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2012年8月

2012.08.30

風流交番日記 1955 新東宝

東京の駅前交番巡査たちの日常を描いた物語。
新東宝らしい保守喜劇。
一時間半飽かずに楽しめる。


和久井巡査は交番荒らしに100円をまきあげられるほどお人好し。
花園巡査は二枚目で野心家。ファンの女の子が情報屋となり手柄を取らせてくれる。
年配の大坪巡査は家出した息子を探すために交番勤務している。
谷川巡査は高卒の新人で銃を撃ったことがない。
ある日、集団就職で和久井巡査の隣村の娘(阿部寿美子)が上京してくる。


大物が大挙して出演しているが、時代を反映してか、今では考えられない配役だ。
小林桂樹の主役巡査、志村喬の老巡査はわかるが、宇津井健が二枚目巡査を、御木本伸介が新人巡査を演じている。
また天知茂が老巡査の不良息子で丹波哲郎が凶悪犯、阿部寿美子がめずらしくヒロインを演じている。


監督 松林宗惠
脚色 須崎勝弥 井手俊郎
原作 中村貘
製作 藤本真澄 金子正且
撮影 西垣六郎

出演
小林桂樹 (和久井巡査)
志村喬 (大坪巡査)
宇津井健 (花園巡査)
御木本伸介 (谷川巡査)
阿部寿美子 (ユリ) 新八犬伝の「玉梓が怨霊」で有名
三原葉子 (夜の女)
安西郷子 (瑠美子)
天知茂 (大坪一郎)
多々良純 (バタ屋)
加東大介 (健吉)
丹波哲郎

カールじいさんの空飛ぶ家 2009 ウォルトディズニー

妻エリーを亡くしたカールじいさんは周囲の再開発計画で立ち退きを迫られる。
とうとう追い詰められたカールは風船を一万個付けて家ごと、妻との夢だったパラダイスフォールを目指す冒険旅行に出る。

3Dアニメ映画であったが、2DのDVDで見た。
良くも悪くもディズニー映画。
カールの見た目は誰かに似ていると思ったが、スペンサー・トレイシーに似せたそうだ。


監督 ピート・ドクター ボブ・ピーターソン
アニメーション監修 スコット・クラーク
脚本 ボブ・ピーターソン ピート・ドクター
製作総指揮 ジョン・ラセター アンドリュー・スタントン


出演
エドワード・アズナー (Carl Fredricksen)
ジョーダン・ナガイ (Russell)
ボブ・ピーターソン (Dug)
ジョン・ラッツェンバーガー (Foreman Tom)
エリー・ドクター (Young Ellie)
ジェレミー・レアリー (Young Carl)
クリストファー・プラマー (Charles Muntz)

2012.08.29

スリランカの愛と別れ 1976 東宝

モルディブで働いている日本の水産会社の社員越智は、スリランカの首都コロンボで国連職員の松永から宝石商の慶子を紹介される。
越智は妻子と別居中だったが、彼女に好意を抱く。
慶子と越智は、ある日ホテルのビーチで一人さびしくしている大富豪のジャカランタ夫人と出会う。
夫人は日本に子供を残してインドに渡って金持ちのインド人と結婚したが、夫を亡くしても日本に帰らずスリランカで暮らしていた。
越智と夫人は似た境遇のため、意気投合する。


木下恵介監督の脚本に無理がある。
10年ほどテレビの仕事を続けたため、勘が鈍っていたのだろう。
高峰秀子をインドの金持ちにしておいて最後は撃ち殺されるなんて、高峰の守備範囲ではない。
栗原小巻だけが、きれいに撮ってもらっていた。


監督 木下惠介
脚本 木下惠介
原作 木下惠介
撮影 中井朝一
美術 村木与四郎
音楽 木下忠司


出演
北大路欣也 (越智竹人)
栗原小巻 (井上慶子)
小林桂樹 (松永保)
津島恵子 (松永喜代)
小野川公三郎
太田博之 (慶子の上司で不倫相手)
高峰秀子 (ジャカランタ夫人)

借りぐらしのアリエッティ 2010 スタジオジブリ・東宝

イギリスの女流作家メアリー・ノートンの児童文学「床下の小人たち」を、スタジオジブリが映画化した。
宮崎駿が脚本を務める。
監督は「千と千尋の神隠し」の原画を描いた 米林宏昌。


小人のアリエッティは両親と人間の家の床下に暮らしている。
まわりに仲間たちはなく、ゴキブリやムカデたちと生存競争の毎日。
彼らは決して人間に見られてはいけなかった。
しかしアリエッティは病気で静養するため、引越してきた翔に偶然、姿を見られてしまう。


英国文学が原作だから、舞台を日本に置き換えても英国の香りがする作品。
神木隆之介は今や人気声優だから当然だが、志田未来も好演。
大竹しのぶがはじめは誰かわからなかったぐらい、役作りに徹している。
樹木希林の嫌みな家政婦ぶりもなかなか良い。
全般的に好印象。


監督 米林宏昌
演出 奥井敦
脚本 宮崎駿 丹羽圭子
原作 メアリー・ノートン
企画 宮崎駿
プロデューサー 鈴木敏夫
作画監督 賀川愛 山下明彦
主題曲/主題歌 セシル・コルベル


出演
志田未来 (アリエッティ)
神木隆之介 (翔)
大竹しのぶ (アリエッティの母)
竹下景子 (貞子)
藤原竜也 (スピラー)
三浦友和 (アリエッティの父)
樹木希林 (家政婦ハル)

ヴィヨンの妻 2009 東宝

第33回モントリオール世界映画祭で監督賞に輝いた作品。
太宰治の「ヴィヨンの妻」、「桜桃」をベースにした脚本。
松たか子の魅力も取り入れているが、広末涼子のファムファタールぶりが光る。


大谷は売れっ子作家だが、酒におぼれる毎日。
酒屋につけがたまり、妻佐知(松たか子)が子供を背負い、身代わりになって働く。
その働きぶりが評判になって酒屋は満員になる。
一向に家に帰らない、大谷は酒屋で妻の姿を見て、誰かに寝取られるのではないかと不安を抱く。


原作に沿っているのかと思っていたが、最後は全くちがう。
太宰治生誕100年記念映画だが、松をイメージして脚本を書いたそうだ。
でも松が今ひとつ弾けていないと思った。


監督 根岸吉太郎
脚本 田中陽造
原作 太宰治
エグゼクティブプロデューサー 石原隆 直井里美 酒井彰
製作 亀山千広 山田美千代 田島一昌 杉田成道
撮影 柴主高秀
音楽 吉松隆


出演
松たか子 (佐知)
浅野忠信 (大谷)
室井滋 (巳代)
伊武雅刀 (吉蔵)
山本未來
広末涼子 (秋子)
妻夫木聡 (岡田)
堤真一 (辻)

2012.08.28

歓喜の歌 2007 シネカノン

立川志の輔の落語「歓喜の歌」を映画化した作品。
タイトルはもちろんベートーベンの交響曲第九番の合唱曲のことである。

市立文化会館でダメ公務員が12月31日の二つの年末コーラスをダブルブッキングしてしまう。
どちらも辞退してくれないし、合同コンサートも受け入れてくれない。
もし合同コンサートを開くにしてもキャパシティーが狭すぎて、全ての観客が見ることができない。


あの歌の下手な安田成美が指揮者をやっているのには笑ったが、
「フラガール」の二番煎じを狙ったのか、やや中途半端な作品だった。

シネカノンは「月はどっちに出ている」「フラガール」の制作や「シュリ」の配給で韓流映画ブームを作った会社だが、急成長して金を無計画にばらまいてしまいあっという間にバブルが崩壊して、現在民事再生法適用を受け休業中である。
この会社制作の映画では「のど自慢」がお気に入りだが、「歓喜の歌」はそれには及ばなかった。


監督 松岡錠司
脚本 真辺克彦 松岡錠司
原作 立川志の輔
原案 重延浩 渡辺誠
製作 李鳳宇 河合洋 井上泰一


出演
小林薫 (飯塚正)
安田成美 (五十嵐純子)
由紀さおり (松尾みすず)
浅田美代子 (飯塚さえ子)
伊藤淳史 (加藤俊輔)
田中哲司 (北澤直樹)
藤田弓子 (大田登紀子)
根岸季衣 (塚田真由美)
光石研 (五十嵐恒夫)
でんでん (葛飾太郎)
立川志の輔 (本人)
立川談志 (住職)
リリー・フランキー (スナックの常連)
筒井道隆 (リフォームの客)
笹野高史 (伊藤茂)
塩見三省 (建設会社社長)
渡辺美佐子 (大河原フク)


白蘭紅蘭 1952 大映

全く知らない作品だったが、面白かった。
今まで久我美子はとくに美人だと思ったことはなかったが、全盛期の作品を見たことがなかったからだ。
「また逢う日まで」「にごりえ」以上に今回の彼女はすごかった。


高利貸しをしていた井筒の伯父が亡くなった。
伯父は全財産を竹村千草という女性に遺したが、もし井筒が彼女と結婚する場合は井筒にも譲られる。
早速クラブで歌っている彼女を探し出したが、気っぷの良い姉御肌に言葉を交わすことはできなかった。
実は彼女は竹村千草でなかった。
本物は気に染まぬ結婚を迫られ、家を出ていた。


被写体の久我美子は、ほくろがなかったらオードリー・ヘップバーンそっくりだった。
魅力爆発の小悪魔久我に対して抑制気味の沢村晶子(美智子)だったが、美人女優の彼女だからこそできる好脇役だった。


森繁久弥が主役山内明の友人である新聞記者役で登場。
また戦前の大女優高杉早苗(市川猿翁の母、香川照之の祖母)が沢村晶子を支援する芸妓役で出演。


監督 仲木繁夫
脚本 舟橋和郎 棚田吾郎
原作 藤沢桓夫
製作 土井逸雄
撮影 相坂操一
音楽 渡辺浦人

出演
久我美子 (竹村千草(紅蘭))
沢村晶子 (竹村千草(白蘭))
山内明 (井筒英志)
根上淳 (岩本謙太郎)
高杉早苗 (桃太郎)
森繁久弥

2012.08.27

バルトの楽園 2006 東映

第一次大戦でのドイツ軍捕虜と徳島県板東の人たちの交流を描いた感動作。
ドイツ人名優のブルーノ・ガンツが出演している。
捕虜と地元の人たちで作った混成オーケストラが、ベートーベンの交響曲第九番を日本で初めて演奏した。


日本は第一次世界大戦に参戦して青島要塞を攻めて、勝利した。
日本でドイツ軍捕虜を収容することになり、徳島県板東にも収容所が作られた。
板東収容所長は会津出身であり、敗者の立場をよく知っていてドイツ軍兵士に対して温和な態度で接する。
やがてドイツ軍兵士も心を開き、自分たちの持てる技術を惜しみなく日本の人々に伝えた。


日本人はがんばっているのだが、おそらく通訳に問題があったか、ブルーノ・ガンツにやる気が全く無く、それだけは残念な映画であった。
美談であるのは事実である。
町全体でドイツ軍兵士と交流が続き、
昭和40年頃、ドイツ軍元兵士の代表が板東へやって来たそうだ。


監督 出目昌伸
特撮監督/特技監督 佛田洋
脚本 古田求
製作総指揮 岡田裕介 宮川セキ也
撮影 原一民
音楽 池辺晋一郎


出演
松平健 (松江豊寿)
ブルーノ・ガンツ (クルト・ハインリッヒ)
阿部寛 (伊東光康)
國村隼 (高木繁)
中山忍 (マツ)
市原悦子 (すゑ)
三船史郎 (松江久平)
泉谷しげる (多田少将)
板東英二 (南郷巌)

2012.08.26

陸軍中野学校 1966 大映

増村保造のスパイもの。
市川雷蔵の現代劇の中でも1,2を争う作品。


草薙中佐は、陸軍大学ではなく一般大学を卒業した語学堪能な人材を選抜してスパイに育成しようと決意する。
中野の元通信所跡に集められた精鋭は、最初は軍を離れ親兄弟と縁を切る仕事に反発を感じる。
しかしスパイ教育を受ける間に、草薙の反帝国主義運動に掛ける情熱にほだされていく。
彼らは一年間の厳しい勉強の後、卒業試験として英国領事館から暗号コード表を盗み出す指令を与えられる。
無事任務は成功するが、なぜか程なく、英国は盗まれたことに気づく。
陸軍省参謀本部は中野学校が失敗したと指摘する。


市川雷蔵は眠狂四郎とはちがった意味で喜怒哀楽を表さない大人しい役である。
しかし、いるだけで絵になる人だ。
逆にヒロインの小川真由美には、ぐっと来るものがあった。
戦争反対でありながら外国に利用されてスパイとして消される女の哀しさを見事に表現している。
加東大介も良い味を出している。
陸軍で主流になれなかった人の中には、アジアの曙みたいな人が大勢いたのだろう。


監督 増村保造
脚本 星川清司
企画 関幸輔
撮影 小林節雄
美術 下河原友雄
音楽 山内正

出演
市川雷蔵 (三好次郎)
小川真由美 (布引雪子)
待田京介 (前田大尉)
E・H・エリック (ダビドソン)
加東大介 (草薙中佐)
村瀬幸子 (母)
早川雄三 (大佐)
仁木多鶴子

2012.08.25

原爆の子 1952 近代映画協会・劇団民藝

独立を達成して、初めて世界に送り出した広島の原爆告発映画。
各国の映画賞を受賞している。
(「長崎の鐘」はGHQの検閲を受けて満足な形で公開されなかった。)


1945年8月6日、広島に原爆が投下された。
当時広島市内で働いていた孝子(乙羽信子)は家族を全て原爆で失った。
現在は瀬戸内海の小島で教師をやっているが、夏休みにかつての教え子の消息を確認しに広島へ渡る。
そこで三人の子供たちと再会する。
二人の男の子は貧しくも健気に生きていた。
女の子は原爆症で死の床にあった。
乞食を見ると、以前家で使用人をしていた岩吉だった。
彼は視力を失いながら孫を養っていた。
孝子はその孫を島へ引き取る決心をする。


国内でもこの映画が公開され、反核の声を大きくなったという作品。
親の世代は「長崎の鐘」同様に誰もが見ている。

乙羽信子はうまい役者だと思わないが、若い頃はまわりの好演を邪魔しない品の良さがあった。
劇団民藝の滝沢修、北林谷栄や奈良岡知子の演技をうまく受けている。

それにしてもこれに出ている奈良岡知子が、今なお現役ばりばりで働いているのは感動ものだな。


演出 新藤兼人
脚本 新藤兼人
原作 長田新篇
製作 吉村公三郎
撮影 伊藤武夫
音楽 伊福部昭

出演
乙羽信子 (石川孝子)
斎藤美和 (夏江)
下元勉 (夏江の夫)
滝沢修 (岩吉)
北林谷栄
奈良岡知子 

食堂かたつむり 2010 東宝

小川糸の小説「食堂かたつむり」を映画化した。


倫子は失恋が元で声が出なくなってしまった。
しかし彼女の料理は人々の心を癒す力があった。
そこで自宅の物置を熊さんと改造して小さなレストランを作る。
一日一組しか客を取らない。
けれど、心を込めた料理を出してくれる。
彼女のレストランは評判になるが、それを面白く思わない人間もいた。
ある日、昔の友人が店の客としてやってくる。


ネット批評を見ていると、リアリズムが足りないとか言う人が多いが、
リアリズム作品に映画の中でCGやアニメーションを使うか考えるべきだ。
この映画はファンタジーであり、原作の底の浅さを巧みに誤魔化している佳作である。

個人的にはブラザートムが良かった。
警官ネタコントをやっていた頃よりはるかにうまかった。


監督 富永まい
アニメーション監督 坂井治
脚本 高井浩子
原作 小川糸
エグゼクティブプロデューサー 三宅澄
撮影 北信康
音楽 福原まり
音楽プロデューサー 杉田寿宏
主題曲/主題歌 Fairlife

出演
柴咲コウ (倫子)
余貴美子 (母)
ブラザートム (熊)
田中哲司
志田未来
満島ひかり
江波杏子
三浦友和

2012.08.24

君に届け 2010 東宝

多部未華子は以前姪が似ていると言われたことがあるので、その出演作は無条件に良い。w
しかし原作は今どきのまどろっこしい少女マンガなので、1巻しか読んでいない。
映画にしてみたら、すっと入れて、2巻以降を見る必要もなくなったようだ。


爽子はまるでリングの貞子のような容姿でクラスメイトから恐れられるが、
クラス委員の翔太だけは彼女を気に掛けてくれる。
夏の肝試し大会で幽霊役を志願したおかげで、千鶴とあかねも彼女と友人になる。
しかし翔太と爽子の仲をうらやむ女子は爽子と友人たちに嫌がらせを仕掛ける。


爽子役は暗さだけでなく、もう少し黒さが欲しい。
多部未華子は好きな女優だが、若い頃の柴咲コウのような女優が良かった。


監督 熊澤尚人
脚本 根津理香 熊澤尚人
原作 椎名軽穂
製作総指揮 宮崎洋
撮影 藤井昌之
音楽 安川午朗
主題曲/主題歌 flumpool


出演
多部未華子 (爽子)
三浦春馬 (翔太)
蓮佛美沙子 (千鶴)
桐谷美玲 (梅)
夏菜 (あかね)
井浦新 (担任)
勝村政信

はなれ瞽女おりん 1977 東宝

瞽女とは北陸、東北で盲目の女性たちが互いに助け合って、三味線や歌などの芸能を人前で披露して、生活を立てている人たちのこと。
はなれ瞽女はその瞽女のグループから男性と通じたため、追放された女性のこと。
杖をつきながら一人で三味線を弾く旅は不便であり、時として娼婦まがいのことを強制されることもあった。

おりんは故あって、はなれ瞽女に身をやつしている。
流れ工夫の平太郎と出会い意気投合して旅の道連れとなる。
しかし、平太郎は脱走兵であり、軍に追われる身だった。

ロードムービーの傑作だ。
おりんや平太郎が道中で出会う人たちは誰も魅力的だ。
「竹山ひとり旅」も良かったが、これもまた日本人の原風景への郷愁を誘う。


監督 篠田正浩
脚本 長谷部慶治 篠田正浩
原作 水上勉
製作 岩下清 飯泉征吉
撮影 宮川一夫
美術 栗津潔
音楽 武満徹


出演
岩下志麻 (おりん)
原田芳雄 (平太郎)
奈良岡朋子 (テルヨ)
神保共子 (ツギ子)
殿山泰司 (炭焼男)
桑山正一 (今西)
樹木希林 (たま)
小林薫 (袴田虎三)
西田敏行
原泉

2012.08.23

女吸血鬼 1958 新東宝

大蔵映画の典型的な作品だ。
中川信夫のB級ホラーとしても天知茂のサスペンスとしても入門的である。
しかし池内淳子は、もっと凄い大蔵映画「花嫁吸血魔」に出ている。


伊都子の誕生日に突然、20年前に失踪した母美和子が現れる。
しかも失踪したときの若さのままで。
その日から伊都子と美和子の身の回りで異変が起きる。


主人公(天知茂)は狼男と吸血鬼を足して二で割ったキャラの怪人だ。
月を見ると吸血鬼に変身する。
現代では誰も思いつかない発想だ。
最後のメイク、フリークスや怪入道も大蔵-中川作品にありがちなえげつなさ。


タイトルも「女の吸血鬼」の意味ではない。そんな人は出てこない。
女の血ばかり吸う吸血鬼の意味である。
夏だからといって大蔵映画をホラーのつもりで見てはいけない。

でも天知茂はのちに「非情のライセンス」「明智小五郎」というヒット作品を送り出した。
彼なりに中川監督の路線を一生かかって真剣に追い求めたような気がする。


製作 大蔵貢
監督 中川信夫
原作 橘外男

出演 天知茂
   三原葉子
   池内淳子
   五月藤江
   中村虎彦
   和久井勉

或る夜の殿様 1946 東宝

戦後チャンバラやアクションが撮れなくなって仕方なく撮った文明開化劇。

明治時代、箱根の旅館開館記念パーティーの席で、水戸の鉄道利権をめぐって商人たちが暗躍している。
そこへ書生上がりの色男(長谷川一夫)が現れる。
商人はこれを水戸のお殿様の弟君に仕立てて、もう一人の商人を担ぐことを思いつく。

話は書生を慕う女中(山田五十鈴)や商人の娘(高峰秀子)を巻き込み、さらに逓信大臣(大河内傳次郎)まで登場して大きな話になり、いざ正体がばれると・・・

結末は最初からばれている。
予定調和なお芝居なんだけど、これだけ大物が揃うところが凄い。
やはり長谷川一夫の力なのか。

監督 衣笠貞之助
脚本 小国英雄
製作 清川峰輔
撮影 河崎喜久三

出演
大河内傳次郎 (逓信大臣)
北沢彪
長谷川一夫 (書生)
進藤英太郎 (越後屋)
飯田蝶子 (妻おくま)
高峰秀子 (娘妙子)
清水将夫
吉川満子
三谷幸子
志村喬
菅井一郎
山田五十鈴 (女中)

ごんたくれ 1966 大映

K市の定時制高校で大量落第者が出た。
学校側は落第生を一つのクラスに集めて、元ごんたくれだった滝教諭に担任を任せる。
滝は反発して出席しようとしない子供たちを一人ずつ家庭訪問して、学校に呼び戻し、時には煙突に上り、時には殴り合いのけんかをして、生徒たちと心を通わせていく。
しかし普通科高校と併設であるため、普通科に悪影響が出るとPTAが騒ぎだし、定時制高校は廃校の内示が出る。


学生の生活範囲を見ていると、どうも母校かあるいはとなりの高校がモデルらしい。
しかしこんな映画になったという噂を聞いたおぼえがない。


宇津井健には、ぴったりの熱血映画だった。
同僚教師を演ずる吉行和子は脚本、演技ともにイマイチ、もう少し美人女優が演ずれば良かった。
予算がなかったのだろう。

朝鮮から移り住んだオモニ(北林谷江)の娘を演じている女優は目がぱっちりして、見覚えがある。
gooの出演者情報は信用おけないが、おそらく五月女マリだと思う。
当時すでに日活、東宝、松竹、テレビにも出演していたから、完全フリーだったのか?


監督 村野鐵太郎
脚本 直居欽哉 服部佳
企画 伊藤武郎
撮影 上原明
美術 渡辺竹三郎
音楽 山下毅雄


出演
宇津井健 (滝大介)
吉行和子 (綾部由紀子)
五月女マリ (中田ハル子)
樋浦勉 (伊藤タカシ)
酒井修 (黒須アキラ)
北林谷栄
春川ますみ
曽我廼家五郎八
丸井太郎
工藤堅太郎

2012.08.22

秀子の応援団長 1940 東宝

スタルヒン、水原茂、吉原正喜、中島治康、川上哲治、白石敏男、千葉茂二塁手など
当時の職業野球選手が次々と登場するリアルプロ野球全面協力のデコちゃん映画。


女学生が万年最下位のアトラスの応援団長を買って出る。
応援歌を歌うと連戦連勝。
一躍首位争いに加わる。
しかし父母は野球場へ行くのを反対する。


結末には一ひねりが効いている。
野球ファンには垂涎の作品。
灰田勝彦の「男の純情」が浮いているようなw


監督: 千葉泰樹
原作: 高田保
脚本: 山崎謙太
撮影: 中井朝一

出演:
高峰秀子
小杉義男
清川玉枝
千田是也
灰田勝彦
沢村貞子

2012.08.21

流れる 1956 東宝

幸田露伴の娘である幸田文の原作「流れる」の映画化。

東京の芸者置屋つたの家に、お春という女中が雇われる。
そのお春の視点で見た、つたの家の人間模様を描いている。

つたの家には、女将つた奴の姉おとよが相談に来る。
おとよはつたの家に貸金があり、ある社長につた奴を世話して借金の肩代わりさせるつもりだった。

ある日、元芸者の叔父が、姪のことををタネにゆすりに来る。
つた奴は姉に連れ出されるが、社長との顔合わせだと知り、水野屋の女将と抜け出してしまう。
姉は怒って、つたの家に怒鳴り込む。

田中絹代と山田五十鈴の両大女優に高峰秀子が絡む組み合わせは素晴らしい。
中北千恵子、岡田茉莉子、杉村春子さらに久々に登場の粟島すみ子も良い味を出している。
成瀬監督は女優を取らせたら世界一だ。


監督 成瀬巳喜男
脚色 田中澄江 井手俊郎
原作 幸田文
製作 藤本真澄
撮影 玉井正夫

出演
田中絹代 (梨花(お春))
山田五十鈴 (つた奴)
高峰秀子 (つた奴の娘)
中北千枝子 (つた奴の妹)
杉村春子 (染香)
岡田茉莉子 (なゝ子)
賀原夏子 (つた奴の姉)
栗島すみ子 (水野の女将)
宮口精二 (なみ江の伯父)
仲谷昇 (お浜の甥)

どぶ 1954 新東宝

新東宝配給だが、左翼ばりばりの近代映画協会作品。
貧民窟を描いたどん底映画である。


ツルは戦後の引き揚げ者で女工だったのだがリストラされ、転落の道を進んで、ついにこの河童沼部落の徳さんとピンちゃんに拾われる。
二人はツルを騙して近所の特飲街に売り飛ばすが、主人とけんかして舞い戻ってしまう。
二人は主人に前借りがあったので、駅前でパンパンとして立たせる。
そこでツルは河童沼の地主の息子が持ち逃げする現場に出くわす。


新東宝がバックに付いたせいか、名優を揃えて、どういう展開なのか、楽しみだった。
結局、最後はお涙頂戴映画になってしまった。
当時は新藤監督とは言え、作品にムラがあった。
新東宝にも口を挟まれたのだろう。


監督 新藤兼人
脚本 新藤兼人 棚田吾郎
製作 吉村公三郎
撮影 伊藤武夫

出演
乙羽信子 (ツル)
宇野重吉 (ピンちゃん)
殿山泰司 (徳さん)
近藤宏 (輝明)
飯田蝶子 (たみ)
松山省次 (武)
藤原釜足 (安吉)
信欣三 (忠さん)
中北千枝子 (まつ江)
菅井一郎 (大場)
三崎千恵子 (お勝)
花澤徳衛 (几)
清川玉枝 (延代)
加藤嘉 (博士)
神田隆 (斎藤巡査)
下元勉 (杉村巡査)

2012.08.20

Fate/Stay Night Unlimited Blade Works 2010 クロックワークス

「Fate/Stay Night」はTYPE-MOONのテレビゲームを基にした作品である。
テレビアニメではセイバールートを描いていたが、映画版では凜ルートを描いている。

テレビアニメがわかりやすい筋書きだったが、映画はかなりわかりにくかった。
史郎がアーチャーであり、その二人が戦うなんて、さっぱりわからない。

ただし、凜は好きなキャラだったので、凜にフォーカスを合わせる作品は見所が多かった。
イリアが聖杯であり、殺されてしまうのは、悲しかったが。


監督 - 山口祐司
原作 - TYPE-MOON
オリジナルシナリオ - 奈須きのこ
脚本 - 佐藤卓哉

杉山紀彰:衛宮士郎
諏訪部順一:アーチャー
植田佳奈:遠坂凛
川澄綾子:セイバー
神谷浩史:間桐慎二
中田譲治:言峰綺礼
関智一:ギルガメッシュ
神奈延年:ランサー
田中敦子:キャスター
三木眞一郎:アサシン
下屋則子:間桐桜
伊藤美紀:藤村大河
門脇舞以:イリヤ


おくりびと 2008 松竹

アカデミー最優秀外国語映画賞を受賞作品。
納棺師の話である。


オーケストラのチェロ奏者である大悟はリストラされる。
父は家を出てしまい、長年喫茶店を営んでいた母も今は亡い。
妻と二人で故郷に戻り、職を探すが、彼が出会ったのは、納棺師の仕事だった。


事実としてここまで豪華に演出する納棺師があるとは思えない。
でも多少デフォルメしているが、東北ではやってるのだろう。

広末涼子はこういう映画では良い仕事をする。
可愛いし、いやらしいし、ほんとうに泣いているし、生身に感じる。実に集中している。

峰岸徹の最後の仕事が行き倒れになった父親の役だったとは皮肉である。


監督 滝田洋二郎
脚本 小山薫堂
撮影 浜田毅
音楽 久石譲

出演
本木雅弘 (小林大悟)
広末涼子 (小林美香)
余貴美子 (上村百合子)
杉本哲太
峰岸徹
山田辰夫
吉行和子 (山下ツヤ子)
笹野高史 (平田正吉)
山崎努 (佐々木生栄)

2012.08.18

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- 維新志士への鎮魂歌(レクイエム) 1997 ソニーピクチャーズ

最近、リメークされたアニメ新京都編が作られ、実写版も上映され「るろ剣」ブームだが、これは1997年テレビアニメ放送中に上映された劇場用アニメ映画である。


慶応二年正月薩長同盟が締結されようとする鈴屋に刺客「人斬り厳達」ら数人が襲いかかるが、緋村抜刀斉に倒される。
その時、時雨は辛くも逃げられた。
明治11年、横浜へ行った剣心こと抜刀斉は朱鷺という娘と出会い、かつて斬った厳達の妹であることを知る。
時雨は反維新組織を組織して、英国公使パレードを襲撃するつもりだった。


アニメの出来は悪く、筋書きもキャラも非常に地味だ。
それより北海道編を作ってくれないか?


監督・キャラクターデザイン・総作画監督 - 辻初樹
脚本 - 大橋志吉
演出 - 真野玲
音楽 - 岩代太郎
音楽監督 - 児玉隆
アフレコ演出 - 三ツ矢雄二
アニメーション制作 - スタジオぎゃろっぷ
製作 - フジテレビ、SPE・ビジュアルワークス

声の出演
涼風真世
藤谷美紀
井上和彦
宮村優子
山口勝平

クライマーズハイ 2008 東映・ギャガ

日航機ものの大作。
警察小説の大家横山秀夫の作品。
半落ちで直木賞選考委員から叩かれた(直木賞とは訣別宣言をしている)ので、その腹いせにちがったジャンルの作品を世に問うた。


日航機事故が起きた際の地元新聞社の不眠不休の奮闘と営業部の専横、経営者の怠慢を告発している。


少し冗長でまとまりがなかった。
あまり人件費は掛けていないが、一人一人が乗って仕事をしていたのがわかった。
ただし、それが映画全体の勢いにつながったわけではない。
カメラマンが多すぎるのも途中で気になった。
またこういう映画の堺雅人は演技過剰で空回りしやすいから注意が必要だ。


監督 原田眞人
脚本 加藤正人 成島出 原田眞人
原作 横山秀夫
撮影 小林元 古野健也 河邊則宏
空中撮影 酒井隆史
原作 横山秀夫

出演
堤真一 (悠木和雅)
堺雅人 (佐山達哉)
小澤征悦 (安西燐太郎)
田口トモロヲ (岸円治)
堀部圭亮 (田沢善吉)
マギー (吉井弁次郎)
尾野真千子 (玉置千鶴子)

2012.08.17

北海の叛乱 1956 新東宝

民主党が日ソ共同宣言を締結した年に新東宝が反共の立場を明らかにした反労働組合映画。


捕鯨船富士丸は進水式と試験航行を終え、初めて北海の漁場に向かう。
しかし偽の電信により国境近くの漁場におびき出される。
黒幕は川名機関長だった。
彼はある隣国に富士丸とともに亡命するつもりだった。


船一隻道連れにして亡命しようというスケールの大きな話だ。
久慈あさみを東宝から迎えて、上原謙の相手役に据えている。
新東宝に彼に見合うような年齢の女優が見当たらなかったのかな。
久保菜穂子はさすがに当時では若すぎた。


監督 渡辺邦男 毛利正樹
脚本 木村千依男
撮影 渡辺孝
音楽 鈴木静一


出演
上原謙 (山本徹)
藤田進 (黒田篤男)
二本柳寛 (川名理介)
安西郷子 (川名の妹)
久慈あさみ (女医伊東満智子)
高田稔 (伊東船医)
久保菜穂子 (駿河野洋子)

ハワイの夜 1953 新東宝

太平洋戦争前後のハワイ日系人の悲劇を描いた作品。

1940年、水泳大会で日本はハワイに遠征して優勝する。
その夜、パーティーで明と日系二世にジーンは出会い、愛し合う。
しかし二人の祖国は敵対していた。
12月8日、ついに真珠湾攻撃が起きた。
日本に戻った明は陸軍に出征する。


真珠湾攻撃映画としては、アメリカ映画「地上より永遠に」より先に作られた作品だが、内容は単なる反戦メロドラマだ。
新東宝は当時はおそらくアメリカに気を遣っていたのだろう。


監督 マキノ雅弘 松林宗惠
脚本 松浦健郎
原作 今日出海
撮影 三村明
音楽 鈴木静一

出演
鶴田浩二 (加納明)
岸惠子 (ジーン河合)
小杉勇 (ジーンの父)
水島道太郎 (ジーンの兄)
三橋達也 (明の同僚)
水の江瀧子 
瀧花久子

2012.08.16

サヨナライツカ 2009 アスミックエース

原作者の意向か、韓国人スタッフによるほとんど韓流映画。
中山美穂が12年ぶりの映画主演である。
当初は少し偏見があったが、案外キチンと撮影していたと思う。
ただ、どのシーンにも既視感があった。


航空会社のエリート東垣内は婚約者の光子を東京に残してバンコクに赴任した。
バンコクでは謎の女沓子と出会い、情事を重ねる。
しかし婚約者が二人のことを感づき、乗り込んでくる。
東垣内の東京帰任とともに二人は別れざるを得なかった。
25年後、再び東垣内はバンコクに現れる。


原作者の奥さん中山美穂の体当たり演技がある。
12年ぶりの映画でこういうシーンは少し見苦しい物がある。
もっと若いころにやっていたら良かったのに。


出演
中山美穂 (間中沓子)
西島秀俊 (東垣内豊)
石田ゆり子 (尋末光子)
加藤雅也 (桜田善次郎)
マギー (木下恒久)

監督 イ・ジェハン
脚本 イ・ジェハン イ・シンホ イ・マニ
原作 辻仁成
撮影 キム・チョンソク

春の戯れ 1949 新東宝

マルセル・パニョルの原作「マリウス」の飜案である。


明治の文明開化の時代、西欧文化にかぶれた船乗りが外国に行ってる間に、恋人は待ちきれず、裕福なお店の主人の後妻になった。
彼女は船乗りとの間の子供を我が子のように慈しむ主人と幸せに暮らしていた。
帰ってきた船乗りが文句を言うが、彼女は受け付けず、男は一人さびしくまた船上の人となる。


脚本に検閲が入る占領下の日本ではこんなありきたりの映画しか作れなかったのだな。
この時期の高峰は少女から大人へ脱皮しようと試行錯誤している。

一の宮あつ子がこんな昔から映画に出ていたとは知らなかった。
「女と味噌汁」で晩年の彼女をよく見ているが、不器用そうな人だった。


監督 山本嘉次郎
脚本 山本嘉次郎
撮影 山崎一雄
音楽 早坂文雄

出演
徳川夢声 (金蔵)
宇野重吉 (正吉)
飯田蝶子 (おろく)
高峰秀子 (お花)
三島雅夫 (徳兵衛)
一の宮あつ子 (おなきのカンコ)

2012.08.15

高峰秀子の馬 1941 東宝

東北の四季を、軍馬を育てる娘の目を通して描いている。
高峰の成長に合わせて一年間のリアルタイムで撮った作品。
監督に昇格する以前の黒澤明が助監督を務めていて、高峰秀子の初恋だったらしい。
果たして高峰の言うような両思いだったかどうかは疑わしいが。


秋の馬市で女学校に通ういね(高峰)は馬に魅了される。
いねの家は馬で過去に失敗をしたため、いねの意見に取り合わない。
ある日、組合長から馬を預託されてくれないかと依頼される。
妊娠している牝馬で、最初の仔馬はもらえるという条件だった。
あまりの好条件についに引き受けることになり、いねは大喜びだ。


時のアイドル高峰秀子の初々しい魅力たっぷりの作品(アメリカ開戦間際は、これが限界だっただろう。)
単なるアイドル映画でもなく、国威高揚映画でもなく、純粋なドキュメンタリータッチの作品として作り上げられた。
これも陸軍の後ろ盾があったからこそできたのだ。


ちなみに「ハイドハイドウ丘の道」で有名な大ヒット曲「めんこい仔馬」(サトウハチロー作詞、二葉あき子・高橋祐子歌)は、この映画のために作られた。
しかし監督が挿入歌として使わなかったため、イメージソングのような扱いになった。


監督・脚本 山本嘉次郎
助監督 黒沢明

出演
高峰秀子
藤原鶏太(釜足)
竹久千恵子

木更津キャッツアイ日本シリーズ 2003 アスミックエース

クドカンが脚本を書き、人気者が顔を合わせているが、テレビドラマを見ていなかったから、さっぱりわからなかった。
木更津は東京湾アクアラインのおかげで川崎市とつながったが、かえって近隣商店街が過疎ってしまった。
若者たちは都会の中の田舎暮らしのわびしさをかこっている。


ぷっさんが医者から余命半年の宣告を受ける。
しかし地元コンサートでの氣志團の前座を任され、韓国人女性のユッケとも出会い、くよくよしている暇がない。


クドカンは若者に人気があるが、小父さんには今ひとつわからない。
かえって役者としての魅力の方に惹かれるのだが。


監督 金子文紀
演出 片山修 宮藤官九郎
脚本 宮藤官九郎
製作 近藤邦勝 藤島ジュリーK. 椎名保
撮影 山中敏康

出演
岡田准一 (ぶっさん)
櫻井翔 (バンビ)
岡田義徳 (うっちー)
佐藤隆太 (マスター)
塚本高史 (アニ)
酒井若菜 (モー子/黒モー子)
ユンソナ (ユッケ)
薬師丸ひろ子 (美礼先生)
内村光良 (村田ジョージ)
古田新太 (オジー)
哀川翔 (哀川翔)
小日向文世 (田渕公助)
森下愛子 (ローズ)
阿部サダヲ (猫田カヲル)
山口智充 (山口)
嶋大輔 (男の勲章・店長)

ぼくらの七日間戦争 1988 東宝

宮沢りえが初々しかったころの角川映画。
笹野高史ってこの頃からプロダクトムービーにでていたんだな。


学校の厳しすぎる校則に反発した男子8人、女子3人が自衛隊の廃工場で籠城を始めた。
親が説得に来たので、バリケードで固めてしまった。
さらに教師らが侵入を図ったので、地下から戦車を持ち出して大事件になる。


今の好き勝手してる子供たちが知らない管理教育時代のお話。
宮沢りえは可愛らしくて良いのだが、中年を過ぎると親が心配する立場も考えてしまう。


監督 菅原比呂志
脚本 前田順之介 菅原比呂志
原作 宗田理
製作 角川春樹
撮影 河崎敏
音楽 小室哲哉


出演
宮沢りえ (中山ひとみ)
安孫子里香 (堀場久実子)
大沢健 (中尾和人)
金田龍之介 (榎本)
笹野高史 (丹羽)
倉田保昭 (酒井)
大地康雄 (野沢)
佐野史郎 (八代)
小柳みゆき (小柳先生)
賀来千香子 (西脇先生)
室田日出男 (瀬川)


母 1963 近代映画協会


最初の夫を戦争で亡くし、二人目とも別れた民子は脳腫瘍を患う子供の治療費のため朝鮮人田島と結婚する。
この結婚に乗り気でなかったが、息子利夫を心から気に掛けてくれる義父を見て、母は心を開くようになる。
息子を盲学校に送り迎えしてくれて、欲しがったオルガン代も用立ててくれる。
しかし弟の春雄が刃傷沙汰でやくざに殺され、間もなく利夫も亡くなる。
民子は田島の子供が欲しいと願う。

新藤監督らしい辛口ホームドラマ。
母性の強さについて感じさせる映画だ。
杉村春子が民子の母として好演。
子供役は当時の名子役頭師佳孝。


監督 新藤兼人
脚本 新藤兼人
原作 新藤兼人
撮影 黒田清巳
美術 新藤兼人
音楽 林光


出演
乙羽信子 (民子)
杉村春子 (芳枝)
高橋幸治 (春雄)
加藤武 (敏郎)
殿山泰司 (田島)
頭師佳孝 (利夫)
佐藤慶
宮口精二
小川真由美 (マダム)
武智鉄二 (マダムの男)

廃市 1984 ATG

大林監督の傑作の一つ。
福永武彦が原作。
舞台は尾道ではなく、柳川運河。


江口青年は卒論をまとめるため、一夏柳川の旧家で過ごすことにした。
相手をしてくれたのは、まだ幼さの見える娘安子だった。
その夜、運河のせせらぎとともに、女のすすり泣きを聞こえてくる。


滅びの美学を描いた作品。
太宰治の「斜陽」ともまたちがう味わいがあって良かった。
今は明るい観光都市であるが、それも昔から住んでいる人にとっては迷惑な話なのだ。
弁慶役の林成年が好演。


監督 大林宣彦
脚本 内藤誠 桂千穂
原作 福永武彦
音楽 大林宣彦


出演
小林聡美 (貝原安子)
山下規介 (江口)
根岸季衣 (貝原郁代)
峰岸徹 (貝原直之)
入江若葉 (秀)
尾美としのり (三郎)
林成年 (弁慶)
入江たか子

2012.08.13

恍惚の人 1973 東宝

高度成長期に認知症やアルツハイマー症候群に対する警鐘をいち早く鳴らした問題作。


妻に先立たれた茂造にボケの症状が出てくる。
夫や小姑はやっかいがって、妻の昭子に父の世話を押しつける。
ところが昭子が目を離した好きに茂造は風呂場でおぼれてしまう。


有吉佐和子は「複合汚染」など時代を先取りしたルポルタージュ的作品が多かったが、これはその代表作。
40年経って、一般人はまさかここまでひどくなってるとは思わなかっただろうが、専門家はわかっていたはずである。
しかしいまだに何ら手を打っていない。

森繁久弥のぼけた演技が素晴らしい。
高峰秀子主演、松山善三脚本だと高峰が前に出るのだが、この作品はそうではない。
完全に森繁の映画だ。


監督 豊田四郎
脚本 松山善三
原作 有吉佐和子
製作 佐藤一郎 市川喜一
撮影 岡崎宏三
音楽 佐藤勝

出演
森繁久彌 (立花茂造)
田村高廣 (立花信利)
高峰秀子 (立花昭子)
乙羽信子 (京子)
浦辺粂子 (門谷のお婆ちゃん)

2012.08.12

33号車応答せず 1955 東宝

テレ朝「警視庁24時」のようなドキュメンタリータッチの警察映画。


パトカー警官の村上はクリスマスだというのに、虫の居所が悪い。
出勤前に、警官の仕事のせいで世間から白い目で見られることに不満を持つ妻とやり合ったからだ。
当時は民主化されて数年しか経っていなかったから、戦前の官憲に対する反発から警察は嫌われる仕事だった。
先輩の原田とパトカーに乗り込んだ村上は師走の東京の街を巡回する。
スピード違反の報告があり捕まえると、子供のプレゼントのために急ぐタクシーだった。
客のご婦人と言葉を交わし、運転手に注意して帰してやった。
ところがその後、タクシー強盗の報告が・・・


警察の宣伝映画だ。
今なら白バイ部隊だが、当時はパトカー部隊だったようだ。
年末にパトカーが走っていたら混雑を助長して危険だろうに。
そのようなシーンも描かれていた。
昔はテレビではなく、映画を利用していたのだな。

最後は池部良と平田昭彦がしっかりハードボイルドしていた。
司葉子の白黒時代は、まだ若すぎてさえなかった。
彼女の表情に憂いが出てくるのは、カラー以後だ。


製作:田中友幸
監督:谷口千吉
脚本:谷口千吉、池田一朗
撮影:山田一夫
音楽:芥川也寸志

出演:
池部良
志村喬
司葉子
平田昭彦
沢村いき雄
柳谷寛
根岸明美
沢村宗之助
河内桃子
土屋嘉男
清水元

2012.08.09

真昼の対決 1957 大映

大映ビスタビジョンで描くアクション映画。
派手だが、少しべったりした画像だ。


北国のダム工事現場へ若い牧師が赴任する。
彼は柔道五段の腕前だった。
牧師は早速子供たちに野球を教え、山田組の飯場頭を投げ飛ばし親分と崇められる。
そんなある日、第一次工事が完工し第二次工事が発表された。
山田組ではなく、大館組が単独で担当することが決まった。
裏では工事事務所長との間で贈収賄が行われていた。
糸を引いていたのは、牧師と顔見知りの田代という男だった。


角梨絵子って昔は人気があったんだなあ。知らなかった。
すでに実績を上げていた山本富士子を脇に押しやって、角が完全にヒロインだ。


監督 田中重雄
脚本 小国英雄
製作 永田雅一
撮影 渡辺公夫
音楽 古関裕而


出演
菅原謙二 (種ヶ島権兵衛)
東山千栄子
角梨枝子
志村喬
見明凡太朗
佐々木孝丸
高松英郎 (田代)
村田知英子

2012.08.08

霧の音 1956 大映

愛し合う男と女が中秋の名月を見ることを約しながら再会することが叶わない新国劇の悲劇を大映京都撮影所が映画化。


植物学者大沼は信州の山小屋に滞在して研究の毎日。
そばには若く美しいつる子を伴っていた。
しかし幸せな毎日は長く続かなかった。
突然、妻が現れ、つる子は去って行く。
三年後、病で妻を亡くした大沼が娘を連れて今は宿になっている信州の山小屋に戻ってくる。
偶然、つる子がその宿に泊まっていた。


戦前の松竹メロドラマを、戦後になって大映が作ってみました的作品。
清水宏作品だが、監督の色は出ていない。

キネ旬の発行する「日本映画作品全集」に誤った情報が記載されているため、実際の映画と異なるイメージで語られることが多い。
しかし、上原謙主役ではなく木暮実千代を主役として見ると、ものすごく男性がエゴイスティックな映画になる。


監督 清水宏
脚色 依田義賢
原作 北条秀司
製作 永田雅一
撮影 相坂操一
音楽 伊福部昭

出演
上原謙 (大沼一彦)
木暮実千代 (つる子)
川崎敬三
藤田佳子
浪花千栄子
坂本武
見明凡太朗
浦辺粂子
柳永二郎

ねらわれた学園 1981 東宝

眉村卓原作のジュブナイル小説の映画化。
NHKで1977年にすでに「未来からの挑戦」という題名でドラマ化された。


由香はある日自分が超能力を持っていることを自覚した。
子供が車にひかれそうなのを念じただけで防ぎ、幼なじみが剣道の試合であわやという瞬間も念じたおかげで逆転勝ちをおさめたのだ。
しかし高校では異変が起きていた。
京極率いる英光塾の生徒が生徒会の実権を握り、反対派を実力で押さえ始めたのだ。
京極は由香にも近づいてくる。


かなり痛い作品。
薬師丸ひろ子主演だからこそ少しヒットしたが、改めて見ると角川映画はどこかネジが狂っている。
薬師丸ひろ子も当時ヒット映画に立て続けに出演していたから、この作品には疑問を抱いたはず。

原田知世主演「時をかける少女」でもあったが、大林監督はCM監督出身の割にCGに対して理解していておらず、おかしなCGの使い方をする。
角川作品と大林監督は薬師丸ひろ子や峰岸徹にとって隠したい黒歴史だったかも知れない。


監督 大林宣彦
脚本 葉村彰子
原作 眉村卓
製作 角川春樹
撮影 阪本善尚
音楽 松任谷正隆
主題曲/主題歌 松任谷由実

出演
薬師丸ひろ子 (三田村由香)
高柳良一 (関耕児)
長谷川真砂美 (高見沢みちる)
手塚眞
高橋克典
三浦浩一
大石悟郎
岡田裕介
眉村卓 (校長)
峰岸徹

トッツィー 1982 コロムビア

売れない理論派の俳優が女装して成功を勝ち取るという傑作コメディー。
ジェシカ・ラングはこの映画でアカデミー助演女優賞を獲得している。


マイケルのGFサンディがオーディションで台本も読ましてもらえず落とされた。
一言文句を言ってやるため、女装してオーディションを受けると、プロデューサーに気の強さを認められ、合格してしまう。
その上、看護婦役のジュリーに一目惚れ。男だと打ち明けられなくなる。
そのうち、ドラマの人気者になって、雑誌の巻頭を飾るようになる。


誰が見てもバレバレなメイクだが、アメリカには当時こういうタイプの女性はいなかったのだろうか?
映画で男性はウーマンパワーに虐げられていたが、実際の世の中が男性社会であることは変わりない。
あえて、女装して告発することで女性の溜飲を下げ、男性にも考えさせる契機になったのだろう。


監督 シドニー・ポラック
脚本 ラリー・ゲルバート、 マレー・シスガル
原案 ドン・マクガイア、 ラリー・ゲルバート
撮影 オーウェン・ロイズマン
音楽 デーヴ・グルーシン
主題歌 スティーブン・ビショップ

出演
ダスティン・ホフマン (Michael、Dorothy)
ジェシカ・ラング
テリー・ガー
ダブニー・コールマン
チャールズ・ダーニング
ビル・マーレイ
シドニー・ポラック (George)

2012.08.07

二人の息子 1961 東宝

宝田明、白川由美コンビとしては珍しいリアリズム映画。
松山善三が脚本を書くと、東宝家庭劇もこうなる。


兄は大学を卒業してサラリーマンをやっているが、孤児の女給と結婚した。
その際、厳格な父が反対したため、両者の間には秋風が吹いている。
弟は大学にも行かず、白タクに乗って父母を養っている。
ある日、弟が交通事故を起こして、損害賠償を支払わなければならないことになり、父母が兄夫婦に頭を下げるが、妻は「私が結婚したとき、娘が生まれたときあなたたちは何をしてくれたか?」と金策を断った。
ショックのあまり父は飛び込み自殺を図る。


脚本がしっかりしていると、俳優がしっかり動く。
白川がケチな嫁を熱演。
藤原釜足もプライドを引きずる不器用な老人を好演。

個人的にはデビュー間無しの藤山陽子が初々しい。
後にテレビヒロインなどで活躍したが、1961年頃が最も美しい。
役柄としては、エレベーターガールから秘書課へ異動する現代的な女性。
しかし美貌が災いしてストーカーに狙われる。


監督 千葉泰樹
脚本 松山善三
製作 藤本真澄
撮影 玉井正夫
音楽 伊福部昭

出演
藤原釜足 (父、元校長)
望月優子 (母)
宝田明 (兄、サラリーマン)
白川由美 (兄嫁)
加山雄三 (弟、タクシー運転手)
藤山陽子 (末妹、エレベーターガール)
小泉博 (部長)
堺左千夫 (兄の同僚)
藤木悠 (同上)

2012.08.06

ネットワーク 1976 ユナイテッド・アーティスト

視聴率競争にしのぎを削るキー局のどろどろした争いを描く。
ニュースキャスター役のピーター・フィンチの命を削る演技は凄い。
彼は撮影後亡くなってしまい、死後アカデミー主演男優賞を受賞した。
ほかにも主演女優賞、助演女優賞、脚本賞を獲得している。


第四のネットワーク・キー局UBSで、ビールのイブニング・ニュースは今や低視聴率にあえいでいた。
報道部長マックスはビールに更迭を通告するが、ビールは自殺予告を本番中にしゃべりだす。
ビールの言いたい放題は視聴者の興味を引き、視聴率ははね上がった。
新部長ダイアナはビールを予言者として、再び売り出しを図った。


日本中のマスコミは民主党に政権が移った途端に露骨に民主党寄りに態度を変えた。
米国民主党寄りの米国マスコミが共産党と結びつくことは、ほんとうにありそうだった。
おそらく某ニュース専門局はやっているだろう。
しかし視聴率をかせぐためだけにニュースキャスターを○○してしまう結末は、さすがにないw


監督 シドニー・ルメット
脚本 パディ・チャイエフスキー
撮影 オーウェン・ロイズマン
音楽 エリオット・ローレンス

出演
フェイ・ダナウェイ
ウィリアム・ホールデン
ピーター・フィンチ
ロバート・デュヴァル
ウェズリー・アディ
ネッド・ビーティ
ビル・バロウズ

不都合な真実 2006 アメリカ

アメリカ民主党の元副大統領アル・ゴアのドキュメンタリー映画。

地球温暖化をテーマとしている。
まず地球温暖化は存在する。
(いまだに存在しないと言っている国家も存在する。)
さらに地球温暖化対策は危急の問題である。


この映画の後、さまざまな反論が寄せられ、地球温暖化は確かに存在する。
しかしここで言うほどに危急の問題ではないというのがコンセンサスであるようだ。
どちらにせよ、地球温暖化がないと言い張っていた国を黙らせた功は大きい。

プレゼンテーションの教科書ビデオとしても優秀作品だ。
三木谷氏には、スティーブ・ジョブスのプレゼンテーションと合わせて学ぶことをおすすめする。

ドキュメンタリーと言っても、マイケル・ムーア監督のような過激な映画ではない。
大統領選挙で政府をかすめ取られたブッシュ政権に対しては、ちくりと嫌みを言う程度であり、決して政治的ショーにはしていない。

監督 デイヴィス・グッゲンハイム

2012.08.05

Flowers 2010 東宝 

資生堂の宣伝用映画。
今どき広告用に映画を撮る会社なんて他にない。

脚本は古典的な女三代記だ。
似ても似つかない個性的な六大女優が母子、姉妹役で共演するため、違和感が生まれそうだった。
しかしうまく時系列を前後させることにより、スムーズに話に集中させてくれた。


昭和初期、凜は結婚が決められたが、結婚式まで新郎と会えない。凜はその結婚が嫌で父親に逆らう。
昭和40年代、凜の三人の娘は美しく成人し、適齢期になった。
姉の薫がまっ先に結婚するが夫を事故で失い、末娘の慧は二人目を産んですぐなくなる。
現代に時は移り、亡き慧の娘二人は成人して、妹の佳は子供をもうけるが、姉の奏は妊娠したまま恋人と別れる。
この三つの話がパラレルに進行していく。


正直言って三世代や姉妹間の関係が希薄であるため、つながった話ではなく、ばらばらの話として見てしまった。
それぞれの話は余韻が深いが、三代記としての感動はなかった。
(これは筆者が男性だからかも知れない。)

六人の中では個人的好みだが田中麗奈が良かった。
ただ、田中本人も三十路に入り、そろそろ結婚してもう一つの幸せを掴んだ方が良いと思う。
あと鈴木京香と広末涼子の姉妹は違和感があったが、広末の若い母親役は、本人もそうだから、すごくはまっている。


監督:小泉徳宏(ROBOT)
エグゼクティブプロデューサー:阿部秀司(ROBOT)
脚本:藤本周、三浦有為子
音楽:朝川朋之
撮影:広川泰士

昭和11年
蒼井優:凛
真野響子:片山文江
塩見三省:片山寅雄
三浦貴大:宮澤侘助
昭和44年
竹内結子:薫
田中麗奈:翠
大沢たかお:真中博
河本準一:菊池敏雄
長門裕之:遠藤壮太朗
昭和52年
仲間由紀恵:慧
井ノ原快彦:宮澤晴夫
平成21年
鈴木京香:奏
広末涼子:佳
平田満:宮澤晴夫

夢で逢いましょ 1962 東宝

東宝歌謡映画。
ミュージカルシーンはなく、歌手がライブで歌う様子がふんだんに見られる。

伊津子は田舎では男子も一目置く存在。
都会に憧れ、姉を頼って上京。
そこで歌手になりたいと姉に直談判して行儀見習いから始めるが、
やはり歌いたくて仕方がない。
そんなときライバル社から誘いを受けて・・・

デビュー間無しだった中尾ミエがザ・ピーナッツを差し置いてもう主演を張っている。
伊東ゆかりも園まりもいない。
さすがの貫禄だ。

初めに出てきた男性歌手、どこかで聴いた声だと思ったら、中島潤だった。
フランク永井をさらに丸っこくしたような顔だ。
歌は上手で文句はない。夭逝が惜しまれる。

それから桜井浩子の横で大原麗子が出ていた。
東宝にいたのか。
東映に金の卵をかっさらわれたのだろう。

監督:佐伯幸三
脚本:森功二
撮影:黒田徳三
音楽:平岡精二

出演:
中尾ミエ:河辺伊津子
池内淳子:河辺美樹(社長、伊津子の姉)
賀原夏子:河辺美佐子(伊津子の母)
宝田明:増村公一(美樹の恋人)
船戸順:山岡次郎(泥棒)
ザ・ピーナッツ:ザ・ピーナッツ
加藤武:勝田大吾(ライバル社長)
江幡高志:近藤(ライバル社幹部)
梓みちよ:中井礼子(歌手の卵)
田辺靖雄:ケリー益田(歌手)
ハナ肇とクレージーキャッツ:クレージー・ベアーズ
松村達雄:幸作(ザ・ピーナッツの父)
山茶花究:甚兵衛(ラーメン屋台のおやじ)
市原悦子:小宮清子(社長秘書)
峰岸徹:曽根良次(山岡の仲間)
桜井浩子:雪原節子(伊津子の同級生)
大原麗子:(伊津子の同級生)
西村晃:中山刑事
スマイリー小原:バンド・リーダー
鹿内タカシ:ロカビリー歌手
中島潤:歌手
水原弘:歌手
宮川泰:歌の先生

2012.08.04

宮本武蔵 1973 松竹

松竹版の宮本武蔵。
関ヶ原の合戦後、生まれ故郷の宮本村に帰るが、西軍の残党狩りによって大木に縛り付けられる。
お通によって助けられるが、武蔵は一人剣の道へ進む。
数年後、京の宇治橋に道場破りの高札が立った。
吉岡道場吉岡清十郎に宮本武蔵から宛てたものだった。


東宝が三部作、東映が五部作だったのに、松竹は140分あまりの単発映画。
この会社にしっかりした時代劇を作る力はなかった。
俳優も自前は笠智衆ぐらいのもの。
その笠智衆も沢庵和尚役は荷が重いのか、上映時間が短すぎるのか、ピンとこない。
加藤泰のローアングル撮影はスケールの小さなドラマでこそ生きるのであって、大河ドラマには似合わない。

田宮二郎が五社協定で干されてから全く主役がもらえなかった頃の作品。
しかし、高倉健がやるより、はるかに様になっていた。


監督:加藤泰
脚本:野村芳太郎、山下清泉
撮影:丸山恵司
音楽:鏑木創

出演:
高橋英樹:宮本武蔵
田宮二郎:佐々木小次郎
フランキー堺:本位田又八
松坂慶子:お通
倍賞美津子:朱実
佐藤允:吉岡伝七郎
細川俊之:吉岡清十郎
笠智衆:沢庵

2012.08.03

乳母車 1956 日活

石坂洋次郎が青い山脈のような一連の学園物に飽きて、昭和30年代に入り、新たな男女関係に新境地を開いた。
男が妻と離婚して妾とも別れても、健全な娘が妾の弟ともに最後まで希望を捨てずにいるのは、石原洋次郎ならではだ。
悪く言えば、脳天気かも知れない。


娘は父に愛人がいることを友人から聞かされ憤然として、妾宅に乗り込む。
しかし愛人とも子の殊勝な態度と父ととも子の間に生まれた幼い弟の姿に怒りの矛先を失う。
そしてとも子の弟が散歩に連れて出た弟をいたずら半分の気持ちでさらってしまう。


石原裕次郎主演ではなく、あくまで芦川いずみ主演作品。
この頃の二人はお似合いのカップルである。
彼女の魅力を脇に控えた裕次郎が見事に引き立てている。
裕次郎がデビュー間無しの頃だったので、こういうことも起きた。

しかしその後、裕次郎が主演を張るようになり、二人のパワーバランスがくずれてしまう。
カラー時代は浅丘ルリ子の方がお似合いだと思う。


監督:田坂具隆
脚本:沢村勉
原作:石坂洋次郎
撮影:伊佐山三郎
音楽:斎藤一郎

出演:
芦川いづみ(桑原ゆみ子)
石原裕次郎(相沢宗雄)
新珠三千代(相沢とも子)
山根寿子(桑原たま子)
宇野重吉(桑原次郎)
中原早苗(金田さち子)

姉妹 1955 独立プロ

畔柳二美の小説を新藤兼人と家城巳代治が脚色した作品。
一般的な新藤兼人作品と比べて、家城巳代治が脚色、演出で加わったために、堅実な作品におさまった。

好きな人と結婚するより、暮らしの立つ人を選びましょうと言う話。
昔の人は恋に燃え上がってしまう前に自制して、見合い結婚を受け入れていたのだ。
その方が理性的かつ安全だと知っていた。
今の若い連中は、そういう大人の知恵をわかろうとしない。


三つ違いの姉妹はともになかよく伯母の家に下宿して学校に通っている。
父は技師をしていて、他の弟妹と一緒に山奥に住んでいる。
ある日、友人の家に遊びに行き、両親が障害者であることを知る。


野添ひとみと中原ひとみが三つ違いの姉妹役を演じているが、かなり違和感があった。
ネットで調べてみると、その理由がわかった。
中原ひとみの方が年上だったのだ。
道理で妹がかまととぶっているように見えた。
身長は野添ひとみの方がずっと高いが、1955年現在ですでに中原ひとみは19歳だ。


監督 家城巳代治
脚本 新藤兼人 家城巳代治
原作 畔柳二美
製作 立野三郎
撮影 木塚誠一

出演
野添ひとみ (近藤圭子)
中原ひとみ (妹近藤俊子)
河野秋武 (父近藤健作)
川崎弘子 (母近藤りえ)
多々良純 (伯父石田銀三郎)
望月優子 (伯母石田お民)
内藤武敏 (岡青年)
加藤嘉 (徳次)
北林谷栄 (しげ)
殿山泰司 (乱暴な亭主、三造)

2012.08.02

時をかける少女 2010 スタイルジャム

筒井康隆1967年の原作小説を三度目の実写映画化。
アニメ映画化一回とドラマ化四回と合わせて八回の映像化だ。
原作の主人公芳山和子が母になり、娘のあかりは大学に合格するところから始まる。

ある日、和子は交通事故に遭い昏睡状態になる。
彼女が一瞬目覚めたとき、あかりに深町一夫へのメッセージを託す。
母が研究していた試薬を使い、タイムスリップしたあかり。
しかし行き着いた先は母が示した1972年でなく、1974年だった。


ケン・ソゴルが石丸幹二だとわかったとき、背筋がぞくぞくしてしまった。
1972年のNHKドラマ「タイムトラベラー」の平べったい木下清のイメージしかなかったが、
この映画のケンはかっこよすぎる。
安田成美との再会シーンも良かった。

仲里依紗はアニメの主役の時はどれだけ可愛いのだろうと想像していたが、
実は美人女優でなく、演技派女優だった。
ドラマやこの映画で見せる演技力は大したものだ。

今年はリチャード・マシスンの幻想小説「ある日どこかで」でリチャードとエリーズが出会って100周年である。
原作は1976年の作品で、1980年今は亡きクリストファー・リーブの主演(共演はジェーン・シーモア)で映画化されていまだに日米でカルト的人気を誇っている。
リチャード・マシスンの原作を遡ること9年前にすでに「時をかける少女」は書かれており、映像化も日本の方が8年早い。
われわれはタイムトラベラーの決して満たされることのない恋に憧れを抱くのだろうか?


監督 谷口正晃
脚本 菅野友恵
音楽 村山達哉
主題歌 いきものがかり 『時をかける少女』、『ノスタルジア』

出演:
仲里依紗:芳山あかり
中尾明慶:溝呂木涼太
安田成美:芳山和子
勝村政信:浅倉吾朗
石丸幹二:深町一夫
青木崇高:長谷川政道
石橋杏奈:芳山和子(高校生)
柄本時生:本宮悟

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