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« 五月のミル(1989) フランス | トップページ | ちいさこべ 1962 東映 »

2004.11.04

冷飯とおさんとちゃん(1965) 東映

中村錦之助が三つの山本周五郎短編に取り組むオムニバス映画。
相手役の女性がエピソードごとにかわり、彩りを添える。

第一話ではすれ違う美しい息女に入江若葉(母親役に木暮実千代)、
第二話では三田佳子(最初の妻役)と新珠三千代(江戸へ戻る旅の道中で一緒になる)が、
第三話では森光子(女房)と渡辺美佐子(飲み屋の主人)が演じている。

松竹で「五辨の椿」が映画化されたあとの東映作品。
東映は周五郎作品では後手を引いていたから、同じ山本周五郎でも何か目先を変えたかったのだろう。


東宝「椿三十郎」が第一次山本周五郎ブームの幕開けである。
ついでテレビで70年代「樅の木は残った」「ぶらり信兵衛道場破り」が放送された頃が第二次ブーム。
さらに2000年「どら平太」、2001年「雨あがる」と続くここ数年が第三次ブームである。
しかしいずれも文学と映画の差を感じさせる。

それを感じさせないのが、この田坂作品だ。


山本周五郎作品は、江戸時代の風俗を正確に語っているというより、ほとんど現代の出来事を江戸時代に置き換えている。
第一話は江戸時代の武家の四男坊(冷飯食い)の現実を描いている。(この話は江戸特有のものだ。)
第二話は妻がエクスタシーに達するとき知らない男の名前を呼ぶというお話。
それを許せず夫は旅に出るのだが、明治時代以降の結婚観・貞操感を反映している。
第三話は、火鉢職人が営業職に配置転換されたあげく歩合給にされて、リストラされてしまう。
しかし家族の愛に支えられ立ち直る。
もちろん、昔もあったろうが、今だって切実な思いで読んだ人も多いだろう。


田坂具隆監督はどの話の最初も中村錦之助の歩く姿を後ろから撮っている。
それぞれ違う身分で違う感情で歩いているのである。


そう言えば、この映画は東映映画だが東映以外の人を多用していた。
三木のり平が三話で泥棒役で出てきている。


女優で印象に残ったのはやはり新珠三千代である。
決して好みのタイプではないのだが、色気をヒシヒシと感ずる。

渡辺美佐子も当時があぶらが乗って美しかった頃だ。

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