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2005年8月

2005.08.30

女性No.1 1942 MGM

野球記者のサムとジャーナリストにしてフェミニストのテスは、同じ新聞社に勤めるが、会わないうちから犬猿の仲である。
それが二人、顔を合わせた途端に恋に落ちた。
彼女を球場に連れていったり、とんちんかんなデートを繰り返していたが、ついに結婚する。
結婚しても彼女は敏腕ジャーナリストであり、秘書と一緒にいる時間の方が長い、すれ違いの日々が続く。
ある日彼女はギリシャ難民の子供を養子にしたいと言い出し、サムは怒る。
彼女が "Woman of the Year" を獲得した日に、養子を施設に返してしまった。

トレイシー・ヘップバーンのコンビ第一作である。
トレイシー(42歳)はヘップバーン(35歳)と組むことに最初難色を示していたそうだが、結局仲よくなって、9作品で共演し、27年間公私をともにした。
この映画ではヘップバーンは演技に徹していたと思うが、トレイシーの方が、惚れたんじゃないか?

1935年のウーマン・オブ・ジ・イヤーを獲得したドロシー・トンプソンとノーベル賞作家シンクレア・ルイス夫妻がモデルになっている。

映画内ではニューヨーク・ヤンキース対フィラデルフィア・アスレチックスが行われていた。
今のアスレチックスがオークランド、カンザスシティーに移る前の話だ。

監督 ジョージ・スティーブンス
制作 ジョセフ・マンキーウィッツ
主演
スペンサー・トレイシー
キャサリン・ヘップバーン

脚本
マイケル・カニン(アカデミーオリジナル脚本賞)
リング・ラードナー・ジュニア(アカデミーオリジナル脚本賞)


1942年は「ミニヴァー夫人」がアカデミー作品賞、主演女優、助演女優、脚色賞を獲得した年だ。
戦争婦人映画でないと賞を取るのが大変だったのだろう。
その中で戦争映画以外の「婦人運動コメディ」が一部門でも制覇したのは実にめでたい。

2005.08.27

名探偵ポワロ チョコレートの箱 LWT

ポワロはジャップ警部と故郷ブリュッセルを訪れた。
ポワロは若い頃ベルギー警察時代に失敗した事件を回想する。
それはポワロにとって淡いロマンスの思い出でもあった。

ビルジニー役のアンナ・チャンセラーは美人である。
まさか彼女と、毛が増量されたポワロの間にロマンスが成立するとはとても思えない(笑)

なかなか知る機会のないベルギーの複雑な歴史を学ぶことができた。
フラマン語派は、第一次大戦で親ドイツだったようだ。
ということはドイツと仲が悪かったポワロは、カトリックだったのか。

脚本 ダグラス・ワトキンソン 
監督 ケン・グリーブ 
出演 ポワロ デビッド・スーシェ
ジャップ警部 フィリップ・ジャクソン 
ビルジニー ANNA CHANCELLOR
デルラール夫人 RASALIE CRUTCHLEY

2005.08.26

名探偵ポワロ ホロー荘の殺人 2004

今夏お送りする四つのうち、もっとも俳優にお金がかかっている作品だ。
なにせサラ・マイルズだ。もう60過ぎ。
デビッド・リーン監督の傑作「ライアンの娘」主役である。
もうおばあさんだが、この人が出てくる以上、ただでは済むまい。
野村芳太郎監督「危険な女たち」(原作はホロー荘)の北林谷栄とくらべると、まだ若い。

ヘンリエッタ役はメーガン・ドッズ
アメリカの若手美人女優である。
ドリュー・バリモア主演「エヴァーアフター」で白雪姫失礼、シンデレラの義姉役をやったのを覚えている。
さて、このドラマのヒロインは彼女だ。
「危険な女たち」では池上季実子というわけだ。

クレア・プライスは、まるでドリュー・バリモアのようなタイプだ。
あるいは耐えて忍ぶ、「危険な女たち」大竹しのぶか。
(大竹と比べて、クレアはオーラがない。おかげでメーガン・ドッズとうまくバランスを取っていた。)
ジョンの妻であり、殺人現場で銃を持ってるところを発見されて、彼女がまず一番先に疑われた。
しかし証拠不十分で逮捕されない。

リゼット・アンソニーは、グラマー女優ヴェロニカ役だ。
ジョンの元恋人であり、再び彼の目の前に現れる。
日本では藤真利子が演じたが、タイプは全く違う。

目立たないが、最後に幸せをつかむミッジ役はキャロライン・マーティンだ。
相続人エドワードはヘンリエッタを愛していたが、最後にミッジに乗り換える。
しかし「危険な女たち」和由布子の方が、印象に残った。

エドワード・ハードウィック は髪の毛は薄くなっているが、「シャーロック・ホームズの冒険」二代目ドクター・ワトソンである。
小沢栄太郎が日本では、やってた。

執事役の名優エドワード・フォックスは、フレデリック・フォーサイス原作、フレッド・ジンネマン監督の傑作「ジャッカルの日」の主役ジャッカルである。
ここでは重厚な演技に終始する。
しかしアテレコがイマイチ合っていない。
「鏡は横にひび割れて」のときは、たしか納谷悟朗だった。

スタッフ
脚本 ニック・ディア
演出 サイモン・ラングトン 
撮影 ジェームズ・アスピナル 
制作 マーガレット・ミッチェル 

キャスト
ポワロ デビッド・スーシェ (ベルギー人の探偵)
ルーシー (藤田弓子) サラ・マイルズ(ホロー荘の夫人)
ヘンリエッタ メーガン・ドッズ (ジョンの愛人で彫刻家)
ジョン ジョナサン・ケイク(医師)
ガーダ クレア・プライス (ジョン夫人)
サー・ヘンリー エドワード・ハードウィック (ホロー荘の主人)
ヴェロニカ リゼット・アンソニー (映画女優でジョンの元愛人)
ガジョン エドワード・フォックス(執事)
ミッジ キャロライン・マーティン (ルーシーの従姉妹)
エドワード ジェイミー・デ・カーシー (相続人)

このドラマを大成功作ではないにしろ、失敗作にもしなかったのは、名のある俳優を犯人や被害者に使わなかったこと。
脇に回したおかげで、ずいぶん芝居に重みが出た。
ただし名優のアテレコは、もう少し考えてほしい。
いかにもみんなでかばいあいをしてるのが、見え透いていた。

演出・脚本などのスタッフを大幅に入れ替えて、作った新作四本。
もっとも良かったのは、やはり「杉の棺」である。
最初に読んだとき、犯人がわからなかった。
メロドラマでありながら、本格的な妙味も楽しめる傑作である。

他の作品は、犯人当てが目的ではない。
もっとも怪しい人間が犯人だという、クリスティの定番だ。
「ナイルに死す」は、原作からして中途半端な旅情ミステリーである。
また本作品は演出、コスチューム、メイクが気に入らなかった。
脚本家より制作全体の失敗だ。

「五匹の子豚」は「ナイル」と同じ脚本家だが、二回見て良さがわかった。
ただしルーシー役は不適当である。

「ホロー荘の殺人」は視聴者を誤った方向に誘導したいがため、わざわざコストを掛けて名優を使った。
しかしミーガン・ドッヅが美しかったから、すべてが許される。

2005.08.25

名探偵ポワロ 五匹の子豚 2003

「杉の柩」に続いての女性ドラマである。
したがって個性的な美女がたくさん出てくる。
今度は回想殺人劇であり、脚本家の力量が問われる。
撮影では定番になったが、セピアカラーのハンディ風カメラを使っている。
ドラマは回想シーンとインタビューシーンを同時的に並べられるため、わかりやすい。
もっとも怪しい人物が犯人である。

わかりやすいからと言って、出来がいいとは限らない。
「スリーピング・マーダー」の後の作品ということだが、「スリーピング・・・」より多少重層的な構造を持っている。
しかし「スリーピング・・・」の単純さも捨てがたい。


ルーシー・クレイルと名乗る若い女性がポワロの前に現れ、14年前(原作では16年前。時効の関係で変えたのか?)、父アミアスが毒殺された事件を洗い直してほしいと依頼する。
彼女の母キャロラインは、その事件で処刑されていた。
犯罪にかかわった可能性があるのは五人だけ。
ポワロは一人一人を訪ねて、事件を再構成していく。


原作:アガサ・クリスティー (彼女はこの作品をもとに、戯曲「殺人をもう一度」を書いている。)

ルーシー・クレイル(原作はカーラ・ルマルション)役は、美しき両足義足のアスリート兼ファッションモデル、エイミー・マリンズである。
"Aimee Mullins"で検索すれば写真を見ることが出来る。
メイクアップでは恐ろしいほど綺麗だが、演技力は?である。
彼女を起用したのは失敗ではないか。

その亡き母親キャロライン(カロリン)役はレイチェル・スターリングだ。
本作品のバリバリのヒロインであり、なかなかチャーミングな女優である。
最初のシーンは重要だ。
彼女は、新しいミス・マープル・シリーズ「牧師館の殺人」で牧師夫人グリゼルダを演じている。

父の愛人エルサ役には、年増だが目が印象的な美人女優ジュリー・コックスを配する。
若作りした回想シーンより年相応の現代シーンの方が良かった。
家族同様の集まりの中で波風を立てる、アンチヒロインの役割だ。
アミアスと恋に落ちたはずだった。

片目の潰れた叔母アンジェラ役はソフィー・ウィンクルマン(若き日はタルラ・ライリー)である。
彼女はキャロラインに幼い頃、目を潰された。
キャロラインはそのことを一生心の重荷としていたが、それがこの事件の鍵だ。

家庭教師ウィリアムズ役はジェマ・ジョーンズ(「ブリジット・ジョーンズの日記」の母親役で有名)が演じている。
家庭教師としてはアンジェラやルーシーのことを今も大切に思っている。
しかしこれほどの人を使って、この役どころでは、物足りない。

男性陣ではアイリッシュのアイダン・ギレンが夫アミアスを演じていた。
バイセクシャル的な魅力でストーリーに新しい解釈をもたらした。
アレック・ボールドウィンの兄弟のような男前だが、演技力も伴っている。

スタッフ
脚本 ケビン・エリオット(次作は「ナイルに死す」)
演出 ポール・アンウィン
撮影 マーティン・フューラー
制作 マーガレット・ミッチェル

キャスト
ポワロ(ベルギー人の探偵)デビッド・スーシェ
ルーシー(事件の依頼人) エイミー・マリンズ
エルサ(父の愛人) ジュリー・コックス
キャロライン(母、死刑になった。) レイチェル・スターリング (萩尾みどり)
アミアス(毒殺された父) アイダン・ギレン (松橋 登
アンジェラ (片目を潰した母の異母妹) ソフィー・ウィンクルマン
フィリップ (父の幼なじみ、弟でホモ) トビー・スティーブンス
メレディス(父の幼なじみ、兄) マーク・ウォーレン
ウィリアムズ (家庭教師) ジェマ・ジョーンズ (八木昌子)

ドラマとしては、もう少し回想シーンを増やして、最後の容疑者全員の集合シーンまでポワロは出てこない方が良かったのではないかな?
女性心理ものでは、男性探偵は表に出ない方がいい。

190000アクセス御礼申し上げます。

一回目の観賞では心理小説をどうして本格的に扱ったかと思ったが、二度目の観賞で脚本家の力量がわかった。

フィリップがホモであること。
若いエルサがうぬぼれて、アバンチュールを本気だと勘違いしていたこと。
アミアスとキャロラインは、恋の駆け引きを楽しんでいたこと。
キャロラインが、ある人を疑っていたこと。
これらを短い間に、視聴者に対してきちんと匂わせている。
心理ミステリだと思った作品を、見事に本格風推理小説に仕上げた。
とはいえやっぱり状況証拠しかないのだ(笑)

僕だったら、もう少し女性心理を強調する脚本を書いたと思うが、これはこれでいい作品だ。
しかし次作「ナイルに死す」は失敗だったと思う。

2005.08.24

名探偵ポワロ 杉の柩 2003

杉の柩」は、ラブストーリーの仮面をかぶった、財産目的の犯罪譚である。
そのドラマ化としては、理想的な演出であり、脚本だ。
ポワロ長編のドラマ化は見掛け倒しであることが多いが、これはミス・マープルものに近い完成度である。
もう少しポワロの登場回数を減らせば、もっと良かった。
これは女のドラマなのだ。

エリノアとロディは婚約中の身だ。
彼らは病身の伯母ウェルマン夫人のもとへ行った。
そこには庭師の娘メアリーが、ドイツから見違えるように美しくなって、帰ってきた。
すると早速ロディは、メアリーに手を出してしまう。
その夜、ウェルマン夫人が急死する。
事件性があったにもかかわらず、医師はもみ消す。
エリノアが、ウェルマン夫人の全財産を受け継ぐことになった。
エリノアは屋敷にメアリーを招待するが、メアリーは毒殺されてしまう。


エリノア(エリザベス・ダーモット・ウォルシュ)は主役級の顔立ちだが、日本人好みではない。

メアリーことケリー・ライリーに着目だ。
ジュリー・デルピーとテイタム・オニールを足して二で割ったような顔だ。
決して美人ではないが、演技力は相当ある。
もう少しドラマの間、生きていてほしかった。
今後、成長するだろう。覚えておこう。

ホプキンス役のフィリス・ローガン(「秘密と嘘」)は日本でも少し有名な人である。
誠実そうな顔の裏に邪悪なものを潜ませる、悪女には適役か。
ただし主任警部モース「カインの娘たち」で見たときより、顔が短くなっていた(笑)
あのとき、どうしてこんなおばさんが、こんな色っぽい役で出てくるのか不思議だったが、今日のこの顔は好きだ。
この二日間、声優にはピンと来ないことが多いが、弥永和子のアテレコはぴったりである。

スタッフ
脚本 デビッド・ピリ
演出 デビッド・ムーア
撮影 マーティン・フューラー
音楽 クリストファー・ガニング
制作 マーガレット・ミッチェル

キャスト
ポワロ デビッド・スーシェ (ベルギー人の探偵)
エリノア エリザベス・ダーモット・ウォルシュ(主人公の独身女性)
ロディ ルパート・ペンリー・ジョーンズ(元婚約者、ナチス支持者)
ドクター・ロード ポール・マクガン (田舎の医師)
ホプキンス フィリス・ローガン(通いの看護士)
ウェルマン夫人 ダイアナ・クイック (裕福な老婦人、病床にある。)
メアリ ケリー・ライリー (庭師の美しい娘、留学帰り)
マーズデン警部 ジャック・ギャロウェイ (地元の警官)

原作:アガサ・クリスティー
 

2005.08.23

名探偵ポワロ ナイルに死す 2004

はっきり申し上げて、この監督の演出はポワロには合っていない。
ベッドシーンぐらいはいいとして、序盤からテンポが速すぎる
30年代のレトロな雰囲気が全くない。
メソポタミア殺人事件から、撮影はがらっと変ったが、今回は演出が大きく変った。
この監督はミス・マープル(ジェラルディン・マッキューワンのシリーズ、書斎の死体、パディングトン4時50分発)をその後撮ったそうだが、やや不安を感じた。

エマ・マリンがヒロインを演じたが、本国ではそれほどの女優ではないようである。
しかし非常にグラマーだ。
映画では天下のミア・ファーロウが演じている。

早速殺されるエミリー・ブラントはなかなかの美人だが、これも実績はない。
ドラマでは非常に冷たく虫けらのごとく扱われる。
少し納得がいかなかった。
映画ではボンドガールのロイス・チャイルズ

メイドのルイーズ(フェリシテ・ドゥジュ)はドラマでは出番はほとんど無く、殺される。
映画ではジェーン・バーキンが演じる重要な役だ。

フランセス・デラチュア(オタボーン夫人)は派手な作家で最後に殺される。アンジェラ・ランズベリーが映画では演じていた。

ロザリー役の女の子(ゾイ・テルフォード)は映画ならオリビア・ハッセーだから、期待したのだが、化粧がきつい。
本当は美人なんだろうが。

デイジー・ドノヴァンはコーネリア役だ。
映画では出てこなかったと思うが、ドラマでは、フィーチャーされていた。
なかなか好感のもてる人だ。

アラートン夫人はバーバラ・フリン(主任警部モース「ニコラスクインの静かな世界」)が好演。

おじさん連中ではレイス大佐がジェームズ・フォックスである。
無個性のレイスだった。
映画では癖のあるデビッド・ニヴンだった。

アメリカ人ペニントンはドラマ「スタスキー・ハッチ」のデビッド・ソウルが演じる。
でも太っていてイメージが狂った(笑)
映画ではジョージ・ケネディがやってた。

スタッフ
脚本 ケビン・エリオット 
演出 アンディ・ウィルスン 
撮影 マーティン・フューラー 
音楽 クリストファー・ガニング 
制作 マーガレット・ミッチェル 
キャスト
ポワロ デビッド・スーシェ (ポワロ)
ジャクリーン エマ・マリン (嫉妬に燃える女)
サイモン JJ・フィールド (新婚夫)
リネット エミリー・ブラント (新婚妻)
アラートン夫人 バーバラ・フリン(婦人)
ティム ダニエル・ラパイン (マザコンの馬鹿息子)
ヴァン・シュワイラー ジュディ・パーフィット (金持ち老婦人)
コーネリア デイジー・ドノヴァン (ヴァン・シュワイラーの遠縁の娘)
オタボーン夫人 フランセス・デラチュア(作家)
ペニントン デビッド・ソウル (アメリカ人、リネットの管財人)
レイス ジェームズ・フォックス (退役大佐、情報関係の仕事をしている。)

原作:アガサ・クリスティー 

2005.08.22

自転車泥棒 1948 イタリア

「靴みがき」についで、ビットリオ・デシーカ監督が素人を起用した二作目。
アカデミー外国語映画賞を獲得した。
ネオ・レアリズモ映画だが、哀しくもあり、おかしくもある。
正直言って、何度か見ているうちに、最後は笑ってしまう。
ここまで人間の惨めさを突き詰められると、笑うしかない。

幸い、誰も逮捕されず刑務所にも入らない。
ただプライドが傷つくだけである。
アントニオだけではない。
当時の多くのイタリア人がそうだったはず。
そして自分の仲間の元に帰れば、みんなが慰めてくれる。
家に帰れば、女房は怒って口をきかない(笑)

ふと思う。
この映画の主人公は、私かもしれない。あなたかもしれない。
惨めな思いをしたことがあれば、誰もが主人公ではないか。

イタリアは敗戦国だったので、黒澤明「酔いどれ天使」などと一緒に評価される。
黒澤明もリアリズムのなかに、普遍性を求めたのではないかな。

林芙美子に「風琴と魚の町」という短編がある。
舞台は尾道。極貧少女時代の自伝的作品だ。
インチキ商売がばれて、娘の目前で父親は、警官に何発もびんたを食らわされるところで終る。
この小説と比べると、映画「自転車泥棒」は救いがある。


監督
ビットリオ・デシーカ
脚本
チェザーレ・ザヴァッティーニ
音楽
アレサンドロ・チコニーニ
撮影
カルロ・モントゥオーリ
出演
ランベルト・マジョラーニ(父アントニオ)
エンツォ・スタヨーラ(息子ブルーノ)
リアネラ・カレル(母マリア)

2005.08.21

不滅の恋 1994 アメリカ

ベートーベンの伝記映画。
バーナード・ローズが監督脚本。
ヨーロッパの俳優を主に使っている。

ベートーベン(ゲイリー・オールドマン)の遺言の宛先は誰か?
弟子シンドラー(ジェローン・クラッベ)が、ベートーベンに関わった女性達(ヴァレリア・ゴリノ、イザベラ・ロッセリーニ、ヨハンナ・テア・スーグ)を訪ね、彼の人生最大のなぞを解く。

最後の交響曲第九番「合唱」の初演シーンは感動的。

ミステリ映画としては、途中で答えはわかってしまったので、あまり面白くない。

しかしショルティによるベートーベンの演奏は楽しめた。
共演はロンドン交響楽団、ヨー・ヨー・マ、エマニュエル・アックス、マレイ・ペライアら当代一流の演奏家である。
その意味では見事な音楽映画だ。


2005.08.19

煙突の見える場所 1953 新東宝

緒方隆吉は日本橋で商店につとめている。
妻弘子とは北千住で暮している。
そこは巨大な煙突が方角によって、1本に見えたり4本に見えたりする、不思議な場所だ。
緒方は二階を下宿にしていて、久保健三と東仙子が暮している。

弘子は戦災で前夫と死別したと思っていた。
しかし前夫は生きており、弘子は二重結婚をしていた。
ある日、前夫が、愛人との間に生まれた子供を緒方家へ置き去りにする。
夫婦はその子をめぐって喧嘩をするが、間に入った久保が前夫を見つけてくると宣言する。

戦前からの名監督五所平之助の戦後の佳作。
ドアップでもなく中途半端なアップが、ドキュメンタリーのようなリアリズム効果を出している。

田中絹代はスッピンに近いメイクだが、可愛らしいオバサンになっていた。
芥川比呂志が積極的に問題解決のために動き回る役目だ。
一方、高峰秀子の出番は少なめであるが、最も賢そうな役である。

脇役では関千恵子と花井蘭子が並んで帰るシーンが印象的。
花井蘭子と言う女優は美人ではないが、常に記憶に残る人だ。
三好栄子もいつも通り怪演である。

キャスト(役名)
上原謙 (緒方隆吉、下宿屋の主人)
田中絹代 (弘子、妻)
芥川比呂志 (久保健三、下宿人、税務署職員)
高峰秀子 (東仙子、下宿人、アナウンサー)
関千恵子 (池田雪子、仙子の同僚)
田中春男 (塚原忠二郎、弘子の前夫)
花井蘭子 (石橋勝子、捨て子の実母、弘子の前夫の愛人)
三好栄子 (灘らん子、法華宗の祈祷家、強烈なキャラクター)


スタッフ
監督 : 五所平之助
製作 : 内山義重
原作 : 椎名麟三
脚色 : 小国英雄
撮影 : 三浦光雄
音楽 : 芥川也寸志


2005.08.18

旅路 1958 UA

テレンス・ラディガンの二つの戯曲「別々のテーブル」「七番目のテーブル」を組み合わせて、自身で脚本を書いた作品。
いかにも賞狙い映画だった。

場所はイギリス・ボーンマスの冬のホテル。
そこを舞台に人間模様を描く。

デボラ・カーは主役だ。
年増の役なのか、若い役を演じているのか、年齢がよくわからない。
リタ・ヘイワースは『夜の豹」の次回作。
やはり年増役で、寄る年波を恐れている。

彼女らには愛する人がいる。

デボラ・カーの相手はデビッド・ニヴンだ。
彼は官名詐称したあげく、映画館で痴漢行為を行い、罪を認めた。
潔癖なデボラはそれを許せない。

リタの前の亭主はバート・ランカスターがであり、彼とよりを戻しに来た。
これらの恋のゆくえはどうなるのか。

キャスト(役名)
リタ・ヘイワース(Anne Shankland、アメリカからの旅行客。元モデル。)
デボラ・カー(Siby RailtonBell、上流階級だが精神的に不安定な娘。)
デイヴィッド・ニーヴン(Major Pollock、退役少佐と称しているが?アカデミー助演男優賞)
ウェンディ・ヒラー(Miss Cooper、仕事に疲れたホテルの女主人、ランカスターの婚約者だが、いずれランカスターはヘイワースと出て行くと思っている。)
バート・ランカスター(John Malcolm、小説家、リタの昔の亭主)
グラディス・クーパー(Mrs.RailtonBell,デボラの母親。上流階級の老婦人で頭は固そう。)
キャスリーン・ネスビット(Lady Matheson、レイトンベル夫人の友人)
フェリックス・エイルマー(Mr.Fowler、元古典の教師、堅物)
ロッド・テイラー(Charles、医学生、チョイ役)
オードリー・ダルトン(Jean、医学生の恋人)
メイ・ホーラット(Miss Meacham、競馬マニアのおばさん)

スタッフ
監督 : デルバート・マン
製作 : ハロルド・ヘクト
原作戯曲 : テレンス・ラティガン
脚本 : テレンス・ラティガン / ジョン・ゲイ
撮影 : チャールズ・ラング
音楽 :  デイヴィッド・ラクシン
歌 : ハリー・ウォーレン / ハロルド・アダムソン

この映画は舞台系の人や映画人、英国人に米国人、といろいろ混ざっている。
その面白さを出せればよい。
この点で、リタ・ヘイワースとウェンディ・ヒラーの二人はとくに、うまく機能していた。

デボラ・カーとデビッド・ニヴンの二人のエピソードの結末はハッピーエンドだった。
現代的に考えると、デビッド・ニヴンは性犯罪者なんだから、再犯してデボラを悲しませることになるかもしれない。
この点は、脚本に引っ掛かりを感じた。

2005.08.17

邂逅(めぐりあい) 1939 RKO Radio Pictures

今さらながらの大名作「めぐり逢い」

大西洋航路で出会ったマッケイ(アイリーン・ダン)とマルネ(シャルル・ボワイエ)は、お互いに付き合っている人がいた。
やがて愛し合うようになった二人は船から降りると一旦別れて、それぞれに婚約者と別れ、身辺を整理する。

このあたりがケイリー・グラント、デボラ・カーのバージョンと比較して、アイリーン・ダン、シャルル・ボワイエのバージョンでは少し薄っぺらかった。

アイリーン版もデボラ版も、大切なところはほとんど同じ脚本を使ってる。
最後に絵を買った人が誰か察して、ボワイエが全てを知るところがあるのだが、
やはり何回見ても泣いてしまった。


アイリーン・ダン
は好きな女優の一人である。
30年代にあまり好きなアメリカ女優はいないのだが、彼女は違う。
もともとミュージカル女優であり、顔も端正で、戦後になって本当に可愛いオバサンになった。
(戦後の代表作「ママの思い出」)
この作品は実にアイリーン・ダン41歳の作品である。
シカゴの歌姫も、ミュージカル路線からラブロマンス路線に転身して、レオ・マッケリーの名作に出会った。

この映画でのメイクは強めで、後のシビル・シェパードを思い出させる。
祖母のチャペルで敬虔な雰囲気に打たれる、彼女の美しいシルエットは、デボラ・カーに勝るとも劣らない。

"Show Boat" や" Anna and the King of Siam" など次々と主演作がカラーでリメイクされる人でもある。
モノクロフィルムだったため、色をつけて、もう一度見たかったのだろう。
「王様と私」は、やはりデボラ・カー主演であった。


シャルル・ボワイエ
が画家になっても絵になったが、ケイリー・グラントの画家は変だった。
ケイリー・グラントがラテン系の親戚を持っているなんて、どうかなあ?と思う。
そもそもこれはフランス人シャルル・ボワイエのための脚本だったのだろう。


監督レオ・マッケリー
原案レオ・マッケリー
  ミルドレッド・クラム
脚本デルマー・デイビス、ドナルド・オグデン・スチュアート
音楽ロイ・ウェップ
主演アイリーン・ダン(テリー・マッケイ)
  シャルル・ボワイエ(ミッシェル・マルネ)
  マリア・オースペンスカヤ(マルネの祖母)


この作品の原題は"Love Affair"だが、デボラ版(監督はやはりレオ・マッケリー)は"An Affair to Remember"である。
デボラ・カーは英国女優で最も美しい人だ。

子供の頃、サンテレビでデボラ版「めぐりあい」が昼過ぎに何度も何度も再放送していたのを思い出す。

2005.08.15

或る夜の出来事 1934 コロムビア

どうして英題が"IT HAPPENED ONE NIGHT. "なんだろう。
3晩に渡って事件が起きたのに。或る夜になって初めて事件が起きた、と言う意味か。
英語はわかんねえ。

お盆に当たって、何かキャプラ・コメディを見たくなった。
戦前のクローデット・コルベールだとか、ジーン・アーサーは、タイプではないので今まで敬遠してきたが、
最近ジーン・アーサーにも慣れてきたし、お次はコルベールだと思い、この作品を手にした。


富豪の娘エリーは飛行家キングとの結婚を父に反対され、マイアミから家出してキングのいるニューヨークに向かう。
飛行機や列車には父の送り込んだスパイがうじゃうじゃいる。
彼女は長距離バスを選択した。
そこで偶然に隣り合わせたのが、新聞記者のピーターである。
はじめは気が合わなかった二人だが、エリーの秘密をピーターはつかむ。
ピーターはエリーにキングと逢わせてやるからと、エリーに取引を持ちかける。

ミイラ取りがミイラになる恋愛映画の典型パターンであり、おそらくこの映画から始まったのだろう。
スクリューボールの原形で、「ジェリコの壁」などいまだに映画で使われている小道具満載の映画だった。
キャプラの映画は、そのまま映画の教科書になる。

最後に二人を無理にくっつけることはなかったのに。アメリカの金持ちは好きな二人を喜んでくっつけてしまう。
いらぬお世話じゃないか?
結婚したからと言って、幸せになるとは限らない。


個人的には、ゴードン編集長の秘書アグネスを演じたベス・フラワーズが美人だった。(UNCREDITED)

アカデミー作品賞獲得。
監督賞フランク・キャプラ
脚本賞ロバート・リスキン(脚色)
主演男優賞クラーク・ゲーブル(ピーター)
主演女優賞クローデット・コルベール(エリー)
五部門独占は史上初である。

他の出演
ウォルター・コノロイ エリーの父・富豪
ロスコー・カーンズ バスの乗客
ジェイムソン・トーマス ピーターの恋敵、飛行王

2005.08.14

足にさわった女 1960 大映

美しいスリとそのスリを追う刑事の物語。


東海道線上り特急に乗り込んだ非番の刑事北の隣には、女スリさやがいる。
しかし現行犯でないと逮捕できない。
北は足を洗うように薦めるが、彼女は北をまいて消えてしまう。

彼女は厚木の亡父の法事を行いたかった。
しかし大切な法事の金をすられていることに気付く。
彼女は作家の五無康祐を騙して7万円を巻き上げる。
彼女は法事のために昔の親戚を探すのだが・・・

京マチ子は僕のタイプではないが、この映画に限ってはチャーミングだ。
さすが大女優だ。化けてしまう。

ハナ肇は映画初出演だったのか?
最初から押し出しの強い演技で、喜劇は様になっていた。

この後、東宝で無責任男、クレージーシリーズ、さらに松竹でもヒットを連発する。
船越英二、大辻伺郎、杉村春子もおいしい役どころだった。
チョイ役で田宮二郎が出ている。

監督を変えて、3度目の映画化である。
増村保造監督のコメディはあまり見ない。
この作品もラブコメなんだけど、ギャグコメにはならない。
主役が京マチ子だから、おとなしめなのかな。
若尾文子だったら、もう少しハチャメチャになったであろうが。

キャスト(役柄)

京マチ子 (ヒロイン・女スリ塩沢さや)
ハナ肇 (無骨な刑事北八平太)
船越英二 (軟派な小説家五無康祐)
大辻伺郎 (少し頭の足りない、女スリの弟分)
杉村春子 (ベテラン女万引)
田宮二郎 (雑誌記者)
見明凡太朗 (警視庁の警視)
多々良純 (京マチ子に色目を使い、すられる重役)
植木等 (乗客)
浦辺粂子 (謎の老婆)
潮万太郎 (厚木の巡査)
江波杏子 (京マチ子の遠い親戚)

スタッフ
監督 : 増村保造
製作 : 永田雅一
脚本 : 和田夏十 / 市川崑
撮影 : 村井博

2005.08.13

四つの恋の物語 1965 日活

四人姉妹の物語。


父笠智衆の退職記念日に長女芦川いずみと三女吉永小百合は菊ごはんを作っていた。
そこへ次女十朱幸代、さらに四女和泉雅子が50本の白バラを携えて帰宅する。
それは吉永小百合に対する、ある男性からのプレゼントだった。
幼なじみの浜田光夫は気が気でない。

父は退職金を娘たちと5等分する。(当時、贈与税の問題なかったのか?)
十朱幸代は恋人で資金繰りに困っている藤竜也に50万円を融通する。
二人はクラブに入るが、そこで姉芦川いずみが見知らぬ男性と密会しているのを見る。

芦川いずみはこの時代はさすがにお姉さまだった。残念。
十朱幸代は予想通り、不幸な恋愛に終わる。
なお、藤竜也と細君芦川いずみの絡みはなかった。

吉永小百合は女性としてのピークだ。
高校生時代も良かったが、早稲田に入って色気が乗ってきた。

和泉雅子は相変わらず冒険娘の役柄である。
個人的には四人娘よりも、笠智衆の退職金を巻き上げようとしている、横山道代が美しかった。


キャスト(役柄)
芦川いづみ (長女三沢一代、バツいち、不倫に苦しむ。)
十朱幸代 (次女三沢二美子、中小企業二代目と恋仲。)
吉永小百合 (三女三沢三也子、父の会社に勤める主人公、二人の男性の間で悩む。)
和泉雅子 (四女三沢志奈子、花屋に勤めて、競馬大好きな娘)
笠智衆 (父三沢平太郎、定年退職した。)
浜田光夫 (三也子の幼なじみ久保隆太、学生で就職活動している。)
関口宏 (三也子の恋人尾崎良彦、いい家柄のお坊ちゃん)
藤竜也 (二美子の恋人長田吉夫、中小企業の二代目)
横山道代 (飲み屋の女、玉子、笠智衆に色目を使う。)
賀原夏子 (隆太の母とき)

監督 : 西河克己
原作 : 源氏鶏太『家庭の事情」
脚色 : 三木克巳

2005.08.12

娘・妻・母 1960 東宝

家族映画だが、成瀬らしく音楽にピアノ曲を使っている。
三益愛子、娘原節子、妻高峰秀子の三大女優・顔見せ映画である。

母あきは長男勇一郎、その妻和子一家と同居している。
長女早苗は夫と死別し、子供がいなかったため実家に帰ってきた。
勇一郎は和子の叔父に融資しているが、叔父はさらに追加融資を頼んできた。
勇一郎は、早苗が夫の死によってもらった、保険金を融通するが、叔父は事業に失敗して蒸発する。
債務を負った勇一郎は、母の名義の土地を手放さなければならない。
そのことで他の兄弟たちは兄を責める。

これを見て驚いた。
戦後15年経って新民法は、この程度しか行き渡っていなかったのか
いささか、大人しすぎる決着だ。
まだ実質的に旧民法の戸主制度が残っていたのだ。
兄弟が5人もいて、現在なら、裁判沙汰か骨肉の争いになってるところだ。


三大女優の顔見せはあくまで顔見せでしかなかった。
原節子と高峰秀子にとっては、最後の共演作らしい。
せっかく嫁と小姑なのだから、もっと見せ場がほしかった。

キャスト(役名)
三益愛子 (坂西あき(母)、子供に恵まれた母だったが、最後は老人ホームの世話に?)
原節子 (早苗(長女)、有閑マダムだったが、夫が死に婚家に出され、急に人生の荒波をかぶることになる。。)
森雅之 (勇一郎(長男)、サラリーマン)
高峰秀子 (和子(長男の嫁)、子供一人を持つ主婦。)
団令子 (春子(三女)、ワイン会社につとめ、独身。)
草笛光子 (谷薫(二女)、幼稚園の保母で、既婚。)
杉村春子 (谷加代(薫の姑)、強力な婆で、別居を拒否。)
宝田明 (坂西礼二(二男)、カメラマンで、既婚。)
仲代達矢 (黒木信吾(醸造技師)、原節子と付き合っていたが、彼女の母のために別れる羽目に。)
加東大介 (鉄本庄介(和子の叔父)、お金を借りるだけ借りて、逃げてしまう。)
中北千枝子 (戸塚菊(早苗の友人)、証券会社の外交員)
上原謙 (五条宗慶(早苗の見合の相手)、最後は原節子と結ばれる。)
笹森礼子 (モデル、日活女優だが、東宝に貸し出された。)

スタッフ
監督 : 成瀬巳喜男
製作 : 藤本真澄
脚本 : 井手俊郎 / 松山善三
撮影 : 安本淳
音楽 : 斎藤一郎

2005.08.11

バーバラ・ベル・ゲデス(Barbara Bel Geddes)

2005/8/8に亡くなった。
この人は準主役級なのに、日本で流行った映画にばかり出演している。
人の良さの良さそうな感じで好感を抱かれたのかもしれない。

ママの思い出」アイリーン・ダンの長女役、個人的にはこの映画が強い印象に残る。しかしこの映画を見たときはアイリーン・ダンがお色気女優とは知らなかった。

「暗黒の恐怖」エリア・カザンの作品

めまい」ジェームズ・スチュアートを片思いしている、友人役。たしかブラジャーのデザイナーかな。

5つの銅貨」ダニー・ケイの妻役。この映画をもっとも多くテレビの再放送で見た。

「ダラス(TV)」

2005.08.08

八月の濡れた砂 1971 ダイニチ映配(日活)

70年代のシラケ世代暴力とセックスを描いているはずだが、
いまでも十分に通用する話である。
90年代だからといって、この手の奴らは常に白けている。
彼らはさらに凶暴さを増して、闇に蠢いている。

早苗は夏の朝、学生たちに回されて海に捨てられたところを清に救われる。
しかし姉の真紀は清を犯人と思い込み、警察に届けようとする。
誤解とわかると今度は清が怒りだし、真紀を押し倒す。
しかし最後になって清は萎えてしまう。

健一郎は和子にちょっかいを出していた。
それを知った優等生の修二は和子を犯してしまい、ショックを受けた和子は自殺してしまう。
健一郎と清は強い虚無感に襲われる。

健一郎は、義父亀井が懲らしめてやろうと雇ったチンピラに襲われ、大けがをしてしまう。
亀井は、また健一郎らをヨットに誘う。
しかし健一郎は亀井に銃口を向ける。

☆ネタバレ

村野武範が藤田みどりを最後に襲ったのは、母に対する復讐だったのだろう。

藤田監督が71年の一場面を切り出して見せてくれたのは、大きな意義がある。
ただ私の場合は大人になるのが、10年ほどずれていたため、これは古典映画になってしまった。
80年代青春まっただ中のわれわれには「カリフォルニア・ドリーミング」(1979)、「ポーキーズ」(1981)や「パンツの穴」(1984)があったのだ。
当時は景気がよくなって、平和ボケしていた。

キャスト:
広瀬昌助 (主人公・西本清)
村野武範 (清の友人・野上健一郎。)この後、先生役に抜擢される。
中沢治夫→剛たつひと(優等生・川村修司)当時、生徒役として活躍。
赤塚真人(友人・渡辺マモル)当時、生徒役として活躍。
隅田和世(優等生・稲垣和子)目鼻立ちのはっきりした女の子。一度見たら、ああ、あの子かと思い出す。「人造人間キカイダー01」に出演。
藤田みどり(ヒロインの姉・三原真紀)
テレサ野田(ヒロイン三原早苗)若い頃は愛くるしい顔だった。他に出演作はNHK「タイムトラベラー」、のちに西園寺たまき(ロックボーカル)。
八木昌子(兄嫁・西本文子)
奈良あけみ(清の母・野上雅子)
渡辺文雄(雅子の愛人で大金持ち・亀井亀松)
地井武男(高校教師・井手)
原田芳雄 (神父)
山谷初男 (こそ泥の五郎)

スタッフ
監督 : 藤田敏八
脚本 : 藤田敏八 / 峰尾基三 / 大和屋竺

ケーブルテレビの無料チャンネルで久々に見た。
今生きていたら、藤田監督はどういう暴力映画を撮るだろうか?

遅くなりましたが、18万アクセス御礼申し上げます。

2005.08.06

三人の妻への手紙 1949 20世紀フォックス

三人の妻が子供会のピクニックに出かける。
そこへ友人アディから手紙が届く。
「私は、あなた方のうちの一人の、ご主人とこの町を出ます。」
三人は悪い冗談だと言いながら、気が気でない。
実は、三人とも心当たりがあるのだ。。
さて、誰の夫が浮気をしていたのか?

アメリカの古き良き時代である。
赤狩り(ハリウッドにとってはユダヤ人狩りである。)直前であった。
マンキーウィッツ監督はこの作品でアカデミー監督賞・脚本賞を獲得して、さらに翌年「イブの総て」で監督賞を連覇する。

いま見ると何故三人の妻は、自分が悪いと思っているのだろうか。
本来、妻は、愛人であるアディを恨むものだろう。

この作品には当時のアメリカの超保守的な夫婦観が反映されている。

この作品でセルマ・リッターのお手伝いさん姿が、はじめて世に出た。
この方が僕にとっては重大事である。
彼女にとって「34丁目の奇跡」に次ぐ、実質的二作目である。
クレジットされていないが、アン・サザーン家のお手伝いさんであり、リンダ・ダーネルの実母の親友と言う重要な役である。
二つの回想シーンに登場し、台詞は三夫婦に次いで多い。通いのお手伝いさんが友人とともに主人の悪口を言う。

市原悦子と野村昭子の「家政婦は見た」名シーンはこの映画が起源ではないか?

出演
ジーン・クレイン・・・デボラ(「ステイト・フェア」、神経質な役が似合う、なかなかの美人である。好みだ。)
アン・サザーン・・・リタ(「八月の鯨」、戦前からついこの間まで活躍していた、華やかな大女優である。)
リンダ・ダーネル・・・ローラメイ(この人は『血と砂」(共演タイロン・パワー)「荒野の決闘」(共演ヘンリー・フォンダ、ビクター・マチュア)のヒロインとして有名な、ピンナップ系ナイスバデー美人である。)
ポール・ダグラス・・・ポーター
カーク・ダグラス・・・ジョージ(「突撃」、こんな映画にも出ていたのだ。)
ジェフリー・リン・・・ブラッド
セルマ・リッター・・・セイディ(「イブの総て」、「裏窓」、「波も涙も暖かい」、『荒馬と女」、「ボーイングボーイング」)

監督・脚本 ジョセフ・マンキーウィッツ

ジョン・クレンプナー(原作)
ヴェラ・カスパリー(脚色)

ネット配信のプリメディアで掛かっているのを観た。映画をパソコンで見ると、病人には少し辛いものがあった。また速度によっては字幕が文字化けした。


2005.08.03

実存からの冒険 西研 ちくま学芸文庫

西研は、竹田青嗣の一派(実存主義)に属する在野の哲学者。
東大出。
学者というより解説者と言う方が、ぴたりと来る。

第一章はニーチェを取り上げる。
ルター派の牧師の子に生まれながら、キリスト教批判の急先鋒になった実存主義の哲人であり、45ぐらいで発狂した。
彼の思想は簡単に言うと次の通り。
キリスト教は悪しき平等主義であり、(当時の)ユダヤ人は被害者意識ばかり強く持った、ひねくれ者だ。
真理なんてあるわけないだろう。
人間の生きる意味なんて、他の誰かに決めてもらっても仕方ないじゃないか。
どうせ一度きりの人生なんだから、手作りの価値観を持って、楽しく生きろ。
キリスト教の精神的枠組を突破して、凄い冒険をしてみろ。
そしたら超人と呼んでやるよ。

彼が本来ルサンチマン(恨み辛み)の塊のような人間であった。
そこから脱却し力への意志を求めるために、ひたすら書き続けた。

彼の哲学に相互理解の論点はないと思っていたが、西研によると、さにあらず。
一生懸命頑張ってる人同士は、何も言わなくても分かり合えてるはずだ。

それから民主主義も社会主義も、キリスト教的世界観の枠組の中にある。
非キリスト教的社会主義は、けったいな毛イズムや主家思想のような東洋思想の変形。
あくまで社会主義=マルキシズムといえば、ユダヤ-キリスト体制のなれの果てにすぎぬ。

第二章ハイデッガー。
まず師匠のフッサールの現象学を解説してから、ハイデッガーに移る流れだ。
しかし用語の定義ばかりで読みにくい!
ニーチェと全然違う。
消化不良の欲求不満が残る。
daseinだとか世界内存在など、もっと分かりやすい解説が出来るだろうに。
あるいは、ニーチェと違う点だけ書いてくれれば良かったのではないか。

第三章はヘーゲルだ。
ポストモダンかと思ったが、時代を遡ってしまった。
80年代全盛のポストモダンでは、他者との関係の問題が解けない。
そこで私は国家だと言っているような、ヘーゲルの出番となる。
しかし言葉数が足りない。

読んで面白かったのは、第一章だけだ。
この本は1989年に初版が出ている。その後書いた本はまだ読んでない。
ヘーゲルについて、著者は面白く解説できる人だと思う。

ライブドアから再録

Deadly Harvest, Carolyn Walker , Cambridge Univ. Press

イギリスの片田舎へ着任した女主任警部。
着任早々に農場で謎の殺人事件が発生する。
犯人と思われた男は逮捕されるが、病院で殺される。


グレイディッド・リーダーの書き下ろしらしい。
殺人事件ものだが、警察の描写が甘くて、リアリティに乏しい。
おそらくイギリスの中学生向きか?
ただし英国の警察制度を知らない人には、勉強になる。

ケンブリッジはオリジナルにこだわる。
名作をリトールドしてるオクスフォードと比べ、内容は子どもっぽく、大人からすると突っこみどころが豊富だ。

2005.08.02

石垣りん 夜の太鼓 筑摩文庫

石垣りんは詩人だ。
そのエッセイを読む。
独り身の生活から、にじみ出てくるような言葉。
それでいて軽くない言葉。
何とも言えない大正女性らしい文章がイイ。

1920年生まれ。
日本興業銀行を、定年退職。
在職中から分かりやすい現代詩を発表し続け、ファンも多い。
随筆集もこれで三冊目。

当然、詩人だからレトリックの使い方は気にした。
この人は平易な日本語を使う名人だ。
だから軽い直喩しかなさそうだったが、たまに派手な隠喩が出てきて度肝をぬかれる。
詩人根性は抜けないもの。


この人の文章は、童話作家のそれと似ている。
そして童話を書く人が、ちらりと見せる毒。
この人の詩を読んでいても、優しさだけじゃない毒を感じる。

そんな毒のある書き手になりたいが、とても無理。
毒はお腹の中に隠してなきゃ毒にならない。
四六時中吐きっぱなしと言うんじゃ、ダメだ。
性格的に詩人タイプでも童話タイプじゃない。

最近、亡くなった。
残念である。
興銀(現みずほ銀行)でも、知ってる人は少なくなったようだ。


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