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2004.06.14

みれん 1963 東宝

池内淳子が30歳になり、よろめき映画に出演していた頃の作品である。
と言っても、この映画の中ではよろめいていない。
よろめき後の女のドラマである。
愛人に走って家庭を崩壊させて、失うものが何もなくなった女が、
でも最後は自立して再び立ち上がるまでを描いている。

松山善三の脚本は誰が監督していても松山善三が書いているとわかるのが凄い。
当然、細君の高峰秀子をイメージして描いたであろう。

しかし高峰秀子にやらせるのは、年齢的に難しい。
そこで池内淳子の抜擢となるのだが、彼女がまた素晴らしい。
若い頃の華やかさが無く、中堅の熟れた色気がある。
演技も仲谷昇仲代達也岸田今日子を相手に回して十分互角いや互角以上に渡り合っている。
映画の演技としては、満点だと思う。

松山善三の脚本は愛人池内淳子の一人称的な見方をしている。
となると、最後は何らかの結論が欲しくなる。
しかしラストが若干弱く感じた。
別れるのか、別れないのか、どっちつかずだ。
実際の瀬戸内寂聴は作家である愛人と元の愛人との間を行ったり来たりして、そのうちに元の愛人が非業の死を遂げ、出家する。

池内淳子三越のデパートガールだったのを新東宝に引き抜かれ、
すぐ人気女優になったが、これからと言うところで寿退社
しかしすぐ離婚復職。
その後大蔵貢時代の新東宝で苦労し、新東宝倒産と同時に東宝へ移籍。
当時はよろめき女優だったが、
のちに「女と味噌汁」だとか、テレビのお母さん役で活躍している。
最近は舞台慣れしてしまい、演技が大げさになってしまった。

池内淳子横山道代に似ている。
しかし演技力に関しては池内淳子が格上だ。
1960年に「花嫁吸血魔」という新東宝のカルト名作に出て、何も怖いものがなくなったのだろう。
(全身毛むくじゃらの怪人蝙蝠女に扮して結婚前の男女を襲うのだ。)

それはさておき、この「みれん」は知る人ぞ知る佳作である。
決して100点満点の映画ではないが、池内淳子の演技だけでも観る価値がある。

監督千葉泰樹
脚本松山善三
原作瀬戸内晴美(「夏の終り」)
出演池内淳子(主人公知子)
  仲谷昇(愛人小杉慎吾)
  仲代達也(若いツバメ、木下涼太)
  乙羽信子(本郷の大家さん)
  西村晃(飲み屋の嫌な奴)
  山岡久乃(その連れ)
  岸田今日子(小杉の妻、声の出演)

http://movie.goo.ne.jp/movies/PMVWKPD21208/index.html

新東宝の名作「花嫁吸血魔」については以下のサイトが詳しい。
http://home.catv.ne.jp/nn/kotatu/jmov/1999_02/990214.html
http://www5b.biglobe.ne.jp/~madison/worst/vamp/hanayome.html


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