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2011.11.21

グラン・トリノ 2008 ワーナー

シナリオは陳腐な出来でツッコミどころ満載だが、なかなか考えさせられる映画だった。

ミシガンの田舎町、フォード工場の近くの話。
ポーランド系で、朝鮮戦争の武功により勲章をもらったコワルスキーは、頑固一徹な老人。
妻に先立たれ、自分の子や孫との関係に悩んでいる。
彼の妻は、夫のことを若い牧師に託して逝ったが、彼は牧師の話に耳を貸そうとしない。
彼はアジア人に対して偏見を持っていた。
しかし隣家に引っ越してきたタオの一家との触れ合いを通して理解しはじめ、お互いに尊重し始める。
彼は父を持たないタオを厳しく導いて、アメリカ流の生き方を仕込む。
ある日、ギャングがタオの姉を乱暴する。
タオは、怒りに燃えるが、コワルスキーはタオを抑え、一人復讐に出かける。

「許されざる者」とは全く違う結末だったが、これがアメリカの現実と苦悩を表している。
コワルスキー自身も移民の子供であり、自分を受け入れてくれたアメリカ文化を守るために、
「堕落」した息子や孫よりも、誇りを持ったアジア系移民をアメリカ文化に受け入れることで、伝統を守ったわけだ。

日本人も少子化社会になって、自分たちの伝統が消え去るものと思っている。
しかし見方を変えて、自分たちも大陸や離れた島から渡ってきた人間の子孫であり、
いずれは移民に文化を受け継ぐべきなのだと考えてはどうか。

イーストウッドは、この作品をもって主役を演ずるのは最後にするつもりだそうだ。
(監督業は以後も続けている。)
コワルスキーの葬式のシーンを見ていて、ピーター・セラーズの遺作「チャンス」を思い出した。
最後は同様に映画の中で、遺体の姿を見せてみんなに送られて消え去るつもりだったのだろう。

イーストウッドは、チャールトン・ヘストン(公民権運動家から晩年は全米ライフル協会長に転向)と違い、リバタニアリスト(自由至上主義者)であリ、異民族に対して理解がある。
新しい奥さんの父親が日本人とアフロ・アメリカンの混血だからだろうか。


監督 クリント・イーストウッド
脚本 ニック・シェンク
撮影 トム・スターン
美術 ジェームズ・J・ムラカミ
音楽 カイル・イーストウッド
    マイケル・スティーヴンス


配役:

クリント・イーストウッド (Walt Kowalski)
ビー・バン (Thao Vang Lor)
アーニー・ハー (Sue Lor)
クリストファー・カーレイ (Father Janovich)
ジョン・キャロル・リンチ (Barber Martin)

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