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2004年5月

2004.05.30

ここに泉あり 1955 中央映画

貧しく廃団寸前だった群馬交響楽団の戦後史を巨匠今井正が描いた音楽映画。
独立プロに、大俳優たちが参加して作った手作り作品だ。


ピアニストの岸恵子がクレジットでは1番だったが、
コンサートマスターの岡田英次が実質的主演だ。

岸恵子はめずらしく好感度の高い役だった。
ただし、いつも回転上げたような声を出して、少々違和感がある。

岸恵子のピアノ演奏は吹き替えだが、やたらと手がオーバーアクションだ。
もう少し押さえた演技の方がよい。
(もっともチャイコフスキーのピアノ協奏曲を弾いたピアニストもとちってた。)

他にもトランペット三井弘次とコントラバス兼パーカッション加東大介の酔っぱらいぶりなど、見所はあった。
つい先頃までテレビで活躍していた人たちが続々ちょい役で出てきて、長さ(2時間半)を感じさせない映画だ。
日本版「オーケストラの少女」だ。


ハンセン氏病患者が彼らのコンサートに感動して手をたたくシーンがあり、胸を打たれる。
音がしないのだ。
これじゃあ、地上波でこの映画を流せないはずである。
この映画を見たのは、かれこれ三十年ぶりだろうか。


大作曲家の山田耕筰先生がご本人の役で出演している。
最後のベートーベン第九の演奏はうまかった。
群響だと思っていたが、東京交響楽団だったようだ。

先生は脳梗塞を患ってるらしく左手足が麻痺していた。
指揮は右手でちょろちょろするだけで、よくわからなかった。
しかし音楽家は右脳をやられるのか。やはり音感は右脳に支配されている。


2004.05.28

ギター弾きの恋(1999) 米

監督 : ウディ・アレン
製作 : ジャン・ドゥマニアン
製作総指揮 : J.E.ボケール
脚本 : ウディ・アレン
撮影 : ツァオ・フェイ

ショーン・ペン (Emmet Ray)
サマンサ・モートン (Hattie)
ユマ・サーマン(Blanche)
グレッチェン・モル(Ellie)
アンソニー・ラパーギャ(Al)

1930年代、シカゴ。エメット・レイ(ショーン・ペン)はジャズギタリストだが、天才ギタリスト・ジャンゴ・ラインハルトが大の苦手。
ある日、口のきけない娘ハッティ(サマンサ・モートン)と出会って、だらだらと一緒に暮らす。
やがてエメットは上流階級の美女ブランチ(ユマ・サーマン)と出会い、一目惚れして、結婚してしまう。
ところがブランチはエメットに満足せず、用心棒アル(アンソニー・ラパーギャ)との不倫に溺れる。
裏切られ、むなしい日々を送るエメット。
ハッティを愛していたことに気づき、彼女とやり直そうと、再びニュージャージーに彼女を訪ねる。

エメットという架空のギタリストを演じたショーン・ペンの演技は良かった。
本当に弾いているようだ。
ウッディ・アレンらがミュージシャン・エメットを回想するシーンを演じているが、もちろん嘘である。
これが余計だった。

お早よう 1959 松竹

2004年01月01日(木) No.87
監督 : 小津安二郎
製作 : 山内静夫
脚本 : 野田高梧 / 小津安二郎
撮影 : 厚田雄春
音楽 : 黛敏郎
配役:
笠智衆 (林啓太郎、父親)
三宅邦子 (林民子、母親)
設楽幸嗣 (林実、息子)
島津雅彦(林勇、息子)
久我美子 (有田節子、おばさん)
三好栄子 (原田みつ江、強烈なおばあちゃん)
田中春男(原田辰造、杉村春子の亭主)
杉村春子 (原田きく江、近所のおばちゃん)
高橋とよ(大久保しげ)
東野英治郎 (富沢汎、再就職した近所のおじさん)
長岡輝子 (富沢とよ子)
大泉滉 (丸山明、近所の亭主)
泉京子 (丸山みどり、大泉のやたらと色っぽい妻)◎
佐田啓二 (福井平一郎、英語の家庭教師、久我美子といい仲)
沢村貞子(福井加代子、平一郎の母)
須賀不二夫(学校の伊藤先生)
殿山泰司(押売りの男1号)
佐竹明夫 (防犯ベルの男、押し売り2号)
桜むつ子 (おでん屋の女房)

NHKBSも2004年新春からやってくれる。
おならプーの話だ。
平屋の文化住宅に住む家同士の近所つき合いと子どもたちの反抗期を描いた。


実と勇の兄弟は軽石を砕いて飲んでいる。
こうするとおならが出やすくなる。
頭をつつかれると、おならを出すのが学校で流行っているのだ。
隣の幸造ちゃんはおならを出そうとするが、お腹を壊していて実が出てしまう。

最近、実と勇は家族がテレビを買ってくれないものでふてくされている。
父親にごちゃごちゃ言うな、と言われて、大人だって「お早う」とか無駄なことを言ってるじゃないか。
それ以来「お早う」の挨拶もしない。
子どもが挨拶しないものだから、周囲の母親族は兄弟の母親が自分たちに何か含むことがあってやらせているものと思ってるようだ。

子どもたちは家を抜け出して駅前のテレビを見に行った。
それを家庭教師の先生が見つけてくれてラーメンをおごってくれた。
家に戻ると、家族は怒ってたが、家にはテレビがあった。
隣のおじさんが転職して電気屋に勤めたので、近所のよしみで買ったのだ。

家庭教師に軽石は体に悪いと言われて、実と勇はゴボウを代わりに食べるようにした。
おならの調子は今朝もいいようだ。
幸造ちゃんは軽石を続けている。今日は実が出た。

おばさんたちの生態が楽しい。
今は見なくなった押し売りも出てきた。
平屋の文化住宅というのは、一カ所しか知らない。
東京オリンピックから一斉に高層化された。

色を添えるのが久我美子なのだろうが、個人的には泉京子がよかったな。
大泉晃と昼まで寝間着でいる夫婦だ。
テレビを持っているので子どもたちが集まる。
それを親たちが厳しく叱る。
実は泉京子みたいなケバイ女には息子を近づけたくない。

天使の涙 1996 香港

監督 : 王家衛
製作 : 劉鎭偉 
撮影 : 杜可風
音楽 : 陳勲奇 / Roel A.Garcia
美術 : 張叔平
編集 : 張叔平 / 黄銘林

黎明 レオン・ライ
李嘉欣 ミシェル・リー
金城武 カネシロタケシ
楊采 チャーリー・ヤン
莫文蔚 カレン・モク

殺し屋(レオン・ライ)とエージェント(ミシェル・リー)は殺しのパートナーである。
しかし二人は滅多に会わない。
仕事に私情を持ち込まないためだ。

エージェントが住んでいるマンションの管理人の息子モウ(金城武)はおしである。
彼は、閉店後の他人の店に潜り込んで勝手に商売をするのが唯一の趣味。

ある日、彼は町で出会った女の子(チャーリー・ヤン)に初めて恋をする。
しかし、彼女は彼のことなど気に掛けていない。

一方、殺し屋はちょっとあぶない金髪娘(カレン・モク)と出会い、行きずりの恋を楽しむ。
エージェントは、女が出来て浮かれている殺し屋に、最後の仕事を依頼した。
殺し屋はその仕事で失敗してしまい、射殺されてしまう。

「恋する惑星」とは似てるが、スピード感で比較にならない。
どの出演者も魅力を感じさせない。
華麗なカメラワークもいささか飽きてきた。


2004年01月01日(木) 
No.88

雪国 1957 東宝

2004年01月03日(土) No.89
監督 : 豊田四郎
製作 : 佐藤一郎
原作 : 川端康成
脚色 : 八住利雄
撮影 : 安本淳
音楽 : 芥川也寸志

池部良 (島村)
岸恵子 (駒子)
八千草薫 (葉子)
久保明 (佐一郎(葉子の弟))
三好栄子 (師匠)

冒頭で原作風のナレーション「トンネルを抜けると・・・」が入るのかと思ったが、豊田監督は池辺良に黙らせたままだった。
池辺良の島村は画家だ。話の筋書きは原作とほぼ同じ。

最後火事になってから、葉子の後日談があった。
ここは小説にはないところだ。
島村が湯沢を離れて、二度と来ることはないだろうと言うことが示唆されていた。

しかしこの映画は岸恵子に尽きる。
岸恵子は「君の名は」より美人に見えた。
甘えたで、それでいて頑固。
原作の駒子のキャラクターとは全然違う人だが、岸の駒子は印象的だ。
一言で言って可愛らしくて、セクシーだ。
川端康成なんてエロ文学なんだし、岸恵子の解釈は案外正解じゃないかと思う。

脇役陣では、市原悦子、千石規子がいい。
とくに市原のシーンは良く覚えてた。
不細工な温泉芸者が島村に迫るシーンだ。


浮草 1959 大映

2004年01月03日(土) 
No.90
監督 : 小津安二郎
製作 : 永田雅一
脚本 : 野田高梧 / 小津安二郎
企画 : 松山英夫
撮影 : 宮川一夫
音楽 : 斎藤高順
配役:
中村鴈治郎 (嵐駒十郎)
京マチ子 (すみ子)
若尾文子 (加代)△
浦辺粂子 (しげ)
三井弘次 (吉之助)○
潮万太郎(仙太郎)
伊達正 (扇升)
島津雅彦 (正夫)
田中春男 (矢太蔵)
星ひかる (木村)
杉村春子 (本間お芳)
川口浩 (本間清)

これも昔よく見た映画だ。
大映作品であり、小津監督の下で、日頃見慣れない大映俳優陣が活躍してる。

中村鴈治郎京マチ子が好演だ。
抑えた演技の杉村春子より、喜怒哀楽をはっきり出す京マチ子の方を押す。
とくにラストシーンは記憶に残る。

若尾文子も若くて綺麗。
男を騙そうとしてミイラ取りがミイラになっちゃう。
踊りのシーンが妙に記憶にこびりついて離れない。
大してうまくもないのだが。
「お早よう」に勇役で出ていた子も出演していた。

脇では三井弘次がよかった。
他の小津作品でも酔っぱらいの役などで活躍してるが、この作品では「親方に散々恩になって裏切るような真似が出来るか」と言っておきながら、最後に金を持ち逃げしちゃう、美味しい役だった。

実はこの作品は小津自身のリメイクなのだが、三井弘二はオリジナルでは川口浩の役をやっている。
でも三井弘次はリメイク版の癖のある役所の方が好きだ。

ムッシュカステラの恋 2000 仏

監督 : Acnes Jaoui
製作 : Charles Gassot / Christian Berard
製作総指揮 : Jaques Hinstin
脚本 : Acnes Jaoui / Jean-Pierre Bacri
撮影 : Laurent Dailland
音楽監修 : Jean-Charles Jarrell

Anne Alvaro (Clara)
Jean-Pierre Bacri (Castella)
Alain Chabat (Deschamps)
Acnes Jaoui (Manie)
Gerard Lanvin (Moreno)

たたき上げの社長が女房に連れられ芝居に行った。
主演女優を見てその憂いある眼差しに恋してしまった。
社長は彼女に近づこうとして、下心丸出しで慣れない芸術家の世界に入った。
はじめはとんちんかんなことばかり言って、誰からも相手にされない。
しかし次第に彼女の仲間とうち解け始める。
彼女も、奮闘努力する彼に心を動かされはじめる。
新たな芝居の初日、女優は客席に彼を捜す。
しかし見つからない。
終幕間際、やっと客席から見つめる彼の姿を見つけて、彼女も笑顔を見せるのだった。

2000年のセザール賞獲得作品。
浮気のプレリュードである。
こうして女優は金持ちの愛人になるのだな。
そんな言われるほどには面白くなかった。
最後のクララの笑顔が一瞬輝いていたけど。

2004年01月03日(土) 
No.91

青い山脈 1949 東宝

2004年01月04日(日) 
No.92
演出 : 今井正
製作 : 井手俊郎 / 藤本真澄
原作 : 石坂洋次郎
脚色 : 小国英雄 / 今井正
撮影 : 中井朝一
音楽 : 服部良一
配役:
池部良 (金谷六助)
杉葉子(寺沢新子)
赤木蘭子 (新子の母)
若山セツ子(笹井和子)○
原節子 (島崎雪子)
龍崎一郎 (沼田玉雄)
木暮実千代 (芸者梅太郎)
薄田研二 (武田校長)

戦後一作目の青い山脈。
正続二編からなり各部1時間半、合計3時間の長尺映画。


女学生寺沢と浪人生金谷はたまたま一緒に占いを見てもらった。
それを見た他の女学生が邪推して、女学生に偽ラブレターを送った。
この事件が大きな騒ぎになり、学校の理事会にかけられる。

男女学生が一緒に歩けないとは封建的に過ぎると怒る沼田医師や島崎教諭が進歩派を形成し、
街の有力者からなる守旧派と争うが、投票の結果進歩派が僅かに勝った。
しかし理事に欠員が多いと言うことで、後日理事会を開くことになる。

夜の校長室に不審な人物があった。
あのラブレターの作者が取り戻しに来たのだ。
ところが、宿直の教師に捕まってしまう。
結局、ラブレター事件は解決し、みんなの前で沼田は島崎に愛を告白する。

杉葉子はジャイアント馬場のようにでかい。
しかし魅力は感じなかった。

それより、若山セツ子だろう。
戦後初のメガネっこ萌え〜(笑)である。
メガネっこの歴史はここに始まったのだ。

伊豆肇や池辺良が高校生だなんて、ちょっと違和感があった。

リリイ・シュシュのすべて 2001 日本

2004年01月04日(日) 
No.93
監督 : 岩井俊二
脚本 : 岩井俊二
撮影 : 篠田昇
音楽 : 小林武史
配役:
市原隼人 (蓮見雄一)
忍成修吾 (星野修介)
伊藤歩 (久野陽子 )
蒼井優 (津田詩織)
細山田隆人 (佐々木健太郎)

NHK「中学生日記」なんて嘘っぱち。中学生の真実はここにある。

栃木の中学2年雄一はアーティスト・リリイ・シュシュのファンである。
彼は、同級生星野にたかられている。
一方リリイのファンサイトで彼はリフィアと名乗り、リリイ・ファンとくに青猫というハンドルネームとのチャットに心癒されていた。

1年生の時は星野と仲良しで、家に泊まりに行く仲だった。
彼らはカツ上げした金を使って、みんなで西表島へ旅行に出た。
そこで星野はおぼれて、知り合った人は交通事故に遭う。
死、それは思春期の少年には過激な経験だった。
そして新学期、星野は番長に変身したのだ。

星野にイジメられているのは雄一だけではなかった。
詩織もまた星野の命令で援助交際させられて、自殺に追い込まれる。
雄一が心寄せる陽子も、星野一派にレイプされてしまう。

リリイのライヴが代々木で開かれることになった。
雄一は、青猫と会う約束をして会場へ向かう。

はじめはおどろおどろしい現代中学生の話だと思ったが、よく見ると俺の世代と大して変わらない。
変わったのは援助交際ぐらいだ。
中学生があるきっかけで大きく変わることが良くある話だ。
だからこの話は実はありふれている。

一言で言って、不良グループの内ゲバ(仲間殺し)だ。
団塊の世代では大学生が内ゲバをしていたが、30年たっていまや中学生がいじめという内ゲバをやってる。
もうすぐ小学生が内ゲバを始めるだろう。

この映画が現代中学生の気持ちを伝えている点は素晴らしい。
画面も美しい。
でも内容は暗い。
人もたくさん死ぬ。
でも人の親なら一度くらいは見ておいたほうが良い。

エバー・アフター 1998 20cFox

2004年01月04日(日) 
No.94
監督Andy Tennant
製作MireilleSoria / Tracey Trench
脚本Susannah Grant / Rick Parks / Andy Tennant
撮影AndrewDunn
音楽George Fenton

Drew Barrymore (Danielle)
Anjelica Huston(Rodmilla)
Dougray Scott (Prince Henry)
Patrick Godfrey (Leonardo da Vinci)
Megan Dodds (Marguerite)

ドリュー・バリモア風シンデレラ物語。

継母に虐められて、召し使いの地位に貶められているダニエル。
そんな彼女もフランス皇太子やレオナルド・ダビンチと知り合い、世界が広がる。
しかし継母も黙って引っ込んでるわけがない。
皇太子との仲は裂かれてしまい、豪商に嫁入りする。

ドリュー・のバリモア「25年目のキス」や「ウエデイングシンガー」とともに、三部作を構成する作品。
これで金を稼いで、「チャーリーズ・エンジェル」にがっぽり投資したのだ。
「フル・スロットル」でも、さらにがっぽり儲けたことだろう。
商売人やネエ。


真空地帯 1952 北星(日本)

2004年01月05日(月) 
No.95
監督 : 山本薩夫
製作 : 嵯峨善兵 / 岩崎昶
原作 : 野間宏
脚色 : 山形雄策
撮影 : 前田實
音楽 : 団伊玖磨
配役:
木村功 (木谷一等兵)
神田隆 (峯中隊長)
加藤嘉 (林中尉)
岡田英次 (岡本法務少尉)
沼田曜一 (週番士官)
西村晃 (大住軍曹)
佐野浅夫(地野上等兵)
下元勉 (會田一等兵)
高原駿雄 (染一等兵)
薄田研二 (内村の父)
利根はる恵(花枝)


終戦一年前、木谷一等兵は刑務所を出所して、大坂の原隊に戻った。
かつて彼は林中尉の財布を盗んだ罪で捕まった。
実は反林中尉派を一挙に潰すため、林が木谷に罪をきせたのだ。

昔の大阪時代の同僚はみんなシナに送られてしまった。
後輩の曾田一等兵は、そんな木谷を暖かく見守る。

林中尉がシナから帰ってくる。
ついに彼は林中尉と対決する。
しかし林中尉の口から出てきたのは意外な言葉だった。

派閥同士のトラブルで、貧乏くじを引いたのは木谷である。
それで刑務所行きだ。
しかしどうやら次に貧乏くじを引いたのは経理のポストを外された林中尉だ。
彼はシナに飛ばされ、いざ帰ってきても閑職である。

美味しいのは金子(金子信雄)だ。
食料班長で、戦地に出たこともないくせに、林派の切り崩しに成功した。
ほんとうは金子の上にもうひとり、経理部長がいる。
これが一番の悪である。物資の横流しをやって、ボロ儲け。


「真空地帯」って野間宏の名作だが、本当に軍の話だろうか。
一般企業の派閥争いの話とさほど変わらないと思った。
企業でも美味しいポストにしがみつく奴がいる。
中には犯罪絡みになることもある。
男の社会というのは、常に軍隊と似た構造を持つ。

俳優の顔ぶれは凄い。
この映画で台詞の多かった役者は誰も、今や芸能界の重鎮だ。


乱菊物語 1956 東宝

2004年01月06日(火) 
No.96
監督 : 谷口千吉
製作 : 田中友幸
原作 : 谷崎潤一郎
脚色 : 八住利雄
撮影 : 飯村正
音楽 : 団伊玖磨

池部良 (高行、海龍王)
八千草薫 (陽炎)
小堀明男(赤松上総介)
杉山昌三九 (久米十郎左衛門)
山田巳之助 (藤内)


応仁の乱の後、兵庫県御津町の室津港では女王陽炎が自治を行っていた。
赤松は陽炎にほれているが、袖にされてばかりいる。
そこで陽炎があくまで言うことを聞かないのであれば、明日卯の刻までに室津の港に火を放つという。

陽炎を愛する高行は単身赤松のもとへ行き、自分の命と引き替えに陽炎を助けてくれと言うが、赤松に捕まってしまう。
陽炎も高行の後を追い囚われの身になってしまう。

しかし高行の部下で妖術使いの幻阿弥が高行のあぶないところを救う。
町の人も立ち上がり、合戦となった。
赤松は高行の手に掛かり、町は人々の手に戻った。
そして陽炎と高行は、広い外海を目指して出港していくのだった。

谷口千吉監督が後の妻八千草薫の最も美しい姿を撮った作品。
単純な話だが、御津町の話だから親近感が沸いた。
地元の伝説を谷崎潤一郎が小説にしたが、途中で断筆したそうだ。

リバティ・バランスを撃った男 1962 パラマウント

監督 : John Ford
製作 : Willis Goldbeck
原作 : Dorothy M. Johnson
脚本 : James Warner Bellah / Willis Goldbeck
撮影 : William H. Clothier
音楽 : Cyril Mockridge

James Stewart (Rance_Stoddard)
John Wayne (Tom_Doniphom)
Vera Miles (Hallie)◎
Lee Marvin(Liberty_Valance)
Edmond O'Brien (Dutton_Peabody)
Andy Devine (Link_Appleyard)

モンタナあたりの話か?

1880年代、若い弁護士ランスは野心に燃え、東部の大学を卒業して、西部へとやってきた。
途中でリバティ・バランス(リー・マーヴィン)の一味に襲われる。
彼は危ないところを拳銃の名手トムに救われた。
食堂の娘ハリーは、ランスを看護する。
当時ハリーとトムとは恋仲だった。

住民はこの地域を州に昇格しようと運動していたが、これに牧場主の一部が反対していた。
リバティ・バランスはその手先となって住民を脅かしていた。
正義感に燃えるランスは町の新聞社主ピーボディと協力して、リバティ・バランスと戦う決意を固める。
ランスは持ったことのない拳銃を握って、リバティ・バランスと往来で対決した。

見事な西部劇だ。
二大スター・ジェームズ・スチャアートとジョン・ウェインの共演。
それに花を添えるヒロインにはベラ・マイルス(こういう役柄が向いている。)。
悪役はリー・マービンとリー・バン・クリフ。
監督はジョン・フォードと来ている。
どれも最高だ。

アメリカの共和制とひとりの男の、成長を描いている。
日本人には考えられないような、政治意識の高さを思い知らされる。


リバティバランスのような男は、おそらくアメリカ中にいただろう。
しかしみんな撃たれて、死んだのだろうか?
結構、州議員に出世して、うまくやった人もいるだろう。



ロッタちゃん はじめてのおつかい(1993)スウェーデン

2004年01月06日(火) 
No.98
監督 : Johanna Hald
製作 : Waldemar Bergendahl
原作 : Astrid Lindgren
脚本 : Johanna Hald
撮影 : Olof Johnson
キャスト:
Grete Havneskald (Lotta)
Linn Gloppestad (Mia)
Martin Andersson (Jonas)
Beatrice Jaras (mother)
Claes Malmberg (father)

クリスマスにツリーがないだけで、その家にはクリスマスが来ないみたいな暗い感じが漂う。
しかし、ロッタはめげない。
ストックホルムへ樅木を輸送中のトラックに交渉して、譲ってくれと訴える。
ちょっとお金が足りない。
トラックは無情にも出発するが、樅木を一本落としていった。


「初めてのお使い」と言うから、日本テレビでやってる、子どもが初めてお使いに行って、それを親は隠れてみていて、はらはらさせる番組を考えた。
しかし、この映画は全く違う。
お使い慣れしたロッタちゃんが、お使いの先でラッキーなことに遭遇するお話だった。

吹替版で見たので、演出がちょっとわざとらしかった。


赤ひげ 1965 東宝

2004年01月07日(水) 
No.99
監督 黒澤明
製作 田中友幸 / 菊島隆三
原作 山本周五郎
脚色 井手雅人 / 小国英雄 / 菊島隆三 / 黒澤明
撮影 中井朝一 / 斎藤孝雄
音楽 佐藤勝
配役:
三船敏郎 (新出去定(赤ひげ))
加山雄三 (保本登)
土屋嘉男 (森半太夫)
江原達怡(津川玄三)
団令子(お杉)
香川京子 (狂女)
藤原釜足 (六助)
根岸明美 (おくに)
山崎努 (佐八)
桑野みゆき (おなか)○
東野英治郎 (五平次)

懐かしい小石川の話。
と言っても植物園でなく療養所の方だ。


長崎で修行した保本(加山雄三)は小石川療養所で医者としてのキャリアをスタートさせる。
しかしこれは彼の本意ではなかった。
赤ひげ(三船敏郎)と呼ばれる老医師がここの長だ。

座敷牢から美しい患者(香川京子)が逃げた。
その女は奉公人を殺めたという話だったが、保本の前で身の上話を始めた。
保本も聞き入っていると、女は抱きついてきて首に簪を刺そうとする。
そこへ赤ひげが帰ってきた。
無事女は取り押さえられたが、その日以来保本は赤ひげに対して心を開く。

初めて手術に立ち会ったり、佐八(山崎努)の最後を看取り、保本は成長していく。
岡場所で見つけたおとよ(二木てるみ)は、凄い熱を出しているが医者の治療を受け付けない。
保本はおとよを部屋に休ませて、治療を試みる。
しかし保本の方が参ってしまい寝込んでしまう。
すると、おとよが彼の世話を見てくれるようになった。

保本には御殿医の口がかかるが、見合いの席でその話を蹴飛ばす。
養生所には、まだまだ学ぶことがある。

二人の女性の患者が興味深い。

香川京子が初めは美しいメイクで出てきたのだが、
男を抱きしめ男の体を帯で締め上げると、狂女のメイクになっている。
文楽のようだ。

香川は「幼少時にいたずらされておかしくなった。」と告白したが、
赤ひげは「そんな目にあった女は大勢いる、この女は生まれつきだ。」と言う。

二木てるみは12ぐらいの役だ。
女郎屋へ売られ下働きをしているが、幼児虐待を絶えず受けていて、狂い掛けている。
しかし保本が疲労で倒れると、女の本能がうずいて、病人の世話を見るようになる。


杉村春子の嫌みな女郎ぶりが良かった。
頭師良孝の子役ぶりも強烈だった。

革命児サパタ 1951 20cFox

2004年01月08日(木) 
No.100
監督 Elia Kazan
製作 Darryl F. Zanuck
脚色 John Steinbeck
撮影 Joe MacDonald
音楽 Alex North

Marlon Brando (Zapata)△カンヌ映画祭最優秀男優賞
Jean Peters (Josefa)▲
Anthony Quinn (Eufemio6)○ アカデミー助演男優賞
Joseph Wiseman (Fernando)◎
Arnold Moss (Don_Nacio)
Alan Reed (Pancho_Villa)


1910年、大地主の囲い込みや軍警察の横暴にメキシコの農民は泣かされていた。
南部の農民を代表して、サパタが立ち上がった。
ディアス政権は当初リベラルな政治を目指していたが、34年間も圧政を敷いて民衆の心は離れていた。
サパタはアメリカにいるマデロと呼応して正規軍を倒し、ついにデイアスを亡命させる。

後を継いだマデロ政権だったが、軍人ウェルタの傀儡でしかなかった。
この政権も長くは続かなかった。

農民派のピージャ、サパタ連合が後継政権を作る。
サパタは晴れて大統領代理の席に座ってみるが、何だか居心地が悪い。

メキシコの革命家サパタが暗殺されるまでの半生を描く。

彼の死後、1917年革新的な憲法が施行されて、農民の主張を大幅に取り入れた体制ができる。
それにしてはいつまでたっても、メキシコは貧しい国だ。

スタインベックが脚本を書いたと言うから、どんな凄いものかと思ったが、
大したことは無かった。

監督エリア・カザンの演出も盛り上がらない。
この人は大河ドラマは似合わないと思う。

ヒロインであるはずの、ジーン・ピーターズは、ほんの付け足しだった。
見せ場は少なかった。(「ナイアガラ」「愛の泉」、大富豪ハワード・ヒューズの奥さん)

アンソニー・クインだけが美味しい役だった。
ジョセフ・ワイズマンは格好いいんだけど、最初のイメージと途中からのイメージがずれている。

大学は出たけれど 1929 松竹

2004年01月08日(木)  No.101
監督 小津安二郎
脚色 荒牧芳郎
原作 清水宏
撮影 茂原英雄

出演:
野本徹夫 高田稔
野本町子 田中絹代 (婚約者)
母親 鈴木歌子

青年は就職運動がうまくいかないのだが、母親には就職したという電報を打ってしまう。
母親は喜び、婚約者とともども上京する。
しかし青年のウソに気づいた婚約者が水商売に入って、母親に生活の苦しさを感じさせない。
青年はその健気さに打たれて、就職運動を再開する。


原作は小津の友人で名監督の清水宏。
田中絹代の元夫である。

上映時は70分の長編だったが、現存するのは編集後の短編のみ。
1929年9月公開と言うことで、日本は不況期であった。
さらに大恐慌(1929年10月)が間近に迫っていた。



大いなる幻影 1937 仏

2004年01月09日(金)  No.102
監督 : Jean Renoir
脚本 : Jean Renoir / Charles Spaak
撮影 : Christian Matras / Claude Renoir
音楽 : Joseph Kosma

Jean Gabin (Marechal)
Dita Parlo (Elsa)
Pierre Fresnay (Boeldieu)
Eric Von Stroheim (Paufenstein)
Marcel Dalio (Rosenthal)

第一次大戦中の脱獄もの。
ドイツの捕虜となった将校マルシャル、ユダヤ人の成金ローゼンタール、貴族出身のボルデュ。穴を掘って脱走する計画を立てるが、実行寸前に他の収容所に移送される。今度の収容所は脱走は困難だ。しかも収容所長はボルデュと仲の良いパウフェンスタインだ。しかしボルデュが良いアイデアが浮かぶ。彼が騒ぎを起こしてドイツ兵士の注意を集めている間に、マルシャルとローゼンタールが脱走したのだ。しかしボルデュは撃たれ、死亡した。
マルシャルとローゼンタールはアルプス越えに挑んでいた。アルプスはクリスマスの頃、雪が降り積もり、寒さが二人を襲う。そんなとき、エルザという女性が助けてくれた。エルザは押さない娘と暮らしていた。二人はサンタに扮してクリスマスを祝った、久しぶりの団らんだった。マルシャルは彼女を残して行くのは、辛かったが、後ろを振り向かずに国境に向けて進んだ。もうすぐ戦争は終わる、もう二度と戦争はなくなる、そうしたらエルザと娘を迎えに来よう、マルシャルは心に誓っていた。

フランスの脱獄ものというと脱走を失敗する「穴」が有名だが、この映画は成功裡に終わる。
大いなる幻影という題だが、二度と戦争をしないことを幻だと言っているのではないか。逃げたってまた戦わなければならない。戦争が終わったって、また始まる。終わることのない永遠の脱走劇だ。考え過ぎか。

「大脱走」と比較すると掘った土の処理に困ったことが似ている。アルプス越えは「大脱走」でも成功していた。

やかまし村の子どもたち 1986 スウェーデン

2004年01月10日(土) 
No.103
監督:
ラッセ・ハルストレム
出演:
リンダ・ベリーストレム/アンナ・サリーン/エレン・デメリュース

子どもの頃の夏休みのお話。

やかまし村は、3軒だけの小さな村だ。
リサ(私)、ラッセ、ボッセ、隣のオッレ、その隣のブリッタとアンナの6人の子どもたちがいた。
子供たちはボートをこいで島へ宝探しに行ったり、干し草の中で眠ったり、美しい森と湖に囲まれたスウェーデンの自然の中で、たくさんの素敵な思い出を作っていく。

想像力と好奇心をフル回転していきいきと遊び回る子供たちの姿が印象的。
しかし吹き替え版で見たので、演出が良くなかった。


助太刀屋助六 2001 日本

No.104
監督 : 岡本喜八
製作総指揮 : 中村雅哉 / 豊忠雄
原作 : 生田大作
脚本 : 岡本喜八
音楽 : 山下洋輔
配役:
真田広之 (助太刀屋助六)
鈴木京香 (お仙)
村田雄浩 (太郎)
仲代達矢 (片倉梅太郎)
小林桂樹 (棺桶屋)
岸部一徳 (榊原織部)


助太刀専門のヤクザ、助六が故郷へ帰る。
町では侍同士の敵討ちが行われようとしていた。
片倉梅太郎という侍が仇だ。
仇を討つ方には大勢の加勢が付いていて、仇討ちはあっけなく終わる。
しかし、棺桶屋の口から片倉こそが自分の父と聞かされ、助六は驚いた。
そこで何とか親の敵を取ろうと思案する。

岡本喜八監督も年を取った。
作り方によっては、面白くなる素材なのだが、真田に頼りすぎている。
舞台劇みたいな演出だ。

仲代達也を見て、黒沢の「用心棒」を思い出した。
音楽は山下洋輔、バリバリのジャズだ。格好良かった。

恋恋風塵 1987 台湾

2004年01月23日(金) 
No.118
監督 侯孝賢
製作 徐国良
脚本 呉念眞 / 朱天文
撮影 李屏賓

ワン・ジンウエン(ワン)
シン・シューフェン(ホン)
リー・ティエンルー(祖父)
リン・ヤン(父)
メイ・フアン(母)

ホウ・シャオシェンの87年の作。
すっかりホウ監督のカラーが完成した。

ワンは田舎の中三男子、ホンは中二の女の子、いつも登下校を共にする仲の良い二人。
ワンは台北で働きながら夜学へ通う道を選ぶ。
一年後ホンも後を追って台北へ。
ホンは洋裁店に仕事を見つける。

ホンが帰省する初めての夏休み、二人が土産を買っていたら、ワンのバイクを盗まれてしまう。
帰省できない・・・ショックを受けたワンはひとり海へ行き、警察のご厄介になる。
夜テレビを見てると鉱山の落盤事故が起きている。
ワンは父が事故に巻き込まれたときのことを思い出し、卒倒する。
ワンは故郷から戻って、着きっきりで看病してくれてワンも回復する。

翌夏、初めて二人で帰省する。
父親はストライキの相談をしていた。
停電になり祖父はろうそくと爆竹を間違えて爆発させた。
若者たちは、映画大会で自分の職場に対する、不平不満をぶつけていた。

台北に戻ると、ホンがプリント柄のおしゃれな服を仕立ててくれていた。
少し大きいようだ。
ワンに兵役通知が来た。
ホンはシャツを持ってきてくれたが、台北駅で電車が来る前に無言で帰っていった。

静かな映画だ。
ロングの絵が多く、効果音ぐらいはあるが、BGMは僅かしかない。

その中で田舎から出てきた二人の男女のプラトニックな青春が描かれる。
考えてみると、男の方が暗かったかな。
だから最後に振られる。
彼女は彼のことを、弟のように感じていたんだろう。


風が踊る 1981 台湾

2004年01月24日(土) 
No.119
監督 侯孝賢
製作 張華坤
脚本 侯孝賢

フォン・フェイフェイ(蕭幸慧)
ケニー・ビー(顧金台)
アンソニー・チェン(羅子)


ホウ・シャオシャン第二作。
前作と同じメンバーを使い、少し大人っぽい展開だ。
でも前作も彼が実は御曹司だったりとか、この作品もあっさりドナーが見つかったり、ご都合主義かな(笑)

お茶漬の味 1952 松竹

監督 小津安二郎
製作 山本武
脚本 野田高梧 / 小津安二郎
撮影 厚田雄春
音楽 伊藤宣二
美術 浜田辰雄
配役:
佐分利信 (佐竹茂吉)
木暮実千代 (佐竹妙子)
柳永二郎 (山内直亮)
三宅邦子 (山内千鶴)
津島恵子 (山内節子)◎
設楽幸嗣 (山内幸二)
鶴田浩二 (岡田登)
淡島千景 (雨宮アヤ)
上原葉子 (黒田高子)

茂吉と妙子は見合い結婚だが、当初から性格の不一致でうまくいかなかった。
茂吉も部長にまで出世し会社では一目置かれているが、家庭では妻が社長令嬢と言うこともあり、頭が上がらず、自由放任だ。

高子を出汁にして、妙子、兄娘節子、友人アヤ、高子の四人組で修善寺に一泊旅行をする。
妙子は翌朝旅館の鯉の顔がダメ亭主のそれにみえた。

節子に見合い話が持ち上がった。
しかし節子はすっぽかす。
茂吉と登と一緒に競輪にパチンコ、そしてラーメン。あげくに茂吉の家に泊めてくれという。
妙子はしかるが、茂吉の「見合いなんかしたって僕たちみたいな性格の合わないカップルができるだけ」と言う言葉に大いに傷付く。

たしかに茂吉がご飯に汁を掛けて食べているのが、妙子は嫌で嫌で仕方ないのだ。
妙子は黙って須磨へ行ってしまう。
茂吉はウルグアイ出張命令を受け、須磨へ電報を打つが音沙汰はない。
飛行場には節子や登が来てくれたが、妙子の姿はなかった。

家で節子とアヤが待っていると妙子は二時間ほどして帰ってきた。
二人は妙子を責める。
妙子もなんだか悪いことをしてしまった気がしていた。
夜中、茂吉が帰る。飛行機が故障で戻ってきたそうだ。
二人は女中を下がらせ、慣れない台所へはいる。
そこで茶漬け2人分の用意をした。
二人で茶漬けをすすってると、妙子が泣き出す。
この気安く体裁ない感じが夫婦なのだと、ようやくわかったと言うのだ。

翌日、茂吉は妙子にだけ見送られて再びウルグアイへ発った。
すっかり変わった叔母を見て、節子も前向きに登との結婚を考えてみる気になったようだ。

ハッピーエンドだ。
性格が合わない夫婦も長く一緒にいれば、味が出てくるというお話。
ただし気取ったり、お面をかぶらないこと。

木暮実千代が主役。
好きではない女優だが、好演だと思う。

佐分利信は珍しく女房に頭の上がらない亭主。
これも新境地かもしれない。

津島恵子が若手女優ではひとりだけ出演。
パチンコをしてた。当時は若い女もやってたのか?
若い頃の津島はとくに美人とは思わないが、感じが良かった。
バレリーナ出身だけに、スタイルも良さそうだ。

淡島千景は人妻でデザイナーの役。
今回彼女はあんまり目立たなかったが、古巣宝塚の「スミレの花咲く頃」を歌ってた。

それから鶴田浩二である。
就職試験を受けているらしいが、若いのか、おっさんなのかよくわからない設定だった。
歌を突然歌い出したり、意味不明だ(笑)。

女優が多く華やかな映画であり、テーマもしっかりしてる佳作だと思う。

浮草物語 1934 松竹大船

2004年01月25日(日) 
監督:小津安二郎

原作:ジェームス槇(小津のペンネーム)
脚色:池田忠雄
撮影・編集:茂原英雄
出演 坂本武、飯田蝶子○、三井秀男、八雲理恵子、坪内美子◎、突貫小僧、西村青児、山田長正

戦後、大映で撮った「浮草」のオリジナル版。
サイレント映画。

旅芸人の一座はある村へ滞在する。
しかし連日の雨で客は不入り。
そんな中、座長だけは毎晩女の元に通ってるらしい。
実はその女は座長の妻だった。
二人の間の息子を旅役者にしたくなかったため、夫婦離ればなれに暮らしているのだ。
しかし座長の愛人である看板女優は正妻に激しく嫉妬する。
彼女は若い女優に息子を誘惑させようとするが・・・

---

息子役だった三井秀男(後の弘次)は、リメイク版では一座の金を巻き上げてずらかるワル役をやっていた。
正妻飯田蝶子の役は、大映リメイクでは杉村春子だったが、飯田の方がイイ。
杉村春子は癖のある悪役の方がよい。

看板女優八雲理恵子は、リメイクの京マチ子にとてもじゃないがかなわない。

しかし若手女優役は、大映リメイクの若尾文子より、この作品の坪内美子の方が好感を持った。
いつもは目立たない人、自己主張をしない女優さんなのだが、ここでは目立ちまくり。

突貫小僧は相変わらず美味しいところを持っていく。

主演坂本武は、やや重みが感じられない。
しかしリメイクでの中村雁治郎の芝居は旅芸人というより、もっと規模が大きい舞台俳優という感じだった。
この主演にはある種の軽さも必要だったから、坂本を人選したのは正解だったのか。

シービスケット Sea Biscuit 2003 Universal

2004年01月25日(日) 
No.122
監督 : ゲイリー・ロス
原作 : ローラ・ヒレンブランド

出演 : トビー・マグワイア
ジェフ・ブリッジス
クリス・クーパー
エリザベス・バンクス
ゲイリー・スティーブンス
ウィリアム・H・メイシー

久しぶりにロードショーの映画を見た。
と言っても自宅でビデオをアメリカから輸入して、クローズドキャプションで英語字幕で見たのだ。


馬主のハワードは幼い子を事故で失い、妻も出ていき、喪失の日々を送っていた。
調教師トムはサラブレッドよりポニーの面倒を看る方が多い変わり者。
メキシコへ競馬に行ったとき、ハワードがトムと知り合う。
ハワードはなにやら奇妙な、この男の勧める馬を買ってみたくなった。

赤毛のレッドは馬に乗るのが子どもの頃から得意だった。
大恐慌で一家が没落し、レッドは騎手を目指す。
騎乗振りは下手くそだった。
ボクシングのやりすぎで、右目がみえなかったのだ。

そんな三人の前にシービスケットは現れた。
気性が悪い馬だったが、トムは走りそうな気がして、ハワードに買ってもらう。
シービスケットは厩舎でも暴れ回っていた。

レースになって、しばらく負けが続いたが、次第に頭角をあらわし連戦連勝、重賞レースもぶっちぎり、子どもたちまで応援団が付いてくれて、いつの間にか西海岸のスターホースに祭り上げられていた。
ついに西海岸最高のレース・G1サンタアニタハンデを迎えた。
しかしゴール直前で軽量を背負った馬に交わされてしまう。
ここでトムやハワードはレッドの目が見えないことに気づく。
しかしハワードはレッドをシービスケットに乗せ続けると発表するのだった。

次のシービスケットの目標は東海岸の三冠馬ウォーアドミラルとの一騎打ちだ。
ハワードは長年このマッチレースの実現を訴え続けてきたが、なかなか相手にされなかった。
当時は東海岸の競馬と西海岸の競馬では格が違うと思われていた。
しかしハワードは世論を味方にした。
不況から立ち上がろうとする労働者階級はシービスケットを支持した。
いよいよマッチレースが実現した。

しかしここでビスケット陣営に大事件が起きる!
レッドが落馬事故でしばらく騎乗不可になったのだ。
やむを得ず、アイスマンと言われた天才騎手ウルフを起用する。
1938年11月1日運命の時を迎える。
東海岸ボルチモアのピムリコ競馬場。
街はこのレースのために閉店休業だ。
4000万人のアメリカ人がこのレースのラジオ放送を固唾をのんで聞いていた。
ルーズベルト大統領も仕事を中座してラジオを聞いていたという話だ。

ベルと同時にレースが始まった。意外にもビスケットが先行している。
今まで追い込み一辺倒だったのに。
向こう正面でウォーアドミラルが馬体を合わせてくる。
コーナーでも離れない。
しかし直線に入るやいなや「じゃあな」とウルフは言い捨て、ビスケットが加速してウォーアドミラルを突き放したところがゴールだった。
歓喜の渦だった。労働者が資本家に勝ったような騒ぎだった。

西海岸に凱旋したビスケットは本命に支持され当然勝つと思われていた。
ところがレース中、故障を発生し競争中止。
一命は取り留めたが、レースは二度と無理だとと医師には言われる。

競馬好きにはたまらない作品。
実話の映画化だ。
オグリキャップとトウカイテイオーを合わせたような話だなあ。
ゲイリー・スチーブンス(現役ジョッキー)が普通に演技してるのには驚いた。
アメリカ人はみんな俳優だ。

トビー・マクガイヤは良い仕事をした。
減量はきつかったと思う。
クリス・クーパーも渋かった。
でもやはりジェフ・ブリッジスがもっとも助演男優賞に相応しいと思ってしまう。

エリザベス・バンクスはまとまった顔の美人。
メキシコ人を演じていたがそっちの系統なのか?
「シャフト」に出ていたそうだがしばらく見ない間に凄い出世だ。
あとウィリアム・メイシーが脇役で好演。こういう親父を忘れてはならない。

晩菊 1954 東宝

2004年01月26日(月) 
No.123
監督 : 成瀬巳喜男
製作 : 藤本真澄
原作 : 林芙美子
脚色 : 田中澄江 / 井手俊郎 ◎
撮影 : 玉井正夫
音楽 : 斎藤一郎
美術 : 中古智
録音 : 下永尚

杉村春子 (倉橋きん)
見明凡太朗 (関)
上原謙 (田部)
加東大介 (板谷)
鏑木はるな (静子)
細川ちか子 (小池たまえ)○
小泉博 (小池清)
坪内美子 (岩本栄子)
望月優子 (鈴木とみ)
有馬稲子 (鈴木幸子)
沢村貞子 (中田のぶ)
沢村宗之助 (中田仙太郎)

芸者上りの倉橋きんは何より金が第一で、高利貸しをやったり不動産の売買をしていた。

昔の芸者仲間たまえは近所の旅館で仲居をやって生計を立てている。
息子清がひとりいるが、未だプータローだ。
しかもどこかの妾といい仲になってしまった。

とみは近所の会社で雑役婦をやって貧しい生活をしている。
競輪やパチンコが大好きでたまには勝つこともあるが、だいたいいつもからっけつだ。
だから麻雀屋に勤める娘幸子にせびっている。

のぶは亭主と飲み屋をやってる。
のぶは子どものある二人がうらやましくて仕方がない。
これから子供を作るんだと意気盛んだ。

きんは、旧友たまえやのぶにも金を貸していて、きっちり利子をとりたてる。
また若い頃きんと刃傷沙汰を起こした、関が会いにきても相手にしない。
しかし田部から会いたいと手紙を受けると、彼女はうきうきと化粧して男を待った。
だが田部は金を借りに来た。
きんはたちまち冷くなる。

幸子は母とみの言うことも聞かず、中年の男と結婚することに一人で決めていた。
無視されたとみは、酔いつぶれた。
幸子はとみの留守に部屋に入り込んで荷物をまとめ、新婚旅行に出かけた。
北海道に就職する清は、いい仲だった栄子と別れの酒をくみ交わした。

子供たちは母親のもとを離れたが、清を上野駅へ見送ったたまえととみは、子供を育てた喜びに充実感を覚えるのだった。
きんは関が警察へ捕まったと聞いても、私は知らないと冷たく云いすて、不動産物件を見に出かけた。

凄い!
杉村、細川、望月、沢村の四婆パワー全開だ。

一番若い望月が一番はしゃいでる。
杉村の冷めた目が印象的ね。
それから最大の収穫は藤山愛一郎夫人の細川ちか子だ。
品の良いおばさんで、昔は相当浮き名を流したことと思う。
しかし息子を思いやる気持ちの表出は一番だった。
お金持ちの奥方というだけでは済まない、演技力を感じた。

脚本もイイ。
林芙美子の三つの短編「晩菊」「水仙」「白鷺」を織り合わせて、一本の映画を作るワザには参った。
母として女として中年過ぎた女がいかに生きるか、
考えさせられる映画だった。

坪内美子がちょい役で出ていた。
ちょうど「浮草物語」を見たばかりだが、あれから19年経っていた。
化粧が変わったから、前もって情報を持っていなければわからなかったかも知れない。

ホフマン物語 1951 英国

2004年01月27日(火) 
No.124
監督 : Michael Powell / Emeric Pressburger
製作 : Michael Powell / Emeric Pressburger
原作 : Jacques Offenbach
脚本 : Emeric Pressburger
脚色 : Michael Powell
撮影 : Christopher Challis
指揮 : Thomas Beecham
音楽演奏 : The Royal Philharmonic Orchestra
美術 : Arthur Lawson
セット : Hein Heckroth

Robert Rounseville (Hoffmann)
Pamela Brown (Nicklaus)
Monica Sinclair (Song Nicklaus)
Robert Helpmann (Lindorf)
Moira Shearer (Stella)
Ludmilla Tcherina (Giulietta)
Ann Ayars(Antonia)

マイケル・パウエルとエメリッヒ・プレスバーガーの作品(他に「黒水仙」「赤い靴」など)。
全編を歌でつづるオペラ映画だ。
赤い靴に出演したバレエダンサーをこの映画でも多数起用しており、オペラ歌手の吹き替えを多用している。
ホフマンとアントニアだけが本職のオペラ歌手(共にアメリカ人)である。
原作のオッフェンバッハのものより、一時間近く短縮されている。

どうもこのオペラは苦手だ。
1人の女が3つの顔を持つことはわかるが、それを三人の女性に演じさせるのは無理がある。
オランピア(オペラならナタリー・デッセーのようなコロラトゥーラソプラノの担当)だけ共感を抱くが、他の二人は全く興味すら沸かぬ。
映画でもモイラだけは良いが、他の二人は記憶に残らない。

そのモイラも「赤い靴」の頃と比較すると、線は細くなってるが、動きが重くなった気がする。
その間に結婚したらしいが、それが影響したか。
「赤い靴」のときはポッチャリしていながら、バレエに切れがあって、艶もあった。
サドラーズウェルズ・バレエ団のプリマ・マーゴット・フォンテーンより上だと思っていた。
それも「赤い靴」の時だけだったようだ。

映画の造りにしてもオペラ形式を取ったのは如何か?
以後、オペラ映画が作られるが、これだけケバイ原色系の映画はこれだけだろう。
台詞の映画にしてもミュージカルにしても、いくらでも脚本の作り方はあったような気がする。


口紅殺人事件 1956 RKO

2004年01月27日(火) 
No.125
監督 : Fritz Lang
製作 : Bert Fried
原作 : Charles Einstein
脚本 : Casey Robinson
撮影 : Ernest Laszlo
音楽 : Herschel Burke Gilbert
Dana Andrews (Edward_Mobely)
Rhonda Fleming (Dorothy_Kyne)○
George Sanders (Mark_Loving)
Howard Duff (Lt.Burt_Kaufman)
Thomas Mitchell (Jon_Day_Griffth)
Vincent Price (Walter_Kyne)
Sally Forrest (Nancy_Liggett)

戦前ドイツの巨匠フリッツ・ラングが戦後のハリウッドで監督した作品。
名優そろいだが、結果は物足りない。


ニューヨークで深夜、一人暮らしの女性が殺された。
新聞社の社長は、この事件を解決したものを専務にさせようと思った。

第二の事件が起きる。
新聞記者エドは、犯人が侵入に使ったトリックを見抜く。
彼はカウフマン警部補の協力を得て、犯人のプロファイリングを行う。
さらにニュースで犯人を刺激して、彼の恋人のナンシーをおとりに使い、犯人に狙われるようにし向けた。
しかしナンシーとエドは喧嘩してしまう。
そのチャンスを付いて、白昼犯人はナンシーの部屋に侵入を図る。

ダナ・アンドリュース(我らが人生最良の年)、ロンダ・フレミング(らせん階段、OK牧場の決闘)、ジョージ・サンダース(イブの総て)、トーマス・ミッチェル(駅馬車)、ビンセント・プライス(アッシャー家の惨劇)と主演級を並べた。

だけど、中身は全然だった
プロデューサーは大損害だろう。

君と行く路 1936 PCL

2004年01月28日(水) 
No.126
演出  成瀬巳喜男
脚本  成瀬巳喜男
原作   三宅由起子
撮影  鈴木博
 
配役    
天沼朝次  大川平八郎
弟・夕次   佐伯秀男
母   清川玉枝
空木   藤原釜足
舞   高尾光子
尾上霞   山懸直代
暮津紀子  堤真佐子


朝次と霞は相思相愛。
しかし霞の親は会社の資金繰りに窮して、娘の政略結婚を望む。
朝次の母親は妾の身であり亭主を失っていた。
朝次には金銭的に霞を助けることはできない。

ある日、霞の執事が、霞が彼に書いた手紙を返してくれと言ってくる。
朝次は激怒して・・・

悲劇だが全く感情移入できなかった。
母親が芸者上がりだが、子どももお金持ちと結婚することがもっとも幸せだと信じている。
この時点で馬鹿馬鹿しくなってしまった。

大川平八郎は岡田英次に似ている。
涼しいいい男だ。
しかし作品に恵まれなかった。

月と接吻 1957 東宝

2004年01月28日(水)  No.127
監督 小田基義
脚本 新井一
原作「女優と詩人」 中野実
撮影 伊東英男

配役
二ッ木月風 三木のり平
妻千絵子 淡路恵子 △
態勢梅童 千葉信男
花島金太郎 昔々亭桃太郎
妻お浜さん 都家かつ江

一日か二日で取りあげた作品だと思う。


月風は売れない詩人。
その妻千絵子は人気女優。
千絵子はラブシーンのリハーサルを前に緊張している。
実生活で月風がそう言うことをしてくれないので、わからないのだ。
ある日、作家の梅童が下宿先を追い出されて月風の家に転がり込む。
夫婦生活を邪魔されて妻は怒り、つかみ合いの夫婦喧嘩が始まる。
しかしそれが収まると、また仲良くなるのが夫婦というもの。
二人は夕暮れの川辺で、ラブシーン(終り)

戦前の日本人はキスをしなかったそうだが、昭和32年になってもまだキスをしない夫婦があったのか?


淡路恵子は「野良犬」でデビューしたときは、どこの誰だ、という感じだったが、
「君の名は」「この世の花」と大作に出演し、Stardomを上り詰めた。

おそらく大作の合間を使って、淡路恵子の中編映画をちょっと作ってみようか、となったのだろう。
今後東宝には美人がどんどん入ってきただけに、この頃が若手女優として、一番良いときだったんだろうな。

三木のり平も若い!

不信のとき 1968 大映

◆ 2004年01月29日(木) 
No.128
監督 : 今井正
製作 : 永田雅一
原作 : 有吉佐和子
脚色 : 井手俊郎
配役:
田宮二郎 (浅井義雄)
岡田茉莉子 (浅井道子)
若尾文子 (米倉マチ子)
加賀まりこ(マユミ)
三島雅夫 (小柳幾造)

有吉佐和子が日経新聞に67年1年間連載した小説を映画化した。
人工授精をテーマにした、当時話題のジャンルといえよう。
(有吉佐和子は立派なトレンド作家だ。)
田宮ファンの俺も岡田茉莉子と若尾文子の顔合わせが興味深かった。

(なお、米倉涼子主演で2006年ドラマ化されている。)

☆ネタバレ注意☆

浅井は宣伝部長。
小柳は取引先の社長で羽振りが良い。
二人は食事に出かけると、そこには小柳の情夫マユミがいた。
実は彼女は妊娠しているが生む気がないらしい。
しかし小柳は何としても産ませたい。
浅井はふたりの仲裁にはいる。

浅井は銀座のマチ子とつきあっていた。
突然、マチ子が妊娠したと言い出す。
浅井と妻の間には結婚して10年間、子どもは出来なかった。
マチ子は生まれ故郷で子どもを生む。
浅井はマチ子の枕許へ駆けつけ、子どもを抱いた。
これが子どもというものか。

東京へ帰ってきた浅井に、妻道子は驚くべきことを言った。
「赤ちゃんができたの、4ヶ月よ。」
はじめは何のことかわからなかった。
次第に喜びが沸いてきた。
子どもは男の子だった。
とても父親に懐いている。

たまにマチ子のご機嫌を取っておこうと、彼女のアパートに行くと、腹痛がするという。
結局盲腸で入院することになった。
ところが道子とマチ子が病院で鉢合わせしてしまう。
自宅に戻ってから浅井は妻に平謝りだ。
妻は変なことを言う。
「マチ子の娘はあなたの子ではない。」
どういうことだと、問い質すと、「あなたは先天性無精子症で子どもの出来ないからだなの、だから私も人工授精したの。」
浅井は驚いた。
回りの女に騙されていたのは俺だったのか。

そしてマチ子に「俺は「無精子症」らしいから、君には僕の子を産めるわけがない。」と言うと、逆上して、二人の関係を示唆する怪文書を会社に送る。
マチ子は会社の会長のお気に入りだったから、話は会社中に知れ渡っている。

久しぶりに小柳に連絡した。
しかし小柳も子どもをマユミに押しつけられ、妻には逃げられ、それどころではなかった。

嘆息していたら、昔わけありだった人妻とばったり再会した。
子どもを連れている。
子どもが遊びに行かせておいて、「実はあの子はあなたの子よ」と打ち明ける。
浅井は自然と微笑みがこぼれてくるのであった。

最後の浅井の笑顔の意味をどう取るかで、映画の意味も変わってくる。
やっぱり俺だって子どもぐらい作れるんだ、という笑いか、
それともどいつもこいつもウソをついてやがる、と言う笑いだろうか。
まあ再検査をお勧めします(笑)

のっけから加賀まりこの手ぶらヌードだったから、期待がふくらんでしまったが、
結末はブラックユーモアだった。
男は何を信じて良いのやら。
ただし。小説の終わり方と映画の終わり方にはずれがあるような気がする。

今井正としては次作「橋のない川」にお金を掛けるためにやむを得ずした仕事と言う気がするが、
さすがに巨匠だ。よくまとまっていた。


2004.05.27

“エロ事師たち"より 人類学入門(1966)日活

エロ事師とは、エロ本を販売したり、ブルーフィルム(ピンク映画)を製作する人のことだ。
この作品はその生態を描いている。
野坂昭如原作
監督:今村昌平


現代のエロ屋とはどこか違って、昔のエロには滑稽さと悲しさがあった。
遠い記憶を呼び起こしてくれる佳作だ。

小沢昭一、坂本スミ子が内縁の夫婦役を熱演。
中村雁治郎も出番は少ないが美味しい役回りだった。
他にも田中春男、殿山泰司ら豪華オールスターで楽しませてくれた。
近藤正臣は初の助演級演技だった。

それからフナが重要な役を演じている。
カンヌ映画祭を取った作品「うなぎ」の30数年前に「フナ」の映画を撮っていたとは知らなかった。
よほど監督は釣りが好きなのか?


2004.05.26

名もなく貧しく美しく 1961 東宝

2004年01月11日(日) 
No.105
高峰秀子 (片山秋子)
小林桂樹 (片山道夫)
島津雅彦 (片山一郎(一年生))
王田秀夫 (片山一郎(五年生))
原泉 (秋子の母たま)
草笛光子 (秋子の姉信子)
沼田曜一 (秋子の弟弘一)

監督 松山善三
製作 藤本真澄 / 角田健一郎
脚本 松山善三
撮影 玉井正夫
音楽 林光

秋子(高峰秀子)は寺の嫁で聾唖者。
しかし終戦のどさくさで亭主が発疹チフスになり死んでしまう。
仕方なく、母(原泉)の元に戻る。

聾唖者の集まりで道夫(小林桂樹)が秋子に声を掛けた。
道夫は昔から秋子のことが好きだったそうだ。
秋子も悪からず思っているが、踏ん切りが付かない。
そんなとき駅員にキセルを疑われて道夫が殴られる事件が起きた。
これを契機に、聾唖者二人力を合わせて生きていかないと、この世は渡れぬ、と秋子は覚悟を決める。
二人の祝言は慎ましいものだった。

早速子どもが出来るが、子どもの泣き叫ぶ声が聞こえず死なせてしまう。
道夫の会社も倒産して、靴磨き生活だ。
そこへ秋子の母が家財道具背負ってやってきた。
息子が勝手に家を売ってしまって行くところがないと言う。
秋子はまた子どもが出来るから私たちを助けてね、と言った。
小林も子どもの話は聞かされておらず、びっくりした。

二人目の子ども一郎はすくすく育った。健康優良児三等賞ももらった。
道夫も靴磨きをやめ、植字工を始めた。
秋子も母にミシンを買ってもらい洋裁の仕事を始めた。

一郎は小学一年生。反抗期だ。
母親の言うことを聞かない。
それどころか母親を決して友達に会わせようとはしない。
また遊ぶ金ほしさに秋子の弟が大事なミシンを売り飛ばしてしまった。
この時期が高峰にはもっとも辛い時期だった。

やがて息子も五年生になって落ち着いてきた。
友人も家に呼ぶようになった。
秋子も一郎の友人と仲良くなった。
ミシンは月賦で買い戻した。
洋裁の手間賃が安すぎると、息子が怒鳴り込むと、店の親父は少し値上げしてくれた。
今日は卒業式だ。僕は来年だけど、そのときは総代をやるからね。と一郎は言う。
高峰が窓の外から卒業式を覗いてると、母が息せき切って飛んできた。
戦時中可愛がったあきらちゃんが、自衛隊に入って、制服姿凛々しくやってきたのだ。
良いことが重なる。
学校から家まで一目散に走った。
道を飛び出すとトラックが・・・

新学期、息子が母の思い出を作文にして語っていた。
帰りの市場で父と合流した。サンマを三尾買った。
この子がいれば安心だ。しっかり者だもの。

松山監督の名作映画。手話中心の静かな映画だ。
子どもを生むか生まないか、終戦で時期が悪いし苦しみ抜いて結論を出して、思い切って生んだら、すぐ死んじゃう。
しばらくしてまた出産し、ようやく育った子が、ませたガキで、母親の言うことなんか聞きやしない。
それでも大きくなってくると、しっかりした子どもに育っていく。
先だったお母さんも、思い残すことはなかったのではないかな。
この映画は母親の映画だと思う。母親の気持ちが素直に出た、良い映画だ。

原泉が好演、一郎の小学校一年生を演じたのは「お早う」の次男坊だ。
難しい役どころを演じきった。

草笛光子は珍しい悪役。
出てくる多くの人は悪役だ。

アメリカでも上演されたので、エンディングが何種類かあるようだ。


江分利満氏の優雅な生活 1963 東宝

2004年01月12日(月) 
No.106
監督 : 岡本喜八
製作 : 藤本真澄 / 金子正且
原作 : 山口瞳
脚色 : 井手俊郎
撮影 : 村井博
音楽 : 佐藤勝
美術 : 浜上兵衛
編集 : 黒岩義民
録音 : 矢野口文雄
配役:
小林桂樹 (江分利満)
新珠三千代 (夏子)
矢内茂 (庄助)
東野英治郎 (明治)
英百合子 (みよ)○
横山道代 (矢口純子)▲
中丸忠雄 (佐久間正一)
ジェリー伊藤 (ピート)
松村達雄 (赤羽常務)
桜井浩子 (泉俊子)△
二瓶正也 (田代)

江分利満はサントリーの広告部員、
さして期待されているわけでもなく、誰か飲み屋に誘ってくれないかなあと思い今日も働いている。
ある日飲み屋で意気投合した女性誌の編集部員に無理矢理小説を書かされることになる。
何を書くか迷うが、女性誌だからどこにでもいるサラリーマンの話が面白いだろうと、自分の毎日や母の死、父の落魄を描く。
それがなんと直木賞をとってしまう。


山口瞳の小説とその後の直木賞受賞の騒動を映画化。
1963年頃の社宅の生活ぶりが懐かしい。
家の前が舗装前で砂利道だったり。
あの頃貸本は10円だったんだなあ。
神奈川の話だが、数年後には大阪神戸にもああいう社宅がドット出来た。
三菱重工の家族用マンションは未だにある。

岡本監督はペース配分を間違っているのではないか。
最後の見せ場(当時のサラリーマンが戦争の生き残りだったこと)に来る前が冗長で、緊張感がとぎれた。

新珠三千代は、思っているよりずっとうまい女優だ。
「小早川家の秋」とか、家庭の主婦やらせたら、この人の右に出る人はない。

ちなみに同じサントリーの開高健(芥川賞)に似た人はいなかった。

無法松の一生 1958 東宝

2004年01月13日(火) 
No.107
監督 稲垣浩
製作 田中友幸
原作 岩下俊作
脚色 伊丹万作 / 稲垣浩
撮影 山田一夫
音楽 団伊玖磨
美術 植田寛
録音 西川善男
照明 猪原一郎
配役:
三船敏郎(富島松五郎)
芥川比呂志 (吉岡小太郎)
高峰秀子 (吉岡良子)
笠原健司 (吉岡敏雄)
笠智衆 (結城重蔵)
飯田蝶子 (宇和島屋おとら)
田中春男(俥夫熊吉)

戦時中1943年に阪妻、園井恵子で映画化されたがそのリメイクである。
見事1958年度ベネチア国際映画祭金獅子賞(グランプリ)を獲得してる。


日露戦争大勝利で沸く日本。
松五郎は喧嘩が大好きな人力車引きだ。
敏雄少年の怪我を助けた縁で吉岡夫妻と仲良くなる。
しかし大尉の吉岡がひょんな事からぽっくり死んでしまう。

以来女手一つで敏雄を育てる吉岡夫人だったが、その傍らにはいつも松五郎の姿があった。
松五郎はまだ弱々しい敏雄の父代わりとして、何かに付け面倒を見ていた。
運動会へ連れて行き、敏雄の目の前で勝利宣言をして500m競争を走ったが、そのとき敏雄は初めて人前で声をからして松五郎を応援した。
敏雄にとって一つの転機だった。
敏雄は音楽会では人前で臆せずひとりで歌いきった。

敏雄が中学へ進むと、健康になりワルの友人も出来て、学校同士の出入りに巻き込まれることもあった。
敏雄が怖じ気づいたらかわりに松五郎が一暴れだ。
しかし敏雄も松に何時までも、ぼん、ぼんと呼ばれるのだけは閉口していた。
母は折を見て、松に息子を吉岡さんと呼んでやってくれと頼むが、松は何か他人行儀になって淋しいのだ。

敏雄が熊本の五高へ上がったが、夏休み祇園太鼓の時期に帰省してくる。
松は敏雄の前で、「これが祇園太鼓たい。よう見ちょれ。」と久しぶりに撥を両手に取り、暴れ太鼓を打つ。

しかし、翌晩吉岡夫人と二人きりになったとき、突然吉岡大尉の写真を前にして「私は汚い男です。」と言い、吉岡家を永遠に去る。
愛の告白だった。

晩年の松は酒におぼれる毎日で、最後は心臓だった。
吉岡夫人や知人が形見分けに集まった。
松は吉岡夫人からもらった手間賃は全く手を付けていなかった。
それどころか、吉岡母子の名前で500円もの貯金をしていた。

阪妻・園井恵子を知ってる人が見たら、はたして三船、高峰はどうかなと思う。
また松が愛の告白をするところも、急な展開で前後のつながりがない。

吉岡夫人と別れてからの松の様子は、印象的なカットの連続だ。
この部分が芸術的でありベニスでも受けたのだろうが、今見てみると???

とはいえ、全般的にはエピソードで繋ぎ、派手な台詞も控えめで、それでいて最後はほろりと来る。
高峰の押えた演技が生きている。
車輪の回転のアップにより時間の経過を表現するシーンは、戦前から既にやっていたそうだ。


アンナ・カレニナ 1948 英

2004年01月14日(水) 
No.108
監督 : Julien Duvivier
製作 : Alexander Korda
原作 : Leo Nikolaevich Tolstoy

Vivien Leigh (Anna Karenina)
Ralph Richardson (Karenin)
Kieron Moore (Count Vronsky)
Hugh Dempster (Stepan Oblonskey)
Mary Kerridge (Dorry Oblonsky)

モスクワ駅でアンナとウロンスキー伯爵は出会った。
アンナは舞踏会で彼と親密さを増したが、彼に夢中になる自分が怖くなり、ペテルスブルグに戻る。
アンナの夫カレーニンはロシアの宰相だった。
アンナは満たされなかった。
息子までもうけたが、心は夫から離れていた。
そこへウロンスキーと再会し、二人は燃え上がった。
夫は離婚を持ち出し、息子の親権を求めた。
アンナは抵抗し、病に倒れる。
アンナも病気が治るまでは、家に引き込もって誰とも会おうとしない。
追いつめられたウロンスキーは、自殺を図った。

3度目の映画化はビビアン・リーが主役のアンナだが、演出が悪いのか、単にわがままな女としか感じなかった。
若いキティに嫉妬もあった。
子どもが可愛いのに、子どもを見捨てる。
女として生きていくのであれば、どっちかはっきりと覚悟を決めて欲しい。
おそらくアンナは阿片中毒になっていて、情緒不安定だったと思う。

ウロンスキーは優柔不断な、しかし未来ある若者。ちょっとアバンチュールな役だ。
ラルフ・リチャードソンは難しそうなウロンスキー役をらくらく演じていた。

しかし5回も6回も映画化されているが、どれも大した出来では無さそう。
ウロンスキーを主役に据えるとか、カレーニンを主役におくとか、男中心の芝居にした方が今どき受けるのではないだろうか?

十代の性典 1953 大映

2004年01月15日(木) 
No.109
監督 : 島耕二
脚本 : 須崎勝弥 / 赤坂長義
企画 : 土井逸雄
撮影 : 中川芳久
音楽 : 斎藤一郎

配役:
沢村晶子 (高校三年生・三谷かおる)◎
津村悠子 (中津川麻子)
若尾文子 (高梨英子)▲
南田洋子 (西川房江)△
長谷部健 (新田尚樹)
久保明 (房江と英子の同級生)
北原義郎 (新田の友人)
江原達治 (房江にラブレターを送る友人)
品川隆二 (新田の友人)
見明凡太朗 (英子の父啓之助)
東野英治郎 (房江の父留吉)
千田是也 (かおるの父修平)
鳩えり子 (かおるの母時子)
小沢栄 (麻子の父献太郎)
小田切みき (中卒の魚屋・倉田町子)○

昭和28年と言えば、「青い山脈」から4年ほど経って、高校生の性の悩みも増してきた。

かおるは卒業を間近に控えた高校三年生。
当時の高校三年生女子は妊娠についての性教育を受けることになっていた。
実はかおるには誰にも言えぬ大きな秘密があった。
かつて男の人に襲われて処女ではなかったのだ。
そのことを恋人の新田に知られる日がやってくることを恐れていた。

高校で事件が起きる。
房江が英子の財布を盗んで、その場を男子学生に見られたのだ。
教師は生理中のことだから、表沙汰にはしなかったが、当の房江のショックは大きかった。

一方、英子はラブレターをもらう。差出人はなかなかわからなかったが、先生に打ち明けて正体を確かめてもらった。
同級生の男子だった。
英子はかおるおねえさまに夢中だったが、ようやく男の子も気になり始める。

房江は学校をずる休みをする。街でお金を拾った。
家では父がお金に困っていたので千円立て替えたが、後でその金が拾ったものだとばれてしまった。
父は烈火のごとく怒り、房江は家を追われた。
そのとき中学時代の同級生で魚屋を営む真知子と出会う。
真知子には何でも打ち明けられる房江だった。彼女はバイト先を見つけてくれて、千円も前借りしてくれたのだ。

新田は悪友に絵を書きに行こうと誘われる。
麻子の家は親が放任で何でもやりたい放題だ。
麻子に絵のヌードモデルになってくれと言うと、みんなの前でさっぱり脱ぐ。
麻子は新田に気があるらしい。

かおるは卒業記念に湖のスケートに誘われる。
新田と滑った後、休もうとロッジに入る。
かおるの着替えを見て、新田が欲情し襲いかかってくる。
かおるは新田を振りきり裸同然で雪の中へ出ていった。
新田は後を追おうとしたが、今度は麻子に迫られ抱いてしまう。
ショックを受けたかおるはそのまま湖の中へ入っていき自殺してしまう。

かおるの父は遺品を整理していて彼女の日記を読んだ。
そこには心も体も汚された自分は生きていくことは出来ないと書かれていた。
かおるの葬式は牧師でもある、かおるの父母、新田、英子、麻子だけの淋しいものだった。

もうあれから一年が経った。
学校では英子が性教育を受けている。

小津「東京暮色」の有馬稲子の自殺と比べると、沢村の自殺の方が分かりやすい。
自分が処女じゃないってことがばれる恐怖に耐えかねて、衝動的に死ぬという気持ち。
50年経って、年齢を下って岩井「リリイシュシュのすべて」に繋がっていくのだが、
その悩みの内容は変わっても、若者の悩みの大きさは変わらない。

しかし少し異様な作品だ。

父が四人出てくるが見明凡太郎はイイとして、他は東野栄次郎、千田是也、小沢栄(太郎)と俳優座三羽烏である。
娘の父の演技がやたらと重厚である。

さらに魚屋の町子は、黒澤明「いのち」で志村喬の悩みを聞いてやる小田切みきじゃねえか。
ジャストミート名配役だ。
この子も俳優座だったはず。

そして主人公は絶世の美女・沢村晶子(アキコのちに美智子)、津村裕子、若くて歯並び矯正前の若尾文子、既に老け始めていた南田洋子まで高校生役で出演している。
主役の沢村美智子はあまり大成しなかったが、根本りつ子似の美人だった。
この映画時点で相当年を食っていたと思われ、セーラー服に無理があったかも知れないが、全く問題ではない。
映画の中で下着シーンを演ずるのは沢村だけだが、ポスターか何かでもっといやらしい写真を見たことがある。

大映の力の入れ方がわかろうというもの。

シェルタリングスカイ 1990 英

2004年01月16日(金)  No.110
監督 : Bernardo Bertolucci
製作 : Jeremy Thomas
製作総指揮 : William Aldrich
原作 : Paul Bowls
脚本 : Mark Peploe / Bernardo Bertolucci
撮影 : Vittorio Storaro
音楽 : Ryuichi Sakamoto
編集 : Gabriella Cristiani

Debra Winger (Kit)
John Malkovich (Port)
Campbell Scott (Tunner)
Jill Bennett(Mrs. Lyle)
Timothy Spall (Eric)

イタリア系砂漠映画だ。
主役の二人が好みではないので、
のちの「イングリッシュ・ペイシェント」と比べると、大して感動しない。

終戦後まもなくの1947年、北アフリカ。
作曲家のポート(ジョン・マルコヴィッチ)と、その妻のキット(デブラ・ウィンガー)は、深い喪失感を、新たな世界で癒すために、ニューヨークからやって来た。
その旅の道連れとなったのが、タナー(キャンベル・スコット)。
結婚して10年、欲求不満を感じるキットに、タナーは接近してゆく。
エリックは二人と別行動をとり、その夜キットとタナーは結ばれる。
タナーと別れ、再会したポートとキットは青空の下で愛を改めて確認する。
しかしポートの体はチフスにむしばまれていた。
砂漠の果ての町でポートは息絶える。
ついに一人きりになったキットは、アラブ人の隊商の中に身を埋め、男と体を重ねる彼女の眼はもはや何ものも映し出さない。

どうしてこの二人はアメリカにいるときに、子供を作らなかったのか?
戦争のため子どもを作るのを、避けていたのだろうか。

どっちにしろ亭主は死ぬ気でアフリカに来たのだろう。
女房は新天地で開放的になり、浮気を楽しんでいた。
亭主の機嫌が良くなり夫婦仲が戻ったと思った途端、亭主は病気になってしまう。
女房は泣きながら看病する。
彼女は、まんまと亭主のペースに乗せられている。

ストラーロのカメラは素晴らしい。「アラビアのロレンス」を超えた。
坂本龍一の音楽は大した事はない。

最初と最後だけ原作者自ら登場し、ナレーターをやってる。

戸田家の兄妹 1940 松竹

2004年01月17日(土) 
No.111
製作 ................  磯野利七郎
監督 ................  小津安二郎
脚本 ................  池田忠雄、 小津安二郎
 
配役    
戸田進太郎 ...  藤野秀夫
母 ...  葛城文子
長女千鶴 ...  吉川満子
長男進一郎 ...  斎藤達雄
妻和子 ...  三宅邦子
二男昌二郎 ...  佐分利信
二女綾子 ...  坪内美子
夫雨宮 ...  近衛敏明
三女節子 ...  高峰三枝子
友人時子 ... 桑野通子

---ネタバレあり。

父が急逝する。
その後、借金があることがわかり、家を処分することになった。

家を追い出された母と末娘は、長男夫婦のもとに居候になる。
しかし嫁の母いびりが厳しく、末娘は耐えられない。

それで長女のところに移る。
しかしここでも、妹の身で仕事を持つなんて世間体が悪い、と妹を叱り、子どもの教育に口を挟むな、と実母を疎んじる。

結局、母と末娘は、鵠沼の別荘へばあやを連れ、引き込むことにした。

やがて父の一周忌が来る。
中国天津勤務の次男坊が帰ってきて、事情を知る。
次男坊は母のことをあれだけ頼んでいたのに、どういうことだ!と兄妹たちを怒鳴りつける。
兄妹たちはすごすご引き上げていき、法事の席には次男と母と末娘だけが残る。
末娘は泣いていた。

次男坊は、こうなったら母と妹を天津に連れて行こうと決心する。
しかし妹は、友人の時子を兄の嫁に薦める。
時子は家柄は低いが、しっかり者の職業婦人だ。
次男坊は照れて何も言えない。
そして時子さんがみえました、と言う声を聞いて、裏口からそそくさと逃げ出すのだった。

---

辛口のホームドラマだ。
上流階級(斜陽族)のお話だから、貧乏人が見てると、いい気味だと思うことが多い。

高峰三枝子を可愛がる兄・佐分利信は非常に美味しい役だ。
しかし母を天津まで連れて行き、大丈夫か?
その後戦争に巻き込まれるわけだから、一番の親不孝者かも知れない。

桑野通子は年を重ねてきて久野綾希子に似てきたと思う。
どんどん華やかになっている。
それに比べると、高峰三枝子はお姫様の感じ、純日本風か。

父ありき 1942 松竹

2004年01月18日(日) 
No.112
製作担当   磯野利七郎
監督 小津安二郎
演出補助   西川信夫 鈴木潔 山本浩三 塚本芳夫
脚本   池田忠雄 柳井隆雄 小津安二郎
撮影  厚田雄治

堀川周平   笠智衆
良平 佐野周二
少年時代  津田晴彦
黒川保太郎  佐分利信
平田真琴   坂本武
ふみ   水戸光子

笠智衆が小津映画で初めて主演した作品。
天下の佐野周二や佐分利信を向こうに回して堂々の演技だ。

ネタバレあり---

周平と良平の親子は父子家庭。
子どもの身の回りの世話は、みんな親父が見ていた。
周平は教師だ。
修学旅行で生徒が羽目を外して湖にボートで入っていき、遭難する。
その事件で周平は自信を失い教師を辞する。

一旦は田舎でのんびり親子仲良く暮らしていたが、良平の中学進学と共に周平はひとりで東京に出ることにした。
田舎暮らしでは息子の学費もままならない。
だから、東京で働いて息子に仕送りしてやろうと思った。良平は心細くて泣き出した。

やがて時は経ち、良平は高校、東北帝大とすすみ、とうとう秋田の中学教師の職を手に入れた。
父は中途で教師を辞しただけに、喜びもひとしおだった。
そんな息子が休暇で東京に遊びに来るという。
また昔の教え子たちが同窓会をやってくれる。
毎日周平は気持ちよく酒が飲める。
しかしある朝、出勤前に父は倒れる。

---

良平が子どもの頃、数学教師の周平に円錐の体積を質問される。
そのとき、「3.14かける半径の二乗かける高さ・・・・・・÷3」と答えに間が空いたところが、印象に残った。

父親と暮らしたい息子の思いが結局満たされず終わるのだが、今どき、こんな殊勝な息子がいるだろうか?
だからお父さんのためにも、しっかりお国のために働いてくれということだな。
水戸光子が同僚先生の娘役で佐野の嫁になる。

二人妻・妻を薔薇のように 1935 PCL

2004年01月20日(火) 
No.113
監督 成瀬巳喜男
出演 千葉早智子(君子)
   英百合子(妾の雪)
   丸山定夫(父)
   伊藤智子(母・歌人)
   大川平八郎(恋人)
   藤原釜足(叔父さん)
   
戦前の美人女優千葉早智子がモダンガールに扮して登場。
その二年後、

君子は母と二人暮らし。
母は歌人として有名。
父はいるが、妾と田舎にこもっている。
妾との間に二人の子どもをなしていた。

母はある人から仲人をしてくれないかと言われる。
でも父が出席してくれるかどうか。

ある日、君子は父の姿を見かける。
きっと家に寄るだろうとごちそうをこさえて待った。
しかしやってきたのは、叔父さんだった。

君子は自ら田舎に乗り込むことにした。そこは貧しい山家だった。
父から送られてくる仕送りは、実は妾から送られていた。

君子は無理矢理に父を連れ帰るが、父と母は相変わらず会話がすれ違ってばかり。
それでも仲人は何とか済ませる。

そして父は再び妾の元へ帰っていく。
母は奥で泣いているのだが、止めようとはしない。
君子は「お母さん、あなたの負けよ」と呟いて、父を送り出すのだった。

「噂の女」での千葉早智子は和装中心だったが、この映画のように洋装のほうが良いな。
それほど美人ではないが、安心してみられる女優だ。

当時から評価の高い映画だ。
今見ると面白い映画だ。
芝居としてはパロディ精神横溢。
藤原釜足が下手な義太夫を詠じるところで手元のお銚子が揺れたり、鳥が暴れたりする。
また親子三人でタクシーをヒッチハイク風に止めるところは「ある夜の出来事」だ。


別の映画だが、映画「朝の並木路」#2 夢の中の逃避行 千葉早智子(1936)


嵐が丘(Wuthering Heights) 1939 UA

2004年01月21日(水) 
No.114
Directed by William Wyler

Written by Charles MacArthur, Emily Bront (novel)
Produced By Samuel Goldwyn

Merle Oberon .... Cathy Linton
Laurence Olivier .... Heathcliff
David Niven .... Edgar Linton
Flora Robson .... Ellen Dean
Donald Crisp .... Dr. Kenneth
Geraldine Fitzgerald .... Isabella Linton ◎
Hugh Williams .... Hindley
Leo G. Carroll .... Joseph, the servant at Wuthering Heights

エミリー・ブロンテの名作「嵐が丘」の1939年版。
アメリカで製作された。


ヒースクリフは孤児だったが、幼なじみのキャシーと将来を約束する。
しかし若い彼女は上流階級にあこがれ、エドガーと結婚してしまう。
ショックを受けたヒースクリフはアメリカへ渡る。
数年後、成功を収め金持ちになって嵐が丘に戻ってくる。

キャシーは偉くなったヒースクリフを見て、内心おだやかではない。
しかもヒースクリフはキャシーへの腹いせにエドガーの妹イザベラと結婚してしまう。

マール・オベロンは当時27才ぐらいだと思うが、キャシーの年齢ってもっと若いのではないかな。
原作では若い狂気を感じさせた。
それが映画では、やや老けた感じがした。
ヒースクリフ役のローレンス・オリビエについても同じことが言える。
主役の二人については少々違和感があった。

しかし素晴らしい助演者に恵まれた。
エレン役のフローラ・ロビソンやジョセフ役レオ・G・キャロルも良いが、
イザベラ役ジェラルディン・フィッツジェラルドが実に素晴らしい。
はじめに彼女が画面に現れたときは、あまり美人だとは感じなかった。
とくに印象が残らなかったのだが、ヒースクリフに恋心を感じてから、がらりと変身する。
極端な変わりように同じ人物かと確認した。

マール・オベロンより彼女の方に狂気を感じた。
この映画はキャシーよりイザベラである。
彼女は見せ場を持ってる人だ。好みの美人だし(笑)
アカデミー助演女優賞候補にもなったそうだ。

誰かの視点に固定して作れば、映画の面白みも増しただろう。
ゴールドウィンは原作にある部分、忠実に追いすぎて、面白さを捨てたような気がする。
ジェラルディン・フィッツジェラルドがいなければ、この映画の魅力は半減していた。

ジェラルディンも戦時中に女優としての活躍期が重なり、その魅力を生かしきったとは言えない。
おばあちゃんになっても、出ているが、もう90才だ。お体を大切に。


落第はしたけれど 1930 松竹蒲田

2004年01月21日(水) 
No.115
監督 小津安二郎
出演 斉藤達雄 田中絹代

ネタバレあり---

大学4年生が下宿で雑魚寝して共同生活している。
いよいよ卒業試験だ。
みんな必死にカンニングの方法を考えている。
しかし、斉藤達雄ひとりだけが落第する。

彼には、パン屋に恋人(田中絹代)がいるが、落第したことを打ち明ける度胸がない。
彼女は彼に手作りのネクタイをプレゼントするが、彼が煮え切らない態度を取ると、女は泣きながら「すべて知っています」と打ち明ける。

卒業した学生たちは新調の背広に着替えて就職試験に出かける。
しかしアメリカ大恐慌の影響のために、結局誰も就職できなかった。

落第した男は、六大学野球の応援に張り切って、また楽しい大学生活を続けている。

---

皮肉な話だ。
それにしても小津は戦前は早稲田ファンで大学ネタをよく取り上げた。
(戦後は東大趣味になってしまった。)
決して早稲田卒ではないのに、よく知っている。

アトランティックシティー 1980 米

2004年01月22日(木) 
No.116
監督 : Louis Malle
製作 : Denis Heroux
脚本 : John Guare
Burt Lancaster (Lou)
Susan Sarandon (Sally)
Kate Reid (Grace)
Michel Piccoli (Joseph)
Hollis McLaren (Chrissie)


ニュージャージー州アトランティックシティー。カジノの街だ。
サリーはカジノのディーラーを目指す女。
その隣人ルーはちんけな老ヤクザで、今はナンバーズを扱っている。
彼は仲間内では腰抜け呼ばわりされている。

かつてサリーの夫は、妹と駆け落ちしていた。
ところが、盗んだ麻薬を売るために、サリーを頼って身重の妹と一緒に、この町へやってくる。


巨匠ルイ・マルがアメリカで撮った作品。
バート爺さんとまだ若手だったスーザン、さらにケイト・レイドという婆さんを起用。年寄りの老いらくの恋を描いている。
スーザン・サランドンって20年経っても変わってないのは驚いた。
要するに昔から老け顔だった。

ステキな彼女 1980 台湾

2004年01月23日(金) 
No.117
監督 侯孝賢


鳳飛飛 (バン・ウェンチー)
鐘鎮濤 (顧大剛)
陳友 (馬遷)

ホウ・シャオシェン監督のデビュー作。
企画と撮影はチェン・クンホウ監督があたり、主役の二人には当時人気のアイドル歌手が起用された。

ターガンは貧乏な測量技師、ウェンチーは富豪の末娘。
ターガンはある日田舎の測量を命じられる。
一方、ウェンチーは見合いを嫌がって田舎のおばさんのところへ逃げてきている。
そこで偶然二人は出会う。
しかし台北に帰れば片や貧乏技師、片やお嬢様である。
ウェンチーはとうとう見合いをさせられるが、何と見合い相手にはフランスに残してきた彼女がいたのだった。
ターガンはウェンチーに愛を告白し、ウェンチーの父に結婚を申し込むが、父には拒絶される。
ターガンは最後の手段を採る。

他愛のないアイドル映画。台湾人の女性は化粧がきつい!

2004.05.25

人も歩けば 1960 東宝

2004年01月30日(金)  No.129
配役
フランキー堺(砂川桂馬)
沢村いき雄(成金義平)
沢村貞子(成金キン)
横山道代(成金富子)○
小林千登勢(成金清子)
桂小金治(木下藤兵衛)
春川ますみ(ナミ子)
森川信(日高泥竜子)
淡路恵子(佐倉すみれ)
加東大介(並木浪五郎)

監督 川島雄三
製作 佐藤一郎
原作 梅崎春生?
脚色 川島雄三


東京で住宅不足が社会問題になった頃の映画。
川島作品の割には面白くなかった。
フランキー堺のコメディでしかない。

小林千登勢はおばちゃんになってからと同じ顔していた。
美人タイプじゃないけど、目が大きくて華やかだった。
でもこの映画の出演者も、たくさん死んじゃったなあ。

氾濫 1959 大映

2004年01月31日(土)  No.130
監督 増村保造
製作 武田一義
原作 伊藤整
脚色 白坂依志夫
撮影 村井博
配役:
佐分利信 (真田佐平)
沢村貞子(真田文子)
若尾文子 (真田たか子)
川崎敬三 (種村恭助)
叶順子 (沢井京子)○
左幸子 (西山幸子)

伊藤整の小説の映画化。
その後15年ほど前にも「ラストダンス」の題でテレビドラマ化された。
(フジテレビ系列、児玉清、佐藤オリエ主演)
理科系のセックスと金に関するお話だ。
最近、ノーベル賞を取った田中さんや青色LEDの発明訴訟やら、理系出身者が話題だが、その先駆けになったような話。

☆ネタバレ注意

真田は高分子化学の専門家で三立化学の役員だ。
彼は種村という青年と出会い、彼の研究論文を読むとなかなか面白い。
種村には英訳し投稿することを勧めた。

真田には妻と娘がひとりある。
貧乏研究者だった真田は最近接着剤の研究が当たって役員に抜擢された。
羽振りも良くなり、妻も娘も上流の生活に慣れてきた。
妻はお稽古事で忙しい。
女子大生の娘も派手な生活を始めている。

真田は戦争中の知り合いの西山幸子から連絡をもらった。
彼女とは一度は男と女の仲になったこともあった。
その彼女が夫と死に別れた。
真田は再び彼女の面倒を看てやることにした。

真田家のパーティーで種村は娘のたか子に近づく。
種村は同郷の沢井京子とつきあっていたが、たか子とも関係を持つ。
妻も娘のピアノ教師と浮気してしまう。

種村は真田に防さび剤の研究を手伝って欲しいと言われる。
しかし種村は知り合いの大学教授に、その研究のことについて話すと、種村と二人だけで共同研究にしようと言われる。
その教授はその研究結果を三立化学に売り込み、小遣いを稼いだ。
種村も三立化学に正式採用される。

真田は防さび剤研究失敗の責任を取り役員を降りる。
社員研究員としてやり直しだ。
しかし、役員の座から転がり落ちると、回りの見る目も変わった。
娘が種村に捨てられ、妻もピアノ教師に捨てられた。
妻の不貞を知らされた真田は妻を責めると、妻も夫の浮気を責めた。
真田は家を出て、西山幸子の家に行ったが、相手にされなかった。

再び家に戻った真田だったが、もう一度離れた家族は元通りには戻らない。
種村は最近社長令嬢とつきあっているそうだ。

理科系も人間だから、セックススキャンダルもあるだが、小説で取りあげられることは珍しい。
役員になった途端に、生活が変り、派手になってしまった故の悲劇だ。

潮万太郎演ずる三立化学の社長が気に入った。
いかにも経営のプロで、理系技術者を馬鹿にしている。
それでも真田を役員にしたのは、技術者の志気を考えてのことだろう。
その後ドイツの防さび技術を買ってきたが、そのままでは使えないことがわかっても、誰かが何とかしてくれるだろうと至って脳天気である。
その結果、真田は失敗し、その替わり種村は成功した。
真田が役員辞表を出したことで、いいやっかい払いが出来たと喜んでいる。

沢村貞子が船越英二と浮気をするのには、驚いた。
沢村がよろめくのは違和感があったな。


イチかバチか 1963 東宝

2004年01月31日(土)  No.131
監督 川島雄三
製作 森田信 / 角田健一郎
原作 城山三郎
脚色 菊島隆三
撮影 逢沢譲
配役:
伴淳三郎(島千蔵)
ハナ肇 (大田原泰平、市長)
高島忠夫 (北野真一)
団令子 (星崎由美子、社長秘書)
福田公子 (星崎和子)
横山道代 (芸者〆子)○
山茶花究 (松永市議)
千石規子(横山、お手伝い)

城山三郎の小説の映画化だ。
市長派と反市長派のトラブルに鉄鋼会社の社長が巻き込まれると言うお話。
富山か福井あたりの話じゃないかと思う。
高島忠夫がいい仕事をしていた。

それから川島雄三監督は横山道代を重用する。
僕も彼女の若い頃は立派な美人女優だったと思っているので、嬉しい。
お手伝いを千石典子も好演。

川島監督は遺作になったが、最後の作品としては期待外れかも知れない。
しかしそこそこ楽しめる映画だった。

ニッポン無責任時代(1962)東宝

2004年02月01日(日)  No.132
監督 古沢憲吾
製作 安達英三郎 / 森田信
脚本 田波靖男 / 松木ひろし
撮影 斎藤孝雄
配役:
植木等(平均)
重山規子(佐野愛子社長秘書)
ハナ肇 (氏家勇作社長)
久慈あさみ (氏家時子、社長夫人)
峰健二 (氏家孝作、社長令息)→峰岸徹
清水元 (大島良介、ライバル会社社長)マグマ大使のアース様
藤山陽子 (大島洋子 ライバル社長の娘)
田崎潤 (黒田有人、乗っ取り屋)
谷啓 (谷田、総務部長)
安田伸 (安井、総務部員)
犬塚弘 (大塚)
石橋エータロー (佐倉)
桜井センリ (青木)
由利徹 (石狩熊五郎)
中島そのみ(麻田京子)
団令子 (まん丸)

何度も見ているので、トクに感想はない(笑)
楽しい音楽映画だ。

この映画が無責任シリーズ第一弾である。
「お姐チャン」シリーズを引き継ぐ形で始まった無責任シリーズだが、
これほどまで当たるとは思わなかったか。


重山典子って典型的なダンサー顔だなあ。
最初に見たときは、てっきり「あんパンのへそ」団令子と平均が一緒になるものだと思った。
中島そのみはキャラ的にはもっとも好きなタイプ。

でもやっぱり藤山陽子だろう。(相手役は改名前の峰岸徹。)


ハードデイズナイト 1964(2000) 英国

2004年02月01日(日)  No.133
「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」の邦題で1964年に公開されたビートルズの映画初主演作。
当時人気絶頂だった彼らの、 ある1日半の様子を追った擬似ドキュメンタリーだ。
「ナック」でカンヌグランプリをとったリチャード・レスター監督の作品。
当時の最先端を行く、ニューシネマだ。
ビートルズは音楽界はもちろん、イギリス映画界にも新しい時代をもたらした。
劇中で 「A Hard Day's Night」、 「I Should Have Known Better」、 「Can't Buy Me Love」を始めとする全11曲を披露している。

オリジナル・フィルムのネガを完全修復して、デジタル・リマスターを施した本作は、 2000年に再公開された。
ポールの爺さんがいい味。
リンゴ・スターはいつも虐められているな。

ヘンリV世 1945 英国

2004年02月01日(日)  No.134
Directed by Laurence Olivier
Writing credits Dallas Bower Alan Dent

Felix Aylmer Archbishop of Canterbury
Leslie Banks Chorus
Robert Helpmann Bishop of Ely
Vernon Greeves English herald
Gerald Case Earl of Westmoreland
Griffith Jones Earl of Salisbury
Laurence Olivier King Henry V

シェークスピア劇を元にした映画。
最初はシェークスピア時代の劇場で幕を開ける。
二幕以降は観客もなく普通の映画のシーンになった。

1415年、ヘンリ5世は国内の治安を確保したため、中断していた百年戦争を再開しフランス出陣を決める。
カレーを足場にアザンクールの戦いで圧倒的勝利を収める。
前夜王は兵隊に化け、兵たちの気持ちを聞いて回った。
そのために戦いの直前に兵の気持ちをひとつにすることができたのだ。

1420年、トロワの和約でフランス王女カトリーヌを妃に迎え、フランス王位継承権とフランスの西半分を正式に手にいれた。
(実際はフランス王になる前に赤痢でなくなった。)


彫りの深いローレンス・オリビエは、平面的に見えるメイクを工夫していた。

戦時中ということで、当時観客はこの映画を楽しんだんだろうな。


レニングラードカウボーイズ・モーゼに会う 1994 フィンランド

2004年02月02日(月)  No.135
監督 Aki Kaurismaki
製作 Aki Kaurismaki
原案 Aki Kaurismaki / Sakke Jarvenpaa / Mato Valtonen
脚本 Aki Kaurismaki
撮影 Timo Salminen
音楽 Mauri Sumen
キャスト:
Leningrad Cowboys
Matti Pellonpaa (Moses)
Kari Vaananen 
Andre Wilms (Johnson、CIA)

強烈なナンセンス・ロードムービーと言おうか?
聖書のパロディでもある。


途中カウボーイズの素晴らしい(?)演奏をたっぷり楽しむことが出来る。
音楽だけなら、ブルースブラザーズも真っ青だ。
大人数でブラスも入ったスカロックというところ。
しかしその間の演技が間があるのか、淡々とした感じで、笑おうとして待っているのに、スカされることばっかり。
アキ・カウリスマキ監督のいつものペースだ。

いつも思うのだけど、小津監督の作品をヨーロッパ人が見たら、こういう感じなのかなあ。
日本の若い連中が見てもこういう感じかも知れぬ。
何かギャップを感じる。

レニングラード・カウボーイズはフィンランドの人気バンド。
ソ連の合唱団とコラボレーションしたり、アメリカに乗り込んだり、大活躍だ。

ロマンス娘 1956 東宝

2004年02月03日(火)  No.136
監督 杉江敏男
製作 杉原貞雄
原作 井手俊郎 (平凡)
脚本 井手俊郎 / 長谷川公之
撮影 完倉泰一
音楽 神津善行
配役:
美空ひばり (ルミ子)
江利チエミ (エリ子)
雪村いづみ (ミチル)
森繁久彌 (森下)
宝田明 (久保田)

他愛のない音楽映画だが、僕は楽しめた。

まず主人公三人組。
チエミは脚が太い!
ヒバリが一番背が低い。
そしていずみがスタイルが良くて一番背が高いが、美人ではない。

ヒバリの母は清川玉恵(君と行く路)、
いずみの母はかつての人気女優花井蘭子だ。
江原達怡は俳優の垂水悟郎に似てると思っていたが、若い頃は中山秀征にも似てるな。
東宝にきてからよりも、大映時代の方が台詞は多かった。

歌では、脚をむき出しにして歌ういずみのポップスが素晴らしい。
チエミもすでに民謡風ジャスを歌い始めていた。
ひばりは相変わらず、変わらない。

しかしこの映画の見せ場は、三人の歌だけでなく、森繁久彌が「城ヶ島の雨」を歌ってくれるところだ。
森繁とチエミの共演は実に楽しみだった。


間諜最後の日 1936 英国

2004年02月04日(水)  No.137
出演: ジョン・ギールグット, マデリーン・キャロル, その他
監督: アルフレッド・ヒッチコック

第一次大戦の最中、スイスに潜むドイツスパイを探すため、英国軍人アシェンデンと殺し屋「将軍」が派遣される。
現地にはアシェンデン夫人に扮した女スパイ・エルサと、彼女を追いかけ回しているマービンがいた。
オルガン奏者がドイツスパイの情報を持っているはずだった。
教会へ会いに行くと、一足先に彼は殺されていた。
次いで怪しいと思われた人物をアルプスに誘い出して殺すが、とんだ人間違いだった(笑)
ついにチョコレート工場で、スパイの正体がわかる。

トーキーだが、凄いご都合主義映画だ。
ヒッチコックは初期には相当酷い映画を作っている。
これは名作「バルカン超特急」の習作と言うところか。

大学のお姐ちゃん 1959 東宝

2004年02月05日(木)  No.138
監督 杉江敏男
製作 藤本真澄
脚本 笠原良三
撮影 完倉泰一
音楽 神津善行
配役:
団令子 (園江敏子、ちゃっかり屋)
中島そのみ (水原美津子、お金持ちのお嬢様)
重山規子 (秋山重子、バイスバデーのダンサー)
江原達怡 (前原達夫、敏子のBF、ブローカー)
久保明 (大久保昭、美津子のBF)
夏木陽介 (ラッキィ・仲木、ドラマー、重子のBF)
宝田明 (高田信一、大学の先生)
司葉子 (幸田美智子、高田の婚約者)
平田昭彦 (岩船、保釈中のちんぴら)
左卜全 (千一不動産のおやじ)

懐かしいお姐ちゃんトリオ第一弾。
当時は、社長シリーズか何かの同時上映作品(要するに付録)だった。

中島そのみはロカビリーバンドのメインボーカル出身(「ヤダモン」の声優を演じた。)、
重山規子は日劇ダンシングチーム出身で当時もっとも脚が長い女性だったのでは?
この二人に挟まれて、「あんパンのへそ」団令子が美人に見えちゃう。

宝田明や司葉子らメイン映画級のキャストは美味しいところだけやって、さっさと消えていく。
久保明、夏木陽介、江原達怡はまだサブ映画のメインキャストでしかなかった。

次のコンピレーションCDにこの映画から三曲ほどはいっている。


第七天国 1927 米国

2004年02月06日(金)  No.139
監督 フランク・ボーゼイジ
主演 ジャネット・ゲイナー チャールズ・ファレル

第一回アカデミー賞で監督賞、脚色賞、主演女優賞を獲得したサイレントの名作。

第一次世界大戦直前のフランス。
道路掃除人のチコは、姉に虐待されているディアーヌを助ける。
その場だけで別れるつもりだったが、彼女の優しさにチコは彼女を愛してしまう。
チコとディアーヌが結婚した日、チコは第一次世界大戦に招集される。
戦争が終わり、パリの留守宅にチコの死亡が知らされる。

神とは何かという大きな問題を扱っているようだ。
主演女優賞のゲイナーが演ずるのは、最初は虐待される小柄な女性ディアーヌだ。
ただ耐えているだけではなく、強い女性に変身する。
そのあたりがアメリカ映画らしい。
顔つきもウィノナ・ライダーなど今に通じるものがある。


タイトルはチコの部屋のこと。
自分の住んでいるところが、七階にある天国。


つばさ 1927 米国

2004年02月07日(土)  No.140
Directed by William A. Wellman

Clara Bow Mary Preston
Charles 'Buddy' Rogers Jack Powell
Richard Arlen David Armstrong
Jobyna Ralston Sylvia Lewis

第一回アカデミー作品賞を取った名作戦争映画。

チャールズとリチャードは共にアメリカ空軍のパイロット。
フランス戦線でドイツ空軍と死闘を繰り広げている。
ある日、リチャードは敵に撃墜されてしまう。
リチャードは死んだと思われたが、彼はしぶとく生き延びて、ドイツ軍の飛行機を盗み逃げ帰る。
しかしリチャードの敵を取ろうと躍起に構えるチャールズは、リチャードの飛行機を撃墜してしまった。

戦争が引き起こす悲劇。
でもリチャードも助かりたければ、何か他にやり方があっただろう。

当時から空撮の技術は凄いものがある。
おそらく軍事技術だったんだろうなあ。
映画自体は長い、サイレントなのに二時間映画。

ゲイリー・クーパーがすぐ死んでしまう兵士役で出てる。



ロード・オブ・ザ・リング・旅の仲間たち 2001 NZ・アメリカ

2004年02月07日(土)  No.141
監督 ピーター・ジャクソン
出演
イライジャ・ウッド
ヴィゴ・モーテンセン
リヴ・タイラー
ケイト・ブランシェット
クリストファー・リー
イアン・ホルム
イアン・マッケラン ほか

指輪物語の第一作。
ワーグナーの楽劇4部作「リング」と同様に、ヨーロッパ伝説を基にしている。
何故かIMDBでは凄い人気だ。

ハリー・ポッターが日本では人気だが、どうやらアメリカではこちらの勝ちのようだ。
第三作はアカデミー賞の最有力候補になった。
トリロジーだが、三本とも同時撮影しているので、水準は高そうだ。
NZの製作会社は一生遊んで暮らせるぐらいの金を掴んだろう。

しかしはたしてどこが面白いのか?
日本人には難しそうだ。
ワーグナーの「リング」で十分ではないか?
スターウォーズよりマシだが、やはり二度見る気はしない。

ホビットやドワーフ、エルフ、ミスリムなどコンピュータRPGファンなら馴染み深い世界だ。
一番弱いホビットが主人公なので、他の部族とパーティーを組んで目的地にいくわけだ。
ホビットは小人なので、エルフや魔法使いと背丈が違う。
それを特撮で上手にごまかしているが、違和感は残る。
イアン・ホルムとイアン・マッケラムが並んだとき、背丈が半分以上違った。

リブ・タイラーは父親の遺伝の影響が強く出すぎている。
それと比べてケイト・ブランシェットはやはり美しい。文句の付けようがないでしょう。
メイクしてブスになっているが、実物はもっと綺麗だよ。

それにつけても長い映画だった。
二部と三部も同様だろう、もう見たくないなあ。

盗まれた恋 1951 新東宝

2004年02月07日(土)  No.142
監督 市川崑
脚本 和田夏十 市川崑
撮影 横山実
配役
蟹良子 久慈あさみ
能登半子 加藤道子
阿久根隆 森雅之
三田門太 川喜多小六
宗方宗太郎 志村喬
古谷秘書 伊藤雄之助
吉崎画商 清水将夫

良子はダンサーだったが劇団が解散してしまった。
生活苦から結婚を望む。相手はいつも花を贈ってくれる阿久根、銀行の役員だ。
しかし阿久根は恋愛がいい、結婚は嫌だ。とのたまう。
その上、もし君に婚約者がいたら、僕が一人前にして上げると言う。

良子はカッと来て、阿久根をぎゃふんと言わせてやろうと思う。
早速、三田という売れない画家をスカウトする。
一躍、画壇の寵児になる三田。
しかし酔った美術評論家が金で記事を書かされていることを喋ってしまい、三田は姿を消す。

評論家宗方は改めて三田の作品を見る。何枚か見込みのある絵があった。それを画廊に持ち込む。
三田は連れ戻され良子は心から謝る。三田は良子にプロポーズする。

久慈あさみの映画だが、若さが感じられなかった。
早くから老け役に回ったように地味な人だ。
川喜多小六(のちの雄二)のデビュー二作目らしい。
すでにヒロインの相手役、後には二枚目として活躍した男だが、
ひょうひょうとした味が出ていて、昭和20年代のヒーロー像だったかもしれない。
市川昆初期の演出だが、アップの多用も既にその萌芽が見られた。


しとやかな獣 1962 大映

2004年02月08日(日)  No.143
監督 : 川島雄三
原作 : 新藤兼人
脚色 : 新藤兼人
企画 : 米田治 / 三熊将暉
撮影 : 宗川信夫
音楽 : 池野成
配役:
若尾文子 (三谷幸枝)
伊藤雄之助 (前田時造)
山岡久乃 (前田よしの)
川畑愛光 (前田実)
浜田ゆう子 (前田友子)
高松英郎 (香取一郎)
小沢昭一 (ピノサク)
船越英二 (神谷栄作)
山茶花究 (吉沢駿太郎)


団地の一部屋にセットを限定した川島雄三の傑作ブラックコメディ。
新藤兼人がオリジナル脚本を書いた。


前田夫妻のもとに芸能プロの社長香取が怒鳴り込んでくる。
息子実が使い込みをしたというのだ。
父と母は申し訳なさそうな顔をして謝っていたが、ほんとうは息子とぐるである。

香取が帰って程なく、実が戻ってくる。
実は50万円ほど父母に渡していたが、今の社長の話じゃ、相当な金額を横領しているようだ。
父はさらに金を息子に無心する。

そこへ長女の友子が帰ってくる。
妾をやっているが、旦那の作家先生に暇を出されたと言う。
父母が借金をしたり、実が吉沢先生の名を使って銀座で豪遊するのが気に入らないらしい。
吉沢先生もやってきた。慌てて友子は姿を隠す。
吉沢も言いたいことを言ったが、本音では友子に戻ってもらいたいようだ。

芸能プロの経理を担当してる幸枝がやってくる。
息子はこの女に貢いでいたのだ。
友子が覗いているにもかかわらず、実が幸枝を求めると、幸枝は別れ話を切り出した。
「横領したのはあなたよ、私には関係ないわ、会社に辞表を出したわ、会社とも今後関係ないわ」と計算ずくでものを言う。
香取もやってくるが、幸枝は動じない。
幸枝は香取の脱税のしっぽを掴んでいるのだ。


山岡久乃が怪演だ。
普通のお母さんの演技でありながら、毒を吐きまくっていた。

伊藤雄之助はいつものように、のらりくらりである。

船越英二が気の弱い税務署員の役で出てくる。


実と友子がゴーゴーを踊っているが、そのバックに流れる音楽が能楽なのだ。
当時としては斬新な音楽だ。ドキリとした。

早春 1956 松竹

2004年02月10日(火)  No.146
監督 : 小津安二郎
脚本 : 野田高梧 / 小津安二郎
撮影 : 厚田雄春
音楽 : 斎藤高順
美術 : 浜田辰雄
配役:
池部良 (杉山正二)
淡島千景 (杉山昌子)
浦辺粂子 (北川しげ)
宮口精二 (田村精一郎)
杉村春子 (田村たま子)
岸恵子 (金子千代)
高橋貞二 (青木大造)
笠智衆 (小野寺喜一)
山村聡 (河合豊)
長岡輝子 (母さと)
東野英治郎 (服部東吉)
須賀不二夫 須賀不二男(田辺)
中村伸郎 (荒川総務部長)

杉山は東京の有名企業でサラリーマンをしている。
妻昌子との間は最近倦怠気味だ。
実は子どもがいたのだが、疫痢で亡くして以来、杉山は何もする気が起きないのだ。
仕事仲間と遊ぶことばかり考えている。
そんな心の隙を千代はついてきた。

ある日、二人は外泊してしまう。
女房はごまかしたが、会社の連中がかぎつけた。
会社の食事会で千代はみんなに責められる。
しかし杉山はそのころ三浦の見舞いに行っていた。

見舞いから戻ると、千代が顔を出してくれと訪ねてくる。
妻にはばれたようだ。
次の日から妻は里へ帰った。
三浦も死んでしまった。
三石への転勤の話も部長から出てくる。
しょうがなしに一人で荷物をまとめ赴任先へ行く杉山。

三日経ってようやく妻もやってきた。
杉山は妻に謝る。
新しい土地での生活が二人を待っている。
何かが変わりそうな気がした。

サラリーマン物語かと思ったが、後半は淡島千景と岸恵子の、女の戦い。

岸恵子はほれっぽくて、あとぐされも若干残すタイプ。
男からするとちょっと怖いタイプだ。

淡島千景は静の演技が多く、客の気持ちをぐっと引きつけるものはなかったように感ずる。
ただ、女性としてリアリティは感じた。

池辺良はやはりどっちつかずで、女にだらしないタイプ。

それにしても、会社の仲間の「蛍の光」といい、軍隊仲間の「ツーレロ節」といい、カラオケのなかった頃は、みんな合唱好きだったんだな。


医師 Le Cas du Dr Laurent 1956 仏

2004年02月11日(水)  No.147
監督脚本 ジャン・ポール・シノワ
撮影 アンリ・アルカン
音楽 ジョセフ・コズマ
出演 ジャン・ギャバン
   ニコール・クールセル
   シルビア・モンフォール

珍しい性教育映画だった。妊娠から出産までばっちり見せます。

サンマルタン村に新任の医師ローランがやってくる。彼は村の女性が出産時の痛みに対して恐怖心を持っていることに気づく。それなのに人々は、出産するのだから苦しむのは当然だ、と考えていた。パリでは無痛分娩が流行しているが、村ではまだ普及していなかったのだ。
ローランはパリで技術を学び、村で講習会を開く。女性達は興味を持ち集まるが、男達の反応は冷ややかだ。最近出産して痛みのあまり、出産に恐怖を感じて夫を拒絶するようになったカトリーヌもこの新しい出産法が気になって仕方がない。フランシーヌは未婚の母になろうとしているが、ローランの実験台に志願する。
しかし古い考え方にとりつかれた助産婦や村の医師会はローランのやり方こそ迷信であり、自己宣伝に該当すると言って、弾劾する。それに対してフランシーヌら患者や女性達はローランの無実を証明するため、医師会の面前で無痛分娩を実行する。

52年にパリで無痛分娩が流行し次第に全国に普及するのだが、最初のうちはかなり反発が強かったようだ。今で言うとラマーズ法の前身みたいなものか。

しかし生まれたばかりの赤子は柔らかいピンポン球か、ゆで卵みたいなものだな。

2004.05.24

セントマーティンの小径 1938 英国

2004年02月11日(水)  No.148
Directed by Tim Whelan
Writing credits Bartlett Cormack Clemence Dane

Charles Laughton Charles Staggers
Vivien Leigh Libby
Rex Harrison Harley Prentiss
Larry Adler Constantine
Tyrone Guthrie Gentry

ビビアン・リーが、「風と共に去りぬ」出演直前に英国で撮った作品。
気の強いキャラクターを、この作品の時点で既に確立している。


大道芸のチャールズは40前の独身親父。
リビーという小娘を拾う。
彼女は踊りと歌にいいものがあり、主演女優に仕立て上げられる。
しかし作曲家ハーリーに見いだされ、彼女だけ大劇場にスカウトされる。
やがてリビーはスターダムを上り詰めた。
リビーはある日、めくらの格好をして乞食の真似をして歩いているチャールズと出会う。

チャップリンの「街の灯」をベースにしたお話。
レックス・ハリスンは若い!
ヴィヴィアン・リーも悪くない。


冒険者たち 1967 仏

2004年02月12日(木)  No.149
Alain Delon (Manu)
Lino Ventura (Roland)
Joanna Shimkus (Laetitia)△
Serge Reggiani (Pilot)

監督 : Robert Enrico
原作 : Jose Giovanni
脚色 : Robert Enrico / Pierre Pelegri / Jose Giovanni
撮影 : Jean Boffety
音楽 : Francois de Roubaix

学生運動の真っ最中に公開され、若者に大きな支持を得た作品。
マヌーはローランやレティシアの応援を得ながら凱旋門を飛行機でくぐる曲芸飛行を企てていた。しかし危険な飛行をしたということで、ライセンスを取りあげられる。ローランは自動車レースに参加していたが、自分のメカを事故で燃やしてしまう。レティシアはアーティストだが個展で新聞にたたかれ自信を喪失する。みんな大きな借金だけが残った。
三人は心機一転コンゴの海の底に沈んだ飛行機に残された財宝を探しに行く。現地でその飛行機のパイロットと知り合い、ついに財宝を発見する。一人一億フランの取り分だ。しかしギャングが横取りを狙って襲いかかる。銃撃戦の末、敵は撃退したがレティシアは撃たれて死ぬ。ローランとマヌーは彼女に潜水用具を身につけさせ海の底深く沈める。
二人はレティシアの遺産を届けるため旅をする。やがて彼女の甥を海辺の街で見つけた。さらに生前彼女が話していた海上要塞もそこにあった。ローランドはレティシアの想い出の海に残る。しかしマヌーはパリに戻る。ギャングがマヌーの跡を付けはじめていた。再び島にマヌーが戻ったとき、ギャングが再び襲いかかる。マヌーは撃たれ死んでしまう、ローランだけがただ一人生き残る。

ジョルジュ・シムカスはジャクリーヌ・ビセットと比べると大した美人ではなかった。またリノ・バンチュラが青春スターしてるのが違和感があった。
この時代の映画、「明日に向かって撃て」もそうだが、二人の男と一人の女が出てくると、流行ったんだなあ。さらにこの映画では、主人公たちが挫折を味わうところが丁寧に描かれている。今の感覚からすると、丁寧すぎるような気もする。

驟雨 1956 東宝

2004年02月13日(金)  No.150
監督 : 成瀬巳喜男
製作 : 藤本真澄 / 掛下慶吉
原作 : 岸田国士
脚色 : 水木洋子
撮影 : 玉井正夫
音楽 : 斎藤一郎
配役:
佐野周二 (並木亮太郎)
原節子 (妻文子)
香川京子 (姪あや子)
小林桂樹(今里念吉)


小説を読んでるような気にさせる、家庭劇(ホームドラマ)だ。
夫婦に次々と襲うトラブル、おかげで次第に妻の方の立場が強くなる。
原節子はどんどん強い女性に変身する。


音楽はピアノソロを使ってる。
昭和31年から、こういう音楽あったんだなあ。
最近は多いタイプの映画音楽だけど当時としては珍しいのではないか。



ロシュフォールの恋人 1966 仏

2004年02月14日(土)  No.151
出演
Catherine Deneuve (Delphine)
Francoise Dorleac(Salange)
George Chakiris (Etienne)
Gene Kelly (Andy Miller)
Jacques Perrin (Maxence)
Danielle Darrieux
Michel Piccoli (Simon_Dame)
Grover Dale (Bill)

監督 : Jacques Demy
脚本 : Jacques Demy
撮影 : Ghislain Cloquet
作曲 : Michel Legrand
作詞 : Jacques Demy
美術 : Bernard Evein

双子の姉妹とその母の恋を描くミュージカル。男女四人組のダンサーがロシュフォールにやってきた。週末の祭りに参加する予定だ。しかし女性二人が水兵に恋をして、チームから抜けてしまった。残された男二人は喫茶店の双子の娘が適役だと知り、あわてて彼女らをスカウトする。
喫茶店をやっている母は、今なら「照る照る家族」の照子さんだろう。その日は機嫌がいいのか客に昔話をする。昔、ダム氏という男と愛し合ったことを。彼女はダム氏はパリにいるものと思っていた。しかしそのダム氏はパリを離れ、ロシュフォールにいたのだ。楽器店をやっていた。その楽器店には音楽家志望の双子の姉ソランジュがよく行くのだ。
ソランジュは弟を迎えに来て道で外国人の男性とぶつかる。彼女はその男アンディと運命的なものを感じた。アンディはアメリカの音楽家で演奏旅行の途中にダム氏を訪ねてきたのだ。
双子の妹デルフィーヌは強欲なBFと別れ、自画像を描いてくれた画家に恋しているが、当の画家は兵役に取られている。
日曜日の祭りは大成功だった。二人は歌に踊りに大活躍だった。月曜日二人はパリに行くことになっていた。しかしアンディが戻ってきた。ソランジュはアンディの元へ。母もデルフィーヌの口からダム氏の話を聞き、ダム氏の元へ。たった一人残されたデルフィーヌは寂しくパリを目指して自動車旅行へ出るが、途中で軍を除隊した画家がヒッチハイクしていた。

ジャックデゥミの作品と言うよりミシェルルグランの傑作ミュージカルだ。アメリカ風のミュージカルに飽き飽きしていた僕にとっては新鮮だった。壺に入ったと言おうか。ジャズでもクラシックでもポップスでも何でもござれ、それがこの人の凄いところだ。
アンサンブルのダンスは本場のバレエ仕込みだから、抜群だった。ジーン・ケリーはそこに入って、違和感全くなし。でもジョージ・チャキリスは下手にみえた。
フランソワーズ・ドルレアクはジュリアン・ムーア型だな。美人じゃないが性格を生かせば、映画で活躍したろう。ドヌーブの姉と言うことで、これからってところで事故死した。
でもはっきり言って、僕の好みは年増のダニエル・ダリューだ。「赤と黒」のときから年増の愛人だった。だからもう相当年を取ってるはずだ。でもこういうおばさまには弱い。

「ロシュフォール」の方が、「シェルブールの雨傘」より明るい。こっちの方が好きだ。
ロシュフォールの恋人たちLES DE MOISELLES DE ROCHEFORT

略奪された七人の花嫁 1954 MGM

2004年02月16日(月)  No.152
出演
Howard Keel (Adam)
Jane Powell (Milly)
Jeff Richards (Benjamin)
Russ Tamblyn (Gideon)
Tommy Rall (Frank)
Marc Platt (Daniel)
Matt Mattox (Caleb)

監督 : Stanley Donen
製作 : Jack Cummings
原作 : Stephen Vincent Benet
脚色 : Albert Hackett / Frances Goodrich / Dorothy Kingsley
撮影 : George Folsey
音楽 : Gene de Paul
音楽監督 : Adolph Deutsch
音楽監修 : Saul Chaplin
作詞 : Johnny Mercer
美術 : Cedric Gibbons

MGMの名作ミュージカル。
さすがMGMである。面白かった。


アダムはきこりや農業で生計を営む。男ばかりの七人兄妹の長男だ。
久しぶりに里に下りた彼の目的は、花嫁を捜すこと。
ミリーというコックに、一目惚れしてしまう。
彼女も、彼の豪放磊落なキャラを気に入る。

彼女は、彼に六人もの兄弟がいることを知らなかった。
その日のうちに牧師の前で結婚式を行い、家路を急ぐ。
帰路、彼女は新婚の夢を語って聞かせる。
アダムはなかなか真実を打ち明けられない。

家に着くと、むさ苦しいのが6人腹を空かせて待っていた。
ミリーは思った。「これでは里でコックしていた方がマシじゃないの。」

ミリーは兄弟を連れて、里へ買い出しに出た。
途端に里の連中と喧嘩だ。
しかも兄弟は里の若い娘を見て、色気づいてしまう。

家に戻りミリーは兄弟にマナーをしつける。
身だしなみも重要だ。
再び里へ下りたとき、兄弟はどこの誰だかわからぬほど洗練されていた。
しかしアダムが倒されたのを知り、結局、兄弟は里の連中とトラブルを起こす。

季節は冬になろうとしている。
騒ぎを起こして、兄弟はもう女の子に近づくことは許されない。
誰もがうんざりしてるところに、アダムが言った。
「花嫁を掠奪しよう。」

ハワード・キールは、でかくて歌も上手。
ジェーン・パウウェルは小さくて魅力的。

しかしこのミュージカルの見せ場は、6兄弟と6人の花嫁のダンスシーンだ。
とくに男はアクロバット的な動きをふんだんに取り入れる。

ジャック・ドゥミ監督のフランスミュージカル映画「ロシュフォールの恋人」と比べると、バレエの違いが歴然としてくる。
「掠奪」は全く洗練されていない、力強さで勝負している。
「ロシュフォール」はヨーロッパバレエが基本になってるから、何をしても優雅だった。

こういう映画は、ヨーロッパ人には作れない。


初姿丑松格子(1954)日活

2004年02月17日(火)  No.153
監督 : 滝沢英輔
製作 : 星野和平
原作 : 長谷川伸
脚色 : 橋本忍 ○
配役:
島田正吾 (料理人丑松)
島崎雪子 (丑松女房お米)◎
滝沢修 (岡ッ引き常吉)
石山健二郎 (料理職元締四郎兵衛)
宮城千賀子 (四郎兵衛女房お今)△
辰巳柳太郎 (浪人金子市之丞)
加東大介 (料理人祐次)

戦前は日活と言えば時代劇だった。
これは石原裕次郎が登場する直前の頃の作品。
新国劇総出演と銘打っている。
新国劇の人気狂言だったのだ。
しかし私のお目当ては島崎雪子である。
彼女には華がある。


江戸時代、本所のお話。
丑松は腕の良い料理人だ。同じ店で働くお米と晴れて祝言を上げる。

しかしお店の若旦那が強欲な男で、お米の母に金を貸して、そのかたにお米を思いのままにしようとする。
あぶないところで丑松が帰ってきて、逆に若旦那を刺し殺してしまった。
丑松はお米を兄貴分の四郎兵衛に預け、旅に出る。

丑松は熊谷宿で板前をやっていたが、二年も経ち江戸が恋しくなった。
その江戸への帰り道、ふと板橋の女郎宿へ立ち寄る。

そこに変わり果てたお米がいた。
お米は四郎兵衛によって板橋に売り飛ばされたのだ。

潔癖な丑松は苦界に落ちたお米に対して、思わずかたくなな態度をとってしまう。

島崎雪子は印象に残る演技ではなかったが、やはり美人だった。
島崎雪子というのは芸名で、「青い山脈」の主人公の名をもらったそうだ。
東宝としては杉葉子、角梨枝子と並んで三人娘で売りたかった。
しかし原節子とは違い、島崎は色っぽいお姉さんだ。
当時からスキャンダル女優で、轟夕起子と主役の座を争って、失踪騒ぎまで起こしたそうだ。
その後、神代辰巳監督と結婚し、シャンソン歌手としてデビューし、紅白歌合戦にも出演した。
離婚後、シャンソン喫茶やクラブを開き、人気になったそうである。


島田正吾が主演だが、若い頃は悪役顔だった。
新国劇のもう一人の看板俳優・辰巳竜太郎も本筋には関係ない役だが、逃亡を手助けする浪人役で出演している。
こっちは顔は変わってない。



愚か者の船 1965 コロムビア

2004年02月17日(火)  No.154
監督 : Stanley Kramer
製作 : Stanley Kramer
原作 : Katherine Anne Porter
脚色 : Abby Mann
撮影 : Ernest Laszlo
音楽 : Ernest Gold

Vivien Leigh (Mary_Treadwell)
Simone Signoret(La_Conesa)
Jose Ferrer (Rieber)
Lee Marvin (Tenny)
Oskar Werner (Dr._Schumann)
Elizabeth Ashley (Jenny)
George Segal (David)

1933年の大恐慌直前。
ナチスは数ヶ月前に政権を取っていた。

メキシコを出航したベラ号は、二流の客船である。
船員はドイツ人で、客はドイツ人、ユダヤ人、スペイン人、アメリカ人だ。
急遽、キューバに寄り、ヨーロッパからの出稼ぎ労働者を乗せていくことになった。

その中にはスペインの伯爵夫人もいた。
彼女は民衆側に立って、地主に対して抵抗したので、政治犯として国外追放にあっていた。


グランド・ホテル形式の佳作。
ホテルでなく客船になると、身分差別に対する登場人物の考えがはっきり出る。

ビビアン・リーは中年の外交官夫人、夫と別れて欲求不満だ。
これが最後の映画である。

シモーヌ・シニョレも「悪魔のような女」のころはまだ若かったが、10年経ったら老けた。
老伯爵夫人というところか。

ホセ・フェラーはナチスで羽振りのいい叔父さん。

一方ハインツ・リューマンはユダヤ人だが、「ナチスはユダヤ人迫害なんてやるわけがない。ドイツはユダヤが支えてるんだ」と考えている。
あとで酷い目にあっただろう。

若かったジョージ・シーガルが抜擢されている。
相手役のエリザベス・アシュレーは美しく、この映画ではとくに輝いていた。

フリークスのマイケル・ダンが狂言回しである。美味しいところで出てきた。


ある映画監督の生涯 1975 近代映画協会

2004年02月18日(水)  No.155
監督製作脚本構成 : 新藤兼人
撮影 : 三宅義行
録音 : 近藤光雄 / 藤田敬子
出演:
永田雅一
入江たか子
成沢昌茂
柳永二郎
浦辺粂子
伊藤大輔
宮川一夫
若尾文子
増村保造
山田五十鈴
津村秀夫
川口松太郎
田中絹代


溝口健二監督の映画界参加からベネチア映画祭受賞、そして白血病でなくなるまでを回想する。
関わりのあった人たちが監督の想い出を語る。
聞き手は、自分も溝口と親しかった新藤兼人監督。

日活向島撮影所から彼の映画人生ははじまる。
震災でやられた後、京都に移るが、そこで愛人に切られる事件が起きる。

新興キネマ、日活と移って、日活企画部長永田雅一が第一映画で独立したとき、彼も移籍する。
そこで撮った映画「浪花エレジー」は傑作である。
戦後、映画「雨月物語」でベネチア映画祭銀賞に輝いたときも、本人はこれで賞を逃したら日本に帰れない。と覚悟を決めていたそうだ。

田中絹代とのロマンスの噂を本人にぶつけてみたが、田中は「監督は仕事以外では面白くない人だった。」とはぐらかす。

田中絹代って頭のいい人だなあ。死ぬ二年前なのに、よく喋るし、ケロッとしてる。
かつての大女優・入江たか子は言葉がおぼつかない様子だった。
川口松太郎と溝口監督が同級生だったのは知らなかった。

何がジェーンに起こったか 1962 ワーナー

2004年02月19日(木)  No.156
監督 : Robert Aldrich
製作 : Robert Aldrich
原作 : Henry Farrell
脚色 : Lukas Heller
撮影 : Ernest Haller
音楽 : Frank De Vol

Bette Davis (Jane_Hudson)
Joan Crawford (Blanche_Hudson)
Victor Buono (Edwin_Flangg)
Anna Lee (Mrs._Bates)
Maidie Norman (Elvira_Stitt)

大女優二人による奇怪な映画だ。

ジェーンは子役として一世を風靡したが、大人になってからは姉のブランチの方が人気になり、妹は酒におぼれた。
そして事件は起きた。
パーティーの夜、姉が車でひかれて、車を運転していたはずの妹は消えていた。
三日後、ジェーンは男とホテルにいるところを捕まるが、映画会社が事件をもみ消した。

30年後、二人はひっそりと暮らしていた。
ブランチは事故の後遺症による車いす生活で、妹のジェーンはアル中が酷くなっていた。
姉は妹に入院を求めるが、狂った妹は激高して姉の飼っていた鳥を殺し食事に混ぜて出したり、ネズミを出したりする。
姉は二階に閉じこめられ、外と連絡も取れず、助け出そうとした家政婦のエルバイラはジェーンに殺されてしまう。

ラストに、どんでん返しが用意されている。

二人の婆ちゃん女優が、がっぷり四つに激突している。
ベティ・デイビスは、狂人丸出しの演技。
J・クロフォードは、歯がゆいシーンの連続だった。
もう少し考えたら、もっと速く逃げられただろうに。

老人同士の介護問題を時代に先駆けてとらえていた。

アカデミー賞白黒衣装賞獲得。

めし 1951 東宝

2004年02月20日(金)  No.157
監督 : 成瀬巳喜男
製作 : 藤本真澄
原作 : 林芙美子
脚色 : 田中澄江 / 井手俊郎
撮影 : 玉井正夫
音楽 : 早坂文雄
美術 : 中古智
監修 : 川端康成 (林芙美子が急逝したため、川端があとを引き継いで監修した。)
配役:
上原謙 (岡本初之輔)
原節子 (岡本三千代)▲
島崎雪子 (里子)△
進藤英太郎 (竹中雄蔵)
二本柳寛 (一夫)
杉村春子 (村田まつ)
杉葉子 (光子)×
小林桂樹 (信三)
花井蘭子(堂谷小芳)
風見章子 (富安せい子)○


恋愛結婚をした初之輔と三千代が、結婚二年目にお初徳之助の心中事件で有名な大阪の横町に転勤して、さらに三年が経った。
まだ子どもは生まれず、家へ帰っても腹減ったとしか言わない亭主に、妻は不満を抱いている。
二人はすっかり倦怠期なのだ。

そこへ姪の里子が、家出して東京からやって来る。
東京の香りを乗せた里子に、三千代の東京恋しの気持ちが燃え上がった。
里子も昼間から叔父の初乃輔を誘惑するような雰囲気だ。
同窓会で遅くなった三千代にいまわしい想像さえかき立てる。
家庭内のこうした空気に堪えられず、三千代は里子を連れて東京へ帰った。

三千代はそのまま東京で職業を探す気にもなっていたが、友人のけいこには幸せそうだと言われる。
従兄弟の一夫と里子が交際を知ったとき、三千代は初之輔のことを思い出した。
そんなときタイミング良く、初之輔は三千代を迎えに来た。

幸せな家庭を引っかき回す里子を演ずる島崎雪子は、現代の鈴木京香に雰囲気が近かった。
作品としては、名作の部類にはいるのだが、自分としてはあまり好きではない。


赤い風車 Moulin Rouge 1952 英

2004年02月22日(日)  No.158
監督 : John Huston
アソシエイト・プロデューサー : Jack Crayton
原作 : Pierre La Mure
脚色 : Anthony Veiller / John Huston
撮影 : Oswald Morris
音楽監督 : Lambert Williamson
作曲 : Georges Auric
美術 : Paul Sheriff
セット : Marcel Vertes
編集 : Ralph Kemplen

Jose Ferrer (Henri de Toulouse Lautrec、The Count His Father二役)
Colette Marchand (Marie Charlet)
Zsa Zsa Gabor (Jane Avril)
Suzanne Flon (Myriamme Hayem)○

十九世紀末パリ、小人の画家がモンマルトルのムーラン・ルージュでフレンチ・カンカンを写生している。
彼はアンリ・ドゥ・トゥルウズ・ロートレック(ホセ・フェラー)である。
伯爵家に生れたが、両脚の成長が止まり、身長が1m50cm足らずしかなかった。
若い頃、娼婦マリイ(コレット・マルシャン)と出会い、彼女と同棲したが、彼女は金を使うばかり。
高級レストランへ行くが雰囲気にいたたまれず、彼を侮辱して去った。
ロートレックは酒に浸って苦しみから逃れようとしたが、母の愛情にはげまされ、マリイを探し求めた。
マリイは場末の安カフェにいたが、所詮彼とは別世界の人だった。
彼は絶望の余りガス自殺を計る。

ロートレックの伝記映画だが、女の趣味が悪すぎる。
彼は芸術家だから気位ばかり高くて、女と心からつきあえないタイプだ。
最初の恋愛は良いところのお坊ちゃんが急に、色気づいて道を踏み誤った感じ。
そして二度目の恋愛も失敗する。
こういう人は最初の失敗が、ずっと尾を引くのだ。

脚を短く描いているが、膝のところで曲げているようで、歩き方に多少違和感がある。
他人との身長差も一定しない。
父親と一人二役というのも安っぽくて嫌だ。

ジャン・ルノアールのフランス映画「フレンチカンカン」と比較すると、映像が汚かった。
英国映画は保存が悪いのだろう。
(ただし同じイギリスの「赤い靴」は綺麗な発色を保っている。)
アカデミー美術監督賞とベネチア映画祭銀賞獲得!

ディープインパクト 1998 米

2004年02月27日(金)  No.159

ミミ・レダー監督。
この人は映画の作り方を知っているのか?実に下手だ。

Robert Duvall (Spurgeon Fish Tanner)ハルマゲドンのBウィリスには勝てず。
Tea Leoni (Jenny Lerner)美人だが華がない。
Elijah Wood (Leo Biederman)日本で言えば「えなりかずき」みたいなタイプか。
Leelee Sobieski (Sarah Hotchner)クールビューティーなんだけど、パンチ力不足。
Vanessa Redgrave (Robin Lerner)大御所を使えばよいと言う物ではない。
Maximilian Schell (Jason Lerner)
Morgan Freeman (President Beck)どこが大統領なんだ。貫禄まるでなし。
James Cromwell (Alan Rittenhouse

筋としてはハルマゲドンそっくり。
宇宙船で地球に衝突しようとする彗星に爆弾を仕掛けるが、失敗。
しょうがないから残った核兵器でRデバルらが特攻するというお話。
地上ではシェルター建設が進み、そこに入れてもらえる人と入れない人の間に争いが始まってる。
ハリウッドのお馬鹿映画はお馬鹿映画ゆえに存在価値はあるが、この映画はお馬鹿以前にド下手な映画。
全く見る値打ちはない。

透明人間現わる 1949 大映東京

2004年02月28日(土)  No.160
監督 : 安達伸生
脚本 : 安達伸生
企画 : 奥田久司
撮影 : 石本秀雄
SFX : 円谷英二 ◎
美術 : 中村能久
録音 : 西梧郎
照明 : 岡本健一
配役:
月形龍之介 (中里謙造)
喜多川千鶴 (中里真知子)○
夏川大二郎 (瀬木恭介)
小柴幹治 (黒川俊二)
水の江滝子 (水城龍子)▲
伊達三郎 (笹谷敬三)
上田吉二郎


中里博士は物体を透明にする薬品を発明したが、元に戻す薬を未だ完成できない。
ある日、博士が失そうしてしまい、続いて弟子の黒川が行方不明になる。

突然、透明人間が街に現れ、宝石強盗を働く。
再び透明人間はあらわれ、宝石オーナー長曽我部とレヴューの花形女優水城龍子(黒川の妹)の部屋を襲って、執事畑中を殺してしまう。

博士の娘真知子と弟子の瀬木の二人は協力して真相を探っていた。
そして会社社長河辺の正体に疑惑を持ち始めた・・・

戦前の二枚目スター月形龍之介の戦後現代劇ははじめて見た。
しかし不思議なことに、この映画は主役が殆ど出てこない。
月形は監禁されているので、出演場面が少ないのだ。

透明人間は出演場面は多いのだが、姿がないのだから、主役とは言えないだろう。
男装の麗人・水之江滝子も格好は良い。若干アクションシーンもある。
喜多川千鶴は綺麗な人だが、主役タイプではない。


バイクを透明人間が運転するため、まるで無人で爆走するシーンが印象的。
須磨の海岸線(二号線?)を飛ばしていた。
全体的にもいかにもレトロで、戦前戦後の香りを漂わせていた。
カルトな怪作と言える。



ザ・ファーム 1993 パラマウント

巨大弁護士事務所を巡る陰謀の話。
アメリカでは大企業の税務は弁護士の仕事だ。

結末は、原作と少し違った。
主演俳優の都合の良いように筋書が変わるのは、典型的なトム・クルーズ映画だ。
原作は大して面白くなかったので、映画オリジナルの結末でも気にならなかった。


いつものようにキャスティング・チェック。
彼の上司ジーン・ハックマンは悪役に徹していない。
妙にいい人なのだ。
違和感があった。

ジーン・トリプルホーン(妻Abby)は、美人ではなかった。
ふくよかなタイプなので、お母さんになってから、ドロシー・マクガイヤのように成長するかもしれぬ。
トム・クルーズの相手役は、ニコル・キッドマン以外はブスが多い。

ハル・ホルブルック(所長Oliver Lambert)もキャラクターが弱かった。
悪役弁護士に徹していない。
弁護士って、もっと個性が強いものだろう。

ウィルフォード・ブリムリー(William Devasher)は「コクーン」とは違い、悪役の警備主任を演じていた。
最後にトム・クルーズにボコられるあたり、胸がスカーとした。
もっとも彼が悪役として光っていた。

エド・ハリス(Wayne Tarrance)もFBI捜査官のわりに、間抜けだった。

ホリー・ハンター(秘書Tammy Hemphill)は流石に芸達者だ。
もう少し彼女を生かせれば面白くなったろう。
最初はホリーと気づかなかった。

最後にマフィア役で出てきた、ジョー・ヴィテレリは、uncreditedだったけど、芝居を締めてくれた。


2004.05.23

四ツ葉のクローバ 1938 東宝

◆ 2004年02月28日(土)  No.161
製作 滝村和男
監督   岡田敬
脚本   小国英雄 小崎政房 岡田敬
原作   竹田敏彦
撮影   吉野馨治
音楽   鈴木静一
美術   山崎醇之助
録音   木下利正
出演   霧立のぼる(尼さんになる女の子) 江戸川蘭子(歌のうまい女の子) 堤真佐子(職業婦人になりたい女の子) 梅園竜子 佐伯秀男 三木利夫 高峰秀子(堤の妹)

女子校の卒業式。
霧立のぼるは髪を派手に結って級友の顰蹙を買うが、堤真佐子と江戸川蘭子は霧立のぼるを弁護する。
彼女の実家は寺で、彼女は大人になったら出家することになっていたのだ。
得度式までは好きな髪型を結わせてやりたい、という母心だった。

やがて三人は別々の道を進み始める。
霧立は尼になり、堤は職業婦人になり、江戸川は歌手になった。
堤は彼氏に振られ嫌な見合いを受け入れ、江戸川は演奏活動に行き詰まり関西に逃げる。

やがて江戸川は霧立のいる寺へ金を借りに行く。
霧立は友人がみな苦しんでいるのに、自分だけが楽をしていてはいけないと考え、修行の旅に出る。

霧立、堤、江戸川の三人娘、みんな顔がでかいな。
江戸川蘭子は歌も歌えるから芸に幅があっただろう。(松竹ではスターだったらしい)
堤の妹役で高峰秀子が結構重要な役で出ていて、彼女が一服の清涼剤だった。


青銅の魔人I 1954 松竹

◆ 2004年02月28日(土)  No.162
監督 : 穂積利昌
製作 : 細谷辰雄
原作 : 江戸川乱歩

若杉英二 (明智小五郎)
諸角啓二郎 (怪人二十面相)
藤乃高子 (高安玲子)
高山武男 (小林少年)
片山明彦 (水野元侯爵)


深夜の銀座で巨大な青銅の魔人が時計店を襲い、懐中時計を盗んだ。
そして、別の時計店では骨とう価値のある外国時計も盗まれた。
水野元侯爵家の帝王の夜光と呼ばれる時計も狙われ、夫人は誘拐される。
青銅の魔人は、時計を渡さないと夫人の命はないと脅迫する。
水野は明智を訪れて出動を頼む。
明智はその時計の裏から一枚のセーム皮を取出した。
それはウラニューム鉱の秘密地図で、あとの半分が水野家のどこかにある筈だという。
その夜、予告の時間に魔人は現れた。
果たして夫人の命は如何に。

若杉英二の明智小五郎シリーズ。青銅の魔人を見てると鉄人28号実写版を思い出した。
連続ものなので、まだまだ続く。


夜の豹 Pal Joey 1957 Columbia

監督George Sidney
製作Fred Kohlma
原作John O'Hara
原作戯曲Richard Rodgers/Lorenz Hart ▲
脚本Donoth Kinsley
撮影Harold Lipstein
指揮Morris W. Stoloff
編曲Nelson Riddle/George Dunning ○

Rita Hayworth(Vera Simpson)◎
Frank Sinatra(Joey Evance)
Kim Novak(Linda English)○
Barbara Nichols(Gladys)
Bobby Sherwood(Ned Galvin)


芸人ジョーイ・エヴァンス(フランク・シナトラ)はサンフランシスコのクラブで司会者の仕事にありつく。
彼はコーラス・ガールの新人のリンダ(キム・ノヴァク)に興味を持つが、彼女は素っ気ない。

ジョーイは、お金持ちの未亡人ヴェラ・シンプソン(リタ・ヘイワース)の慈善パーティに出演した。
彼女は昔売れっ子のストリッパーで、ジョーイの昔の恋人だった。

若いリンダはジョーイを警戒していたものの、次第に彼の魅力に魅かれ、落ちてしまう。
ジョーイはヴェラともまた、彼女の大邸宅をナイトクラブに改造する計画を、ベッドの中で立てる。

やがてヴェラは、ジョーイの二股を知ってしまい、リンダを首にしなければ、共同経営から下りると息巻く。
ジョーイは、リンダにストリップショーを強要すれば、辞めるだろうと思った。

ネルソン・リドルが音楽をやっていて、それがまた素晴らしい。
"Bewitched "がテーマソングだ。
他にもマイファニーバレンタイン(キムが歌っていることになってるが吹き替えかな)が良い。

リタ・ヘイワースが最初に歌うシーンでは、おばさんまだやるか、と言う感じだ。
若い頃のこの人をとくに美人だと思ったことはないが、老けてから、かえって色っぽく好ましく感じた。

でも最終的には、フランキーも若い方がいいのだな。
佳作だ。


毒蛇島奇談・女王蜂 1952 大映

◆ 2004年03月02日(火) 
No.164
監督 : 田中重雄
原作 : 横溝正史
配役:
久慈あさみ (大道寺琴絵、娘の大道寺智子の二役)
見明凡太朗 (琴絵の父・大道寺鉄馬)
瀧花久子 (琴絵の母・大道寺槙)
菅原謙二 (琴絵の恋人・澤村光一)
船越英二 (最初の被害者・日下部達哉)
森雅之 (琴絵の夫、速水欣造)
荒川さつき (家庭教師の神尾秀子)
岡譲二 (金田一耕助)


大映のカルトな金田一耕助もの。
岡譲二が主演だが片岡千恵蔵の影響を受けすぎている。
変な扮装でいろいろと姿を変え現場に潜入して、推理する当たり、そのまんまだ。
しかも、岡譲二はそもそも明智小五郎も演じていて、
この作品でも金田一というよりダンディな明智のイメージが強く出ている。


森雅之が○○役というのは実はぴったりなのだが、大映で彼は探偵ものを撮ってないと思うので、珍しかった。
久慈あさみは老け顔だ。20歳の智子を演じるのはかなり無理があった。
これを見ると、東宝「女王蜂」の中井貴恵やテレビドラマの片平なぎさ(若い頃)は納得させられる。

話は、月琴島にやってきた学生二人が島の美しい女性・琴絵と出会い、一人の学生・日下部と結ばれ子を宿す。
しかし密室になった部屋で日下部と琴絵が倒れているのを発見される。
日下部は死んでおり、琴絵は記憶を失っていた。
もう一人の学生・速水が急を聞いて島へやってくるが、娘の父親は事件をもみ消しており、速水に娘と結婚してやってくれと頼む。
琴絵は女の子を産み落とすが、自ら身を投げて命を絶つ。

果たして20年後、東京で立派な女性に育った智子が島へ里帰りすることから、悲劇が繰り返される。

曙荘の殺人 1957 大映

◆ 2004年03月03日(水) 
No.165
監督 : 野村浩将
配役:
木暮実千代 (栗林須磨子)
川上康子(栗林文子)
品川隆二 (丹沢英吉)
佐野周二 (栗林十四郎)
夏目俊二 (須田検事)
若杉曜子(人見松江)
千葉登四男 チ千葉敏郎(人見恭一)
北沢彪 (峰岸隆三)


曙荘は高級マンションの名前だ。
そこで松江が殺される。
彼女とつきあっていた峰岸(北沢彪)にはアリバイがあった。
しかし峰岸には他にも女性がいた。
栗林母子(木暮実千代、川上康子)も峰岸と親しかったようだ。
栗林の夫はは弁護士(品川隆二)に相談する。

と言うことで、若き日の品川隆二が奮闘する法廷劇だ。

しかし判決を読む直前に判事に中止させて証人尋問を再開させる。
曙荘がマンションというのは時代を感じさせた。

ペペ 1960 コロムビア

◆ 2004年03月04日(木) 
No.166
監督George Sidney
製作George Sidney
Cast:
Cantinflas (Pepe)
Dan Dailey(Ted_Holt)
Shirley Jones(Suzie_Murphy)◎

Sammy Davis Jr.(Guest_Stars)
Janet Leigh(Guest_Stars)
Jack Lemmon(Guest_Stars)
Debbie Reynolds(Guest_Stars)

IMDBで3点しか付いてない酷い作品。
でも僕は楽しめた。
オールスター映画だったし、それにシャーリー・ジョーンズも綺麗だった。

テレビ局のカットが酷くて、3時間映画を1時間10分にまとめるのだから、全員の見せ場は見逃した。
ジャック・レモンが「お熱いのがお好き」の女装で登場したのは楽しかった。
ジャネット・リー、トニー・カーチスの夫婦(当時)が実名で登場するシーンも良かった。

しかし主役が何者か知らなかった。
調べてみると、映画「80日間世界一周」でデビッド・ニーブンの従僕役として出てきたメキシコ人だった。
かなり芸達者だが、ハリウッドの連中と組むとボロは出る。
この映画の失敗で、本国メキシコに帰ったのだろう。

シャーリー・ジョーンズに10点満点あげる作品だ。
アカデミー助演女優賞を取った「エルマー・ガントリー」と同じ年に撮っている。
彼女はこの年、最高に乗っていたと思われる。

話はハリウッド的「寅さん」だ。
メキシコの田舎ものが馬とハリウッドにやってきて、美人女優と親しくなる。
しかし周囲と一騒動起こし、それがきっかけとなり、監督と女優は結ばれ、主人公は振られる。


2004.05.22

猫は知っていた 1957 大映

2004年03月04日(木)  No.167
監督島耕二
製作永田秀雅
原作仁木悦子
脚色高岩肇
配役:
仁木多鶴子 (ピアノ教師仁木悦子)▲
石井竜一 (悦子の兄雄太郎)
北原義郎 (警部峰岸周作)
花布辰男 (医院長箱崎兼彦)
品川隆二 (家を出た次男敬介)
浦辺粂子 (殺されるおばあちゃん、桑田ちえ)
金田一敦子 (桑田ユリ)
高松英郎 (脅迫していた平坂勝也)


原作は日本のクリスティ・仁木悦子のデビュー作。
ほぼ原作を追っているだが、最後は映像にすると「八つ墓村」になってしまった(笑)


悦子と雄太郎の兄弟は外科医院に下宿することになる。
彼女らが来たときから、変な雰囲気があった。
ねこが消えたのもそうだ。
次に病院の姑が消えた。
患者の一人も消える。

悦子は病院の娘と仲良くなり防空壕を冒険する。
そこで何と姑の死体が・・・
さらに死人が増えていく。
悦子は推理を巡らせ犯人を探る。

島耕二作品にしては軽いBGMを使って、明るい雰囲気だ。
青春もののつもりかな。

高松英郎は最初に出てきたからキーパーソンになるかと思われたが、それから出てこず、どうしたのかと思ったら殺されちゃった。
品川隆二はいかにも犯人ではないタイプ。
北原義郎は定番の警部役。

主役の子はこの映画のおかげで仁木多鶴子に改名したそうだ。
若尾文子を崩した感じで色気はあった。
仁木雄太郎役は原作通り不美男子だった。
この中では金田一敦子が光っていた。

幽霊塔 1948 大映

2004年03月05日(金)  No.168
監督 : 佐伯幸三
原作 : 江戸川乱歩
脚本 : 岡田豊 / 笠原良三
配役:
羽鳥敏子 (謎の美女朝吹園枝)
船越英二 (ホテルの経営者土屋達夫)
見明凡太朗 (その父土屋賛平)
美奈川麗子 (達夫の許嫁服部順子)
小柴幹治 (弁護士柏木卓)
植村謙二郎 (建築技師落合進)
平井岐代子 (園枝の叔母円下松代、被害者)
徳川夢声 (整形外科医瀬沼博士)


妙子は夜中に父の悲鳴で目を覚ます。
父は死んでいた。
妙子は犯人として警察に逮捕される。

三年後、土屋達夫は伯父の賛平と山中の家をホテルにしようと計画する。
そこで達夫は見知らぬ娘園枝に出会う。
彼は園枝とその叔母松代をホテルの使用人として雇い入れる。

建築技師の落合、弁護士の柏木らがホテル建築に協力すると言ってくるがどうも怪しい。
園枝たちはそれぞれ時計台を探っていた。
どうやら時計台には宝物が隠されているようだ。

達夫も園枝と組んで、時計台のナゾを解こうとする。
すると狂気の外科医瀬沼博士からとんでもない情報を聞き込む。

江戸川乱歩の名作「時計塔」。
天地茂のテレビドラマでは、結城しのぶがヒロインだった。

主役の羽鳥敏子は整形美人のような顔だが、役作りしてるんだろうか?
眉が作り物臭かった。
だとしたら、この時代にしてはちゃんと作ってる映画だ。

明智小五郎が出てくるんじゃないかと思ったが、最後まで出てこなかった。
このあたりは原作に忠実だ。

徳川夢声がキチガイ整形外科医の役で出ていた。
なかなか雰囲気が出ていたなあ。

たそがれ清兵衛 2002 松竹

2004年03月06日(土)  No.169
監督 山田洋次

男優 
真田広之 井口清兵衛
小林稔侍 久坂長兵衛
大杉漣 甲田豊太郎
吹越満 飯沼倫之丞
田中泯 余五善右衛門
丹波哲郎 井口藤左衛門
尾美としのり

女優
宮沢りえ 飯沼朋江
伊藤未希 井口萱野
橋口恵莉奈 井口以登
岸恵子 晩年の以登
深浦加奈子

原作 藤沢周平「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」
脚本 山田洋次 朝間義隆


小説「たそがれ清兵衛」とその他二本の短編をミックスした映画化だ。
とくに小説「祝い人助八」の設定をメインにしている。

祝い人とは乞食のことだ。
だが主人公は乞食ではなく、見窄らしい格好をしているというだけである。


清兵衛は妻を亡くし二人の幼い娘とぼけた母と一緒に住んでいる。
久しぶりに朋江が訪ねてくる。
夫に虐待され別れたのだが、その夫につきまとわれ助けを求めに来たのだ。
清兵衛は元夫と果たし合いを行い、見事相手を卒倒させる。

そのことが話題となり、清兵衛は上意討ちの刺客に選ばれる。
相手は余五善右衛門、なかなかの使い手だ。
派閥争いに巻き込まれ、死刑を命ぜられた。

清兵衛は討ちに行く前に、朋江に来てもらい身支度を整える。
そのとき彼女に思い切って結婚して欲しいと言った。
朋江は先に家族のものが再婚先を決めたと言う。
がっかりした気分のまま、清兵衛は余五を討ちに、出かける。

アカデミー賞にノミネートされたが、それほど大した作品ではないと思う。
題名通り「たそがれ清兵衛」を原作に使っていれば、夫婦愛の話だから少しは面白くなったかも知れない。
日本の時代劇がアカデミー賞外国語映画賞ノミネートに選ばれたのは数年ぶりだが、今さら時代劇でもないだろう。

足ながおじさん 1955 MGM

2004年03月06日(土)  No.170
Cast:
Fred Astaire (Jervis_Pendleton)
Leslie Caron (Julie)
Terry Moore (Linda)
Thelma Ritter (Miss_Pritchard)
Fred Clark (Griggs)
Ray Anthony and his Orchestra (Ray_Anthony_(and_his_Orchestra))
監督 : Jean Negulesco
製作 : Samuel G. Engel
原作 : Jean Webster
脚色 : Phoebe Ephron / Henry Ephron
撮影 : Leon Shamroy

ご存じジーン・ウェブスターの名作だ。
しかしMGMが映画にすると、こうもロリコンでスケベになる(笑)

セルマ・リッターが社長秘書の役で出ている。
四番目に名前が出てきた。しかしテレビ放送ではカットされて見せ場は少なかった。

レスリー・キャロンは相変わらず美人ではない。
歌も歌っていたが、やはりダンスに限る。
ダンスでは、フレッド・アステアとぴったり息が合っていた

偉大な生涯の物語 1965 米国UA

4年03月07日(日)  No.171
監督 : George Stevens
製作 : George Stevens
脚本 : James Lee Barrett / George Stevens
撮影 : William C. Mello / Loyal Griggs
音楽 : Alfred Newman

Max Von Sydow (Jesus)
Dorothy McGuire (Mary)
Robert Loggia (Joseph)
Charlton Heston (John_the_Baptist)
Robert Blake (Simon_the_Zealot)
David Hedison (Philip)
Peter Mann (Nathanael)
David McCallum (Judas_Iscariot)
Roddy McDowall (Matthew)
Ina Balin(Martha_of_Bethany)
Janet Margolin (Mary_of_Bethany)
Sidney Poitier (Simon_of_cyrene)
Joanna Dunham (Mary_Magdalene)
Carroll Baker (Veronica)
Pat Boone (Young_man_at_the_Tomb)
Van Heflin (Bar_Amand)
Sal Mineo (Uriah)
Shelley Winters (Woman_of_no_name)
John Wayne (The_Centurion)
John Crawford (Alexander)
Jose Ferrer (Herod_Antipas)


超豪華オールスター映画だ。
だいたいのところで、福音書(ヨハネの洗礼、12使徒の登場、エルサレム入城、最後の晩餐、裁判とゴルゴダ、イエスの復活)の内容を描いている。

カットされているが、それでも3時間19分と長い。
しかし台詞は少なく、聖書の代表的な台詞しか語られていない。
台詞の量から言うと、2時間で収まる映画だが、出演者が多いので3時間映画になったのだろう。
見せ場や感動的な場面は、多くない。
淡々と映画は進んでいく。

このバージョンは、奇蹟や復活のとらえ方が独特だった。
イエスが実際に奇蹟を起こしたわけではない。
メシアの登場を待ってた人々はイエスがメシアだと確信して、元気になってしまった。
そのことがイエスの奇蹟として人々の噂になって、広がっていく。
それはイエスの考えを上回るスピードだった。
もちろん、噂を信じない人々もいて、最後はその人たちの声で死刑にされる。

復活も前振りがあった。
エルサレム入城前にラザロが死ぬのだが、彼の死体が墓場から消えてしまう。
これが伏線となって、イエスの復活劇になるのだ。

それでもイエスの生涯が偉大な生涯であることは、間違いない事実である。
なお、音楽はヘンデルのメサイアがかかっていた。
現実的プロテスタントの映画だな。

★★★

読者から「私の見たバージョンでは、たしかにラザロは生き返った。」という報告を頂いた。
おそらくオリジナルバージョンの話だろう。
私は199分バージョンDVDで見たが、ラザロの姿は確かめられなかった。

炎上 1958 大映

2004年03月08日(月)  No.172
監督 : 市川崑
製作 : 永田雅一
原作 : 三島由紀夫 ◎
脚色 : 和田夏十 / 長谷部慶次
撮影 : 宮川一夫
音楽 : 黛敏郎
配役:
市川雷蔵 (溝口吾市、どもり)
仲代達矢 (戸苅、かたわの友人)
中村鴈治郎 (田山道詮老師、愛人を作って悩んでる)
浦路洋子 (洋館の娘、戸狩の女)
中村玉緒 (五番町の遊郭の女)
新珠三千代 (花の師匠、戸狩の女)
信欣三 (陰険な副司)
北林谷栄 (浮気した母あき)


有名な三島由紀夫の小節「金閣寺」の映画化。

金閣を模した驟閣寺が舞台。
若い僧侶が驟閣の美しい姿にあこがれ、やがてそれを取り巻く僧侶や母親、学友の醜い姿に幻滅して、寺に放火し逮捕され、自殺するまでを描く。

この作品は障害者の性がフィーチャーされているし、原作も難しい仏教用語の羅列であり、映画化するのは困難だったと思う。
三島の原作と比べると、つっこみ不足を感ずる。
犯人溝口の腹の中で、何が変わっていったのか、もう少し突っ込んで描いて欲しかった。

テーマの一つに虚無・絶望感があったと思うんだけど、市川雷蔵の演技からは絶望は読めなかったな。
もう少し、敏感な演技を見たかった。

その点、仲代達也の方は鋭く達者だった。
北林谷栄(母親)の役は原作にはない。

監督市川昆とカメラマン宮川一夫のコンビなので、白黒ながらいい絵を使っていた。



2004.05.16

三つ数えろ (1946年版) Warner

レイモンド・チャンドラー原作"The Big Sleep" を読んだので、久々に映画を見たくなってしまった。

映画の筋は殆ど原作を追っている。
大きな違いといえば、「三つ数えろ」と言って、エディ・マースを手下に殺させるシーンと、ラストシーンにカルメンが登場しなかったこと。

ハワード・ホークス監督は1946年編集版と1945年編集版を作ったそうだ。
大きくシーケンスが変わってる。
またいつか1945年編集版を見てみよう。

オーウェン・テイラーを殺した犯人はわからずだったが、作者も知らなかったそうだ。
いい加減な原作者だ(笑) 
まあ、そこがいいのだが。

ハンフリー・ボガードは相変わらず。
ローレン・バコールとの共演は「脱出」以来二作目とのこと。
この後二人は、共演を重ね結婚する。

バコールの横顔は本当に美人だ。
今でも通用する。前から見たら、さほどでもないのだが、キスする横顔なんかは、見ている側が画面に吸い付けられそうになる。


2004.05.09

乳泉村の子 1991 中国

明鏡大師が来日する。
彼は日本の残留孤児として苦労しながら、養親の一家に可愛がられ、後に中国の寺に学び高僧となった。
そんな彼を見つめる、一人の老人がいた。
彼の実の母親である。彼女は終戦時、なくなく生まれたばかりの子供と別れたのだ。
来日最終日、母は名乗り出て、明鏡は彼女の家に招かれる。


最初は異様な映画だった。
明鏡大師が小さい頃から賢かったが、日本人としては虐められたエピソードだ。
戦時中、日本人に虐められた中国人が、戦後になって村でたった一人の日本人である明鏡を虐めている。
しかし文盲の養親のもとで育ちながら彼はスラスラと文字を読むようになる。
中国人の日本人に対する憎しみと憧れは非常に複雑だ。

最後は日本での母と息子の出会いと別れの話だから、お涙頂戴なのだが、明鏡の着替えのシーンで早回しを使ったりして、違和感が拭えなかった。
日本と言うより台湾かどこかでロケをしてるようだ。

中国仏教についてもよくわからなかった。平和仏教と言っているが、少林寺しか中国仏教なんか知らない身には、へーへー!だった。
また文革の歴史については全く語られなかった。
いろいろ都合の悪いことがあるのだろう。

完全に中国映画だ。
謝晋監督は日本人が見ることを考えずに作っている。
もし日本人のスタッフを入れていれば、もう少し分かりやすい映画になっただろう。
もっとも当時は中国映画も日本にはそう多くは入ってなかった。

それから鑑真について。
鑑真は日本が好きだから日本布教にこだわったのだと、日本人は考えがちだ。
しかし明鏡は映画の中で「彼は日本が好きだったのではない。使命感を感じていたのだ。」と言った。
宗教者の考えとしては、その通りだと思う。
かえって法難に遭ったおかげで、使命感が増したのだ。

栗原小巻も老け役すると下手だ。
まだ若いんだから無理に老けなくても良いだろう。
川田あつ子は久しぶりに見たが、美人だった。
今や柳ユーレイ夫人だ。


2004.05.08

鬼あざみ(1950)大映

典型的な長谷川一夫映画である。


江戸末期。
精神的に少し幼稚なところのあった、ぼんぼん並木礼三郎(長谷川一夫)が貧乏農家の娘お光(山根壽子)と駆け落ちする。
二人は江戸へ出るが、ちょっと目を離した隙に生き別れになる。

やけになった彼は泥棒一味に身を落とすが、数年後お光と偶然再会する。
彼女は夜鷹に身を落としていた。
はじめは夜鷹になったことが許せなかった礼三郎だが、やがて彼女を許す。

しかし優しい言葉をかける前に、役人に捕まり、流刑となる。
時代は明治に変わり、大赦を受けた彼は再びお光と再会する。

長谷川一夫があの声で、あのふくよかな体でいながら、妙に幼稚だ。
長谷川の映画はいつもそうだが、かなりナルシスである(笑)

しかし映画自体は小道具の使い方がうまくて、アメリカ映画のように感じられた。
まず生き別れになった後、夜鷹になったお光が浪人者を礼三郎とは気づかず家に入れ、行燈の灯をつけるシーン。
明るくなって初めて二人は気づき、お互いの変わり様をののしり合う。

それから流刑から帰って来たラストシーンで礼三郎がつける高灯篭の明かり。
迎えに来たのに会えないお光だったが、この灯のおかげでとうとう礼三郎に気づき、何も言わず彼の胸に飛び込むのだ。
どちらも灯が、再会を劇的なものにしていた。

お光役の山根壽子は美人ではないが、清潔感溢れる女優さん。
戦時中から活躍していて、戦後も新東宝の「細雪」では高峰秀子の上の三女を演じていた。

goo:鬼あざみ

2004.05.07

果しなき欲望 1958 日活

今村作品としては良い趣味の作品だ。
後の今村の特徴である、ねばねばしたところが少ない。
フランス映画の「穴」を思い出した。


駅前に集まる5人の男女。
軍の時代にモルヒネを隠したのを掘り返しに来たのだ。
その場所はいまではコロッケ屋の真下だ。
5人は近くに空き家を借りて不動産屋のまねごとをして、穴掘りに精を出す。

しかし大家の息子に正体がばれそうになったり、メンバーの一人が強盗を働き捕まったと思ったら逃亡してくるなど、波乱含み。
しかもこの土地は収用にかかっていて、市に明け渡さねばならない。
時間はもう僅かしかない。
はたしてお宝まで行き着くことが出来るのか?

最後は仲間割れして、殺し合いがはじまる。
しかしこの映画を見てると、大映映画でもこういう映画を見たような覚えも・・・

くせ者中原早苗は長門裕之の恋人の役だが、意外とまともな役を演じていた。
本当なら金にとりつかれた女の役が似合ってると思った。
キャスティングは中原ひとみで良かったんじゃないか?

渡辺美佐子は好演。
色っぽくて、でも最後は狂女丸出しのメイクで鬼気迫る演技だった。

男では大家の菅井一郎と拾い屋高品格が良い味を出していた。


2004.05.06

七つの顔(1946)大映

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD26852/index.html

片岡千恵蔵の大映現代劇。愛と正義の人、藤村大造の「七つの顔を持つ男」だ。文字通り七役(逆回転の奇術師、多羅尾伴内、老巡査、新聞記者、手相占い、片目の運転手、藤村大造)を演じているが、どの顔も片岡にしか見えないのはご愛敬。東映カラー版はよく見ているが、大映白黒版は初めて見る。状態は良好。

藤村大造は怪盗で警察に追われている。しかし事件と見ると首を突っ込みたくなるのが彼の性分。今回も歌手誘拐とダイヤ強奪事件が発生する。しかし歌手の方はすぐ解放された。彼女は誘拐された家を覚えていて、じき犯人が逮捕される。彼は知事選に打って出ようと考えていた政治家の息子だった。しかし多羅尾伴内という素人探偵は、この事件には裏があると推理する・・・

轟夕起子は当時既に29歳、足首が今の感覚からすると太いのだが、当時はこれでも細かったのかな。ウェストもご立派。歌はさすがにもとタカラジェンヌだから吹き替えじゃないだろう。声は良く出ていた。しかしピアノは吹き替え臭かったが。

それと比べ、月形龍之介の妹役の喜多川千鶴は若い。和服姿が愛しい。しかし何回見ても顔の印象が異なる。美人なのに特徴のない人だな。

原健策、上田吉二郎が悪玉なのは後の東映のまんまだ。大映の全体が東映にトレードされたのか。しかし月形龍之介が若い善玉なのは戦後東映映画を見ている立場からすると違和感があった。だからこそ水戸黄門も出来たのかな。

しかし最後に片岡が轟に別れの歌を述べて、車を飛ばすシーンは、何度見てもいつ見てもカラーで見ても、恰好いいぞw いったいいつまで逃げているんでしょうか?

2004.05.04

ボッカチオ'70 1962 イタリア

全四話のオムニバス映画。
全体の製作はアントニオ・チェルヴィ/カルロ・ポンティ。

最初は「レンツォとルチアーナ」
マリオ・モニチェリが演出した。
目玉は主演女優マリサ・ソリナスが良い。
オードリー・ヘップバーンを小型にしたタイプ。
色気もたっぷり、惚れたなあ。
映画を離れて普段着に戻ると大したこと無いのだろうが、映画の中じゃ光ってる。
この娘が結婚式を挙げるところからはじまる。
実は彼女の会社は結婚したら辞めなければならない。
したがって、彼女は独身の振りをして嫌な上司の誘いも断れない。
そんなとき彼女の体に異変が・・・

第二話はフェリーニ作品。
頭の固い老先生が巨大化したアニタ・エクバーグの魅力に振り回される。
ウルトラマンのフジアキコ隊員巨大化のオリジナルだろう。
でもアニタはそれほど好きなタイプではない。

第三話はヴィスコンティ作品。
夫が娼婦を買ったのを知った新妻ロミー・シュナイダーは、夫がベッドへ来るたびに金を要求するようになる。
ヴィスコンティにしては、大して面白くない。

第四話、ビットリオ・デシーカ演出。
宝くじの一等賞の景品がソフィア・ローレンだった。
くじを買った男たちの巻き起こす狂想曲と、ソフィアを愛する牛追いのドラマだ。


一作目が印象に残る。
他の女優がイマイチだっただけに、アリサ・ソリナスが輝いて見える。
ちなみにこの人この作品にしか出演していないのでしょうか?


2004.05.03

用心棒 1961 東宝

黒澤明の傑作時代劇。
空っ風吹く宿屋町、ヤクザ同士の喧嘩に割り込んで、共倒れを図る浪人の活躍を描く。


もっとも好きなのは、最後の三十郎と丑虎一味が決闘するシーンで、
仲代達也、加東大介、羅生門綱五郎(ジャイアント馬場によく似たプロレスラー)、山茶花究が歩いているところだ。
格好いいし、マンガでもある。
じっさいテレビやアニメで真似されたことも多かったと思う。
とくに加東大介がいい。
日本映画の忘れられないシーンのひとつ。
と言うか、日本ドラマ界のトラウマになってるな。

「Gメン'75」オープニングの歩くシーンも有名だ。
しかしGメンはぴったり並んで歩いている。
「用心棒」は並んでないのが恰好いい。

脚本は菊島隆三、黒澤明のオリジナル。
脚本(台詞)は大したことはないと思う。
というか、中期の黒沢作品は「脚本なんてどうでもいい。」と感じさせる、凄さがある。
俳優がどういう台詞を喋っていても、映画の骨格に影響しない。

三十郎が小平の女房を助けて、丑虎一味に見つかり拷問され、脱出する段は、
誰にだって先が読めて一旦だれるのであるが、
ラストの決闘シーンになるとそういうことも忘れて満足してしまう。

撮影は大映の宮川一夫。
「羅生門」でも黒沢と組んでいるが、「用心棒」はもっとも脂が乗りきった時期だ。
音楽は佐藤勝。
現代の映画館でステレオや5.1chで聞いてみたかった。

最近、岡本喜八の「助太刀屋助六」(2001) を見た。
仲代達也も出てきたし、場面設定もそっくりだったが、映画は黒沢と比べるも無かった。


2004.05.02

瀬戸内少年野球団 1984 日本ヘラルド

篠田正浩監督が、珍しく名作を作った。
今ひとつこの人の作品は俺と合わないんだが、この映画に限っては素晴らしいと思う。

阿久悠の原作。
子どもの頃の想い出を小説にしたのだろう。


淡路島の子どもたちの戦後を、野球を通して描いている。
出演者の表情が明るい映画だが、実はいろいろと考えさせられる映画である。
登場人物の心の内を覗いてみれば、ずたずたに引き裂かれている。
でも子どもたちは、みんな心から笑ってる。


この映画の夏目雅子は、学校の先生役を好演だ。
「鬼柳院花子の生涯」や「時代屋の女房」の夏目は好きではなかったが、銀幕最後のこの作品での演技は、素晴らしい出来だった。
実に凛々しかった。
「二十四の瞳」の大石先生もぜひやってもらいたかった。
小豆島は隣の島やないか。

郷ひろみと並んで、渡辺謙も好演。
今より上手じゃないか。
他にも、ちあきなおみが顔を見せてくれる。


ラストエンペラー 1987 イタリア

日本独自のノーカット版(219分)で見た。(オリジナルは160分版)
ノーカットって、得したように感ずるかもしれないが、実際に見てみると、時間が延びた分だけ意外と情報量が薄くなって、最終的には見て損したな、と言う気になるものだ。
この映画もご多分に漏れず。二時間半の枠に収まっている方が、ずっと映像美あふれる、象徴的な良い映画になったと思った。

ベルトルッチ監督の映像美を追求する姿勢には感服したが、それを3時間半も見せられると、さすがに辛い。
坂本龍一の音楽は「シェルタリングスカイ」同様にバブリーな音楽を展開している。
美しさでは天下一品だ。
しかし現代に聞き直すと、心に響いてこないのは何故だろう。
いかにも映像も音楽も、日本的なバブリーなバージョンと言えよう。

清朝最後の皇帝溥儀が辛亥革命によりその座を追われるが、日本により満州国の皇帝として復帰する。
それは関東軍の傀儡政権でしかなく、皇帝とは名ばかりのものだった。
そして太平洋戦争が終了し、溥儀はソ連から中国共産党に引き渡される。
十数年間監獄に繋がれるが、後に釈放される。
文化大革命で世の中が揺れ動く最中、庭師として平和な晩年を送る。

ストーリーは単線でなく、誕生からのエピソードと、監獄生活と複線で描いている。
ストーリーは日本人の知らない話があるわけじゃなし、追っても仕方がない。
あくまでも映像美を楽しめばよい。
ストーリーで楽しみたければ、李香蘭の話や男装の麗人川島芳子の話の方が、何倍も面白いだろう。

香港映画や中国本土の映画で普通の中国人を見慣れているから、中国人がおっとりした英語をしゃべるのには違和感があった。
ベルトルッチは中国をステレオタイプで見ているのかもしれない。
もっとも日本も中国も宮中はおっとりしてるのかもしれないが。

ジョン・ローンは南方系の顔だ。
彼が北方系満州族の皇帝を演じるのも、引っかかるものがあった。
坂本龍一の甘粕大尉も実際とはかなり違っていた。
関東軍マニアには文句のあるところだろう。


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