼ぎしようと企む。

四男は学費に困るが次男は人に甘えるな、自分のことは自分でしろと冷たくいう。
仕方なく四男は血を売って学費を作り、疲れで勉強に身が入らない。
血を売ってるとは知らない、長男は心配するが、四男はそんな兄に当たる。
長男も怒るが、訓練空襲警報の中、彼らは和解する。

やがて娘の縁談話が持ち上がる。
娘は家族に迷惑をかけまいと、即座に行きますという。

娘の結婚式の日、次男が選挙違反で逮捕される。
「あんな奴は他人だ」と言う四男に、長男は叱る。
どんな不始末でも、弟の責任は長男である彼が果たすつもりだった。

四男の卒業式の日、次男の罰金刑が決まる。
罰金を払うために、長男は会社を退職する。
替わりに四男が入社するが、会社では長男の人望を惜しんで復帰させるつもりだ。

---

松竹家族劇。
実に助け合う家族愛が麗しい。

笠智衆が珍しく年齢相応の役で好演。
後に小津作品「戸田家の兄妹」でも母を演じた葛城文子がここでも母を演ずる。
他に細川俊夫が四男の学友を演ずる。
この人は若い頃も、「光速エスパー」(父親役)の頃と全く変わらない。
女優では次男の嫁役の森川まさみが綺麗だった。

木下恵介の初脚本が、ひとつ年上の吉村公三郎監督の長回しとClose-upの併用をうまく引き出している。
それとも吉村が書き換えさせたのか。
どちらにせよ、いいコンビだと思う。

家族みんなが苦労している中で、ただ一人ただ飯を食う四男坊の焦りもしっかり描いていた。
頭のいい人でなきゃ、こうは書けない。
吉村公三郎も初期の監督作品だが、特徴は出ていた。

時代はシナ事変より少し後、大東亜戦争より二年あまり前である。
しかし既に訓練空襲警報があり、金銀の徴用もはじまっていた。

まだアメリカと開戦する以前である。
中国が空襲してくるわけがない。
来るべきアメリカ戦を念頭に置いた空襲訓練だろう。

戦中は竹槍をついてB29を落とすイメージがあったが、実はきちんと対策を取っていた。
良識ある人間も政府にはいたのだ。
(もっともおおかたの日本人はこの訓練を楽しんでいたと言う話である。
しかし楽しんだにしろ訓練することで大勢の命が助かったのも事実だ。)

それに引き替え、戦後はどうだろう。
阪神大震災があったのに未だに住民全員参加の防災訓練を行ってない。
戦前戦中を見習うべきではないか。

2004.03.21

第六の容疑者 1960 東宝宝塚

監督 : 井上梅次
製作 : 杉原貞雄
原作 : 南条範夫 (「大岡政談魔像編」)
脚色 : 高岩肇
撮影 : 岡崎宏三
配役:
三橋達也 (石岡達夫)
宝田明 (有馬信介)
森川信 (倉本刑事)
高田稔 (高山純一郎)
白川由美 (高山芳子)△
佐竹明夫 (高山啓三)
月丘千秋 (高山干恵子)○
中田康子 (別所輝子)
伊藤久哉 (山崎静夫)×
岡田眞澄 (藤村通也)
高松英郎 (工藤晋一)

ミステリ映画である。


強請屋工藤が殺される。
第一の容疑者は有馬、殺された晩、工藤を殴っているところを目撃された。
第二の容疑者は恐喝された藤村が依頼したチンピラ二人組。
第三は倉庫係の安蔵、怒鳴っているところを目撃されている。
第四は商品の横流しをしていた経理部長の啓三。
第五は社長の娘と婚約していながら別所輝子との情事を揺すられていた山崎。
しかし彼らにはアリバイがあった。果たして第六の容疑者は誰か?

意外な人物が犯人だと言われていたが、意外でも何でもなかった。
映画の中でちゃんとヒントは提示されている。
平凡な作品だった。

大阪の設定だが、出てくる人間の殆どが東京弁、実に違和感があった。
何故、江戸っ子の代表のような森川信を大阪のデカに起用するのか?
テレ朝の京都製作ドラマも大阪弁を殆ど使わないが、その先駆だ。

若い頃の白川由美は娘の二谷百合恵にそっくりだった。
意外と怒り肩だ。
この作品では美人には見えなかった。

大映専属の高松英郎は強請屋役で出演。
大映と同じような悪役だ。
後の頑固じじい役とは大違いである。

大統領の陰謀 1976 米

監督Alan J. Pakula
製作Walter Coblenz
脚本William Goldman
撮影Gordon Willis

Dustin Hoffman(Carl_Bernstein)
Robert Redford(Bob_Woodward)
Jack Warden(Harry_Rosenfeld)
Martin Balsam(Howard_Simons)
Hal Holbrook(Deep_Throat)
Jason Robards (Ben_Bradlee)アカデミー助演男優賞
Jane Alexander(Bookkeepre)
Meredith Baxter(Debbie_Sloan)
Ned Beatty (Dardis)

ウォーターゲート事件を題材に取った実録もの。
他社は狂信的反民主党の反抗だと考えたが、ワシントンポストの記者カールとボブは、共和党内部の犯行と考え事件を追う。
ひとつひとつ証拠固めをして、ついに報道がスタートした。
しかしホワイトハウスは否認する。
さらに記者の命も危なくなる。

しかし映画の本筋はここまで。あとはニクソンの就任演説をバックに記者がタイプする様が描かれ、ニクソンが辞任に追い込まれるのをイメージ的に描いてる。

パクラ監督は実話だけに、ドキュメンタリー風に撮りたかったのだろう。
大きな事件の割には淡々としていて、当時の映画としては珍しかった。
なかには面白いと言う人もいるだろう。
俺はつまらなかった。


サイダーハウスルール 1999 米

シャーリズ・セロンが綺麗だった。

監督Lasse Hallstrom◎
製作Richard N. Gladstein
原作John Irving○
脚本John Irving
撮影Oliver Stapleton
音楽RachelPortman
美術David Gropman

Tobey Maguire(Homer Wells)
Charlize Theron(Candy Kendal)
Delroy Lindo(Mr. Rose)
Paul Rudd(Wally Worthington)
Michael Caine(Dr. Wilbur Larch)
Erykah Badu(Rose Rose)
Kieran Culkin(Buster)
Kate Nelligan(Olive Worthington)
Kathy Baker

20年代、孤児院で育ったホーマーは、産科助手としてラーチ先生の元で働く。
彼らの診療所にキャンデイーとウォリーの若いカップルが堕胎にやってきた。
手術は無事済んだ。
ホーマーはウォリーと一緒に病院兼孤児院を出て行く。
何か新しいことがしたくなったのだ。

ホーマーは林檎園で働くことになった。
そこで黒人の娘ローズに世話になりながら、仕事を覚える。
やがてウォリーは出征し、キャンデイーは残った。
独り身をもてあますキャンディーはホーマーを誘惑する。

堕胎と近親相姦をテーマにしたお話。
ラーチ先生はキリスト教を侮蔑しているが、その枠組からは一歩も出られない。
ホーマーも若い内は堕胎に対して批判的なことを言っていたが、結局、師と同じ道を歩む。

見ていると、箇条書きで企画を立てたような映画だ。
スウェーデンを代表する大監督ラッセ・ハルストロムの持ち味を生かしていなかった。
このあと、フランスを舞台にしたアメリカ映画「ショコラ」を撮るが、この方が遙かにハレストロムらしい。

J・アーヴィングの原作・脚本だが、「ガープの世界」のような分けのわからない話ではない。
確かに近親相姦だから、簡単な話とはいわないが、昔のかっとんだアービングの筆致ではない。
最初から映画向けに書いた話だろう。
監督も脚本も一流だったのに、プロデューサーが作品をダメにした好例だ。

ただ、カメラは良かった。
シャーリズ・セロンの美尻は、アングルの名画「グランド・オダリスク」を見ているようだ。
日本人には裸女の背中を描くと言う発想はない。
だからぶっ飛んだ。(西洋だって古典主義のアングルが最初だ。)
あれは映画史に残るシーンだろう。


2004.03.20

朱と緑(前後編) 1937 松竹

監督   島津保次郎
脚色   池田忠雄
原作  片岡鉄兵

松沢千晶   高杉早苗
戸山芳夫 上原謙
船瀬雪枝 高峰三枝子
瀬川清三   佐分利信
雪枝の母民子   岡村文子
千晶の父   奈良真養
増山豊子   東日出子
橋本   河村黎吉
清三の父善介   水島亮太郎

ネタバレあり---

上京した貧乏サラリーマン上原謙は紡績会社の重役の娘高杉早苗を一目見るや、愛してしまう。
しかしすぐ休暇は終り、彼は大阪に戻る。

大阪では下宿の娘高峰三枝子が待っていた。
一方、高杉早苗は怪人佐分利信に襲われ、東京にいられなくなる。
やがて高杉早苗が大阪の上原謙を頼ってくる。

高峰は愛する上原を高杉に奪われ、何故か京都競馬に狂う(笑)
そこで偶然、高杉早苗の父と出会い、一夜を共にする。
高峰は高杉早苗と会い、上原を頼みますと言って、姿を消す。

一方、高杉は泥棒として裁判に掛けられている佐分利を救うべく証言台に立つ。
全てが終わったとき、上原が高杉を迎えに来た。
高峰は自殺したという。
それでも二人は幸せになるつもりだ。

---

何か不条理劇を見ているようだった(笑)

市川猿之助の母高杉早苗もこの頃は若くて綺麗だと思う。
モダンガールの代表格で、桑野通子と激しく争っていた時期だろう。

高峰三枝子が助演、大阪弁で幸薄い女性を演ずる。
正直言って主役と助演は逆だと思う。

上原は相変わらず。
佐分利はいかにも脇役という感じ。

戦後、この「朱と緑」は岸恵子と有馬稲子主演でリバイバルしている。

2004.03.19

十三人の刺客 1963 東映

監督 : 工藤栄一
脚本 : 池上金男
撮影 : 鈴木重平
音楽 : 伊福部昭
出演:
片岡千恵蔵 (旗本島田新左衛門、刺客の親玉)
里見浩太郎 (島田新六郎、島田の甥)
嵐寛寿郎 (倉永左平太、島田の腹心)
西村晃 (平山九十郎、島田の腹心、居合いの達人、見せ場多し!)
阿部九洲男 (刺客の一人、三橋軍次郎)
山城新伍 (木賀小弥太、落合宿の郷士、最後に仲間に入る)
水島道太郎 (浪人佐原平蔵、刺客に加わり、島田に信頼される)
汐路章 (刺客堀井弥八)
和崎俊哉 (刺客石塚利平)
丘さとみ (芸者おえん、新六郎の恋人、昔も今もぽちゃっとしている。)
藤純子 (庄屋の娘加代、木賀の恋人)
月形龍之介 (尾張藩士牧野靭負、息子夫婦を松平に殺され恨みに思う)
菅貫太郎 (明石藩主松平左兵衛督斉韶、将軍の弟。悪逆非道の限りを尽くす。)
丹波哲郎 (老中土井大炊頭利位、松平暗殺を策し島田に命ずる)
内田良平 (明石藩側用人鬼頭半兵衛、当代きっての知将。島田の友人であり敵でもある。)

東映の傑作リアリズム時代劇。
芥川隆行をナレーションに使い、のちのテレビドラマを彷彿とさせる。


お手討ちなど極悪非道の限りを尽くす明石藩主・松平斉韶だが、将軍の弟ゆえに罪には問われない。
老中土井利位は、そんな松平公を誅せんと、刺客島田新左衛門を差し向ける。
島田は倉永、平山ら十一人の同士を揃えた。

松平公は参勤交代により鬼頭半兵衛ら精鋭50人を付けて、江戸から明石に下る。
島田は松平公を旅の道中で襲うつもりだ。

決行の場所は美濃の落合宿と決まった。
島田新六郎は落合宿の民から家を空けてもらい、大仕掛けを作る。
宿場は要塞と化していく。

一歩宿場に足を踏み込んだ松平主従は、進めば進むほどに迷路に入っていった。
島田達は矢と槍で囲いの外からブスブス刺しまくる。
鬼頭は逃げる道を発見して、松平公を誘導しようとする・・・

1965年頃、従来の時代劇がついに終焉を迎え、劇画調時代劇がはじまった。
しかしこの作品は映画にするのが早すぎた(1963年)のか、工藤監督は活躍の場を映画からテレビに移した。


内田良平は格好良いのだが、日活の人だけに殺陣は得意ではなかった。
他の俳優もリアリズム殺陣をやっており、流れるような殺陣は見られなかった。

丹波哲郎は必殺仕掛け人の元締めみたいな役だった。
悪役の菅貫太郎はこのときはちょっと若かった。
里見光太郎は人を斬りすぎだ。刃はぼろぼろだろう(笑)
最後の西村晃の死に様はお約束だ。


この作品は「忠臣蔵」と比較できる。
ともに集団復讐劇である。
しかし「十三人の刺客」はリアリズムであり、次第に主人公片岡千恵蔵の影が薄くなった。
より群衆劇になっていった。
一方、「忠臣蔵」はどんなに赤穂浪士のエピソードが多くても、やはり家老大石内蔵助のドラマだ。


2004.03.16

クレージーの無責任清水港(1966)東宝

監督 : 坪島孝
製作 : 藤本真澄 / 渡辺晋
脚本 : 小国英雄
撮影 : 小泉福造
音楽 : 萩原哲晶 / 宮川泰
配役:
植木等 (追分の三五郎)
谷啓 (森の石松)
ハナ肇 (清水次郎長)
団令子 (女房お蝶)
平田昭彦 (大政)
土屋嘉男 (大瀬半五郎)
浜美枝 (お雪)
高橋紀子 (お美代)
横山道代 (お杉)


東海道は清水港。
風来坊の追分三五郎は無銭飲食で牢へ入った。
ちょうどその時、次郎長一家で、人の良い石松が牢暮らし。
二人は石松と半五郎は意気投合。

用心棒の大河原玄蕃を雇って勘助一味は、次郎長一家へ殴りこみをかける。
出所した三五郎は、玄蕃を倒し、次郎長の居候となった・・・


無責任シリーズの渡世もの。
むかし見たときはよかったのだが、今みると面白くもなんともなかった。

闇を横切れ 1959 大映(東京撮影所) 

製作   武田一義
企画   藤井浩明
監督   増村保造
脚本   菊島隆三 増村保造
 
配役    
石塚邦夫   川口浩
高沢渉 山村聡
鳥居元美   叶順子
広瀬陽吉 滝沢修
生田   高松英郎
大山の妻 滝花久子
山野 潮万太郎
落合正英 松本克平
首藤真五郎 浜村純
警察署長 見明凡太朗
「エリート」のマダム   角梨枝子


面白い作品だった。
松本清張的な社会派ドラマ。
最後は甘い結末だが、映画だからこんなものだろう。


九州の小さな市は、市長選でたけなわだ。
革新系の市長候補が、ストリッパー殺しの現場にいたところを逮捕される。
現場近くで謎の男を見かけた警官は、謎の自殺を遂げる。
さらに謎の男を写真に収めた写真屋も殺される。

記者の石塚はこれらの事件を追っている。
自分が取材しようとした男が続けて消されて、裏切り者が身近にいることを知る。
彼はストリッパーの元美に探りを入れるが、暴力団に袋だたきに遭わされる。

元美はそんな若くて無鉄砲な石塚を愛し始めていた。
元美は死んだストリッパーの荷物の中に、手帖を見つける。
そこには市用地払い下げ汚職事件について書かれてあった。

山村聡が意外にも格好良かった。
増村監督と同じ大学で馬が合うのか?
滝沢修と正々堂々、戦ってた。

叶順子は魅力的だ。
美人ではないが、この人は汚れ役をやっていても、どこか清潔を感じる。


2004.03.15

男の花道 1941 東宝

製作   滝村和男
演出   マキノ正博
脚本   小国英雄

配役    
中村歌右衛門   長谷川一夫
土生玄磧   古川緑波
玄磧下僕嘉助   渡辺篤
特別出演 市丸
津之国屋千右衛門   汐見洋
水野出羽守   丸山定夫
中村有斎   嵯峨善兵
三島宿の亭主 柳谷寛
茶屋「江戸紫」の内儀 千葉早智子
茶屋「山藤」の内儀   沢村貞子

歌舞伎の女形中村歌右衛門は江戸へ向かう途中、富士山を見ようとするが見えない。
眼病を患い失明し掛けていたのだ。
しかしその場に居合わせた医師玄磧に救われる。

江戸に入ってから、歌右衛門は客からお座敷に呼ばれてもそれを断って、芸一筋に打ち込む。
一方、玄磧は水野家に仕官する。
宴会で仲間の医師が幇間の真似をするのを見て批判すると、主君は「玄磧も踊れ」と言う。
玄磧は「自分は踊れぬが、かつて救った歌右衛門がここで自分の代わりに踊る」と啖呵を切る。

ところが歌右衛門はお座敷で踊らないと誓っているし、だいいち今は舞台の真っ最中だった。
主君は怒って玄磧に切腹を命ずる・・・

長谷川一夫が女形役で主演している。
女形でも男の矜持を持っているが、それもご恩のある先生のためならそれを捨てると言うのが主題だ。

長谷川の踊りが、この映画の見せ場だ。
動きは実際の歌舞伎と違い、なめらかで大衆芸能ぽかった。


古川緑波は華族出身だからかも知れないが、ゆったりした演技に余裕を感じた。
渡辺篤は、松竹新喜劇風のお芝居にいい味を加えていた。

他では千葉早智子が女将の役で出てきた。
成瀬巳喜男と離婚したあとだろうか。
年増になってからの方がずっと美人だと思った。年増と言ってもまだ30歳だが。


開戦前夜、男の友情を描いた作品は検閲を通りやすかったのか。もとネタは講談である。
正月興行で大ヒットになったそうだ。


2004.03.14

てるてる家族(NHK朝の連続テレビ小説)

最近、泣けたテレビは「てるてる家族」。
いしだあゆみの一家を描いたドラマだ。
いままで、いしだあゆみ本人は出演してなかった。
最終回に近くなって、いしだあゆみ本人が、どうも西田佐知子だと思われる役で、ゲスト出演した。

1969年春、キャバレーの巡業でいしだあゆみ役の上原多香子が、「ブルーライトヨコハマ」を歌う直前に、いしだ本人が見事にアカペラの「ブルーライトヨコハマ」を歌ってしまったのだ。
激怒する上原の前でいしだ本人は、「歌は時間で歌うものよ、その人の今まで生きてきた人生で歌うのよ」と、ふてぶてしく言い放つ。
その言葉にショックを受けた上原は、その場から動けなくなってしまう。
一寝入りして、まだ上原がそこにいるのを見たいしだ本人は、やりすぎたと反省した。
そして自分の過去を振り返って語り始める。
上原もいしだの歌には、彼女なりの背景があることを知った。
やがて二人の間のわだかまりは、消えていく。
「あなた、紅白に出なさいよ。そして私の分までがんばりなさいよ。」
上原はいしだに応援され、最後は涙涙涙。


久々に、いしだあゆみ得意技の鼻水を垂らし泣くシーンが見られた。
昔は、森繁久彌の横でいつも泣いていたものだった。
演技も歌もまだまだ甘い、上原も一緒になって泣いていた。

2004.03.13

グッドバイ 1949 新東宝

監督 : 島耕二
製作 : 青柳信雄
原作 : 太宰治 ○
脚本 : 小国英雄
配役:
高峰秀子 (永井きぬ子、船越絹代)◎
森雅之 (田島周二)
三村秀子 (水原ケイ子)
清川玉枝 (山崎夏江)
江川宇禮雄 (関根健蔵)
斉藤達雄(船越恭平)
霧立のぼる (青木蘭子)
藤間紫 (鈴龍)
一の宮あつ子 一ノ宮敦子(内儀)
清川虹子 (北村たま子)
若原雅夫 (多田敬太)

芸達者ばかり出てきて面白い作品だ。
ココで言うグッドバイとは恋人と別れることだ。


見知らぬ金持ちの娘から求婚され、田島は急遽身辺整理をしなければならなくなった。
出入り業者のきぬ子を嫁として扮装させ、恋人の芸者やホステスと会わせて、別れ話を切り出す。
しかし最後に残ったケイコだけは二人の姿を見ただけで消えてしまう。

田島はいよいよ相手のお嬢さん絹代に引き合わされるが、何故かきぬ子にうり二つ。
田島は猛烈にアタックするが、絹代は何故かつれない。
結局破談に終わる。
実は絹代はきぬ子であり、学校時代の友人ケイ子から田島と別れたいと相談を受けて、一芝居うったのだ。

絹代は久しぶりにケイ子を訪ねると・・・

高峰秀子がどんでん返ししたつもりが、最後森雅之にもう一度うっちゃられる、という話。
大宰の原作は未完のまま終わったが、脚本家がこういう明るい結末を付けてしまった。
太宰の原作とは大きく離れてしまったが、映画としては成功した。

実はこの作品は、東宝と高峰が太宰の生前に、彼に書き下ろしを直接依頼をしていた。
途中で彼が心中したので、脚本家小国が急遽、結末を新たに付加して何とか映画にしたのだ。
まあしかし高峰の魅力爆発の映画だ。急造映画にしては良くできている。

無敵競輪王 1950年 東宝

監督西村元男
脚本悠六介
配役:
清水金一(大山長助)
柳家金語楼(社長)
三木のり平(友人)
飯田蝶子(下宿のおばちゃん)
渡辺篤(競輪学校の校長)
朝霧鏡子(競輪選手)

自転車会社の娘と知り合った縁で、清水金一(シミキン)はその会社に採用された。
早速、新型自転車開発に乗り出し、試作品を競輪のレースに出すことになった。
女子競輪選手に依頼してレースに出てもらうが、スパイに自転車を細工されてしまう。
自転車はレースの途中で車輪が外れ、女子選手は大けがを負う。

会社からは首を宣告され、今度はシミキン自身がレースに挑戦することになる。

ついにレース当日、後楽園競輪場1万メートル25周にシミキンをはじめ、全国の精鋭11人が集まる。
レースはいよいよ佳境を迎える。
そのときスパイが鏡を使い、目に光を反射させ、シミキンは最下位にまで順位を落とす・・・

かなりシミキンは運動神経がいい人だな。
浅草時代の相棒・堺駿二が軽業師みたいな人だから、良い取り合わせだったと思う。
仲は悪かったという話だが。

その一方で、シミキンは演技力ではかなり落ちる。
三木のり平や柳家金語楼の方がよほど芝居がうまい。
シミキンシリーズを戦後やっていたが、この作品を最後に主演の座から離れる。

競輪ブームの真っ最中、NHKで中継していたというのは本当かな?
後楽園競輪場1万メートル(400mバンクで25周)に11人のレースというのも、今では考えられない。
女性競輪があったというのは、知っている。

この映画でもシミキンの相手役だった、戦前松竹の大女優・朝霧鏡子はシミキンの嫁さん。


家庭の事情・馬っ鹿じゃなかろうか 1954年東宝(宝塚)

監督小田基義
原作三木鮎郎
脚色賀集院太郎
配役:
トニー谷(戸仁井)
伊吹友木子(恋人春子)◎
重山規子(英代、電車で隣り合わせになる女性、実はスリ)
千葉信男(相良、ふとっちょの同僚)
柳谷寛(広川課長)

戸仁井は調子の良いセールスマンで、会社の同僚春子と恋仲だが、住む家がなくて結婚できない。
ある日、電車の中でスリの一団と出会い、春子はさらわれる。
逃げた車を追いかけると、知らぬまに本物のマラソンの列に加わってしまう。
そのまま走っていると、新記録で一着になり賞品として家を貰った。
おかげで二人はついに結婚する。
しかし電車の通り道とぶつかっており、家の中央を車が走ることになる。
電車公害で神経衰弱になった二人は、自殺しようとするが、ふと妙案を思いつく・・・

最初の場面はそごうのマークからして三宮かな。
マラソンのシーンは夙川当たりの阪急沿線だな。
古き良き時代だ。

後の名バイプレーヤー・伊吹友木子が宝塚在団していたときの主演映画だ。
時代劇で飲み屋のふてくされた女将役がやたらと似合う彼女も、当時24歳。
若くて美人だと思うのだが、何故、もっと主演しなかったのだろう。
ちょっと下ぶくれの感じが、育ちの良さを思わせる。
その割に小悪党の役が多かったが。高千穂ひずると寿美花代が同期だそうである。

重山規子も大きな役はこの映画がはじめてと思われる。
トニー谷の夢の中だが初っぱなから、シミーズ一丁のシーンがあり、ダイナミックな踊りを堪能させる。
そういうセクシーなシーンは宝塚歌劇の女優にやらせるわけにはいかなかったのだろう。
日劇ダンシングチーム(この映画のおかげでNDTという略称があることを知った。)が宝塚に殴り込んだ形だ。
後の活躍(お姐ちゃんシリーズなど)は知っての通り。

千葉信男は相変わらずのデブ芸で、当時は喝采を浴びたのだろう。
トニー谷が宝塚映画で二枚目か二・五枚目を演じているのも、今となっては不思議な感じがする。
彼が歌う、オープニングのシーンは「雨に唄えば」の影響だろう。

どちらにせよ、トニー谷はルー大柴の先駆者であり、天才である。

2004.03.12

恋すれど恋すれど物語 1956東宝作品

監督斎藤寅次郎
製作山本紫朗
原作菊田一夫(舞台のミュージカル)
脚本菊田一夫
撮影西垣六郎
音楽古関裕而

有島一郎(連日連夜斎(八兵衛)武士志願の男。)
三木のり平(武蔵大和(留吉)八兵衛についてくる長屋の仲間)
宮城まり子(呉羽姫(お玉・三吉)○汚い男の子が実は女の子で、お姫様に化けて江戸まで行く)
竜城のぼる(にっこりお時)
浪花千栄子(うば桜のおたね)すり。最後はお化けになって宝の在処を教えてくれる。
古川縁波(袖下鳥衛門)家老
トニー谷(沙羅利万助)藩士
益田キートン(鬼の石松)宿屋の亭主、壺を盗もうとした。
田端義夫(陣野陣十郎)町人姿で見回り役。◎
雪村いづみ(長崎小町泉子)初っぱなで一曲歌う。
花菱アチャコ(ふくろうの勘造)△
堺駿二(どもりの仙太)
榎本健一(山賊天五坊)×
大河内傳次郎(占師竜雲堂)八兵衛が侍になるとぴたりと当てる。
柳家金語楼(唐津の大殿)
清川虹子 (女村長とろり)
山茶花究(宮本小次郎)変な侍。最後はおときと出来てる。

喜劇陣のオールスター映画だな。


長崎から江戸まで爆薬を運ばねばならない。
おとりとして八兵衛・お玉には、別の薬を持たせ江戸へ向かわせる。

道中、謎の連中に絡まれたり、宿屋の夫婦もそぶりが怪しい。
その上、船に乗り込むと、シケが酷いときている。
そして八兵衛とお玉は見事、薬を江戸まで無事運んだのだが・・・

この時代になったら、エノケンも良いところなしだ。
古川ロッパ・トニー谷の方が目立ってた。

主役は一応有島一郎三木のり平となっているのだが、
天才宮城まりこがもっとも美味しい役を演じている。

田畑義夫は2曲も歌っていて、格好良かったなあ。

「ヒッチコック・天才監督の横顔」 テッド・ハイムズ監督 テレビドキュメンタリ

映画界に多大な影響を残し、まだ謎の多い巨匠アルフレッド・ヒッチコック監督。
彼の初期の映画映像から、完成されなかった未公開映画の映像、ホームビデオの映像までを使用し、ヒッチコック監督の真実に迫る。
彼から影響を受けたブライアン・デ・パルマ監督や、娘のパトリシア・ヒッチコック、「鳥」に主演したティッピ・ヘドレンなどがヒッチコックを語り、ケビン・スペイシーが番組の案内役を務める。

楳図カズオが番組前に話していたが、ヒッチコックは日常の恐怖を描いている。
それは本編に入っても、多くの人が繰り返し言っていた。
彼の作品は、決して現実離れした絵空事ではない。
ヒッチコック作品では、当事者として事件の真っ最中に放り込まれる。


それにしても熊倉一雄は、もう50年もヒッチコックの吹き替えをやってる。
ヒッチコックが死んでも、まだまだ稼ぎそうだ。

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