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2006年11月

2006.11.26

眼の壁 1958 松竹

いつもながら優柔不断そうに見えて、実はしつこいサラリーマン佐田啓二がわがままにも、業績不振な会社を休職してまで、挑む経済界の謎。

会社の手形をパクられて、責任を感じた経理課長が自殺した。会社の顧問弁護士西村晃は世間体が悪いと言って、手形をパクった犯人を訴えようともしない。仕方なく佐田啓二が個人的に金融業者を探索してみると、謎の美女鳳八千代と出会う。やがて彼は政界のフィクサー舟坂氏が事件に関係していると推理して、張り込んでいると、再び鳳と出会ってしまう。彼女は事件に関係しているのだろうか。

今や手形のパクリとは何か知らない人も多いだろう(「ミナミの帝王」のファンは良く知っていよう。)が、当時はまともな会社でも被害を受けた。
いわばトレンディーな話題だったのだ。
本作品は「点と線」と同時に松本清張が著していたもので、経済犯罪ものの最初である。
のちにこのジャンルは社会派推理小説と呼ばれるようになる。

鳳八千代は宝塚歌劇団で朝丘雪路の二年先輩であるが、朝丘に後れて松竹に移籍している。
この作品が松竹専属第一回作品。
朝丘は多分後輩と言うことで、ゲスト出演したのだろう。
高野真二の新妻役朝丘雪路の方が地味な鳳八千代よりはるかに華やか。

しかし鳳八千代の方が陰影がある。
演技力では圧倒的な差を感じる。
正直言ってはじめは誰だかわからなかった。
それは、それだけ目立ってはいけない役だったから。
ラストシーン(鳳八千代の台詞)にはとくに印象的だった。


出演:
佐田啓二 (経理課次長萩崎)
鳳八千代 (金融業者の秘書上崎絵津子)
高野真二 (新聞記者田村)
朝丘雪路 (その許嫁章子)
宇佐美淳也 (政界の黒幕舟坂の事務長山崎)
渡辺文雄 (レッドムーンのバーテン山本)
西村晃 (瀬川弁護士)
多々良純 (競馬好きな?老人田丸)

監督 大庭秀雄
脚色 高岩肇
撮影 厚田雄春


2006.11.06

飼育 1961 大宝

大江健三郎の芥川賞作品を大島渚が映画化した。
太平洋戦争の末期、黒人捕虜を巡る村での騒動を描く。

原作には、大江健三郎のインテリ意識が出ていて、読んでいて嫌になったと言う人がいる。

原作と映画はおよそ別物である。
安直な映画だと子供の童話にしそうだが、大島監督はそうしなかった。
原作での、ませた子供たちの視点から、映画では、ずるい大人たちの視点に置き変えている。
それが成功している。

大人たちは捕虜を殺した後、何事もなかったふうに決着を着けようとする。
子供たちはそれを見て何を思っただろう。


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