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2004.08.13

プライベイト・ライアン(Saving Private Ryan, 1998,USA)

スティーブン・スピルバーグが二度目のアカデミー監督賞を取った作品だ。

初めの三十分はスプラッタホラーのように内臓が弾け飛ぶ、ノルマンディー上陸作戦オマハビーチの戦い。
連合国軍歩兵たちは味方の屍で砦を作り、ドイツ軍の88ミリ砲を破壊する。

多くの部下を失いながらも、ようやく大仕事を成功させたミラー大尉(トム・ハンクス)だがマーシャル将軍の気まぐれで、一人の二等兵ライアン(Mディモン)を救出しアメリカへ送還するように命じられる。
しかもライアンは敵のど真ん中にパラシュートで降りたらしい。

部下を引き連れ、敵陣深く潜り込むが、部下を一人また一人失う。
たった一人の二等兵を救うために大きな犠牲を払い、部下達は士気を失い始めた。

ミラー中隊長は、部下を勇気づけ、自らも士気を奮い立たせて、やっとライアンを発見した。
しかしライアンは仲間を見捨てて、故郷へ帰ることはできないと言い出す。

「シンドラーのリスト」を撮ったスピルバーグが、今回も軍隊の気まぐれな命令を忠実に遂行しようとする優秀な部隊の末路をドキュメンタリータッチに描き、戦争の不合理性を引き出している。

愛国心の塊だった、ミラー中隊長は、ライアン救出作戦を仰せつかってからというもの、部下を連れて進むべきか退くべきか、常に悩み続ける。
退くことはできない。そこで前進するための、動機付けを考える。
「この仕事を成功させて、国に帰ろう」そう部下に、そして自分自身に言い聞かせる。
彼自身も長い軍隊生活で、疲れが出ていて、愛国心が揺らぎ始めていた。

しかし道中で、ミラーは途中で敵の陣地を潰すために寄り道をしたり、要所の橋を守る作戦に加わったりと、命令そっちのけで戦争に参加してしまう。


腹心のマイク軍曹にはトム・サイズモア(「ヒート」)。射撃の名手ジャクソンにはカナダ人のバリー・ペッパー(「グリーンマイル」)、衛生兵ウエイドにはジョバンニ・リビジ(「カーラの結婚宣言」)、通訳のアパム伍長にはジェレミー・デイビス(「ツイスター」)と、
この手の映画らしく演技派を多数配置している。
各人は部下と言うより、トム・ハンクス演じるミラー大尉の教え子のような立場で、トムの気持ちの移ろいを引き立てる。
どっかの掲示板に、各人のキャラクタをもっと具体的に描いて欲しかった、と言うレビューがあった。
下手に人物描写をし始めたら、五時間あっても足りなくなる。

この映画の最も良い点は何か?
スピルバーグの演出は大したこと無い。
映像が凄い。
ヤヌス・カミンスキーがアカデミー撮影賞を取っている。
ハンディ中心のセピアトーンなんだけど、すごく陰影があって、美しい絵だ。
明るい場面では遠目の絵で色が潰れてしまうが、近場の絵、とくに人物は凄い。
今の技術水準の高さを思い知った。



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