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2004.08.20

髪結いの亭主 La mari de la coiffeuse (1990, FR)

日本でもフランスでも髪結いの亭主はいるらしい。
パトリス・ルコント監督の官能作品。
どうしてこの監督は、こんなに上手に女性を撮れるのか?
僕は太めの女性は苦手だが、そういう太めの女性をチャーミングに撮れる監督は凄いと思う。


アントワーヌは、髪結いの亭主になることが夢だ。
中年になったある日、彼は若い女性理容師マチルドと出会う。
すぐプロポーズして二人は一緒になり、アッという間に十年が経つ。
何者も二人の間に入れないような、幸せな日々だった。
ところが、ある豪雨の日、彼女は増水した河に身を投げて死んでしまう。

作品全体を貫くエロティシズムが、何とも良い。
カットとしてはエッチではないのだが、場所をはばからず愛し合っている。
二人の密着愛が快い。
こんな髪結いの亭主なら、誰だってなりたいものだ。

いずれの国でも髪結いの亭主なんて、浮気者で、ろくに家にいつかないような男の筈。
いや、それで良いのだ。
ひたすらマチルドを尊敬し愛する、アントワーヌなんて、特殊なタイプ。
マチルドにとって、これほど全身全霊愛される幸せが永遠に続くとは思えなかった。
逆に言えば、彼が彼女を愛しすぎて、精神的に籠の鳥にしてしまったため、彼女は精神のバランスを崩したのだろう。
彼の愛をいずれ失うぐらいならと、一番幸福な瞬間に死を選んでしまった。

「神田川」で言えば、「あなたの優しさが怖かった、、、」というところだ。
もっと具体的で普通の愛なら、こういう結果には、ならなかっただろう。
やはり極限まで走ってしまう愛ってのは、かなり危険。
フランス映画だと、これでよく人が死ぬ。

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