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2012年10月

2012.10.31

駅 STATION 東宝 1981

松竹の倍賞千恵子を使って、松竹では撮れそうにない映画を撮った。
薄味だが心にしみる作品。

英二は銭函駅で妻子を見送っていた。
彼は刑事であり、オリンピックの射撃選手であるが、忙しさのあまり夫婦生活に行き違いが生じ、別れたのだ。
上司の相馬が連続殺人犯22号に射殺された。
犯人を追わせてくれと警視に申し出るが、オリンピック出場を優先すべきだと説得される。
奇しくも円谷幸吉の自殺をテレビは伝えていた。他人事ではなかった。
9年後、増毛駅前の食堂で勤めるすず子をオリンピックのコーチから降ろされた英二は張りこんでいた。
赤いスカートの娘ばかりを狙う連続暴行殺人犯吉松の妹だった。
彼女の恋人は、警察に逮捕させるために妹を騙して兄貴を呼び出させると言う。
捜査本部はその作戦に飛びつくが、妹を持つ英二には卑怯に思えてならなかった。
当日暗くなってから、駅に吉松は現れた。
その3年後、吉松から死刑執行を知らせる直筆の手紙が届く。
刑事を辞める決意を固めた英二は正月の帰郷をするために再び増毛駅に降り立った。
駅では見知らぬ女が誰かを待っていた。
雄冬への連絡線が欠航になった夜、飲み屋に入るとその女桐子がいた。
意気投合した二人は翌日も会い、夜をともにする。
しかし初詣で桐子は昔の男と再会し、英二は雄冬へ発つ。
札幌への帰途、相馬を殺した連続殺人犯22号を見たというたれ込みがあった。
英二は桐子と男のことを思い出し、増毛へ立ち戻る。
桐子を押しのけ、居間に入ると炬燵でくつろぐ22号がいた。
銃を構えようとする22号を英二は迷わず射殺した。
桐子は「そういうことか」(犯人の愛人と知って近づいたのか)と呟いた。
決してそうでなかったが、英二は絶句してしまった。

駅でのエピソードをつないで、スリーコーラスの歌詞のような佳作を降旗監督と倉本聰は作り上げた。
いろいろな俳優が登場するのも楽しみ。
健さん映画となるとちょい役でも大物が出てくる。
いしだあゆみや田中邦衛は倉本聰人脈だし、小林稔侍、室田日出男は健さんの東映人脈、池部良は「昭和残侠伝」人脈、倍賞千恵子は「幸せの黄色いハンカチ」人脈だ。
とくに小林稔侍は青い演技を見せていた。

高倉健と倍賞千恵子が飲み屋のカウンターをはさんでのロングショットが印象的。
ちょうどラストの別れのシーンと対比になっている。
一夜を過ごした後「私、声を上げなかった」と倍賞が尋ね、健さんは否とこたえるのだが、ぼそっと「樺太まで聞こえるかと思ったぜ」と言ったのは健さんならではのコミカルな演技だった。

劇中では1979年の年末模様が描かれている。
飲み屋では英二と桐子がテレビの歌番組を見ている。
はじめにかかっていたのは年末の「夜のヒットスタジオ」だろう。
この年苦節18年からブレークした小林幸子の「おもいで酒」、村木賢吉の「おやじの海」、そして桐子が好きだと言った八代亜紀の「舟歌」。
翌々日はレコード大賞のジュディ・オング「魅せられて」がかかるのは良いとして、その後で意外にも石野真子「ジュリーがライバル」がかかった。その年の紅白のトップバッターだったらしい。
トリの五木ひろし「おまえとふたり」、大トリ八代の「舟歌」と続き、これぞ昭和歌謡映画だった。


監督 降旗康男
脚本 倉本聰
製作 田中壽一
撮影 木村大作
美術 樋口幸男
音楽 宇崎竜童


出演
高倉健 (三上英次)
いしだあゆみ (別れた妻、直子)
大滝秀治
八木昌子
池部良
烏丸せつこ (すず子)
宇崎竜童
古手川祐子 (妹)
倍賞千恵子 (桐子)


2012.10.26

牝猫と現金(げんなま) 1967 フランス

アラン・ドロンの二番目の愛人ミレーユ・ダルクの魅力がたっぷり詰まったノワール映画と思っていたら、実はめでたしめでたしのコメディだった。


ピエロは銀行強盗で盗んだドルのありかを知らせないまま、警察との銃撃戦で死んだ。
愛人だったカティはそのとき臨月だった。
かわいい男の子を産んだカティは保護施設で知り合ったママ友マリテとともにピエロと暮らしていた村へ戻る。
となりに変わった画家ガリエールが住んでいるぐらいで、静かな村だ。
しかし、ピエロの金を狙って、ギャングたちが集まってくる。
そのうちの一人ジョーを何とか仲間に引き入れて、カティはドルの在処を探すことにした。
彼女が金の行方に気づいたとき、銃撃戦が始まる。

最後は赤ちゃんを囲んで撃ち合いになり、結局生き残ったものが金を総取りするのかと思った。
ところが生き残ったものは警察に出頭してドルを渡して懸賞金をもらう。
おそらく警察もこの様子を外から見守っていて、ギャングが皆殺しすれば良いと思っていたのだろう。


音楽が非常に印象的で、実にもの悲しい響きだった。
アメリカでは人気が無いのはこのさびしげな雰囲気が一つの理由だろう。
襲撃直前にギャングはハーモニカをまるでマカロニ・ウェスタン映画のように吹いている。
てっきりサッドエンドだと思っていたら、ラストはハッピーエンドのコメディーだった。
観客を驚かせたという点で演出は成功したのだろう。


俳優陣では男優はぱっとしない。
主演のミレーユ・ダルク一人で持っているようなものだ。
久々にミレーユ・ダルクの映画を見たが、昔はミック・ジャガーの女性版を見てるような気がして、お色気シーンでも引いてしまったことを思い出す。

ちなみにカーリー・サイモンも同傾向の顔だと思った。
結構この手の顔はセレブにもてるようだ。


監督 ジョルジュ・ロートネル
脚色 ミシェル・オディアール マルセル・ジュリアン ジャン・メケール ジョルジュ・ロートネル
原作 ジャン・アミラ
音楽 ミッシェル・マーニュ

出演
ミレーユ・ダルク (カトリーヌ)
アヌーク・フェルジャック (マリテ)
アンリ・ガルサン (ジョー)
モーリス・ビロー (警察)
ファニー・ロビアン
ルネ・ケンシール

2012.10.25

無法松の一生 1943 大映

阪妻は現代劇初主演作。
戦中に告白シーンを内務省に検閲されてズタズタにされてしまった。
戦前、文学座や新派も公演したことがある。

時は明治30年。無法松こと松五郎は小倉で生まれたけんかっ早い車引き。
ケガをした吉岡敏雄を助けたことから軍人の吉岡家に出入りが許される。
しかし当主の吉岡小太郎は流行病であっけなく亡くなる。
無法松は、後に残された未亡人良子と一人息子敏雄の世話をかいがいしく看るのだった。
やがて敏雄も中学へ上がり思春期を経て、親元を離れ熊本の五高へ進んだ。
久しぶりに夏休みに恩師を連れて里帰りした敏雄の前で、無法松は祇園太鼓を披露する。
さらに月日はたち、無法松は酒で体をこわし、ついに亡くなる。
あとには敏雄のために500円もの貯金が残されていた。

この作品では、無法松が良子に告白する重要なシーンがあるのだが、戦時中のため時節柄ふさわしくないとして内務省はカットしてしまった。
戦後、GHQとしてはこのシーンが残っていればつないだはずだが、どうやら大映はフィルム自体を捨ててしまったらしい。
そこで戦後、同じ稲垣監督の手により、三船敏郎、高峰秀子主演でリメイクされた。
その作品も評判になり、ヴェネチア映画祭金獅子賞を受賞している。

園井恵子はこの映画でしか見たことは無いが、非常に清楚で美人だった。
数年前まで女優ベスト100には必ず顔を出していた人だ。
彼女が元宝塚男役スターだとは驚きである。
この映画の大ヒットの後、他の映画の出演を請われるが、演劇人であった彼女は舞台での「無法松の一生」を選んだ。
それが悲劇になってしまった。
美人薄命だった。
彼女が原爆でなくなったことは映画演劇界にとって大きな損失である。
生きていれば他にない美人のお母さん女優になったと思う。


監督 稲垣浩
原作 岩下俊作
脚本 伊丹万作

出演
阪東妻三郎
月形龍之介
園井恵子(元宝塚男役スター、広島で「無法松の一生」公演中に被曝して亡くなる。)
永田靖
澤村アキオ(子役、のちの長門裕之)
川村禾門
杉狂児


映画上映から18年後に村田英雄が大ヒットさせたのが次の「無法松の一生」である。
でもこの曲を聞いていると、阪妻の作品より三船敏郎の作品からインスパイアされた部分が多いと思う。

2012.10.23

カジノ・ロワイヤル 1954 CBS

「007」シリーズの記念すべき初映像化作品だそうだ。
アメリカのCBS放送がテレビドラマ化している。
後の1967年版映画とは違って、コメディ的な演出は全く無い。

しかし何とボンドはイギリス人ではなく、アメリカ人という設定になっている。
イアン・フレミングの「ボンド」シリーズも初TV化されたときはこんなトリビアがあったのだ。
よく知ってる人ではピーター・ローレがル・シッフル役で出演している。

アメリカの工作員ジミー・ボンドは、モンテカルロのカジノ・ロワイヤルに上客を装い潜入した。
彼の任務は、ギャンブルで公的資金に手を付けて焦げ付いてしまったソ連のスパイ、ル・シッフルをバカラでも負かして破滅させること。
ボンドはかつて愛していて今はル・シッフルの愛人になったヴァレリーとの板挟みに悩みながら、バカラで彼を潰す。
しかし、ボンドは滞在するホテルでル・シッフルに襲われ、危機一髪!

どうやら、生放送だったようだ。
日本でも当時はビデオはなかったから生ドラマ中心だったが、アメリカの生ドラマは初めて見たような気がする。

監督
ウィリアム・H・ブラウン・ジュニア
出演
バリー・ネルソン(「大空港」)
ピーター・ローレ(「毒薬と老嬢」)
リンダ・クリスチャン
マイケル・ペイト(「歌えドミニク」)

時間:52分

2012.10.19

瞳の奥の秘密 2009 アルゼンチン・スペイン

アカデミー外国語映画賞に輝いた作品。
一度は断念した過去の殺人事件を元上司の検事と再び掘り下げる定年退職した裁判所事務官の話。
アルゼンチンは最近推理小説で話題だが、これはサスペンス巨編といえる。


アルゼンチンの政権が不安定に揺れていた頃、主婦のレイプ殺人が起きる。
事務官エスポシトはうなだれる夫モラレスを前に怒りがこみ上げてくる。
一度は判事がもみ消した事件だったが、判事補である直接の上司イレーヌと部下パブロと協力して犯人ゴメスを捕らえる。
ところが、アルゼンチン軍事政権は敵対する勢力を抹殺するためにこの犯人をまた自由の身にして利用していた。
パブロは殺され、エスポシトとイレーヌは逃げて、25年が経った。
引退したエスポシトは事件を小説にしようと考え、イレーヌや被害者の夫のもとを訪ねる。
イレーヌははじめは反対するが、彼の気持ちを知り、協力する。
一方、被害者の夫モラレスはもう終わったことだ、帰ってくれとけんもほろろ。
帰途、その様子に疑問を持ったエスポシトはモラレスの元へ戻るが・・・


こんな恐怖政権ならサッチャー首相にいじめられても(フォークランド紛争)仕方がない。
今になってこの作品が国内でもある程度評価されたと言うことは、ブラジル同様にアルゼンチンにも多少ゆとりが出てきたのだろうか。
とはいえ、2001年にはデフォルトを起こすし、アルゼンチン国債は7%ぐらい付けているが。

瞳の奥の秘密は三重の意味がある。
まず犯人の被害者を見る目つき。
次に主人公エスポシトが検事イレーヌを見る目つき。
そして最後に検事イレーヌがエスポシトを優しく迎え入れる眼差しだ。
目つきだけだったら、ストーカーかも知れないが、それを受け入れる眼差しがあれば愛情になる。


監督 フアン・ホセ・カンパネラ
脚本 エドゥアルド・サチェリ フアン・ホセ・カンパネラ
原作 エドゥアルド・サチェリ
製作 マリエラ・ベスイエフスキー フアン・ホセ・カンパネラ
撮影 フェリックス・モンティ
美術 マルセロ・ポント・ベルジェス
音楽 フェデリコ・フシド


出演
リカルド・ダリン (Benjamin Esposito)
ソレダー・ビヤミル (Irene Menendez Hastings)
パブロ・ラゴ (Ricardo Morales)
ハビエル・ゴンディーノ (Isidoro Gomez)
ギレルモ・フランチェラ (Pablo Sandoval)


2012.10.17

デストラップ 死の罠 1982 ワーナー

ミステリーの巨匠アイラ・レヴィンの舞台劇「デストラップ」をシドニー・ルメットが映画化。
スリルにあふれていて、なかなか緩むところがないので、最後まで楽しめる作品である。
日本人には評価が高く、アメリカ人にはそれほどでもない。

シドニーはスリラー専門の劇作家。
しかしヒットから長く見放され、追い詰められていた。
そんな彼の元にかつての大学での教え子クリフから戯曲の草稿が送られてきた。
手を加える必要もないほど、素晴らしい出来だった。
彼はクリフを自宅に招いて暗殺し、戯曲を自分のものとして発表するつもりと心臓に病を持つ妻に打ち明ける。
妻は止めてくれと頼むが、彼の決心は固い。
そしてクリフが原稿を持ってやって来て、シドニーに絞め殺される。
しかし近所で評判の霊媒師ヘルガが突然訪ねてきて、異変を言い当てる。
何とかヘルガを追い返してシドニーは寝る前にブランデーを飲みたいと妻に頼んだ。
しかしヘルガが生き返って、妻は恐怖のあまり心臓麻痺で死ぬ。
実はシドニーとクリフは愛人関係であって、妻の遺産を狙って相図った犯罪だった。
葬儀終了後、クリフはシドニーの秘書となる。
しかしクリフはこの事件を戯曲として発表しようとシドニーに持ちかける。
シドニーは猛反対するが、クリフはそれならば一人で発表すると宣言する。
シドニーはクリフも殺すことを決意する。
そこへ、ヘルガが再びあらわれる。

入れ子式のメタ・ミステリー。
遺産と戯曲をめぐるサバイバル合戦になり、最後に笑うのは誰かと言うことだ。

マイケル・ケインのうるさいほどの好演が光る。
ほとんど一人芝居のようだった。
またダイアン・キャノンの馬鹿馬鹿しいほどの絶叫は映画の珍味になっていた。
ラジー賞ノミネートもなるほどと頷かせる。

ネタバレをするつもりはないが、ポーターはシドニーの相続人は一人いると言っていたはず。
相続人こそが最大の利益享受者ではないのか?
それともあれはウソだろうか?


舞台劇で舞台がほとんど自宅。
そしてたくさんの武器や拘束具が出てくる。
美術、とくに小道具さんの腕の見せ所だ。


監督 シドニー・ルメット
脚本 ジェイ・プレッソン・アレン
原作戯曲 アイラ・レヴィン
撮影 アンジェイ・バートコウィアク
美術 トニー・ウォルトン エドワード・ピッソーニ
音楽 ジョニー・マンデル

出演
マイケル・ケイン (劇作家)
クリストファー・リーヴ (若者)
ダイアン・キャノン (劇作家の妻)
アイリーン・ワース (霊媒)
ヘンリー・ジョーンズ (弁護士)


二人の関係が一目でわかる有名なシーン。

2012.10.16

オーケストラ!(Le Concert) 2009 フランス

「のだめカンタービレ」の映画と同時期に作られた本物の音楽映画。

ソ連時代に首になったユダヤ系ロシア人の楽団が30年ぶりに集まり、パリで演奏する。
しかしたまに大都会パリに出てきたお登りさんのユダヤ人は、ここぞとばかりに金儲けに走る。
ロシア人指揮者はチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲のソリストに当代きってのアンネ・マリー・ジャケを指名した。
ソリストは指揮者に憧れて一度は受けたが、しかしリハにも来ない楽団を見て、降りると言い出す。
チェリストのサーシャは、酒におぼれる指揮者を見ていられず、ジャケのところに行き「このコンサートが済んだとき、君の両親のことがわかる」と言う。

こうして波乱含みの中、コンサートは始まる。
出だしのオーケストラは、がたがただった。
しかし一旦ジャケのソロが始まるやいなや、楽団員には彼女がそこにいる理由がわかったのだ。
彼女の見事なソロに引っ張られて、楽団は30年ぶりに音を奏で始める。
彼女は30年前楽団とチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲で共演していたソリストの忘れ形見だったのだ。
彼女の母はブレジネフ書記長批判によりシベリヤ送りになり死んでしまったが、娘は何も知らされずパリで育てられ、当代一のソリストに成長していたのだ。

ラストの協奏曲シーンは劇的鳥肌ものだ。
ふだんよく聞くチャイコフスキーより情熱的な名演になっている。
誰が演奏しているのか?
CDが欲しくなった。(後の調査でサラ・ネムタヌというルーマニア人の女性ソリストだとわかる。)

映画はフランス映画だが、ロシア語が70%を占める特殊な作品だ。
要するにユダヤ資本により作られたユダヤ映画なのだろう。
「のだめカンタービレ」を批判する前に、ユダヤ人の音楽性の高さを認めなければいけない。

メラニー・ロランはおそらくユダヤ人の血を受け継いだフランス人だろうが、実に美しい。
ナスターシャ・キンスキーより格段に上だ。
彼女を見ているだけで楽しい気分になれる。

しかし悲しいこともある。
ミウミウはしばらく見ないうちに、おばさんになってしまった。

最後に共産党員のマネージャーが楽団のキセキのような演奏を聴き、神様がこの世にいると言ったのは、いかにもユダヤ映画らしい。


監督 ラデュ・ミヘイレアニュ
脚本 ラデュ・ミヘイレアニュ アラン=ミシェル・ブラン マシュー・ロビンス
原案 ヘクトール・カベッロ・レイエス ティエリー・デ・グランディ
撮影監督 ローラン・ダイアン
音楽 アルマンド・アマール

出演
アレクセイ・グシコフ (指揮者)
メラニー・ロラン (アンヌ・マリー・ジャケ)
フランソワ・ベルレアン
ミュウ・ミュウ (エージェント)
ドミトリー・ナザロフ (チェリスト)


2012.10.12

人生に乾杯! 2007 ハンガリー

珍しいハンガリーの年金映画。
老人版「俺たちに明日はない」

元共産党員の年金受給者が債務に苦しんで生活に困っている。
妻に贈ったイヤリングを差し押さえられ、夫はついに堪忍袋の緒が切れた。
はじめは夫一人で強盗をし、愛車のチャイカで移動しながら、妻と合流する。
そして各地でピストル連続強盗をして逃避行する。
テレビでは年金生活苦の老人夫婦の犯行として好意的にとらえている。
コピーキャットも出てきた。
しかし警察は威信に賭けて何としても逮捕しようと追跡する。
亡き息子の墓に参った後、夫婦はガソリンを抱いて警察が道路に置いた障害物に突っ込み自爆する。

年金生活の苦しさは、日本だけでなく、東ヨーロッパでも同様である。
いや共産党の崩壊以後、急に年金生活水準が低下したという意味では、あちらの方が年金先進国だ。
それだけにヨーロッパでも他人事ではなかったろう。
同国映画として久しぶりの大ヒットとなったようだ。
数年して日本でもロードショーしていた。
そのときは見損ねたが、ようやく見ることができた。

「ユーモアたっぷり」という宣伝文句には疑問を感ずる。
最後は「死んで」罪を償ったのだ。
「もしかしたら死んでいないのでは」というのは、あくまで人々の願望である。
こんな簡単な犯罪を大捜査する警察の間抜けさは確かに「ユーモアたっぷり」だが。


監督 ガーボル・ロホニ
脚本 バラージュ・ロヴァシュ
原作 ポジュガイ・ジョルト

出演
エミル・ケレシュ
テリ・フェルディ
ユディト・シェル
ゾルターン・シュミエド
ロシック・ジョコ

2012.10.10

約束 1972 松竹

ショーケンこと萩原健一の出世作。
舌っ足らずのアイドル歌手でありながら、実はすごい天才俳優だったのだ。
斉藤監督で前年「めまい」という作品を撮っている。
辺見マリがお色気アイドルの役で出ている映画で、萩原健一はマリに惚れていたが范文雀と最終的に一緒になるようだ。
その後、映画監督がやりたくて斉藤組に入り浸っていたら、この映画の主演俳優が降りて、彼にチャンスが回ってきた。
その後、「太陽にほえろ」「傷だらけの天使」「前略おふくろ様」で人気沸騰して、「青春の蹉跌」でキネ旬主演男優賞を獲得。

蛍子は夫殺しの模範囚である。
刑吏島本とともに母の墓参りすることが許される。
たまたま列車に乗り合わせた朗は、蛍子のミステリアスな魅力に興味を抱く。
やがて目的地に着いた蛍子は朗と母の墓参りをした。
朗は夕方に明日12時にまた会おうと約して行ってしまった。
次の日、午後3時頃になって朗は再び現れた。
三人はまた同じ電車で刑務所のある名古屋に向かう。
途中、落盤事故があり、朗は島本の目を盗んで逃げようと言うが、蛍子にはできなかった。
刑務所の扉を挟んで蛍子は朗に二年後の再会を約す。
しかし朗は彼女への差入を買っている最中に、尾行していた刑事に強盗傷害罪で逮捕されてしまう。
二年後、待ち合わせの公園で来るはずのない朗を待ち続ける蛍子の姿があった。

なかなかよかった。
この作品は、(フランス映画に感化されたと思われる)韓国映画から斉藤監督がインスパイアされた映画である。
韓国映画はこの時代の方がよかったのではないか。

映画のラストシーンを見たときにどきっとした
ファーストシーンにつながったのだ。
このファーストシーンとラストシーンは岸恵子の座ったまま待ちぼうける姿を写しているが、
要するに1時間半の映画の最中、彼女は待ち続けているのだ。
そして映画全体がいわば彼女の二年前の回想シーンなのだ。
韓国映画は見ていないが、最初と最後の待っているシーンの繰り返しにオリジナリティがあったのではないかと推測する。

この映画は二人を人間として十分に描いていないと批判する人がいたが、的外れだ。
二人が一緒にいたのは僅か二日足らずだったのだ。
だから二人の関係は薄っぺらい。
だが、そんな薄い関係をよすがに生きていくしかない人はいるのだ。

岸恵子が自称35才というのは、いささか年を取りすぎているように見える(当時の実年齢は40才)が、
おそらく、少しさばを読んでいるという設定なのだろう。


監督 斎藤耕一
脚本 石森史郎
原案 金志軒
製作 斎藤節子 樋口清
撮影 坂本典隆
美術 芳野尹孝
音楽 宮川泰

出演
岸惠子 (松宮螢子)
萩原健一 (中原朗)
南美江 (島本房江)
三國連太郎 (刑事、裁判官)
中山仁

2012.10.09

80日間世界一周 1956 ユナイト

世界一周観光映画。
アカデミー最優秀作品賞、脚本賞、撮影賞などを受賞。
完全版で見るのは初めてだ。

若き日のシャーリー・マクレーンがアウダ役で出演。
デビュー作「ハリーの災難」(ヒッチコック作品)の翌年上映されている。

1872年、ロンドンで80日間世界一周をしてみせるとして友人と賭けたフォッグ氏は、召使パスパラトゥを連れてドーバー海峡を渡る。
フランスでは旅行代理店で気球を買い取り優雅な空の旅。
しかし南仏に着く筈が、スペインまで流され当地の豪族にマルセイユまで船に乗せてもらうため、パスパラトゥは闘牛をする羽目に。
マルセイユからインドのボンベイまで船で渡って、カルカッタへ向かう途中でインド人女性アウダと出会い、救出する。
再び海路でラングーンを回って香港に。
そこでパスパラトゥはフィックス氏に騙されてフォッグ氏と離ればなれに。
ところが横浜港でなく遠く離れた鎌倉で再会。
太平洋を渡りサンフランシスコに上陸したフォッグ氏一行は大陸横断鉄道に乗り込み、インディアンの襲撃を受ける。
ニューヨークからの旅客船には間に合わなかったが、輸送船を買い取り、何とか大西洋を渡り英国へ帰ってくる。
しかしロンドンへ入る直前、銀行強盗の疑いでフォッグ氏は逮捕されてしまう。
釈放されるが約束の80日にわずか1日、間に合わなかった。
賭けに敗れて破産してしまうが、アウダはフォッグ氏に結婚を申し出る。
牧師を呼びに行った帰り、パスパラトゥは新聞を立ち読みしてびっくり。
日付変更線を西から東へ越えたことを忘れていたのだ。


有名俳優がちょい役やカメオ出演で大勢出演している映画だ。
驚いたのは映画本編が終わってからのエンドロールの長さ、さらにエクジット・ミュージックの長さ。
誰も最後まで見たことが無いのではないか?


明治維新直後のちょんまげ時代の日本が描かれていた。
鎌倉大仏だか横浜中華街だかよくわからないが、ロケにわざわざ来ているのに勘違いばかり。
アメリカ人が楽しければ,何でもいいという感じ。
こういう映画によってアメリカから見た我が国のステレオタイプが形成された。
スペインのフラメンコや闘牛シーンもアメリカ人の都合の良い解釈が混じっていたのだろうか?


カンティフラスはメキシコの喜劇俳優。
チャップリンも絶賛していたそうだ。
日本で言えば榎本健吉のような小柄な軽業師。
数年後、再びアメリカでオールスター映画「ペペ」を撮ったが、こちらはこけていた。


監督 マイケル・アンダーソン
脚本 ジェームズ・ポー ジョン・ファーロウ S・J・ペレルマン
原作 ジュール・ヴェルヌ
製作 マイケル・トッド
撮影 ライオネル・リンドン エリス・W・カーター
音楽 ヴィクター・ヤング
歌 エディ・フィッシャー

出演
デイヴィッド・ニーヴン (冒険家フォッグ氏)
カンティンフラス (召使いパスパラトゥ)
ロバート・ニュートン (フィックス)
シャーリー・マクレーン (インドでサティ(妻の殉死)されそうになり助けられる)
シャルル・ボワイエ (パリの旅行代理店)
ジョー・E・ブラウン
マルティーヌ・キャロル
ジョン・キャラダイン
チャールズ・コバーン
ロナルド・コールマン

2012.10.03

オデッサ・ファイル 1974 コロムビア

昔見たけど、すっかり忘れていた。
母親役はマリア・シェルだったのだな。
ワンシーンだったが、ドイツものには欠かせない。

ネタバレあり。


ピーターはケネディ大統領が暗殺された日、偶然ハンブルグであるユダヤ系老人の自殺を取材した。
老人は日記を書き残しており、リガ収容所時代の所長ロシュマンを見かけたという。
ロシュマンは戦犯で、英国に一度逮捕されたが脱走していた。
ピーターは興味を持ち、調べるうちにオデッサという元親衛隊をかくまうために設立された秘密結社を知る。
彼はユダヤ人の協力を得て、オデッサの潜入捜査を試みる。
ミュンヘンで身元が割れそうになるが、刺客を返り討ちにして、オデッサファイルといわれる名簿を手に入れる。
ロシュマンの現在の変名と身分を割り出したピーターは、単身ロシュマンの元へ乗り込む。
実はピーターの父はドイツ正規軍の大尉であり、ロシュマンに殺されていた。


最近当ブログは、たまった在庫を一掃するため、「日の当たらない日本映画劇場」風になっていたが、久しぶりに38年前のアメリカ冒険映画を採り上げた。
最初だけ見るとユダヤとイスラムの対決する映画だと思う人もいるかも知れないが、これは一応ドイツ人が同胞に復讐するのがオチだ。


日本とドイツの戦争責任のあり方のちがいについて考えさせられる。
「うらんでいるのは個人である」という台詞があるが、
ドイツでは戦争は国家責任でなく、個人の犯罪なのだ。
その点、日本は個人という概念が確立されていなかったから、いつまでたっても国全体が非難される。
しかし、ドイツも第一次世界大戦後の狂気の時代は、個人と国家の境界が曖昧だったと思う。
それでも許されるのは、長い間、国家が東西に二分されて罰が与えられたからだろう。

日本も第三次世界大戦を起こして敗れれば、大国に分割統治されるだろう。

映画は、実話に基づいてフレデリック・フォーサイスが著した小説を映画化している。
実話だから、ドキュメンタリータッチで意外に盛り上がりに欠ける。
同じ原作者の「ジャッカルの日」と比べると、緊迫感で落ちる。

ほぼ出ずっぱり主演のジョン・ヴォイトを見たのは、年代順では「真夜中のカーボーイ」以来だった。
彼がドイツ系アメリカ人といわれると「えっ、そうなの」と変な感じがする。
でも近影を見ると、ドイツ人っぽく赤ら顔に老けてきたようだ。
敵役のマクシミリアン・シェルはジュール・ダッシン監督の「トプカピ」以来10年ぶりの再見。
すごく老けたというか、老け役を作っている。

音楽はアンドリュー・ロイド・ウェーバーだからだろうか、音の出だしにはっとするところがあって実にかっこいい。


監督 ロナルド・ニーム (ポセイドン・アドベンチャー)
脚本 ケネス・ロス マーク・スタイン
原作 フレデリック・フォーサイス
製作 ジョン・ウルフ
撮影 オズワルド・モリス
音楽 アンドリュー・ロイド・ウェバー

出演
ジョン・ヴォイト (Petter Miller)
マクシミリアン・シェル (Roschmann)
マリア・シェル
メアリー・タム (Sigi) 英国のテレビ女優だが、2012年亡くなった。美人でもっと映画に出て欲しかった。


2012.10.01

妖精は花の匂いがする 1953 大映

大阪や宝塚辺りでロケされていたが,東宝映画でなく大映映画だ。
藤沢恒夫得意の関西大衆小説を映画化。(当時は毎年映画化されていた。)
淑女を育てる名門女子大での教授と学生の三角関係と友情の問題を描いている。

田鶴子は親友水絵と丹下教授がつきあっているのを知りながら,丹下に惹かれる。
しかし水絵との仲はこじれていく。
学費が払えなくて田鶴子は困っていたが,水絵が払ってくれた。
田鶴子は水絵に借りを作りたくなかったので、ヌードモデルをやってお金を作ろうとする。
しかしそのことがマスコミの記事にされそうになり、教授会で丹下教授は窮地に追い込まれる。

映画としては、大した出来ではない。
田鶴子はあえて女の友情を取ったが、結局色男の丹下教授のことが信頼できなかったのだろう。
何しろ森雅之が演じているのだから。
田鶴子は唐木(根上淳)ともつきあう気はなさそうだ。
キャリアウーマンとしてばりばり働く気なのだろう。

最後のシーンは梅田駅だろうか?
ホームに人っ子一人いなかった。

監督 久松静児
脚色 田中澄江 若尾徳平
原作 藤沢桓夫
企画 浅井昭三郎
撮影 竹村康和

出演
久我美子 (小溝田鶴子)
木村三津子 (米川水絵)
根上淳 (唐木伊勢吉)
森雅之 (丹下規矩雄)
千秋実 (名倉洋介)
羅門光三郎
青山杉作
伊達三郎

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