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2012年12月

2012.12.31

ヒットラー第1部 我が闘争・第2部 独裁者の台頭 2003 カナダ

カナダのテレビフィーチャー。
ヒットラーのナチス入党からミュンヘン一揆(第一部)、ナチス復党から総統就任(第2部)までを描いている。

ヒットラーはウィーンの美術学校を受験するが失敗する。
食い詰めたあげく第一次世界大戦に従軍するが、ドイツ・オーストリア枢軸軍は降伏してしまう。
ドイツ軍はロシア革命の影響で共産主義対策に頭を悩ましていた。
そこで左翼政党の主だったところに内偵を放つ。
国家社会主義労働者党(のちのナチス)に潜入したヒットラーは、ミイラ取りがミイラになって党内でメキメキと出世する。
軍の上司だったレーム突撃隊長を利用して、党首の座を奪ったヒットラーはミュンヘン一揆を起こすが、軍に鎮圧され投獄される。刑務所では「わが闘争」をものしていた。
出獄してから景気が良くなり、政治活動はゲッペルスに任せていたが、アメリカが大恐慌を起こして不況になると、ドイツ国内景気は悪化の一途をたどり、外国人(とくにユダヤ人)憎しの空気が助長された。
ヒットラーはここぞと立ち上がり、国民的人気を集め、度重なる解散総選挙の後ついに第一党を獲得して、首相の座に就く。
さらにヒンデンブルグ大統領が亡くなるやいなや、ワイマール憲法を廃止して首相と大統領を統合した総統にまで上り詰める。


ヒットラーが中央政界で力を付けるに当たって、汚れ仕事を一手に請け負ってきたレームや仲間たちをマフィアの殺し合いのように粛清していくところを、端折ったのがもの足りなかった。

西洋人はヒットラーの異常さだけをフィーチャーして満足することが多いが、彼を生み出した土壌について何も語ろうとしない。
何故ナポレオンが英雄でヒットラーが異常者なのか。
ヴェルサイユ条約の苛烈さやナチスの資金源であった英米の資本家をもっと厳しく扱わないのか。
どういう条件が揃ったときに独裁者が登場するのか?(今の日本にその条件は揃っているのか。)
歴史から学ぶべきことはまだまだ多く残されている。

とはいうものの、ロバート・カーライルの演技は特筆ものだ。
独語ではなく英語で喋ると、独裁者のイメージは出ないものだが、007ワールド・イズナット・イナフの木っ恥ずかしい演技とは一転、単なるサイコパスではない説得力ある熱演だった。

最後はお約束のように切り捨てられるピーター・ストメアの突撃隊長も良い味を出していた。
同性愛反対をナチは政策に掲げながら、レーム(ピーター・ストメア)は同性愛者であることを新聞に暴露されて、ヒットラーの覚えが悪くなっていた。
さらにレーム自ら育てた突撃隊を再軍備の際には国軍に採用する計画を持っていたので、第一次世界大戦の空軍エース・ゲーリングや親衛隊長ヒムラーに疎まれて、最後は突撃隊幹部たちとともに粛清される。
しかしなかなか波乱の人生を送ったようで、この男を主人公にして一本、映画を撮りたいと思わせる。
そのときは主演ブルース・ウィリスでどうだろうか。


監督 クリスチャン・デュゲイ
脚本 ジョン・ピールマイヤー G.ロス・マイヤー
音楽 ノルマン・コルベイユ Normand Corbeil
撮影 ピエール・ギル

出演
ロバート・カーライル
ストカード・チャニング
ピーター・オトゥール
ピーター・ストルメア
トーマス・サングスター
ジュリアナ・マルキリーズ
マシュー・モディン
ジェナ・マローン

2012.12.28

光る海 1963 日活

凄いメンバーを揃えた日活青春映画。
高校生以来の再見だったが、すっかり筋書きを忘れていた。
しかしラストシーンだけはよく覚えている。
翌日、登校時に電車の窓から見えた光る海をまるで昨日のように思い出す。


美枝子と和子と野坂、浅沼は大学の同窓生。
美枝子は野坂をひそかに思っている。
卒業パーティーの夜、バッグを届けてくれた彼を誘って銀座で母雪子が経営するバーへ行き、その帰りに二人は口づけを交わす。
浅沼は海外長期出張を前にして同棲相手が臨月に入り、和子と野坂に相談する。
和子は会社の同僚であり、社長の姪であったため、うまく取りなしてもらい、無事結婚式を挙げ、男の子を出産する。
和子はその夜、野坂を家に誘い、彼に対する愛情を意識する。
一方、雪子は和子の伯父矢崎の妻信子からガンのため余命幾ばくもないこと、死後夫の面倒を看てやって欲しいことを突然、告げられ絶句する。
美枝子も信子に面会して、雪子の再婚をほのめかされ、嫉妬にも似た複雑な感情を味わう。
和子の妹久美子は姉の心情を慮って、野坂と結びつけるための策略を練る。
その甲斐あって二人は婚約する。
二人はまず美枝子に連絡する。美枝子は二人を祝福したが、電話を切った後で泣き崩れるのだった。


吉永小百合若干18歳の作品。
珍しく浜田光夫には、ふられてしまう。
吉永の演技は力みが入って青いが、石坂洋次郎原作の難しい台詞を難なくこなし、女優らしさを感じさせる。
アイドルから女優へ一皮むけた作品だと思う。

田中絹代、高峰三枝子、吉永小百合という三代女優が語り合う姿はおそらく最初で最後だったろう。
実際より4つも年上の役であり、ハイリスクだったが、これだけの豪華共演陣だったのであえて挑戦したと思う。


監督 中平康
脚色 池田一朗
原作 石坂洋次郎
撮影 山崎善弘
美術 松山崇
音楽 黛敏郎

出演
吉永小百合 (石田美枝子)
高峰三枝子 (雪子)
浜田光夫 (野坂)
十朱幸代 (葉山和子)
和泉雅子 (久美子)
森雅之 (矢崎)
田中絹代 (信子)
山内賢 (向井)
和田浩治 (浅沼)
松尾嘉代 (栄子)
奈良岡朋子
ミヤコ蝶々

2012.12.26

有りがたうさん 1936 松竹蒲田

清水宏監督が全編ロケで撮った名作ロードムービー。
伊豆の踊子の逆コースを通って、下田から修善寺方面へ向かう乗り合いバスの一日を追ったお話。
海外でのタイトルは、Mr.Thank You というそうだ。
2.26事件の翌日に公開されたということだが、その通り、昭和大不況を背景にした映画でもある。


バスの運転手は道を譲ってもらうと「ありがとう」とよく通る声を掛けるので地元の人から「有りがたう」さんと親しまれている。
今日もバスはさまざまな人を乗せて出発する。
下田を離れる酌婦、東京へ売られていく娘とそれに付きそう母親、ひげを生やして紳士面の無尽勧誘員。
また道行く若い女に声を掛けられては、「有りがたう」さんはそのたびに車を止め話を聞いてやる。
前方不注意でガケから転落しそうになって乗客が肝を冷やしても、「とんだ軽業をお見せしちまいまして」といって車内を和ませてしまう。
そんな彼が気になるのは売られる娘の行く末である。


日本でトーキーが始まって数年でこの映画を作るなんて、日本人も捨てた物でない。

この作品では台詞が極端にゆっくり発音されてユーモラスな反面、当時の不況と朝鮮人労働問題もえぐり出している。
そもそも「有りがたう」という言葉がかえって、ギスギスした世の中を暗示している。
清水監督が子供扱いが上手なだけの監督ではなく、当時の小津安二郎監督同様にタイムリーだったことがよくわかる。

この映画を見てはじめて、上原謙がさわやかな好人物に見えた(笑)
これを見たら、いい人だなあと思ってしまう。
しかし戦後は化粧の濃い京本政樹のようなタイプになるのだ。
たとえば「晩菊」で杉村春子のかつての恋人で今は落ちぶれて無心に来る役だとか。

桑野通子はここでは汚れ役だったが、森永のスイートガールからダンサーを経て銀幕デビューまだ三年目である。
母に言わせると、彼女はプロポーションが抜群だったそうだ。
デビュー直後は清水監督に重用された。
いつ見ても明るく頭が良さそうな感じを受ける。


監督 清水宏
原作 川端康成
撮影・青木勇
音楽・堀内敬三

出演
上原謙
桑野通子
築地まゆみ
二葉かほる
水戸光子

2012.12.23

番町皿屋敷 お菊と播磨 1954 大映

最初は播州皿屋敷ということで室町時代の怪談だったらしいが、全国に流布している。
その中でも国宝姫路城にあるお菊井戸は有名である。
小学校の遠足で見に行った。
しかし江戸の講談師により江戸城付近の旗本の住宅街・千代田区番町に舞台を移して、怪談の定番となった。
さらに大正年間、岡本綺堂が悲恋物語に書き換えたものを、川口松太郎が構成を改め、伊藤大輔監督が脚本を直接書いている。

血気盛んな将軍直参の旗本青山播磨は腰元お菊と愛し合い、一向に嫁を迎えようとはしない。
伯母は最後に先代将軍秀忠の娘を相手として押しつけ、格差婚だから側室を置くわけにはいかぬと申しつける。
播磨は悩み苦しみ、いっそお家断絶になっても構わぬと思う。
しかしお菊がその見合い話を聞き、疑心暗鬼になり、播磨の心底を知るため、あるはかりごとをする。
家宝の皿を割ったのだ。
心を試されたと知った播磨は激怒して、お菊を手討ちにいたす。
そして屋敷に火を掛け、炎の中へお菊の亡骸とともに消えていくのであった。

怪談かと思ったが、きれいな話(フィクション)だ。
長谷川一夫の横で、戦後派女優・津島恵子に伝統時代劇の様式を求めるのは酷だが、見てみるとなかなかよくやっている。

田崎潤の女房役・村田知栄子が軽い良い味を出していた。
一目見たときは山村紅葉かと思ってしまった。
俳優陣の厚みは足りず新東宝から借りてきたようだが、それでも伊藤大輔演出は補ってあまりある重厚な物だった。


監督 伊藤大輔
構成 川口松太郎
脚色 伊藤大輔
原作 岡本綺堂
撮影 杉山公平
美術 水谷浩
音楽 伊福部昭

出演
長谷川一夫 (青山播磨)
津島恵子 (お菊)
田崎潤
村田知栄子
阿井美千子
東山千栄子
進藤英太郎 (大久保彦左衛門)

映画はないので、玉三郎の歌舞伎で・・・

2012.12.21

あげまん 1990 東宝

伊丹十三が監督として専念してからの第5作品。
マルサの女2に続く作品として、大いに期待されたが・・・

ナヨコは捨て子で芸者になり、多門院に水揚げされる。
その後、多門院はすいすい出世してナヨコはあげまんだと噂される。
多門院の死後、銀行の千々岩頭取の秘書を務める。
ある日支店長の鈴木主水と出会って、ナヨコのあげまんぶりが発揮され始める。
政界の黒幕大蔵の誘いを断って、主水と結ばれて、主水はめきめき業績を上げる。
しかし主水に縁談が持ち込まれ・・・

女房が実はあげまんだったという話ではなく、はじめにあげまんと認められた女性がその後どのような人生を歩むかというお話。

伊丹節に期待しすぎたのか、この頃から彼の作品に勢いが失われてきた。
前々作の「マルサの女」が凄すぎたからだろう。

しかし東野英二郎といい島田正吾といい、年を取っていたな。
最後は大滝秀治の頭取を失脚させて欲しかったな。


監督 伊丹十三
脚本 伊丹十三
音楽 本多俊之
撮影 山崎善弘

出演者
宮本信子
津川雅彦
大滝秀治
島田正吾
金田竜之介
宝田明
北村和夫


2012.12.18

六條ゆきやま紬 1965 東宝

白黒だが、映像が実に美しい嫁姑映画。
松竹出身の松山善三らしく、松竹ヌーベルバーグ的な作品でのちのATG映画を見ているようだった。

湯元の芸者いねは、中越の紬織り旧家六條家の主人久右衛門に請われて嫁ぐ。
しかし姑や親戚から苛められ、久右衛門が相場に失敗して借金を作り自殺してからは、
ひたすら堪え忍ぶ日だった。
そんな彼女の心の支えは息子の成長と使用人治郎の励ましだった。
しかし雪国の冬は陰鬱であった。
姑はいねと治郎の噂を流して、村人はおもしろおかしく広めた。
借金の期限が月末に近づき、いねは夫が命を賭けて作った紬織り工場を守るため、自ら六條家から去ることを条件に姑に田畑を抵当に出してもらう。
そんなとき治郎の恋人乃里子は噂を気に病んで自殺した。
親戚一同が集まる法事の席で、いねはとうとうぶち切れて酒をあおって歌い始める。

この作品のことは知らなかったが、凄い作品だった。
まず雪国の白黒映像が不気味なほど美しい。
破れ障子から覗いている眼球が人の噂を表現しているのも当時としては斬新だ。
演技では毛利菊枝のいじめが見事。
大女優高峰秀子相手にこれでもかとばかり、憎まれ役を堂々と演じている。
大空真弓も嫉妬深い視線の演技が良かった。

高峰秀子はこの後も夫である松山善三の作品にいくつか出ているが、実質的に主演作品はこれが最後だ。
これこそ松山善三が描く高峰秀子の最高傑作。
久しぶりに後味を引く映画に出会えた。


監督 松山善三
脚本   松山善三
撮影   岡崎宏三(傑作)
音楽   佐藤勝
美術   小島基司

出演
六條いね            高峰秀子
六條美乃          毛利菊枝
三宮治郎          フランキー堺
大崎仁兵衛       小林桂樹
大中彦太郎       石山健二郎
須山昭一          大辻伺郎
須山乃里子      大空真弓
六條久右衛門匡弘 神山繁


次は映画の製作後二年たってから製作されたイメージソング。

2012.12.17

つづり方兄妹 1958 東宝

昭和32年当時の大阪の子供はよく知っていた実話。

中学生の圭一は香里小学校に通う姉弟まち子と文雄とともどもつづり方兄妹として枚方では有名人だった。
三人が書く作文が全て賞を獲るのだ。
台湾からの引き揚げ者である父母は貧乏のどん底生活をしていたが、六人もいる子供たちはのびのびと育っていた。
近所からは子供を賞金稼ぎしていると妬まれることもあったが、父母は賞品には手を付けなかった。
モスクワの作文コンクールに三人は作文を送ったが、二人は入賞したのだが文雄だけ返事がなかった。
文雄は来る日も来る日も返事を待っていたが、大雨に打たれた日、腹痛を訴え床に伏せる。
主治医は儲け主義の内科医で高い薬しか出さず、父母の外出中に容態が急変し死んでしまう。
葬式の後、モスクワから文雄が受賞した知らせが届く。


戦前の高峰秀子主演映画「綴方教室」と違い、この映画の結末はかなり重い。
作文がうまくたって何も良いことはないと結んでいる。
昭和33年という時代にしては、ずいぶんニヒルな映画だ。
それだけ物が市場にあふれ、貧富の差が拡大し始めた証拠だろう。
文章なんか書いているより、革命だったのだろう。

単に名子役が主演しているだけなら、地味な映画だったが、
森繁や乙羽が脇を締めて、引き締まった佳作になった。


監督 久松静児
脚色 八住利雄
原作 野上丹治 野上洋子 野上房雄
撮影 高橋通夫
音楽 斎藤一郎

出演
織田政雄 (野村元治)
望月優子 (みつ)
藤川昭雄 (圭一(長男))
竹野マリ (まち子(長女))
頭師孝雄 (文雄(次男))
香川京子 (杉田(文雄の先生))
津島恵子 (井東(まち子の先生))
森繁久彌 (ブリキ屋の親方)
乙羽信子 (みつの妹)
左卜全
二木てるみ

2012.12.13

宇宙大怪獣ドゴラ 1964 東宝

ヒーローでなくハチ毒にも詳しい物性論研究者が地球を救う非ゴジラ系怪獣映画。
併映は「喜劇駅前音頭」。


ダイヤ盗難事件が世界で続発する。
日本の強盗団がダイヤを盗んでいる最中、不思議な物体に襲われ、ダイヤを奪われる。
警視庁外事課駒井刑事は謎の外人を宗方博士の研究所で追い詰めるが、逃げられる。
宗方博士が持っていたダイヤはまんまと盗まれていた。
しかしそれは人工ダイヤであった。博士は結晶学の権威だったのだ。
駒井刑事は博士に一連の奇妙なダイヤ盗難事件について意見を尋ねる。
北九州の炭鉱が謎の物体に襲われたが、博士は何故か自衛隊の西部方面総監と顔見知りで、レーダーや観測結果を見せてもらい、謎の物体とハチとの関係について仮説を立てる。


強盗団が最後に怪獣騒ぎで吹っ飛ばされるという、ありきたりな筋書き。
いかにもご都合主義な映画だが、ガス人間のごとく怪獣を表面に出さない演出は気に入った。
怪獣は着ぐるみではなく、珍しくアニメで処理されている。

怪獣が退治された後、中村伸郎が秘書役の藤山陽子と笑顔を見合わせるシーンで、大ベテラン中村の笑顔が引きつっているのが見所。
新劇の重鎮も特撮映画ではデビュー3年目の若手女優に敵わなかった。


監督 本多猪四郎
特撮監督  円谷英二
脚色 関沢新一
原作 丘美丈二郎 (「スペース・マンモス」)
製作 田中友幸 田実泰良
撮影 小泉一
美術 北猛夫
音楽 伊福部昭

出演
夏木陽介 (駒井)
ダン・ユマ (マーク)
中村伸郎 (宗方博士)
藤山陽子
藤田進
河津清三郎
若林映子


2012.12.11

夜の配当 1963 大映

「黒の試走車」に続く田宮二郎演ずる産業スパイもの。

世界レーヨンのサラリーマンだった伊夫伎は石神常務の非人道的なやり方に反発して独立する。
まず新製品ポリレンの情報を恋人のかおるに盗み出させて、先に商標登録してしまう。
商標権を3000万円で買い取らせることに伊夫伎は成功するが、かおるは復讐の鬼と化した伊夫伎から離れてしまう。
次に伊夫伎はデザイナーの鮎子をスパイに起用し、会社の内部情報を盗み脅迫を続ける。
しかし石神も逆襲に出る。ホステスをしていたかおるを利用して伊夫伎を罠に掛け、逮捕させる。


藤由紀子の大映第2作(最初は松竹デビュー)にして、彼女の一生を決めた作品。
彼女はこの作品で初めて田宮二郎と共演し、二年後田宮と結婚して引退する。

結婚してから13年後、彼は事業に失敗して、藤由紀子と形式だけの離婚をする。
しかし遺作となった「白い巨塔」は妻であり事務所社長としての彼女の存在なくして完成しなかった。
彼の自殺後、彼名義の財産は全て差し押さえられたはずだけど、名義をすでに移していた自宅を藤由紀子は外人向けアパートに改装して、オーナーとして切り盛りして二人の息子を育てたそうだ。

映画自体は梶山紀之原作にしては「黒の試走車」の二番煎じの感があって、それほど大した脚本ではない。
しかし二人の満更でもない演技にやや興味を引かれた。
藤由紀子はこの演技が認められ、「黒のシリーズ」後半に連続出演するようになる。


監督 田中重雄
脚色 田口耕三
原作 梶山季之
企画 中島源太郎
撮影 高橋通夫
音楽 木下忠司

出演
田宮二郎 (伊夫伎)
藤由紀子 (かおる)
山茶花究 (石神常務)
高松英郎
浜田ゆう子
角梨枝子
早川雄三

2012.12.10

国際秘密警察 指令第八号 1963 東宝

和製ジェームズ・ボンドの第一作。
最近の007シリーズ同様、シリアスなハードボイルド路線だ。


北見次郎は国際秘密警察官。
今回の任務は、死の商人ケントの行方を追うこと。
一方、羽田空港ではサイゴンからケントの陰謀を録音したテープを持つ商社マン秋元が拉致される。
同僚の江崎が代わりにサイゴンへ派遣されることになるが、彼も拉致される。
秋元と江崎をサイゴンへ送る輸送船に北見が潜入する。
秋元は脱走を試み殺されるが、江崎と北見はケントの恋人冴子の裏切りにより無事脱出する。
二人は急ぎ東京へ戻るが、意外にも内通者は秋元の恋人美恵だった。
ケントは冴子と生き証人美恵を抹殺しようと廃ビルの地下室に閉じ込め時限爆弾を仕掛ける。


東宝には珍しく、ずいぶん渋いスパイ映画だ。
子供の頃の三橋達也というとバラエティの司会であり、亀井刑事に任せっきりであまり仕事をしない十津川警部だったのだが、実はバーサタイルな俳優だった。
この作品では気障でニヒルな芝居に徹している。
ただし北見次郎もシリーズが進むにつれ、くだけてくるのだが。

東京のシーンで車があまり映っていない。
工事中の道だらけなのだ。
当時はオリンピック直前で道路工事ばかりしていたのだが、その雰囲気がよくわかった。


監督 杉江繁男
脚本 小川英 間藤守之
製作 田中友幸 三輪礼二
撮影 完倉泰一
音楽 神津善行

出演
三橋達也 (北見次郎)
佐藤允 (江崎)
夏木陽介 (秋元)
水野久美 (冴子)
若林映子 (美恵)
ジェリー伊藤 (ケント)

2012.12.08

ブロンテ姉妹 1977 フランス

今をときめくフランス映画女優陣をブロンテ三姉妹に配した作品。
アン・ブロンテは読んでいないが、シャーロット・ブロンテ「嵐が丘」は漫画「ガラスの仮面」の中で上演されていたから、原作も何度も読んで涙したものだ。エミリー・ブロンテ「ジェーン・エア」もオーソン・ウェルズの映画で見て、原書を読んだ。
19世紀のイギリス文学界はジェーン・オースティン、チャールズ・ディケンズ、コナン・ドイルと続けて輩出し、印刷業の発展もあって大盛況となっていた。

ヨークシャーのハワースの丘に老父と暮らすブロンテ三姉妹と長男ブランウェル。
兄は詩人で家庭教師をやっていたが、奥様に溺れ、相手にされなくなると、アヘンに手を出す。
三姉妹の姉シャーロットと二番目エミリーはベルギーに留学するが、学資を出してくれたおばが亡くなり、志半ばでヨークシャーに戻る。
自暴自棄な生活を送るブランウェルを刺激しないために、偽名でシャーロットは「嵐が丘」エミリーは「ジェーン・エア」アンは「アグネス・グレイ」を出版して、ベストセラーとなった。
正体不明の三人は誰かと、世間の詮索が始まる。
これから才能が花開くと言うとき、ブランウェルは中毒で亡くなり、兄を非常に慕っていたエミリーに続いてアンまでもが病に冒される。


ヨークシャーのお話だから、イングランドの話をフランス語で演じている。
しかもブリュッセル留学のエピソードも当然にフランス語。
イギリス人がベルギー人に田舎者扱いされる感じが全く出ていない。
まずそこに違和感があった。

ブロンテ三姉妹の伝記は欧米では学校で習って有名だろうが、日本ではもう教えられていないし、おそらく子供向けに伝記は出版されていない。
だから文学作品の生みの苦しみを省略して、エピソードだけを抜き出して描いているのは、日本人にわかりにくいだろう。

ただし、シャーロットが嵐や丘は嫌いと言ったのは印象的だった。
彼女らの文章に男性的なものを感ずるという評論家がいた。
おそらく弟の文章に強い刺激を受けていたのだろう。
彼が情緒的なのに対して、姉シャーロットは嵐が丘のキャサリンを客観的に描いていたのだ。
はじめ、シャーロットはイザベル・アジャーニが適役だろうと思っていたが、それだけ思慮深い女性だったなら、マリーフランス・ビジェの方が良い。

末っ子役イザベル・ユペールとの共演(ダブル・イザベル)がこんなに若い頃から実現しているとは知らなかった。
この頃はさすがにアジャーニの方が良いな。
ぼかしも出てきたしw
年齢を重ねて、ユペールの方が好みになってきた。


監督 アンドレ・テシネ
脚本 アンドレ・テシネ パスカル・ボニゼール ジャン・グリュオー
撮影 ブルーノ・ニュイッテン

出演
マリー=フランス・ピジェ (Charlotte Bronte)
イザベル・アジャーニ (Emily Bronte)
イザベル・ユペール (Anne Bronte)
パスカル・グレゴリー (Branwell)

2012.12.05

おとうと 1960 大映

幸田露伴の娘・幸田文と弟の姉弟愛を描いた作品。
カメラマン宮川一夫ならではの映像美が施された巨匠市川崑の名作である。
キネマ旬報邦画第一位と監督賞、および第14回カンヌ国際映画祭フランス映画高等技術委員会賞を獲得した。

大正年間、げんは女子学院へ通う気の強い娘である。
リューマチを患う義母に代わり、家事を仕切っている。
その弟碧郎は義母とそりが合わず、不良少年になって、退学処分を受ける。
転校しても生活態度を改めなかったが、姉は時には厳しく時には優しく弟に接する。
そんな弟がある日、結核を発症する。
医者は手遅れだという。
げんは命がけで看病する。
しかし転地療養先で姉が見合いしている最中に弟はボート遊びに興じて、病状を悪化させる。


岸恵子が実年齢より10歳も若い役を熱演。
銀残しと言われる映像が少しセピアカラーっぽいので、年齢面でのアラは目立たない。
映画によって評価が分かれる女優だが、気合いが入ったときは凄い演技を見せてくれる。
この映画は文句なしに凄い。
ラストシーンは何度見ても泣ける。


また助演陣も素晴らしい。
いつもニヒルな森雅之が、ここまでコミカルな演技をするとは思わなかった。
文豪の役はやはり文豪(有島一郎)の息子にやらせるものだ。

逆に田中絹代は珍しくいじめ役。
でも本来こういう人なのではないかと思わせるほど、はまっている。

わずかしか出演シーンはなかったが、岸田今日子も妖しい魅力があった。
私の母がこの人は実物の方が美人だったと言った。
だとすると、宮川一夫は彼女の素顔に近い部分をカメラに映し出したのだろう。

川口浩の演技が若くて少し頼りないところがあったが、それを補うに十分な共演陣だった。

監督 市川崑
脚色 水木洋子
原作 幸田文
製作 永田雅一
撮影 宮川一夫
音楽 芥川也寸志

出演
岸惠子 (げん)
川口浩 (碧郎)
田中絹代 (母)
森雅之 (父)
仲谷昇
浜村純
岸田今日子


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